• 更新日 : 2026年10月5日

パート・アルバイトは育休を取得できる?条件・給付金・配偶者控除への影響を解説

Pointパート・アルバイトも育休は取れる?

パート・アルバイトも一定の条件を満たせば育休を取得でき、育児休業給付金や社会保険料免除などの支援を受けられます。

  • 子が1歳6か月までに契約満了が明らかでなければ取得可
  • 給付金は休業開始180日まで賃金の67%が支給
  • 育児休業給付金は非課税で配偶者控除の判定に影響なし

Q. パート・アルバイトが育休を取得できる条件は?

A. 子が1歳6か月に達するまでに労働契約が満了・更新されないことが明らかでなければ取得できます。ただし労使協定により対象外となる場合があります。

パート・アルバイトなど有期雇用で働く方も、一定の条件を満たせば育児休業(育休)を取得できます。本記事では、パート・アルバイトの育休取得条件や産前産後休業(産休)との違い、育児休業給付金の仕組み、配偶者控除への影響、申請から復職までの手続きの流れを、企業のバックオフィス担当者向けにまとめて解説します。

パート・アルバイトも育休を取得できる?

パート・アルバイトなどの有期雇用労働者も、要件を満たせば育児休業(育休)を取得できます。ただし労働契約の終了時期や労使協定の内容によっては対象外となる場合があります。

産休と育休の違い

産前産後休業(産休)は出産する女性労働者であれば要件なく取得できます。一方、育児休業(育休)は、1歳未満の子どもを有する男女労働者であれば、原則として取得できますが、有期雇用労働者の場合には取得要件が設けられている点が大きな違いです。

産前休業は本人が請求すれば事業主は拒否できず、産後8週間は原則として就業させてはならないと定められており、これ以外の要件はありません。一方、育休は日々雇用の労働者が適用除外となるほか、パートタイマーなどの有期雇用労働者は労働契約の終了時期によっては取得できません。また、労使協定の内容によっては雇用形態を問わず、取得できない場合があります。

産後パパ育休と・パパ・ママ育休プラスの違い

産後パパ育休(出生時育児休業制度)は出産後8週間以内に最大4週間、通常の育休とは別に取得できる制度で、パパ・ママ育休プラスは夫婦がともに育休を取得することで期間を子が1歳2か月になるまで延長できる制度です。

制度名 対象者 取得可能な期間
産後パパ育休 主に男性(養子縁組など産休を取っていない場合は女性も可) 出生後8週間以内に最長28日、2回に分割可能。労使協定があれば就業も可能
パパ・ママ育休プラス 夫婦とも雇用保険の被保険者であること 先に育休を取った側の後、子が1歳2か月に達するまで延長可能

参考:育児休業制度特設サイト|厚生労働省

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パート・アルバイトが育休を取得できる条件は?

有期雇用のパート・アルバイトは、子が1歳6か月(再延長の場合は2歳)に達するまでに労働契約が満了し、更新されないことが明らかでない限り育休を取得できます。ただし、労使協定によって対象外となるケースもあります。

育休を取得できる要件

パート・アルバイトが育休を取得するための主な要件は以下のとおりです。

要件区分 内容
契約満了の見込み 子が1歳6か月(再延長時は2歳)に達するまでに契約が満了し、更新されないことが明らかでないこと
労使協定による除外 継続雇用1年未満/育休申出から1年以内に雇用終了/週の所定労働日数2日以下を労使協定で対象外にできる
取得可能期間(女性) 産後休業終了後、子の1歳の誕生日前日まで
取得可能期間(男性) 子の出生後、1歳の誕生日前日まで

育休を取得できないケースの具体例

契約更新の上限回数に達する契約期間の最終日が、子が1歳6か月に達する日より前に来る場合や、契約を更新しない旨が明示されており育休申出時点で契約最終日が1歳6か月に達する日より前に来る場合は、育休を取得できません。

  1. 更新回数の上限が明示されており、その上限に達した契約期間の最終日が子の1歳6か月到達日以前であるケース
  2. 契約を更新しないことが明示されており、育休申出の時点で契約期間の最終日が子の1歳6か月到達日以前であるケース

パート・アルバイトが産休・育休でもらえる手当・給付金は?

