- 更新日 : 2026年4月16日
所得税は扶養人数でいくら変わる?年齢による違いや給与計算の注意点
家族を扶養する従業員は、その人数に応じて源泉所得税が減額されます。そのため、給与計算においては、所得税と扶養人数の関係を理解することが欠かせません。当記事では、所得税と扶養人数の関係について解説します。扶養親族の年齢による違いや人数の数え方なども紹介しますので参考にしてください。
目次
所得税は扶養人数で変わるのか?
源泉所得税の額は、従業員の扶養対象となる人数に応じて変動します。扶養する人数が増えれば増えるほど減額幅も大きくなりますが、その幅は月々数千円程度の範囲です。しかし、年間を通して見れば決して無視できるような額ではありません。
社会保険料は扶養人数で変わるのか
社会保険においても扶養の制度は存在します。家族や親族を扶養に入れることで、保険料を負担することなく健康保険の給付を受けることなどが可能です。しかし、社会保険料は所得税と異なり、扶養人数によって増減することはありません。扶養人数が1人であっても2人であっても、保険料額に差が生じることはありません。
なお、社会保険の被扶養者認定については、2026年4月より判定基準が変更されています。従来は実際の収入実績で判定されていましたが、改正後は労働契約書や労働条件通知書に記載された年間収入見込みが重視されるようになりました。残業代などの臨時収入は原則として年間収入に含めなくてよいとされています。また、2026年10月からは、従業員数にかかわらず週20時間以上勤務等の要件を満たすパート・アルバイトに社会保険の加入義務が拡大される予定です(いわゆる「106万円の壁」の撤廃)。
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所得税と社会保険、扶養の違いを説明できますか?
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所得税は扶養人数でいくら変わる?
源泉所得税における扶養親族等の数は、「源泉控除対象配偶者」と「源泉控除対象親族」を合計した人数です。合計人数に制限はなく、対象として含まれる親族等がいれば全てが対象となります。
なお、令和8年分より、「源泉控除対象親族」は従来の「控除対象扶養親族」に加え、特定親族(19歳以上23歳未満で合計所得金額が100万円以下の者)も含む概念に変更されています。
「源泉控除対象配偶者」「源泉控除対象親族」は、以下のような者を指します。
- 源泉控除対象配偶者
納税者の合計の所得金額が900万円以下となる場合において、納税者と生計を一にしており、合計所得の金額が95万円以下である配偶者が該当します。ただし、給与の支払いを受ける青色申告者の事業における事業専従者、および白色申告者の事業専従者は除かれます。
- 源泉控除対象親族(控除対象扶養親族)
扶養親族であって、16歳以上となる者が該当します。扶養親族とは、配偶者以外の6親等内の血族および3親等内の姻族であって、納税者と生計を一にしている所得金額の合計が62万円以下(給与収入のみの場合は年収136万円以下)となる者を指します。なお、この所得要件は令和8年度税制改正により58万円以下から引き上げられたものです。ただし、給与の支払いを受ける青色申告者の事業における事業専従者、および白色申告者の事業専従者は除かれるため注意が必要です。
- 源泉控除対象親族(特定親族)
令和8年分より、19歳以上23歳未満の親族等で合計所得金額が100万円以下の者(控除対象扶養親族に該当しない者に限る)も、源泉控除対象親族に含まれることとなりました。これにより、月々の源泉徴収においても扶養親族等の数に算入されます。
では、源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の合計人数は、具体的にどの程度、所得税に影響を及ぼすのでしょうか。月収と扶養人数ごとの所得税額について解説します。
