- 更新日 : 2026年9月15日
所得税の計算方法とは?源泉徴収の仕組みから納付手続きまで徹底解説
所得税は、収入から給与所得控除・所得控除を差し引いた課税所得に超過累進税率を掛けて算出します。
- 計算は5ステップで順に適用する
- 税率は5〜45%の超過累進構造
- 源泉税は社会保険料等控除後の給与等の金額、扶養親族等の数、甲欄・乙欄の区分などを源泉徴収税額表に当てはめて算定する
Q. 毎月の給与から引かれる所得税はどう計算する?
A. 総支給額から非課税手当と社会保険料を引いた課税対象額と扶養人数を、国税庁の源泉徴収税額表に照らして税額を求めます。
所得税の計算方法は、収入から給与所得控除や各種控除を差し引いた課税所得に、超過累進税率を掛けて算出するのが基本です。本記事では所得税額の算出手順に加え、毎月の給与から引かれる源泉所得税の計算方法や、賞与にかかる税額の求め方、納付書の書き方までを整理して解説します。
所得税の計算方法とは?
所得税は、受け取った収入全額ではなく、収入から給与所得控除(会社員の経費に相当する控除)と所得控除を差し引いた課税所得金額に税率を掛けて算出します。国税庁が公表する計算構造に基づくと、算出プロセスは次の5ステップに分解できます。
- 収入金額-給与所得控除=給与所得金額
- 給与所得金額-所得控除=課税所得金額
- 課税所得金額×税率-控除額=算出所得税額
- 算出所得税額-税額控除(住宅ローン控除等)=基準所得税額
- 基準所得税額+復興特別所得税=所得税及び復興特別所得税の額
以下、各ステップで「非課税所得」や「各種控除」がどのように関わるかを順番に見ていきます。
ステップ1:給与所得金額の計算(収入-給与所得控除等)
給与所得金額は、収入から非課税手当と給与所得控除を除いて算出します。通勤手当の非課税限度額以下の部分や、傷病手当金、育児休業給付金などは課税対象に含まれません。
給与所得控除額は年収に応じて段階的に決まります。令和7年分以降の速算表は以下のとおりです。
| 給与等の収入金額(年収) | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 190万円以下 | 74万円(※) |
| 190万円超 360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
| 360万円超 660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
| 660万円超 850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
※令和8年度税制改正により最低保障額が65万円から69万円に引き上げられ、令和8年分・令和9年分は時限特例により190万円以下の控除額が74万円となります。この引き上げ分は月次の源泉徴収には反映されず、月次適用は令和9年1月以降です。
ステップ2:課税所得金額の計算(所得-所得控除)
課税所得金額は、給与所得金額から基礎控除や扶養控除など個人の状況に応じた所得控除を差し引いて求めます。所得控除は合計16種類あり、独身か扶養家族がいるかなど個々の負担能力の違いを調整する役割を持ちます。
基礎控除は令和8年分・令和9年分は最大104万円(令和10年分以降は最大99万円)、ひとり親控除は35万円(令和9年分以降は38万円)となっており、控除額は年分ごとに異なる点に注意が必要です。
ステップ3:算出所得税額の計算(課税所得×税率)
日本の所得税は所得が高いほど税率が上がる超過累進税率を採用しており、課税所得金額に応じて次の税率と控除額が適用されます。
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 194万9千円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円から329万9千円以下 | 10% | 9万7,500円 |
| 330万円から694万9千円以下 | 20% | 42万7,500円 |
| 695万円から899万9千円以下 | 23% | 63万6,000円 |
| 900万円から1,799万9千円以下 | 33% | 153万6,000円 |
| 1,800万円から3,999万9千円以下 | 40% | 279万6,000円 |
| 4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
ステップ4:税額控除の適用
算出所得税額からさらに直接差し引けるのが税額控除で、所得控除よりも最終的な納税額へのインパクトが大きくなることがあります。代表例は認定NPO等への寄附に使える寄附金特別控除や、住宅の新築・増築時に適用される住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)です。会社員は住宅ローン控除を2年目以降、年末調整で適用できます。
ステップ5:復興特別所得税の加算と源泉徴収控除前の最終納付額の算定
令和8年分(2026年分)までは、基準所得税額に復興特別所得税として2.1%を上乗せします。令和9年分(2027年分)以降は、復興特別所得税率を1.1%に引き下げつつ課税期間を令和29年(2047年)まで延長し、新たに防衛特別所得税(仮称)1%を創設する方針が令和8年度税制改正大綱に示されており、付加税率の合計は引き続き2.1%となる見込みです。
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そもそも所得税とは?
