• 更新日 : 2024年1月30日

内製化とは?メリットやデメリット、判断のポイントを解説

内製化とは?メリットやデメリット、判断のポイントを解説

内製化とは、外部委託していた業務を社内のリソースを使って実施することです。最近ではそのメリットが注目されています。この記事では、内製化とその対義語にあたるアウトソーシングの意味、内製化の目的やメリットやデメリット、内製化を進める際の判断のポイントについて解説します。自社における内製化検討の一助としてください。

内製化とは?

内製化とは、外部委託していた業務を社内の要員や設備などのリソースを使って実施する形に体制を転換することで、インソーシングとも呼ばれます。

これまではコストダウンを意識し、高い専門性を持つ人材や高額な設備を必要とする業務などを外部委託することが少なくありませんでした。しかし、最近ではそのような業務を社内で行うことによるメリットが着目されはじめ、内製化が注目されています。

アウトソーシングとの違い

アウトソーシングとは社内の業務の一部を外部に委託することで、内製化(インソーシング)の対義語にあたります。主としてコストダウンを目的として様々な分野で進められました。近年は自社にノウハウを持たない業務の遂行、自社の人材不足の解消、コア事業への集中などを目的にすることも増えています。

内製化の目的

内製化の主な目的を以下で2点紹介します。

業務の効率化・改善

内製化を進めることで、業務の効率化、業務改善が期待されます。アウトソーシングの場合は、外部の委託先への会社をまたぐコミュニケーションが必要です。その際に様々な調整が発生する場合があり、契約手続きも煩雑となりがちです。また、委託先が自社以外の業務を請け負っている場合もあり、緊急事態に際して即応できないケースも想定されます。

内製化をしていれば、社内で業務が完結するために、これらのプロセスがスムーズになります。緊急事態でも自社の人材で即応できるため、業務の効率化や改善につながるでしょう。

自社の業務に必要なシステムやツールを開発する場合も、該当する業務プロセスや社内事情を熟知している者が担当するため、要件定義や設計などを正確に行うことが可能です。アウトソーシングと比べて要件確認などの調整が少なくなり、業務の効率化や改善につながると言えるでしょう。

コスト削減

アウトソーシングを行う場合、当然のことながら委託費用が必要になります。内製化すれば委託費用を削減できますが、内製化を行うためには人件費や設備費の増加が見込まれます。短期的にはこれらの経費増が委託費用減を上回る可能性もあるでしょう。

一方、将来にわたって自社で行うべき業務や、業務内容に対して委託費用が割高な場合などには、委託費用の削減効果が大きくなり、コスト削減につながります。

内製化のメリット

内製化を行うことのメリットを以下で4点紹介します。

業務のノウハウが自社に蓄積する

内製化すると、全ての業務を自社で行うため、業務に必要なノウハウが自社に蓄積されます。業務遂行のために必要な能力や知識、ノウハウが蓄積することで、技術革新や技術継承が可能になり、業務改善や品質改善を進めることができます。

たとえば、システム開発や運用のアウトソーシングで、業務を外注先にほぼ丸投げ状態にしているとします。いわゆる「自社システムのブラックボックス化」状態であり、委託されている外注先しかシステムの仕様が分からない状況です。この場合、外注先なしでは自社のシステム開発や運用が困難になったり、委託料の引き上げに応じたりしなければならないなど、経営上のリスクにもつながりかねません。このような事態を解消するためにも、内製化の必要性が高まっているのです。

急な対応などにも柔軟に対応できる

内製化を行うと、業務が自社内で完結するため、アウトソーシングと比べて契約手続きや調整のための時間やコストがかかりません。スピーディーな対応を求められた際にも柔軟に対応できます。ビジネスチャンスを逃さず、顧客満足度を高めることにもつながるでしょう。

また、システム開発や運用を内製化している場合、障害発生時に社内のスタッフが迅速かつ的確に対応できることもメリットと言えます。
コストの削減につながる

アウトソーシングを行う場合には、業務委託先に支払う費用が発生します。専門性の高い業務の場合には委託費用も高いため、内製化によるコスト削減効果が大きくなることが見込まれるでしょう。

社員のスキルが向上する

内製化により自社の社員が業務を遂行するため、当該業務に関する社員のスキルが向上することが期待されます。社員のスキルが高まることで、当該業務を指導するノウハウも蓄積されます。社内で後継者の育成も可能になり、育成のためのコストも抑えられるでしょう。

内製化のデメリット

反対に、内製化に伴うデメリットについて、以下で4点紹介します。

社員の育成に時間がかかる

外部に委託していた業務を内製化するにあたって、当該業務に関するスキルを持った人材が社内にいない場合があります。業務の専門性が高いほど、社内で必要な人材を育成するのに時間がかかるでしょう。