パート・アルバイトも要件を満たせば、出産育児一時金や出産手当金、育児休業給付金といった経済的支援を受けられます。

出産育児一時金

公的医療保険の被保険者・被扶養者が妊娠4か月(85日)以上で出産した場合、原則50万円が支給されます。

早産、流産、人工妊娠中絶、死産の場合でも支給対象です。被扶養者が出産した場合は家族出産育児一時金という名称になりますが内容は同じです。産科医療補償制度に加入していない医療機関等での出産の場合は48.8万円となります。医療機関が一時金を直接受け取る「直接支払制度」を利用すれば、出産費用をまとめて事前に準備する必要がありません。

参考:出産育児一時金等について|厚生労働省

出産手当金がもらえる期間

出産のため休業して給与が支払われなかった期間について、出産日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産翌日以後56日目までの範囲で支給されます。

出産日は産前の期間に含まれ、出産が予定日より遅れた場合は、その遅れた分だけ産前期間が延長され出産手当金の支給対象になります。

参考:出産手当金|協会けんぽ

育児休業給付金(育休手当)

雇用保険の被保険者が1歳未満(延長時は1歳6か月または2歳未満)の子を養育するために育休を取得した場合に支給される給付金で、休業開始から180日間は賃金の67%、それ以降は50%が給付率の目安です。

パート・アルバイトなどの有期雇用労働者は、労働契約期間が子の1歳6か月(再延長時は2歳)になる日までに満了する場合は対象外です。2025年4月には出生後休業支援給付金が創設され、要件を満たす期間は実質手取り10割相当が保障される仕組みが加わりました。

参考:育児休業等給付について|厚生労働省

自治体独自の出産・子育て応援交付金もある

都道府県や市区町村が独自に出産・育児にかかる交付金制度を設けている場合があり、内容や金額は自治体ごとに異なります。

助成金の直接支給のほか、ベビー用品と交換できるクーポンなど地域ごとに特色のある施策があるため、居住する自治体の公式サイトで最新情報を確認するとよいでしょう。

育児休業給付金をもらうと配偶者控除はどうなる?

育児休業給付金や出産育児一時金、出産手当金は非課税所得のため、所得税の計算や配偶者控除の判定には影響しません。

ただし住民税は前年の所得に対して課税されるため、産休・育休中であっても納付義務がある点には注意が必要です。また育休中は労使双方の社会保険料が原則免除され、ほかに給与収入がなければ雇用保険料も発生しません。

項目 内容
所得税 給与所得65万円のみの場合、給与所得控除(令和8年分から最低保障額74万円)により課税所得は0円
社会保険料・雇用保険料 給与所得65万円分についてのみ発生
育児休業給付金 社会保険料は免除、所得税は非課税

令和8年度税制改正で配偶者控除の所得要件はどう変わる?

令和8年度税制改正大綱により、配偶者控除・扶養控除の対象となる合計所得金額要件が58万円以下から62万円以下に引き上げられます。育休中のパートタイマーが配偶者の扶養に入れるかどうかを判断する目安として押さえておきましょう。

区分 改正前 改正後(令和8年分以後)
配偶者・扶養親族の合計所得金額要件 58万円以下 62万円以下
給与収入のみの場合の目安 123万円以下 136万円以下

個人住民税への適用は1年遅れの令和9年度分以後となります。

育児休業給付金の計算方法は?

育児休業給付金は「休業開始時賃金日額×支給日数×給付率」で計算し、休業開始から180日目までは67%、181日目以降は50%が給付率の目安です。

計算のルール

賃金の支払い状況によって計算方法が異なります。

賃金の支払い状況 支給額の計算方法
支払いがない、または賃金月額の13%(181日以降は30%)以下 休業開始時賃金日額×支給日数30日×給付率(67%/50%)
賃金月額の13%(30%)超~80%未満 賃金月額×80%-実際に支払われた賃金
賃金月額の80%以上 支給なし

具体例で計算してみると?

休業開始前6か月の賃金合計が288万円(賃金月額48万円)で、休業開始から181日目以降かつ賃金の支払いがない場合、支給額は24万円になります。

賃金日額は288万円÷180日=1.6万円で、給付率50%を掛けると1.6万円×30日×50%=24万円です。仮に30万円の賃金支払いがあった場合は48万円×80%-30万円=8.4万円、40万円の支払いがあった場合は支払い割合が83.3%となり賃金月額の80%以上に該当するため支給されません。なお賃金日額には上限があり、令和9年8月31日までは16,540円(賃金月額の上限は496,200円)です。

パート・アルバイトが育休を取得・復職するまでの流れは?

