• 作成日 : 2022年4月22日

所得税の計算方法とは?源泉所得税や月額表の見方についても解説

所得税の計算方法とは?源泉所得税や月額表の見方についても解説

所得税は、個人の収入にかかる税金です。給与などの源泉徴収で天引きされて給与の支払者である雇用主を通じて国に納める方法のほかに、確定申告により個人で納付する方法があります。ここでは所得税の計算方法について、所得控除税額控除の説明をはさみながら解説し、あわせて源泉徴収の際の源泉所得税の算出方法についても解説します。

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所得税の計算方法と流れ

所得税は、個人の収入に対してかかる税金です。会社勤めの場合は、会社から支給される給与所得のほか、賃貸収入などの不動産所得、株式などの配当所得も所得税の対象になります。

ただし、収入の全額に所得税が課税されるわけではありません。所得税を計算するには、収入から非課税の手当や各種所得控除を差し引き、課税される所得税額を算出したのちに、税額控除などを踏まえ最終的な納税額を確定させます。

所得の種類や各種控除についてくわしく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

以下は、国税庁が公開している所得税の計算の流れです。

所得税及び復興特別所得税のしくみ

引用:所得税及び復興特別所得税のしくみ|国税庁

ここからは、上記図の流れに沿って、具体的な計算方法を以下に解説します。

所得の計算

まずはじめに、収入金額から「所得金額」を割り出します。個人が手にする収入のなかには、非課税に分類されるものがあります。これらを非課税所得とよび、非課税所得は、所得税の計算の際に、収入金額から差し引くことが認められています。

たとえば、会社員の給与所得のなかでは、一定額以下の通勤手当や、出張手当等は非課税所得に該当します。

【非課税の手当の例】

(1) 通勤手当のうち、一定金額以下のもの
(2) 転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの
(3) 宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの

引用:No.2508 給与所得となるもの|国税庁

病気療養中に受給する「傷病手当金」や、育児休業中の「育児休業給付金」なども、所得税のかかる収入にはあてはまりません。

そのほか、財形貯蓄やNISAなどのように非課税となる利子や配当、遺族年金や障害年金などのように非課税となる公的年金があります。

また、遺族年金や障害年金以外の雑所得の対象となる公的な年金でも公的年金等控除額が定められていますので、規定を確認しながら、収入から非課税となる収入や所得控除額を差し引き、所得金額を確定させましょう。

参考:No.2011 課税される所得と非課税所得|国税庁

そして非課税所得とおなじく、この段階で収入から差し引くことができるのが「給与所得控除」もしくは「経費」です。給与所得控除は、会社員やアルバイトなどの給与支給を受けている人に適用される控除で、収入額によって控除される額が決まっています。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円まで550,000円
1,625,001円から、1,800,000円まで収入金額 × 40% - 100,000円
1,800,001円から、3,600,000円まで収入金額 × 30% + 80,000円
3,600,001円から、6,600,000円まで収入金額 × 20% + 440,000円
6,600,001円から、8,500,000円まで収入金額 × 10% + 1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)

引用:No.1410 給与所得控除|国税庁

一方、個人事業主にはこの給与所得控除がありません。代わりに、事業を行うにあたってかかった光熱費や郵送代、備品台といった「経費」を収入から差し引くことができます。

課税所得金額の計算

所得金額を算出したあと、そこから各種所得控除を差し引き、課税所得金額を計算します。ここでいう各種所得控除には、基礎控除扶養控除配偶者控除など、合計15種類の控除があります。

収入が同じでも、扶養する家族がいるかいないか、ひとり親であるかどうかなど、個人の状況によって税を負担できる能力が人によって異なります。そうした状況を鑑みて設定されているのが所得控除です。

たとえば、所得が2500万円以下の人が対象となる基礎控除は最大で48万円です。もしひとり親で扶養する家族がいる場合は、そこからさらに35万円が控除されるので、最終的に支払う所得税を低く抑えることができるようになります。

各種控除について詳しく知りたい方はこちら

基準所得税額の計算

課税所得金額を算出したのち、金額に応じた税率をかけて所得税額を計算します。しかし、所得税の計算はこれで終わりではないので注意しましょう。

課税される所得金額税率控除額
1000円から1,949,000円まで5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