なお、令和8年度税制改正(2026年3月31日成立)により、基礎控除の本則が58万円から62万円に、給与所得控除の最低保障額が65万円から69万円にさらに引き上げられました。令和8年・9年は時限的な特例措置も加わり、給与所得者の課税最低限は178万円まで引き上げられています。ただし、以下の税額は令和8年分の源泉徴収税額表(月額表)に基づく月々の源泉徴収額であり、令和8年度改正分は月々の源泉徴収には反映されず、令和8年12月の年末調整で精算されます。そのため、最終的な年間の所得税額は、以下の月額×12の金額よりも低くなる場合があります。
月収30万円の場合
社会保険料等が控除された後の給与等が月300,000円である場合、「給与所得の源泉徴収税額表(令和8年分)」において、299,000円以上302,000円未満に該当します。そのため、扶養人数ごとに以下の金額が源泉徴収されます。
| 扶養する人数 | 源泉所得税(月) | 源泉所得税(年間) |
|---|---|---|
| 0人 | 7,930円 | 95,160円 |
| 1人 | 6,320円 | 75,840円 |
| 2人 | 4,700円 | 56,400円 |
| 3人 | 3,080円 | 36,960円 |
| 4人 | 1,470円 | 17,640円 |
| 5人 | 0円 | 0円 |
| 6人 | 0円 | 0円 |
| 7人 | 0円 | 0円 |
扶養する親族等がいない場合には、月に7,930円徴収されます。しかし、扶養親族等が1人いれば6,320円となり、その差額は1,610円です。月々では大きな金額ではありませんが、年間では19,320円の差が出てしまいます。5人以上では0円となるため、さらに大きな差となります。
上記金額は、甲欄が適用される場合です。扶養控除等申告書を提出していない場合には、甲欄ではなく高い税率の乙欄が適用されます。その場合の金額は、月間で53,600円、年間では643,200円です。
月収40万円の場合
社会保険料等が控除された後の給与等が月400,000円である場合、「給与所得の源泉徴収税額表(令和8年分)」において、398,000円以上401,000円未満に該当します。そのため、扶養人数ごとに以下の金額が源泉徴収されます。
| 扶養する人数 | 源泉所得税(月) | 源泉所得税(年間) |
|---|---|---|
| 0人 | 15,650円 | 187,800円 |
| 1人 | 12,430円 | 149,160円 |
| 2人 | 9,190円 | 110,280円 |
| 3人 | 7,130円 | 85,560円 |
| 4人 | 5,510円 | 66,120円 |
| 5人 | 3,890円 | 46,680円 |
| 6人 | 2,280円 | 27,360円 |
| 7人 | 660円 | 7,920円 |
扶養する親族がいない場合に比べて、扶養親族等が1人いれば月々3,220円、年間で38,640円の差額が生じます。月収が上がったことによって、さらに扶養人数ごとの差が大きくなっていることがわかるでしょう。なお、乙欄が適用される場合には月額88,700円、年間で1,064,400円が徴収されます。
月収50万円の場合
社会保険料等が控除された後の給与等が月500,000円である場合、「給与所得の源泉徴収税額表(令和8年分)」において、500,000円以上503,000円未満に該当します。そのため、扶養人数ごとに以下の金額が源泉徴収されます。
| 扶養する人数 | 源泉所得税(月) | 源泉所得税(年間) |
|---|---|---|
| 0人 | 28,190円 | 338,280円 |
| 1人 | 21,730円 | 260,760円 |
| 2人 | 17,520円 | 210,240円 |
| 3人 | 14,280円 | 171,360円 |
| 4人 | 11,060円 | 132,720円 |
| 5人 | 8,060円 | 96,720円 |
| 6人 | 6,440円 | 77,280円 |
| 7人 | 4,830円 | 57,960円 |
扶養親族の有無による差がさらに大きくなっています。扶養親族等が1人いれば、0人の場合に比べて、月々6,460円、年間77,520円も所得税が安くなっています。この月収における乙欄適用時の徴収額は、月額145,700円、年間で1,748,400円です。
月収60万円の場合