育休の取得から復職までは、要件確認から復職手続きまで6つのステップで進めます。

STEP1 育児休業取得の要件を確認する(会社側)

会社は育休取得の対象者や必要書類をあらかじめ把握し、従業員から申し出があった際にスムーズに対応できる体制を整えておく必要があります。

STEP2 就業規則を確認する(従業員側)

従業員自身も、自分が育休の取得対象者であるかを会社の就業規則で確認しておきましょう。労使協定によって対象外の要件が定められている場合もあるため、事前確認が重要です。

STEP3 育児休業を申し出る(従業員側)

育児・介護休業法により、育休取得の申し出期限は休業開始予定日の1か月前と定められています。期限までに会社へ育児休業申出書を提出しましょう。

STEP4 申出を受理し説明する(会社側)

会社は申し出を受理した旨と、育休の開始予定日・終了予定日について従業員に説明する必要があります。事業主は育休の申し出を拒否できません。

STEP5 給付金の申請と社会保険料免除の手続きを行う(会社側)

会社はハローワークで育児休業給付金の申請を、年金事務所で社会保険料免除の手続きを行います。

必要書類
育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
母子健康手帳の写し
賃金台帳・出勤簿 など

2025年4月に開始した出生後休業支援給付金に該当する場合は、出生後休業支援給付金支給申請書もあわせて提出します。育児休業給付金の初回申請は、育休開始日から4か月を経過する日の属する月の末日までに行う必要があります。

STEP6 復職の手続きを行う(会社側)

復職時は社会保険料免除終了の届出のほか、短時間勤務などで給与が下がる場合は標準報酬月額の変更手続きが必要です。会社は「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届」を年金事務所に提出します。

パート・アルバイトの育休で企業が注意すべきポイントは?

事業主は就業規則への明記、給付金手続きの実施、雇用環境の整備、ハラスメント防止措置を行う義務があります。

就業規則への明記は必須

育休は労働基準法が定める就業規則の絶対的必要記載事項のうち休暇・賃金に関わるため、就業規則への記載が必須です。

休暇については付与要件(対象となる労働者の範囲等)、取得に必要な手続き、期間を記載する必要があります。賃金については育休期間中の賃金支払いの有無、通常と異なる賃金を支払う場合の計算方法・支払方法・締切りや支払時期を記載する必要があります。

雇用環境の整備ですべきこと

事業主は育休の申出などの円滑化を図るため、次のいずれかの措置を講じる必要があります。

  1. 育児休業に関する研修の実施
  2. 相談体制の整備
  3. 取得事例の収集と提供
  4. 制度や取得促進方針の周知

このほか、育休の申出や育休後の就業の円滑化を図るため、労働者の配置や職業能力の開発・向上について必要な措置を講じる努力義務もあります。

ハラスメント防止措置は義務

妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメントの防止措置は、男女雇用機会均等法・育児介護休業法により事業主の義務とされています。

  1. ハラスメント防止に関する周知・啓発
  2. 苦情・相談窓口の設置
  3. 問題発生時の迅速かつ適切な対応

育休中・育休明けの雇用契約で気をつけることは?

育休の申出や取得を理由に、解雇や契約の不更新など不利益な取扱いをすることは育児・介護休業法第10条により禁止されています。

不利益な取扱いには、解雇のほか、有期雇用契約を更新しない、契約の更新回数を減らす、労働者の意に沿わない業務への変更などが含まれます。育休ではなく短時間勤務を迫るといった対応も問題となり得るため、制度の目的を理解したうえで、業務上の必要性と労働者の不利益とのバランスを慎重に判断することが求められます。

育休手続きに使えるテンプレート

育児休業申出書や育児短時間勤務申出書など、必要事項を漏れなく正しく記載できるテンプレートを活用すると、申出・受理の手続きがスムーズに進みます。

職場全体でパート・アルバイトの育休取得を後押ししよう

パート・アルバイトも要件を満たせば育休を取得でき、育児休業給付金や社会保険料免除といった経済的支援も受けられます。産休との違いや有期雇用労働者特有の取得条件、配偶者控除への影響、申請から復職までの流れを正しく把握し、職場全体で育児休業を取りやすい環境づくりを進めていきましょう。


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