引用:No.2260 所得税の税率|国税庁

所得税額からさらに差し引くことのできる控除があり、これを税額控除と呼びます。税額控除は、所得控除とは異なり、所得税額から直接差し引くことができるため、最終的に所得税の金額に大きなインパクトを与えます。

税額控除と認められるものにはいくつかの種類がありますが、代表的なものは、寄付をした場合と住宅の新築や増築をした場合に利用できる控除です。

寄付金は、認定NPOや公益団体に対して寄付を行った場合に、所得控除である寄付金控除を受ける場合を除き、税額控除を申告できます。寄付金が所得控除と税額控除の両方の対象になる場合には、有利な方を選択しましょう。

また、住宅の新築や増築の際に申請できる税額控除は住宅借入金等特別控除といい、住宅ローン控除としても知られています。住宅ローン控除は、会社員の場合、1年目は確定申告をする必要がありますが、2年目からは年末調整の対象になります。

参考:No.1200 税額控除|国税庁

復興特別所得税額の計算

復興特別所得税とは、2013年1月1日から2037年12月31日までに生じる所得について、特別に課せられる税金です。復興特別徴収税を算出するには、基準所得税額に2.1%をかけて計算します。たとえば、通常の所得税率が10%の個人の場合、10.21%をかけたものが最終的に源泉徴収される税額となります。

納付税額の計算

ここまでで所得税額および復興特別所得税額をあわせた納税額が算出されました。所得税の場合、会社員であれば源泉徴収で、個人事業主の場合は予定納税で所得税を先払いしている分があります。納付税額の計算では、これらのすでに納めた税額を差し引き、最終的に納付する税額を計算します。

個人事業主で予定納税を行うのは「その年の5月15日において、前年の所得税額をもとにして計算した予定している所得税額が15万円以上になる」場合です。所得税を確定申告時に一括して支払うのではなく、第1期と第2期に分けて先に納税し、過不足を確定申告時に清算する流れとなっています。

この際、会社員であっても個人事業主であっても、最終的な納付税額で所得税が過払いとなれば税金の還付を受けられます。

参考:No.2040 予定納税|国税庁

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所得税の源泉徴収とは

これまで所得税の計算方法について解説してきました。所得税とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得に対してかかる税金です。個人事業主にも予定納税があるように、一括して1年間の所得税を支払うと大きな負担となります。

そこで会社員の給与や特定の支払報酬に対しては、源泉徴収という形で所得税が天引きされ、納税者に代わり企業などの給与支払者が国に納付する形式が採用されています。ここで納める所得税を源泉所得税と呼びます。

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給与計算における源泉所得税額の計算方法

給与計算で源泉所得税を計算する場合、月ごとの源泉徴収税額が簡単に計算できる早見表となっている国税庁の源泉徴収税額表を使用します。ここでは、給与の源泉所得税の計算方法についてみていきましょう。

源泉徴収税額表の種類と対象

源泉徴収税額表には、「月額」「日額」「賞与」の3種類があります。それぞれ、給与の支払い形態に合わせて参照する税額表を分けています。源泉徴収税額表は必ずその年の最新のものを利用しましょう。

  • 月額表:月、半月、10日ごとに支払うものや月の整数倍の期間ごとに支払うもの
  • 日額表:日雇賃金、(日雇賃金を除く)毎日支払うもの、週ごとに支払うもの、日割で支払うもの
  • 賞与表:ボーナスなどの賞与

参考:令和4年分 源泉徴収税額表|国税庁

源泉徴収額月額表の見方

源泉徴収額月額表の見方について、以下に解説します。

まず、給与から健康保険料、雇用保険料、社会保険料、介護保険料を差し引きます。その算出した金額をもとに、「甲」「乙」の欄に応じた源泉所得税額を確認します。ここでは、給与に通勤手当などの非課税となる所得を含めないように注意しましょう。

甲欄とは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した従業員です。扶養控除申告書という名称ですが、扶養家族がいない場合も提出する書類ですので、扶養家族が0人の従業員の場合は「0人」の欄を参照します。

乙欄は、給与支払を2か所から受けているなどし、なんらかの理由で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない従業員の場合に使用します。

