- 更新日 : 2026年10月5日
退職者の給与支払報告書は必要?書き方・提出期限・電子申告義務化の最新事情を解説
退職者の給与支払報告書は、退職した年の給与支払額が30万円を超える場合、原則として作成・提出が必要です。
- 提出期限は翌年1月31日
- 給与30万円以下でも提出推奨の自治体あり
- 2027年から電子申告義務化が30枚以上に拡大
Q. 退職者と連絡が取れない場合でも提出は必要?
A. 必要です。連絡が取れない場合でも提出義務は変わらず、退職時の住所地の市区町村へ提出してください。
退職者の給与支払報告書は、退職した年の給与支払額が30万円を超える場合、原則として作成・提出が必要です。本記事では、給与支払報告書と源泉徴収票の違いや、退職者の給与支払報告書が不要なケース、書き方の注意点、電子申告義務化の最新動向、よくある質問などを解説します。退職者に関する手続きを正しく進めるために、必要な知識を確認しましょう。
退職者も給与支払報告書の作成は必要?
結論から言うと、退職者についても給与支払報告書の作成・提出は原則として必要です。給与支払報告書は、市区町村が住民税を計算する際に欠かせない情報源となるため、正社員やパート・アルバイトに限らず、年の途中で退職した従業員も対象になります。提出先は、退職者が居住している市区町村です。
提出が義務付けられている理由
給与支払報告書の提出は、地方税法第317条の6により義務付けられています。給与支払額に基づいて作成し、退職者を含むすべての従業員分を、退職時点で居住していた市区町村へ提出する必要があります。
提出を怠った場合の罰則
提出を怠ったり虚偽の記載をしたりした場合、地方税法第317条の7により「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科されるおそれがあります。提出期限を守り、必要な書類を確実に作成・提出しましょう。
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給与支払報告書と源泉徴収票の違いは?
給与支払報告書と源泉徴収票は、記載内容がほぼ同じでも、目的と提出先が異なります。
給与支払報告書は住民税の計算に必要な情報を市区町村へ提出するための書類で、各従業員の居住地に応じて送付します。一方、源泉徴収票は給与額や源泉徴収した所得税額を明示する書類であり、提出先は税務署(一定枚数以上の場合は電子提出義務あり)と従業員本人です。
退職者の給与支払報告書が不要になるケースとは?
退職者の給与支払報告書は、対象年度の給与が30万円を超える場合に提出義務があります。30万円以下であれば提出を省略できる場合がありますが、この基準は現在も変更されていません。
30万円以下でも提出を推奨する自治体が多い
多くの市区町村では、給与額が30万円以下であっても提出を推奨しており、金額にかかわらず提出を義務付ける自治体も存在します。住民税を正確に課税するには、給与支払情報が重要とされているためです。
提出期限と対象期間
提出期限は、給与を支払った年の翌年1月31日です(期限日が土日にあたる場合は翌営業日)。報告書には、前年1月1日から12月31日までに確定した給与総額を記載します。在籍している従業員については、30万円以下の給与でも提出が必要なため、退職者との違いを混同しないよう注意しましょう。
退職者の給与支払報告書は書き方が異なる?
退職者に関する給与支払報告書の書き方は、在籍者とは一部異なります。住所欄には退職時の住所を記載し、退職した年の1月1日から退職日までに支払われた給与の総額を正確に記入します。
中途就・退職欄の記載が必須
在職者と退職者を区別するため、「中途就・退職欄」の記載が必須です。この欄に正しく記入することで、給与支払報告書から退職者であることが明確になります。記載漏れがあると後の確認作業に支障をきたす可能性があるため、作成時には注意を払いましょう。
退職者の給与支払報告書:個人別明細書の書き方は?
個人別明細書には、住所・支払金額・控除額・源泉徴収税額・中途退職の別などを正確に記載する必要があります。
より具体的な記載方法については、給与支払報告書と総括表の書き方徹底ガイドをご覧ください。
| 項目 | 記載内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 住所欄 | 退職者の退職時の住所を記載 | 転居の有無を確認した上で正確に記載すること |
| 支払金額 | 退職年に支払が確定した給与などの総額を記入 | 過去の給与支払に誤りがあった場合は修正が必要なため、金額を正確に確認する |
| 給与所得控除後の金額 | 「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づいて計算された金額を記載 | 令和7年度税制改正により給与所得控除の最低保障額が引き上げられているため、最新の速算表を用いて計算する。年末調整をしない場合は空白にする |
| 所得控除額の合計額 | 社会保険料控除や扶養控除、基礎控除など各種控除の合計額を記入 | 令和7年度税制改正で基礎控除・扶養控除(16〜18歳の控除額など)の内容が見直されているため、最新の控除額に基づいて計算する |
| 源泉徴収税額 | 源泉徴収票に基づき、源泉所得税と復興特別所得税の合計額を記載 | 年末調整をしない場合、その年に天引きした所得税等の合計金額を記載 |
| 中途就職・退職者欄 | 退職欄に〇を記入し、退職年月日を明記する | 記入もれがないよう、特に注意が必要 |
参考:給与支払報告書の提出について(個人別明細書の書き方を含む)|大阪市
退職者の給与支払報告書:総括表の書き方は?
