- 更新日 : 2024年10月30日
自責思考とは?他責思考との違いやストレス・うつとの関連を解説!
自責思考とは、何か問題が起きたときに、他者ではなく自分に非があるとする考え方のことです。当事者意識や成長意欲につながりやすく、ビジネスでは高く評価される考え方ですが、極端な自責思考はストレスを抱えやすくうつ病の原因になる可能性があります。自責思考の意味やメリット、他責思考との違いなどをまとめました。
目次
自責思考とは?他責思考との違い
自責思考とは、問題が起きたときに、他人や環境のせいにせず、原因は自分にあるとする考え方です。ここでは、自責の意味や、他責思考との違いなどを解説します。
そもそも自責とは?
自責とは、自分自身で過ちをとがめること、また自分に責任があると考えることを意味する言葉です。何かあったときに、まず自分を責めてしまうことが自責です。
自責思考とは?
問題が起きたときに、まず自分に非があるとするのが自責であり、この考え方を自責思考といいます。例えば、仕事で所属するチームの業績が下がったときに、自分が契約を取れなかったせいだと、自分の落ち度を原因とするのが自責思考です。ビジネスシーンでは、当事者意識を持って問題に取り組む姿勢を評価されることも多いでしょう。
他責思考とは?
自責思考と対照的な考え方が、他責思考です。他責思考とは、責任の所在は自分以外にあるとする思考のことです。
他責思考を持つ場合、これまで長期にわたって取引を続けてきた顧客が契約を終了すると申し出てきた際に、その原因が自分にあるとは考えません。「取引先の予算の都合だ」「自社製品をいかしきれなかったからだ」など、原因を相手に求めるのが特徴です。
自責思考と他責思考の違い
自責思考と他責思考の違いは、端的にいうと問題が起きた際に責任が自分にあるとするのか、自分以外の他者や外部の環境にあるとするのかという点にあります。
ビジネスにおいては、自分の至らなかったところを反省しそれを改善しようと努力する自責思考のほうが、高く評価されるのが一般的です。しかし、どちらの思考にもメリットとデメリットが存在します。行き過ぎた自責思考はストレスの原因になるとも考えられるため、どちらかに偏ることなく、状況に応じて使い分けることが望ましいでしょう。
自責思考があることのメリット
自責思考があることのメリットは、主に以下の3点です。
- プロジェクトへのコミット・当事者意識の高さ
- 指摘されたことを素直に受け入れる柔軟さ・成長意欲
- 他者へのやさしさ・寛容さがある
各メリットを解説します。
プロジェクトへのコミット・当事者意識の高さ
自責思考があると、プロジェクトに積極的に関わる、当事者意識が高いといった傾向がみられます。目の前の問題を他人任せにせず、「自分が対処する」「自分が解決する」という意識を持って取り組む点がメリットです。チームリーダーになる人は、自責思考を持っており、当事者意識が強いことが多いでしょう。
指摘されたことを素直に受け入れる柔軟さ・成長意欲
指摘されたことを素直に受け入れる柔軟さや、成長意欲があることも、自責思考が強いことのメリットです。ミスや改善点について指摘を受けた際、素直に自分の中に原因を探し、自分の至らなかった点を反省します。そして、「同じことの繰り返しにならないように、次はこのようにやり方を変えてみよう」と考えるため、成長機会を得られます。
他社者へのやさしさ・寛容さがある
自責思考があることのメリットとしては、他者へのやさしさや寛容さがあることも挙げられるでしょう。自責思考を持つ人は、トラブルが発生した際に他人を責めるのではなく、まず自分に非があったと考えることがほとんどです。相手を尊重し、自らが責任を負うスタンスによって、人間関係が良好なものになると考えられます。
自責思考があることのデメリット
メリットが多く、社会的にも望ましいとされる自責思考ですが、以下のようなデメリットも存在します。
- ストレス過多になる
- 自己完結して物事を考えてしまう
それぞれの内容を確認しましょう。
ストレス過多になる
自責思考が強いと、ストレス過多になりやすいことに注意が必要です。物事がうまくいかないたびに、原因を自分自身の中に探してしまうため、精神的に追い込まれてしまう可能性があるでしょう。自分への評価が過度に厳しい場合は精神的に疲労し、ストレスを溜め込みやすい傾向があります。
自己完結して物事を考えてしまう
自己完結して物事を考えてしまうことも、自責思考が強いことによるデメリットです。何でも自分で責任を負い、自分で対処しなければと考えるため、周囲を頼ることが少ないのは、自責思考の人の特徴です。そのため、周囲からは常に自己完結しているように見えてしまいます。
他責思考があることのメリット
ビジネスではあまり歓迎されないことの多い他責思考ですが、悪いことばかりではありません。以下のようなメリットも存在します。
- ストレスを抱えにくい
- 物事を客観的に見ることができる
順番に解説します。
ストレスを抱えにくい
他責思考は、ストレスを抱えにくいことがメリットといえるでしょう。問題が起きたときも、基本的に「自分のせいではない」と捉えるため、精神的なダメージを受けにくいのが特徴です。そのためストレスを抱えにくく、フラットな精神状態で仕事ができることは強みだといえるでしょう。
物事を客観的に見ることができる
物事を客観的に見られることも、他責思考のメリットです。自責思考を持つ場合、問題やトラブルが発生したときに、責任は自分にあると考え自分を責めてしまうでしょう。しかし実際は、自分の周りで起きるすべての問題が自分のせいである可能性は低いといえます。