社会保険料等が控除された後の給与等が月600,000円である場合、「給与所得の源泉徴収税額表(令和8年分)」において、599,000円以上602,000円未満に該当します。そのため、扶養人数ごとに以下の金額が源泉徴収されます。
| 扶養する人数 | 源泉所得税(月) | 源泉所得税(年間) |
|---|---|---|
| 0人 | 45,390円 | 544,680円 |
| 1人 | 38,930円 | 467,160円 |
| 2人 | 32,470円 | 389,640円 |
| 3人 | 25,990円 | 311,880円 |
| 4人 | 19,650円 | 235,800円 |
| 5人 | 16,430円 | 197,160円 |
| 6人 | 13,190円 | 158,280円 |
| 7人 | 9,950円 | 119,400円 |
この額になると、扶養親族がいても月々の徴収額はかなり大きなものとなります。扶養親族等が0人と1人の場合の差額は月々6,460円、年間77,520円です。なお、乙欄適用時は、月々195,400円、年間2,344,800円が徴収されます。甲欄適用時と比べて極めて大きな負担となる額です。
所得税の扶養親族の年齢による違い
控除対象扶養親族となるためには、16歳以上であることが求められるなど、扶養親族は年齢が重要な要素です。配偶者控除も、控除対象配偶者が70歳以上の場合には「老人控除対象配偶者」として、通常の38万円から48万円に控除額が引き上げられます。
しかし、基礎控除や寡婦控除、ひとり親控除など、他の控除では年齢に応じた差は生じていません。年齢による差は、扶養控除や配偶者控除特有の傾向といえるでしょう。以下では、年齢が重要な要素となる扶養親族について、その年齢による違いを解説します。
一般の扶養親族(16歳以上18歳以下、23歳以上69歳以下)
控除対象扶養親族のなかでも、16歳以上18歳以下の者と23歳以上69歳以下の者を他の親族と区別して、「一般の扶養親族」と呼びます。高校生や大学卒業後の子どもなどが該当し、扶養控除額は38万円です。
特定扶養親族(19歳以上22歳以下)
「特定扶養親族」は、19歳以上22歳以下の扶養親族が該当します。大学等に通う年齢で経済的負担が大きいことから、一般の扶養親族よりも高い63万円が控除額として設定されています。大学や専門学校に通う子どもなどが対象です。
特定親族特別控除(19歳以上22歳以下・令和7年分より新設)
令和7年度税制改正により、「特定親族特別控除」が新設されました。19歳以上23歳未満の親族等で、合計所得金額が62万円を超えるために控除対象扶養親族に該当しない場合であっても、合計所得金額が123万円以下であれば、段階的な所得控除を受けることができます。控除額は最大63万円で、所得金額に応じて逓減します。
これにより、大学生年代の子どもがアルバイト等で一定の収入を得た場合でも、親の税負担が急激に増加することを防ぐ仕組みが整備されました。なお、月々の源泉徴収においては、特定親族のうち合計所得金額が100万円以下の者は「源泉控除対象親族」として扶養親族等の数に算入されます。
老人扶養親族(年齢70歳以上)
扶養親族のなかでも、年齢が70歳以上の者を「老人扶養親族」と呼びます。同居せずに扶養する両親や祖父母などが該当し、控除額は48万円です。
同居する老人扶養親族(年齢70歳以上)
老人扶養親族のなかでも、同居する両親や祖父母などの直系尊属は、「同居老親等」として、通常の老人扶養親族よりも高い58万円が控除額として設定されています。同居する両親や祖父母などが該当しますが、老人ホーム等に入居している場合には該当しません。
税制上の扶養人数の数え方
これまで解説した通り、扶養親族等の数に含めるには、一定の条件を満たすことが必要です。しかし、この人数は実際の扶養親族の人数とは異なる場合があります。税制上の扶養親族等の数え方について解説します。
扶養親族等の人数:プラス1人
扶養親族等をそのまま、「プラス1人」として数えるのは、以下のような場合です。
- 配偶者が源泉控除対象配偶者に該当する場合
- 親族が源泉控除対象親族(控除対象扶養親族または特定親族で合計所得金額100万円以下の者)に該当する場合
- 本人が「ひとり親」「寡婦」「勤労学生」に該当する場合