総括表の左側には給与支払者に関する情報を、右側には受給者に関する人員数を記載します。
右側の報告人員の内訳を記入する欄では、在籍者と退職者を分けて記載しなければなりません。
| 報告人員 | 区分 | 人数 |
|---|---|---|
| 特別徴収(住民税等を給与から差し引きする人) | 在職者 | 人 |
| 普通徴収(住民税等を給与から差し引きできない人) | 退職者・退職予定者 | 人 |
| 普通徴収(住民税等を給与から差し引きできない人) | 乙欄・その他 | 人 |
| 計 | - | - |
報告人員の内訳には、一般従業員の人数を特別徴収の欄に記入します。退職者は、普通徴収の退職者の欄に退職した従業員の人数を記載しましょう。報告人員の欄には、在籍者数と退職者数、その他の従業員数の合計を記入します。
給与支払報告書(総括表)のひな形・テンプレート
マネーフォワード クラウド給与では、給与支払報告書の無料テンプレートをご用意しております。無料でダウンロードできますので、ぜひお気軽にご利用ください。
退職者の給与支払報告書の提出方法は?電子申告義務化の最新動向
給与支払報告書は、窓口持参・郵送のほか、eLTAX(エルタックス、地方税ポータルシステム)による電子申告が主流になりつつあります。特に前々年提出分の法定調書が一定枚数以上ある事業者は、電子提出が法律で義務付けられている点に注意が必要です。
eLTAX(エルタックス)とは
eLTAXは、全国の地方公共団体が共同で運営する地方税の総合窓口システムです。給与支払報告書と源泉徴収票を一括して作成・送信できる「一元化」機能があり、退職者分を含めた提出事務を効率化できます。なお、国税に関する電子申告システムであるe-Tax(イータックス)とは別のシステムなので混同しないようにしましょう。
電子申告義務化の基準は「30枚以上」に引き下げへ
現行では、前々年に提出すべきであった源泉徴収票などの法定調書が100枚以上の場合に電子提出が義務付けられています。しかし令和6年度税制改正により、この基準は2027年1月提出分(令和8年分)から「30枚以上」へ引き下げられることが決定しています。判定に使われるのは提出する年の2年前の枚数であるため、2025年中に提出した法定調書が30枚以上であった事業者は、2027年提出分から電子申告への対応が必須となります。退職者分も含めた提出枚数として数えられるため、対象となるかどうかを早めに確認しておくことが重要です。
参考:法定調書のe-Tax等による提出義務化の概要について|国税庁
退職者の給与支払報告書に関するよくある質問
退職者の給与支払報告書に関するよくある質問をまとめました。
給与支払報告書の退職者のマイナンバーは必要?
退職者の給与支払報告書には、マイナンバーの記載が必要です。ただし、従業員がマイナンバーの提出を拒否した場合には、記載しなくてもよいとされています。
従業員がマイナンバーの提出を拒否した場合、企業は提出が法的義務であることを再度伝えるべきですが、それでも提供を受けられない場合は、記載せずに提出できます。ただし、提供を求めた経緯について記録し、企業側の義務違反でないことを明確にしておきましょう。
退職者と連絡が取れないときは?
退職者との連絡が取れなくなるのは、円満に退職しないケースでよく見られ、突然出社しなくなったり、引っ越しにより所在が不明になったりすることもあります。
たとえ退職者と連絡が取れない場合でも、会社は給与支払報告書を提出しなければなりません。この提出義務は、退職者に問題があった場合でも変わりません。連絡が取れないことで業務に支障が出る場合、退職者が住んでいた市区町村の相談窓口に問い合わせ、適切な手続きを進めましょう。
退職者が引っ越して住所不明な場合は?
退職者が退職後に転居しているケースもあり得ます。退職者が引っ越して連絡が取れなくなった場合でも、給与支払報告書の提出をしなければなりません。
在職中に転居していなければ、退職者の給与支払報告書は、退職日現在の住所地の市区町村に提出するのが原則です。退職後に転居していても、基準は変わりません。住所が不明な場合でも、退職時に把握していた市区町村の自治体に相談し、適切な手続きを行うようにしましょう。
給与支払報告書の提出期限が過ぎたらどうなる?
給与支払報告書の提出期限を守らない場合、事業主や事務担当者には1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科せられるおそれもあります。
さらに、給与支払報告書は各従業員の住民税計算に使用されるため、提出が遅れることにより、住民税の請求時期もずれ込んでしまいます。住民税の賦課が行われる6月に提出が間に合わない場合、12ヶ月分の税額を少ない月数で分割して支払うことになり、従業員の月々の納税負担が増えてしまう恐れもあるため必ず期限内に提出しましょう。
給与支払報告書を提出した従業員が退職した場合の住民税の手続きは?
従業員が退職した際、住民税の徴収方法に変更が生じます。会社での天引き(特別徴収)が継続できなくなるため、個人での納付(普通徴収)への変更手続きをしなければなりません。手続きは、転職の状況により分かれます。
次の勤務先が決まっており、転職先でも住民税の特別徴収を継続する場合は、給与所得者異動届出書を提出します。
旧勤務先が異動届出書に必要事項を記載して新しい勤務先へ送り、新しい勤務先が必要事項を記載したうえで、市区町村へ提出するのが一般的な流れです。具体的な提出方法や期限は、市区町村の案内を確認しましょう。
一方、次の勤務先が未定の場合、退職の時期で対応が変わってきます。
- 年初から4月までに退職する場合:5月分までの住民税を最後の給与から差し引きます。ただし、給与が赤字にならないか、事前の確認が大切です。
- 5月に退職する場合:その月の住民税のみを徴収します。
- 6月〜12月に退職する場合:基本的に個人納付となりますが、退職者の希望により、一括での天引きも可能です。
退職者についての給与支払報告書は最新ルールを踏まえて適切に手続きしよう
退職者の給与支払報告書の作成と提出は、正確な住民税の計算に欠かせません。給与額が30万円以下であっても提出が求められる場合があり、電子申告義務化の基準引き下げなど制度変更にも注意が必要です。退職時の住所や給与金額を正確に記入し、記載漏れがないようにしましょう。退職者と連絡が取れない場合でも、給与支払報告書の提出義務は変わりません。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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