人件費のコストが増える

内製化のためには、その業務に必要なスキルを持った人材の確保が必要です。新規に採用する場合は当然のことですが、社内で人材を育成する場合にも研修等にコストを要します。

特にアウトソーシングの期間が長く、社内にノウハウがほとんどない場合には、即戦力となる専門性の高い人材を採用したり、外部に研修などを委託したりする必要があるため、コストが大きくなるでしょう。

設備投資等の費用がかかる

内製化に伴い、対象業務の内容によっては新たにシステムや備品を導入するなど、設備投資が必要になる場合があります。設備投資を行う場合は、導入した設備等のメンテナンスコストも発生します。

また、新たな業務を始めるにあたって、業務の進め方や体制を決定しなければなりません。さらには、それを周知したり、場合によっては既存業務の進め方や体制を変更したりするなど、様々な準備のために業務上の負荷がかかる可能性もあります。超過勤務で対応する場合には人件費アップにもつながるでしょう。

失敗した際の取り戻しが難しい

以上で述べた通り、内製化に伴う人材育成や採用、設備投資などには時間とコストを必要とします。内製化に失敗した場合にはその取り戻しが難しいため、意思決定にあたっては慎重に検討する必要があります。

内製化とアウトソーシングどちらを選ぶ?判断のポイント

これまで述べてきた内製化のメリット、デメリットを踏まえ、内製化とアウトソーシングの選択にあたっての判断ポイントについて、以下で3点解説します。内製化は全ての業務に適しているとは言えず、コストや時間を要するため、慎重な判断が求められます。

コスト面でどれほど削減につながるか

内製化を行う場合、アウトソーシングに要する費用は削減できます。一方で、人件費の増加が見込まれ、設備投資に資金を要することはこれまで述べた通りです。これらの増減について正確に精査し、内製化がコスト低減にどの程度寄与するのかを確認する必要があります。

精査を行う際には、中長期的な視点が重要です。短期的には内製化のコストがアウトソーシングのコストを上回るものの、中長期的に考えた場合に業務の成長やノウハウ蓄積による利益創出効果が得られないなど、正確に評価する必要があります。

実際に業務を行えるかどうか

自社の人材や設備の状況、技術の保有状況などを踏まえ、内製化しようとしている業務を実際に行えるかどうかを確認することが重要です。

内製化に向けてリソースが不足する場合には、人材の採用や育成、設備投資を行うなどにより確保する方法を検討します。自社でリソースを確保できない場合には内製化できないため、アウトソーシングせざるを得ません。

内製化の範囲は現実的か

内製化を行う場合、全ての業務を対象とする必要はありません。社内のリソースを考慮した上で、現実的な内製化の範囲を見出す必要があります。その結果、部分的に内製化するという判断もあります。

また、内製化する業務の性質についても十分に考慮する必要があります。内製化のメリットを最大限に発揮できる業務、例えば競争優位の源泉にあたり、自社へのノウハウ蓄積が望ましい業務などは対象にすべきでしょう。

一方で、自社にとって中核的な業務ではなく、他社の技術力や即戦力人材を活用したほうが、効率的かつ高い品質で進められる業務まで内製化の対象にする必要はありません。

内製化の進め方

以下では内製化の進め方を解説します。

内製化を行う業務を洗いだす

内製化を検討するにあたって、自社の業務フローや業務に携わる人材の配置状況、スキル保有状況、設備の保有状況を明確にする必要があります。その上で、自社にとって内製化のメリットを最大限に発揮できる業務を洗いだすことが不可欠です。

内製化に必要な費用を決める

内製化の対象とする業務を洗いだしたら、その業務を自社で行うにあたって必要な費用を算出します。人件費や採用、教育に要する費用、設備投資額(初期費用)及び保守費用などが算出対象になります。

内製化を行う主担当者を決める

内製化を進める際には、社内の業務分析を行う必要がある上、業務遂行体制、人事(リソース確認と採用や教育など)、コストなど検討しなければならないことが多岐にわたります。

本来、これらの内容はそれぞれの担当部署で検討を進めますが、全ての情報を取りまとめた上で検討を進めなければ正しい判断ができない可能性があります。このため、社内の司令塔として内製化の主担当者を決める必要があるでしょう。

内製化のメリットを活かし、自社の業績拡大を

内製化を成功させるには、そのメリットを活かすことができるかの事前の検証がカギになります。自社のコアとなる業務で内製化を成功させることで、業務の効率と品質が高まるだけでなく、ノウハウも蓄積されます。長期的に競争力の源泉となる業務に育てあげることで、業績の成長につながることでしょう。

本記事で紹介した内容を参考にして、自社にとってメリットのある内製化を進め、さらなる業績拡大につ


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