その点、他責思考の場合は、原因を客観的に探ることが可能です。例えば発注ミスが生じた場合、他責思考であれば「システムや発注書に問題があるかもしれない」と考え、結果的に業務改善につながる場合があります。
他責思考があることのデメリット
他責思考があることのデメリットは、主に以下のとおりです。
- 当事者意識が薄い
- 改善・成長の機会を失いやすい
それぞれ解説します。
当事者意識が薄い
他責思考を持つ人は、仕事で問題が生じた場合でも「誰か他の人が対応するだろう」「自分には関係ない」と考え、当事者意識が薄い傾向にあります。基本的に、仕事は積極的に取り組むことが求められることがほとんどです。そのため、このように当事者意識が薄いと、「やる気がない」とマイナスの評価を受けてしまうリスクが高いでしょう。
改善・成長の機会を失いやすい
他責思考が強いと、自らの改善・成長の機会を失いやすいことも認識する必要があります。問題やトラブルの原因が自分にあると素直に考えられると、「次は同じことを繰り返さないようにしよう」と取り組み方や心構えを見直すことが可能であり、それが成長につながります。しかし、自分の非を求めることなく周囲のせいにしていると、成長の機会を逃してしまうでしょう。
自責思考がある人の特徴
自責思考がある人には、以下のような特徴がみられます。
- 真面目・几帳面
- 完璧主義
- ネガティブ思考の傾向
- 自分に自信がない
各特徴を確認しましょう。
真面目・几帳面
自責思考がある人は、真面目で几帳面な人が多いといえます。問題から逃げることなく真正面から向き合い、自分が責任を取ろうとするため、周囲から信頼されるでしょう。
ただし、真面目さや几帳面さはビジネスで重視される要素ではあるものの、こだわり過ぎると強い自責思考につながり、ストレスの原因になりかねません。
完璧主義
自責思考の人に多くみられる特徴として、完璧主義も挙げられます。自責思考の人は、自分を追い込み高いレベルを目指して、完璧を求めることが少なくありません。
自分が関わるすべての仕事やタスクを完璧に仕上げようとする姿勢は、高く評価されます。自分が思い描いた通りの結果が出ているときは、理想的な状態といえるでしょう。しかし、思うような結果が出なかったとき、その責任を自分で背負いこむのも、自責思考の人にみられる傾向です。
ネガティブ思考の傾向
自責思考の人は、ネガティブな考え方をすることが多いでしょう。トラブルや問題が生じたとき、たとえ自分に非がなくても、「自分が取った行動や選択は正しかった」と自分を肯定するのが苦手な傾向はあります。「自分にも何かしら問題があったのではないか」「自分が違う行動を取っていれば」と自問自答し、後悔を続けてしまうでしょう。
自分に自信がない
自分に自信がないのも、自責思考の人にみられる特徴の1つです。自責思考が強く、失敗に対して過度に自分を責め続けていると、徐々に自信を失っていきます。また逆に、自信がないからこそ、問題が起きたときに「自分が至らなかったせいではないか」と、自分の中に原因を探してしまうともいえます。
他責思考がある人の特徴
他責思考がある人の特徴は、以下のとおりです。
- 細かいことを気にしない・ミスが多い
- 自分に自信がある
それぞれの特徴を解説します。
細かいことを気にしない・ミスが多い
他責思考の人にみられる特徴としては、細かいことを気にしない点が挙げられるでしょう。その結果、ミスが多い傾向にあります。自分の行動が原因であるという思考ではないため、同じようなミスや失敗を繰り返しやすいといえます。責任の所在を他者や外部環境に求めてしまうため、自身が成長する機会を失いやすいことにも注意が必要です。
自分に自信がある
自分に自信があることも、他責思考の人に共通してみられる特徴です。自責思考の人は、自分を責め続けることで自信を失ったり、そもそも自信がないために自分に非があると考えてしまったりします。それとは対照的に、自信があるからこそ自分に落ち度はないと考えるのが、他責思考の人といえるでしょう。
自責思考と他責思考の具体例
自責思考と他責思考について理解を深めるために、同じシチュエーションでの考え方を比較してみましょう。例えば、人事評価での評価が悪かった場合、自責思考の人は「評価されている人にあって、自分に足りない要素は何か考えてみよう」というような考え方をします。
それに対して他責思考の人は、「頑張っているのに評価されないのは、評価者に見る目がないからだ。評価制度自体にも問題があるかもしれない」などと考える傾向にあるでしょう。
自責思考と他責思考のバランスが取れた人材を育成しよう
自責思考は問題が生じた際に、まず自分に非があるとする考え方です。特にビジネスにおいては、自分の至らない点を反省しそれを改善しようと努力するため、高く評価されます。ただし、自責思考が強いと精神的に追い込まれ、ストレス過多になりやすい傾向にある点に注意しましょう。
一方で他責思考は、当事者意識が薄く改善や成長の機会を失いやすい点がデメリットですが、ストレスを抱えにくかったり、物事を客観的に捉えられたりするメリットもあります。このように、どちらにもメリットとデメリットが存在します。そのため、自責思考が良くて他責思考は悪いと、一概にはいえないことを知っておくことがポイントです。自責思考と他責思考のどちらか一方に偏ることなく、バランス良く物事を考えられる人材を育成する必要があるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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