- 更新日 : 2024年6月7日
「法定休日」とは?「振替休日」と「代休」の違いを正しく理解しよう
「法定休日」とは、労働基準法に定められている休日のことをいいます。休日には、この法定休日以外にも、「法定外休日(所定休日)」「有給休暇」「振替休日」「代休」などの休日があり、それぞれの名称については皆さんも聞いたことがあると思います。今回はこれらについて整理するとともに、振替休日と代休との違いについて解説します。
目次
法定休日・法定外休日(所定休日)とは?
まず、法定休日と法定外休日とはどのような休日なのか、それぞれについて見ていきます。
法定休日とは?
労働基準法第35条第1項で、使用者は労働者に「毎週少なくとも1回の休日」を与えなければなりません。これを「法定休日」といいます。
法定休日は、原則として午前0時〜午後12時までの暦日をいいます。法定休日にする曜日を特定することは義務ではありませんが、特定する方が望ましいとされています。また、週1日の休日の例外として「4週を通じて4日」と定めることも可能です。(同法第35条第2項)ただし、これを適用するには、4週間の起算日を就業規則等に定めておかなければなりません。
また、法定休日に勤務した場合には、割増率35%以上の割増賃金の支払いが必要になります。しかし、法定休日以外の所定休日に勤務した場合は、週の労働時間が週の法定労働時間である40時間を超えた部分について、時間外労働として割増率25%以上の割増賃金の支払いが必要です。
法定外休日(所定休日)とは?
一方、法定休日以外の休日については、会社ごとの就業規則等で自由に規定することができ、「所定休日」といいます。週休2日制、国民の祝日、年末年始、夏季休暇等を会社の休日としている会社が多いようです。
法定外休日について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご確認ください。
振替休日とは?
振替休日とは、事前に労働日と休日を振り替えて、あらかじめ休日にしていた日を労働日とする代わりに、その他の労働日を休日とする制度です。
振替休日の条件は?
労働者にとっては、振替休日を取るからといって休日労働が頻繁に行われると、私生活や体調に支障をきたすおそれがあります。そのため、次のような取り扱いが必要とされています。
- 就業規則に振替休日についての規程があること
- 振替休日とする日を明確に指定すること
- 前もって振替休日を指定しておくこと
- 法定休日を確保しておくこと
振替休日は割増賃金の支払いが必要?
振替休日は、休日出勤をしたとしても、その日は労働日ですので休日労働にはなりません。労働日ですので割増賃金の支払いもありません。ただし、休日の振替により労働した日の週の労働時間が週の法定労働時間を超えた場合、その時間は時間外労働となるので、割増賃金を支払う必要があります。
振替休日と代休の違いは?
休日に労働した場合に、休日労働した後の日に本来労働日だった日を休むことを「代休」といいます。振替休日のように「あらかじめ振替える」わけではありませんので、労働した時間は休日労働として扱われ、法定休日に労働した時間は原則通り、35%以上の割増率での割増賃金の支払いが必要になります。
代休について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご確認ください。
法定休日に振替休日は適用される?
労働基準法第35条により休日と定められている日のことを「法定休日」といいます。法定休日は従業員に対して、1週間に1日、もしくは4週間に4日以上与えることが義務付けられています。法定休日は振替休日にも適用されます。ただし、実際に振替休日として認められるためには一定の条件があります。
- 就業規則に振替休日についての規程があること
- 振替休日とする日を明確に指定すること
- 前もって振替休日を指定しておくこと
- 法定休日を確保しておくこと
その他、従業員の負担を減らすため、頻度の高い休日の振替は避けること、なるべく早めに振替休日を設けることなどに気をつけましょう。
有給休暇とは?
上述の「休日」とは別に、労働基準法第39条では、労働者に毎年規定の「年次有給休暇」を付与することを使用者に義務付けています。これは、労働者の疲労の回復や労働力の維持、ゆとりのある生活を保障するために、所定の休日以外にも一定の休みを付与する制度になっています。
例えば、正社員の場合、雇い入れの日から起算して「6か月間継続勤務」し、かつ、全労働日の8割以上出勤した場合は10日の有給休暇が付与されます。その後、1年ごとに付与される日数が増えていき、雇い入れの日から6年半以上勤務した場合には、それ以後は毎年20日ずつ有給休暇が付与されます。
有給休暇は労働者の権利であるため、労働者には時季指定権という有給休暇の取得日を指定する権利があり、使用者はその有給休暇の取得を認めなくてはなりません。労働者が届け出をすることは、労働者が既に有している権利を時季指定して行使するものであり、使用者の「承諾」や「同意」は必要ないのです。
ただし、使用者には例外として「時季変更権」という権利があり、労働者の請求する時季に有給休暇を取得する場合に「事業の正常な運営を妨げる場合」には、他の時季を指定するよう求めることができます(使用者の時季変更権:法39条5項)。
なお、「同じ日に他の人も休みを取ることになっているから」というのは理由になりません。同僚等のサポートによって部署内の業務に支障が生じないのであれば、「事業の正常な運営を妨げるもの」ではないからです。
また、労働者が退職する直前にまだ消化していない有給休暇をまとめて請求したときはどのように取り扱うべきか、ということが労使間でよく問題になるようです。退職直前ですので、他の時季に変更することができない場合は、使用者は時季変更権を行使できません。その場合は労働者からの有給休暇の届出を拒むことができないため、業務の引継ぎなどを勘案し、退職時には前もって退職の申し出を行うよう事前に説明をしておきましょう。
振替休日と代休の違いを確認しましょう
振替休日と代休では労働基準法での休日の考え方が異なり、割増賃金の発生についても異なります。この違いを確認し、正しく理解して、間違った割増賃金の計算をしないように注意しましょう。
よくある質問
法定休日とは?
「法定休日」とは、労働基準法第35条で定められている、使用者が労働者に必ず与えなければならない休日のことをいいます。毎週少なくとも1回、あるいは4週間を通して4日以上の休日を与える必要があります。 詳しくはこちらをご覧ください。
振替休日と代休の違いは?
振替休日は、あらかじめ休日と定めた日を労働日として、その代わりに他の労働日を休日とすることをいいます。代休は、休日労働が行われたときに、その代わりとして休日労働日以後の特定の労働日を休みとするものです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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