• 更新日 : 2024年1月10日

雇用保険被保険者資格取得届とは?書き方や記入例・提出先を紹介!

雇用保険被保険者資格取得届とは?書き方や記入例・提出先を紹介!

従業員を雇い入れたら、複数の社会保険手続きをする必要があります。

その一つが「雇用保険被保険者資格取得届」です。これは、従業員を雇用保険に加入させるために、管轄のハローワークに提出する書類です。

この記事では、雇用保険被保険者資格取得届の概要や書き方、注意する事項、添付書類、提出方法などについて解説します。

雇用保険被保険者資格取得届とは?

事業所の規模や業種を問わず、一定の要件を満たす従業員を雇い入れたら、雇用保険に加入させなければなりません。

その際にハローワークに提出する書類が雇用保険被保険者資格取得届です。

雇用保険の代表的な給付は失業給付ですが、自主的な教育訓練、育児休業、介護休業等についても給付金が支給されます。
もし資格取得手続きがなされていないと、こうした保険給付を受けられず、従業員が不利益を被ることがあります。そうしたことのないよう、雇用保険被保険者資格取得届は、確実に提出しなければなりません。

雇用保険被保険者資格取得届はどういった場合に必要?

雇用保険被保険者資格取得届は、次の要件に該当する従業員を雇用したときに提出が義務づけられています。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  2. 31日以上の雇用見込みがあること

上の1と2の要件をいずれも満たしている場合は、正社員・パート・アルバイト・派遣等、名称や雇用形態にかかわらず、雇用保険に加入させなければなりません。

なお「31日以上の雇用見込みがある」とは、31日以上雇用が継続しないことが明確でない場合を含みます。したがって次の場合には、たとえ雇用契約期間が31日未満であっても、原則として31日以上の雇用が見込まれるものとして、雇用保険の被保険者となります。

  • 雇用契約に更新する場合がある旨の規定があり、31日未満での雇い止めの明示がないとき
  • 雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績があるとき

雇用保険被保険者資格取得届の書き方・記入例

では、雇用保険被保険者資格取得届は、どのように書けばよいのでしょうか。ここでは、記載例を示し、一般的な書き方を説明します。

雇用保険被保険者資格取得届の書き方

  1. 「個人番号」
    個人番号(マイナンバー)は、必ず本人確認を行った上で、正確に記入します。
  2. 「被保険者番号」
    雇用保険に加入する人の被保険者番号を記入してください。「0」も省略しません。新卒採用のように雇用保険の被保険者になったことがない場合は、空欄にしておきます。なお前職で雇用保険に加入していても、被保険者証の紛失等により雇用保険番号がわからない場合は、被保険者番号欄は空欄とし、備考欄に前職の企業名等を記載します。
  3. 「取得区分」
    過去に一度も雇用保険に加入したことがない場合、または被保険者でなくなった最後の日から7年以上経過している場合は「新規」となるため「1」と記入します。転職など、すでに被保険者証の交付を受けている者は「再取得」となるため「2」と記入します。
  4. 「被保険者氏名」
    被保険者証の交付を受けている場合は、被保険者証のとおりに氏名を記載します。なおカタカナで記入し、姓と名の間を1枠空けてください。
  5. 「変更後の氏名」
    被保険者証の氏名と現在の氏名とが異なっている場合に記入します。
  6. 「性別」
    男性は「1」、女性は「2」と記入します。
  7. 「生年月日」
    年月日が1桁の場合はそれぞれ0を付加して2桁で表記し、7つの枠すべてを記入します。平成5年4月10日生まれの場合は「4-050410」となります。
  8. 「事業所番号」
    「0」も省略せず、11の枠すべてを記入します。
  9. 「被保険者となったことの原因」
    新規雇用(新規学卒)、新規雇用(その他)など、該当する番号を記入します。なお転職して入社した場合は「2新規雇用(その他)」になります。
    1 新規雇用(新規学卒)
    2 新規雇用(その他)
    3 日雇からの切替
    4 その他
    8 出向元への復帰等(65歳以上)
  10. 「賃金」
    まず「1月給」「2週休」「3日給」「4時間給」「5その他」のうち該当する番号を記入します。賃金月額は、毎月決まって支払われるべき賃金の月額(支払総額)を千円単位(千円未満四捨五入)で記入します。この賃金月額には、通勤手当は含まれますが、賞与や臨時の賃金は含まれません。
  11. 「資格取得年月日」
    原則として雇い入れた日(雇用関係に入った最初の日)を記入します。試用期間中や研修期間中の労働者も被保険者となるため、試用期間、研修期間等として就労した最初の日を書いてください。
  12. 「雇用形態」
    該当する雇用形態の番号を記入します。なお、正社員の場合は「7その他」を選択します。
    1 日雇労働者
    2 派遣労働者
    3 パートタイム労働者(週所定労働時間が30時間未満の場合)
    4 有期契約労働者
    5 季節的雇用労働者
    6 船員
    7 その他
  13. 「職種」
    次の該当する番号を記入します。
    1 管理的職業(部長、課長、支店長、工場長など)
    2 専門的・技術的職業(研究者、情報処理・通信技術者、デザイナーなど)
    3 事務的職業(総務事務員、受付事務員、テレフォンアポインターなど)
    4 販売の職業(販売店員、レジ係、営業員など)
    5 サービスの職業(美容師、調理人など)
    6 保安の職業(警備員、道路交通誘導員など)
    7 農林漁業の職業(稲作・畑作作業員、養畜作業員、植木職など)
    8 生産工程の職業(板金工、印刷工、塗装工など)
    9 輸送・機械運転の職業(バス・トラック等運転手、クレーン運転工など)
    10 建設・採掘の職業(大工、内装工、土木作業員など)
    11 運搬・清掃・包装等の職業(倉庫作業員、荷物配達員など)