- 本人または配偶者、扶養親族が、税法上における一般または特別障害者に該当する場合
源泉控除対象配偶者に該当するかは、扶養控除等申告書の「源泉控除対象配偶者」欄や、基礎控除申告書の「給与所得者の基礎控除申告書」の項目で確認します。また、源泉控除対象親族に該当するかどうかは、扶養控除等申告書の「源泉控除対象親族」欄で確認可能です。
参考:
令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書|国税庁
扶養親族等の人数:プラス2人
扶養親族等をそのままの数ではなく、「プラス2人」とするのは以下の場合です。
- 本人や配偶者または生計を一にする親族が、特別障害者に該当する配偶者・扶養親族と同居する場合
特別障害者とは、重度の障害を持つ障害者であって、常時介護が必要な者等が該当します。同居特別障害者とは、特別障害者に該当する扶養親族であって、給与所得者等と同居する者を指します。また、これらの者に該当するかどうかは、扶養控除等申告書の「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄で確認可能です。
参考:令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書|国税庁
扶養の人数変更で所得税はいつから変わる
扶養する親族等の人数は、年度途中でも変化する可能性があります。年度の途中で離婚した場合や、子供が独立した場合などが該当するでしょう。扶養人数は源泉所得税の額に影響するため、人数の変更は月々の給与に対しても影響があります。
いつから扶養人数を変更すべきかについて、法律などによる特定の決まりはありません。年末調整において、金額の調整を行えばよいことになります。所得税の扶養控除の対象とするためには、その年の12月末日時点において、扶養に含まれる者であることが必要です。年末調整のタイミングで扶養人数の変更を反映できていれば、その年における扶養控除の計算に反映が可能なためです。
ただし、扶養人数の減少があった場合、月々の源泉所得税額を低額のままにしておくと、年末調整において給与から大きな金額を差し引く必要があります。扶養人数が変更されることが確実な場合は、できる限り早い時点で源泉所得税額に反映させておいたほうがよいでしょう。
扶養の人数変更にはマネーフォワード クラウド給与で対応
扶養人数の変更は、給与計算に大きな影響を与えます。給与は従業員の生活に直結する非常に重要な労働条件であり、その額に誤りなどがあってはなりません。誤りなどがあれば、従業員の業務に対するモチベーションが低下し、最悪の場合には離職を選択してしまう場合もあります。しかし、扶養人数の計算や扶養の対象となる条件を把握するのは難しく、知識や経験がなければ、なかなか上手く管理できないでしょう。そのような場合には、クラウド型の給与計算ソフトの導入がおすすめです。
「マネーフォワード クラウド給与」は、子どもの年齢を考慮し、自動で源泉所得税の額を計算する便利な機能を備えています。子どもの生年月日を登録しておけば、扶養の対象となるかどうかの判断はソフト側が自動で行います。令和7年度・令和8年度税制改正に伴う基礎控除の引き上げや特定親族特別控除の新設にも対応しており、扶養の人数変更に悩んでいる方は、ぜひ「マネーフォワード クラウド給与」の導入をご検討ください。
参考:無料で試せる給与計算ソフト – マネーフォワード クラウド給与|マネーフォワード クラウド給与
扶養人数の影響を理解して正しく給与計算しよう
扶養人数は、源泉所得税の計算に大きな影響を与える要素であり、正確に把握しなければなりません。しかし、扶養の条件や人数の数え方などは、正確な知識がなければ難しいものです。特に、令和7年度・令和8年度税制改正では、基礎控除や給与所得控除の引き上げ、特定親族特別控除の新設など大きな変更がありました。当記事の解説を参考に、扶養についての理解を深めるとともに、効率化を図れる給与計算ソフトの導入も併せてご検討ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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