• 作成日 : 2022年11月11日

厚生年金の試算・計算方法について – 将来もらえる年金額を予測

厚生年金の試算・計算方法について – 将来もらえる年金額を予測

会社員や公務員は、老齢になると2種類の年金を受け取ることができます。国民年金から受け取る年金が老齢基礎年金、厚生年金から受け取る年金が老齢厚生年金です。老齢基礎年金は、基本的に加入期間による定額部分だけであるのに対し、老齢厚生年金は加入期間による定額部分と在職中の給与・賞与の額による報酬比例部分で構成されます。

将来もらえる年金には2種類ある

公的年金制度は、老齢になったり障害を負ったりして仕事ができなくなった場合でも、生活に困ることがないようにと設けられている社会保障制度です。日本は国民皆年金となっているため、20歳以上60歳未満のすべての人が公的年金制度の対象となっています。会社員や公務員は、国民年金と厚生年金、2つの制度から老齢年金を受け取ることができます。

国民年金

国民年金は日本に住んでいる全員を対象にした年金制度です。20歳以上60歳未満の人すべてに加入義務があり、20歳に達すると被保険者となります。加入者は被保険者と呼ばれ、国民年金の被保険者は次のように第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者3つに分類されます。

  • 第1号被保険者となる人:自営業者、農業者、学生、無職の人など
  • 第2号被保険者となる人:会社員、公務員など
  • 第3号被保険者となる人:第2号被保険者に扶養されている配偶者

国民年金が行う給付は、以下の通りです。

  • 老齢基礎年金:受給資格期間が10年以上ある場合に65歳から支給される
  • 障害基礎年金:障害の程度が1級と2級の場合に支給される
  • 遺族基礎年金:国民年金被保険者などが死亡した場合などに支給される

厚生年金

厚生年金は、会社員や公務員などを対象にした年金制度です。厚生年金適用事業所になっている会社・事業所に勤める会社員および公務員は、自動的に厚生年金に加入することになっています。加入手続きなどは健康保険とともに、事業所が行います。厚生年金被保険者になると、国民年金は第2号被保険者として取り扱われるようになります。

厚生年金が行う給付は、以下の通りです。

  • 老齢厚生年金:老齢基礎年金に上乗せして支給される
  • 障害厚生年金:障害の程度が1級から3級の場合に支給される
  • 遺族厚生年金:厚生年金被保険者などが死亡した場合に支給される
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保険料や年金受給金額に関わる「標準報酬月額」

会社員や公務員は在職中、厚生年金被保険者として厚生年金保険料を支払います。厚生年金保険料は、給料に応じた金額で国民年金保険料のように一定の金額ではありません。

多くの給料を得ている人は、厚生年金保険料も高く、少ない給料で働く人の厚生年金保険料は低く抑えられています。標準報酬月額を用いて計算され、1/2が毎月の給料から控除(天引き)されます。1/2である理由は、厚生年金保険料が被保険者と会社で折半して負担されるためで、残りの1/2は会社が負担します。

厚生年金保険料と標準報酬月額の関係については、こちらの記事を参考にしてください。

標準報酬月額は、厚生年金保険料だけでなく、老齢厚生年金額の計算基礎とされています。老齢厚生年金額の計算式には、標準報酬月額が用いられていて、標準報酬額が高いと受け取れる老齢厚生年金も多くなり、標準報酬月額が低いと少ない老齢厚生年金しか受け取れない仕組みになっています。

厚生年金では、保険料と年金額の計算に標準報酬月額を用いることで、多く保険料を支払った人の年金額を増やし、保険料負担が軽かった人の年金額を少なくしています。

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厚生年金・国民年金における年間受給額の計算方法

老齢になると国民年金からは「老齢基礎年金」が支払われます。令和4年度(令和4年4月分から)の老齢基礎年金額は、次の通りです。

  • 老齢基礎年金額(令和年度)
    年額777,792円(月額64,816円)

20~60歳までの40年間に保険料を納めていない期間がなければ、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。未納期間があると、その分の老齢基礎年金は受け取れません。

  • 10年間の未納期間がある場合
    777,792×3/4(40年間に対する保険料納付済期間の割合=583,344円

満額の777,792円に対する3/4の583,344円円が、老齢基礎年金として支払われます。

厚生年金から支払われる老齢厚生年金は、次のように計算されます。

老齢厚生年金額 = 報酬比例部分(1) + 経過的加算(2) + 加給年金(3)

報酬比例部分の計算

報酬比例部分とは、厚生年金保険に加入していた期間に支払った保険料の金額によって計算される部分です。平成15年3月以前と平成15年4月以降に分けて、以下の計算式で求めます。

平成15年3月以前

平均標準報酬月額 × 7.125※/1000 × 平成15年3月までの加入期間の月数

平均標準報酬月額は平成15年3月以前の加入期間における各月の標準報酬月額の総額を平成15年3月以前の加入期間の月数で割って求めます(※昭和21年4月1日以前に生まれた方は、給付乗率が異なります)。

平成15年4月以降

平均標準報酬額 × 5.481※/1000 × 平成15年4月以降の加入期間の月数

平均標準報酬額は平成15年4月以降の加入期間における各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を平成15年4月以降の加入期間の月数で割って求めます。

経過的加算の計算

経過的加算は厚生年金の加入期間に応じて決定される部分です。

1,621円(令和4年度) × 生年月日に応じた率 × 加入期間の月数 - 老齢基礎年金の額

昭和21年4月2日以降に生まれた人の生年月日に応じた率は「1」です。

加給年金額の計算

被保険者期間が20年以上で、生計を維持されている配偶者や子がいる場合には、加給年金が加算されます。

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厚生年金・国民年金の受給額 – シミュレーション

老齢になると、国民年金から老齢基礎年金、厚生年金から老齢厚生年金を受け取ることができます。どのくらいの年金額になるのか、シミュレーションしてみましょう。

  1. 自営業者の場合
    • 加入していた年金:国民年金に第1号被保険者として加入
    • 加入期間:20~60歳までの40年間
    • 支払った保険料:40年間で約600万円
    • 受け取れる年金の種類:老齢基礎年金のみ
    • 受け取れる年金額:1年あたり約80万円
  2. 会社員(平成15年3月以前の平均標準報酬月額・平成15年4月以降平均標準報酬額ともに30万円)の場合
    • 加入していた年金:厚生年金(国民年金は第2号被保険者)
    • 加入期間:20~60歳までの40年間
    • 支払った保険料:40年間で約1,100万円
    • 受け取れる年金の種類:老齢基礎年金と老齢厚生年金
    • 受け取れる年金額:1年あたり約250万円
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将来に備えて、老齢にもらえる年間受給額を予測してみよう

公的年金制度には、国民年金と厚生年金の2種類があり、会社員は両方の老齢年金を受け取ることができます。国民年金から支払われる老齢基礎年金は一律ですが、厚生年金から支払われる老齢厚生年金額は人によって異なります。厚生年金の被保険者であった期間や標準報酬月額を用いた計算式で、一人ひとりの年金額が計算されることによるものです。いくらの年金が受け取れるかはシミュレーションしてみることができます。将来への備えのため、老齢にもらえる年間受給額について予測額を計算してみましょう。

よくある質問

年金には何種類ありますか?

公的年金制度には、国民年金と厚生年金の2種類があります。詳しくはこちらをご覧ください。

厚生年金の年間受給額について、計算方法を教えてください。

厚生年金被保険者であった期間や標準報酬月額に基づき、一定の計算式で厚生年金の年間受給額は求められます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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