給与所得の源泉徴収税額表

引用:給与所得の源泉徴収税額表(令和4年分)

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賞与における源泉所得税額の計算方法

賞与とは、月々支払う給与とは別に支給されるものを指します。こうした賞与にかかる所得税額の計算方法では、まずは「賞与支給の前月に支払われた給与」が基準となります。

はじめに、賞与支給の前月に支払われた給与から非課税所得と社会保険料等を差し引きます。そこで算出された金額を、以下の源泉徴収税額表と照らし合わせます。扶養人数と給与から社会保険料等を差し引いた金額が重なる部分の、左側にある「賞与の金額に乗ずべき率」が、賞与にかかる所得税率です。

賞与の源泉所得税額は、この「賞与の金額に乗ずべき率」を、賞与から社会保険料を控除した金額にかけて算出します。

賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表

引用:賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和4年分)|国税庁

源泉所得税の納付方法

源泉所得税は、原則として給与の支払等が発生した翌月の10日までに、所轄の税務署に納付します。納付方法は、e-Taxによる電子納付、金融機関や税務署での窓口での納付を選択できます。

納付の際は、所得税徴収高計算書が必要です。以下では、所得税徴収高計算書の記入方法について見ていきましょう。

所得税徴収高計算書の記入方法

所得税徴収高計算書は管轄の税務署から送られてきます。国税庁のサイトでも様式が公開されていますので、記入方法がわからない場合にはここにある「記入のしかた」を参考にするのがよいでしょう。この計算書は、従業員に支払う給与の源泉所得税のほか、弁護士や税理士などの報酬にかかる源泉徴収税の納付の際にも利用可能です。

所得税徴収高計算書の様式は、一般分と納期特例分の2種類があることにも注意してください。以下は、一般分の様式の記載例をもとにしながら、ポイントを解説します。

給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般用)の様式及び記載要領

引用:給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般用)の様式及び記載要領|国税庁

  • 年度:記載する年は、年度で考えます。たとえば、令和5年2月に支給した給与は「令和4年度」になりますので、「04」と記入します。
  • 支払年月日:支払年月日は、年度ではなく実際の支払年月日を記入します。納期特例分の場合は、納期特例の期間の最初の支払年月日と最後の支払い年月日を記入しましょう。
  • 税務署名:所轄の税務署名を記載します。
  • 人員:正社員やアルバイトなど、給与の支払いをした実際の人数を記入。通常であれば所得税徴収高計算書は毎月作成しますが、納付の特例を受けている場合、所得税は年に2回の納付となります。その場合は、期間中に給与支払をした延べ人数をカウントしましょう。
  • 修正について:所得税徴収高計算書は、書き損じの修正が認められません。万が一間違えて記入した場合は、新しい様式に記入します。

参考:納付書の記載のしかた(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書)|国税庁

要点を抑えて所得税の計算を行おう

所得税の計算にあたっては、給与所得控除や各種控除など、法律に定められた規定を理解することが重要です。とくに、所得控除は従業員個人ごとに適用される控除が異なります。配偶者や扶養家族の有無など、最新の状態を正しく確認した上で計算しましょう。

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よくある質問

所得税はどのように計算しますか

実際の収入から非課税の手当や給与所得控除、さらに各種所得控除を差し引き課税所得金額を算出し、金額に応じた税率を乗じて所得税額を計算します。税額控除がある場合は所得税額から直接差し引くことが可能です。詳しくはこちらをご覧ください。

所得税の所得控除とはなんですか

所得税額を計算する際、所得金額から差し引くことのできる控除です。全部で15種類あり、扶養控除、配偶者控除、ひとり親控除、社会保険料控除など条件に合致する場合に控除できます。詳しくはこちらをご覧ください。

源泉徴収税額表とはなんですか

給与などの支払から源泉徴収をする際、源泉所得税および復興特別所得税を踏まえた税額が簡単に計算できる早見表のことです。月額・日割り・賞与と給与の種類によって使用する表が決められています。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加治 直樹(経営労務コンサルタント)

銀行に20年以上勤務し、融資融資から資産運用、年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタント。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は行政で企業及び労働者の労働相談業務を行いながら、セミナー講師など幅広く活動中。

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