所得税とは、個人の1年間(1月1日から12月31日)の所得に対して課される国税です。似た用語である源泉所得税と混同しやすいため、両者の違いを整理します。
所得税と源泉所得税の違い
源泉所得税は毎月概算で天引きされる前払いの税金であり、確定した年税額そのものを指す所得税とは性質が異なります。会社員の給与から毎月差し引かれるのが源泉所得税、1年間の収入が確定した後に決まる正確な税額が所得税(年税額)です。この前払いと確定額のズレを調整するのが年末調整や確定申告の役割です。
所得税が課税される年収・所得のライン
所得税は収入が一定額を超えた場合にのみ発生し、働き方によって課税ラインが異なります。会社員・パート・アルバイトの場合、基礎控除(最大104万円)と給与所得控除の最低保障額 (最大74万円)の合計である年収178万円までは原則として課税されません。個人事業主の場合は、事業収入から必要経費や青色申告特別控除を差し引いて事業所得を計算し、さらに基礎控除などの所得控除を差し引いた後に課税所得が残る場合、所得税が発生します。
毎月の給与から引かれる源泉所得税の計算方法は?
毎月の源泉所得税は、国税庁が発行する源泉徴収税額表を用いて、課税対象額と扶養親族の数から算出します。会社が従業員に代わって概算の税額を天引きし、国に納付する仕組みです。
STEP1:使用する税額表を選ぶ
給与の支払い形態に応じて、月額表・日額表・賞与表の3種類から適切な表を選びます。
| 種類 | 対象となる支払い |
|---|---|
| 月額表 | 月払い、半月払い、10日ごとの給与など。一般的な会社員はこれを使用 |
| 日額表 | 日雇い、短期バイト(2ヶ月以内)、日割りで支払う給与 |
| 賞与表 | ボーナス(賞与)を支払う時専用の表 |
STEP2:課税対象額と税額を特定する
その月の課税対象額は、総支給額から非課税手当と社会保険料を差し引いて求め、この金額と扶養親族の数を源泉徴収税額表に照らして税額を特定します。
その月の課税対象額=総支給額-非課税手当-社会保険料
算出した課税対象額の行と、扶養親族の数の列が交差する箇所の金額が、その月の源泉徴収税額です。
甲欄と乙欄の違い
扶養控除等申告書を提出している勤務先では原則として甲欄、提出していない勤務先では乙欄を使用します。。甲欄は本業として申告書を提出している人向けで税額が低く年末調整の対象となり、乙欄は副業・2か所目の給与などで申告書を提出していない人向けで税額が高く確定申告が必要になります。
賞与(ボーナス)にかかる所得税の計算方法は?
賞与の所得税は、賞与額そのものではなく賞与支給の前月に支払われた給与額を基準にして税率(算出率)が決まる点が最大のポイントです。
賞与の税額を求める3つの手順
賞与にかかる所得税は次の3ステップで計算します。
- 賞与を支払う月の前月給与から、社会保険料等を差し引いた課税対象額を確認する
- 前月の給与額と扶養親族の数を国税庁の算出率表に照らして税率を決定する
- 賞与総額から社会保険料を引いた額に、決定した税率を掛ける
賞与の所得税額=(賞与総額-社会保険料)×算出率
賞与に対する税率の決め方(算出率の表)
賞与の税率は、前月給与の金額と扶養人数が交差する数字によって決まります。前月給与が変動すると同じ賞与額でも税率が変わる点に注意が必要です。
源泉所得税はいつまでに、どうやって納める?