    引用:雇用保険の事務手続 | 厚生労働省

  14. 「就職経路」
    どのようなルートで就職したのか「1安定所紹介」「2自己就職」「3民間紹介」「4把握していない」のうちから該当する番号を記入します。
  15. 「1週間の所定労働時間」
    被保険者の種類を問わず、雇用契約で定めた通常の週における労働時間を記入します。例えば「1日6時間、週4日勤務」の場合は「24時間00分」となります。
  16. 「契約期間の定め」
    契約期間の定めがある場合は「1」と、ない場合は「2」と記入します。「1」と記入した場合は契約期間を書きます。また契約更新条項の有無についても記入します。

    17から23までは、被保険者が外国人の場合のみ記入します。ただし在留資格が「外交」「公用」の被保険者、または特別永住者である被保険者については記入の必要がありません。

  17. 「被保険者氏名(ローマ字)」
    在留カードの記載どおりに、氏名をローマ字で記入します。
  18. 「在留カード番号」
    在留カードの右上に書かれている番号を記載します。
  19. 「在留期間」
    在留カードで在留期間を確認し、記入します。雇用契約期間とは異なるため、注意しましょう。
  20. 「資格外活動許可の有無」
    資格外活動許可を受けている場合は「1」を、受けていない場合は「2」を記入します。なお資格外活動許可の有無は、在留カードの裏面でも確認できます。
  21. 「派遣・請負就労区分」
    派遣・請負労働者として、主としてその事業所以外で就労する場合は「1」を、それ以外の場合は「2」と記載します。
  22. 「国籍・地域」
    在留カードの記載どおりに、国籍・地域を書きます。
  23. 「在留資格」
    在留カードの記載どおりに「在留資格」を記入します。

雇用保険被保険者資格取得届を作成する時の注意点

雇用保険被保険者資格取得届の作成は、決して難しいものではありません。しかし正確さやていねいさが要求されます。ここでは、雇用保険被保険者資格取得届を作成する際に注意する事項について説明します。

明確かつ正確に記入する

雇用保険被保険者資格取得届は、機械(OCR)で読み取って処理されます。そのため枠内に記入する文字は、エラーが起きないよう、枠からはみ出さず、ていねいに記入してください。

参考:ハローワーク(公共職業安定所)からのお願い|厚生労働省

資格取得日に気をつける

雇用保険の資格取得日は、雇用契約期間の初日です。初日が日曜日や祝日など事業所の所定休日に当たる場合も、初日を記入します。例えば10月1日付で雇い入れ、10月1日が所定休日だったため10月2日から出社したときは、資格取得日は10月1日です。

また試用期間がある場合、資格取得日は試用期間の初日になります。本採用の日ではないため、気をつけましょう。

契約内容が変更された場合も注意が必要です。週所定労働時間が20時間未満だった従業員が、契約変更により所定労働時間が増加し、週20時間以上就労するようになった場合、資格取得日は雇入日ではなく、契約変更日です。

提出期限に遅れた場合は

雇用保険被保険者資格取得届は、雇入日の翌月10日までに提出することとされています。しかし書類が揃わない等の理由で、期日までに提出できないことがあるかもしれません。そうした場合は、1日でも早く提出してください。

提出が大幅に遅れた場合でも遡及して手続きができますが、遅延理由書等を添付する必要があります。

また2年以上提出が遅れた場合は、入社からの出勤簿や賃金台帳、疎明書等、多くの添付書類を準備しなければなりません。また入社時から雇用保険料が控除されていたことを賃金台帳等で証明する必要もあります。

そのような事態にならないよう、雇用保険被保険者資格取得届は早めの提出を心掛けましょう。

雇用保険被保険者資格取得届の提出手続き方法 – 電子申請も可

雇用保険被保険者資格取得届は、要件を満たす従業員を雇い入れた日の翌月10 日までに、事業所の所在地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)に提出します。

提出方法は、ハローワークの窓口に持参郵送電子申請の3つがあります。

ハローワークに持参する方法は、専門の職員が窓口で受けつけてくれるため、雇用保険事務に慣れていない場合でも安心です。ただしハローワークによっては非常に混雑し、待ち時間が長いことがあります。

また、管轄のハローワークに郵送することもできます。雇用保険被保険者資格取得届にはマイナンバーなどの個人情報が記載されているため、簡易書留や特定記録で郵送してください。切手を貼付した返信用封筒も同封します。

そして雇用保険被保険者資格取得届は、電子申請もできます。電子申請とは、e-Govや労務管理ソフトを利用し、オンラインで申請する方法です。

事前に電子証明書を取得する必要がありますが、そうした電子申請の環境を整えてしまえば、ハローワークに行く時間や郵送コストをかけることなく、迅速な手続きが可能となります。

添付書類は原則として不要です。ただし「初めて従業員を雇用するなど事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合」は、賃金台帳や出勤簿(タイムカード)、労働者名簿などの添付が必要になることがあります。

雇用保険資格取得届は確実に提出しよう!

従業員を雇入れたら、ハローワークに雇用保険被保険者資格取得届を提出しなければなりません。雇用保険被保険者資格取得届の作成は複雑なものではありませんが、正確に記入する必要があります。なお提出方法は、ハローワークの窓口に持参、郵送、電子申請のいずれも可能です。

雇用保険の資格取得手続きがなされていないと、従業員は失業や自主的な教育訓練、育児休業などについて必要な保険給付を受けることができなくなります。

従業員がそのような不利益を受けないよう、確実に手続きをしておきましょう。

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