源泉徴収した所得税は従業員からの預かり金であり、原則として給与等を支払った月の翌月10日までに所轄の税務署へ納付する必要があります。
納付期限の原則と特例
原則は翌月10日までの毎月納付ですが、従業員が常時10人未満の事業所は事前申請により納期の特例を利用できます。
| 区分 | 納付期限 |
|---|---|
| 原則 | 給与支払月の翌月10日まで(例:12月25日支給分は1月10日が期限) |
| 納期の特例(1月~6月分) | 7月10日まで |
| 納期の特例(7月~12月分) | 翌年1月20日まで |
納付方法はe-Taxか窓口
現在はスマートフォンやパソコンから手続きできるキャッシュレス納付(e-Tax)が推奨されています。e-Taxではインターネットバンキングやダイレクト納付を利用でき納付書作成の手間が省ける一方、窓口納付では金融機関または所轄の税務署の窓口で納付書を添えて現金で支払います。
所得税徴収高計算書(納付書)の記入方法は?
所得税徴収高計算書は、給与だけでなく税理士や弁護士への報酬など源泉徴収が必要な支払いを納付する際にも使用する納付書です。管轄の税務署から送付されるほか、国税庁のウェブサイトからもダウンロードできます。
様式の種類(一般分と納期特例分)
様式は毎月納付する一般分と、半年に1回まとめて納付する納期特例分の2種類があり、自社の納付形態に合った様式を選ぶ必要があります。
各項目の記入ルール
記入の際に間違えやすいのが「年度」の考え方で、国の会計年度(4月1日から翌年3月31日)に基づいて記載します。たとえば令和8年(2026年)2月に支給した給与は3月までが前年度扱いとなるため「07(令和7年度)」と記入します。支払年月日は給与計算の締め日ではなく実際に従業員へ支払った日を記載し、納期特例分の場合は期間内の最初と最後の支払日を両方記入します。税務署名は事業所の住所を管轄する税務署名を、人員は給与を支払った実人数(納期特例分は延べ人数)を記入します。
参考:納付書の記載のしかた(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書)|国税庁
源泉徴収した所得税はどうやって精算する?
毎月天引きされる源泉所得税はあくまで概算であり、1年間の給与が確定した時点で正確な税額に精算し直す必要があります。
年末調整で完了するケース
一般的な会社員は、会社が年間の税額を再計算し12月の給与等で過不足を精算する年末調整によって手続きが完結します。生命保険料控除や地震保険料控除は、このタイミングで申告することで適用されます。
確定申告が必要・有利になるケース
給与収入が2,000万円を超える人や副業所得が20万円を超える人、1か所から給与を受けていて給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超える人などは、原則として確定申告の義務があります。また、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例未利用時)、住宅ローン控除の初年度適用など、申告することで還付を受けられるケースもあります。
所得税の計算方法を正しく理解して実務に活かそう
所得税の計算方法は、給与所得控除や所得控除、超過累進税率、税額控除といった複数の要素を順番に適用して求める仕組みです。源泉徴収の計算では扶養人数や甲欄・乙欄の区分によって税額が変わるため、国税庁の最新の源泉徴収税額表を確認しながら実務を行うことが重要です。定額減税のように年度途中でルールが変わることもあるため、最新情報を継続的にチェックしましょう。
よくある質問
所得税はどのように計算しますか
実際の収入から非課税の手当や給与所得控除、さらに各種所得控除を差し引き課税所得金額を算出し、金額に応じた税率を乗じて所得税額を計算します。税額控除がある場合は所得税額から直接差し引くことが可能です。詳しくはこちらをご覧ください。
所得税の所得控除とはなんですか
所得税額を計算する際、所得金額から差し引くことのできる控除です。全部で15種類あり、扶養控除、配偶者控除、ひとり親控除、社会保険料控除など条件に合致する場合に控除できます。詳しくはこちらをご覧ください。
源泉徴収税額表とはなんですか
給与などの支払から源泉徴収をする際、源泉所得税および復興特別所得税を踏まえた税額が簡単に計算できる早見表のことです。月額・日割り・賞与と給与の種類によって使用する表が決められています。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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