• 作成日 : 2022年4月15日

税務署への源泉徴収票の提出対象は?各種手続も解説!

税務署への源泉徴収票の提出対象は?各種手続も解説!

年末調整では、指定された期限までに所定の法定調書を税務署に提出する必要があります。給与所得源泉徴収票もそのひとつですが、提出する対象となるのはすべてではなく、給与等の金額で異なります。

今回は、税務署に提出する源泉徴収票について、退職者についてはどうするのか、郵送できるのか、提出しないとどうなるのかなど、様々な疑問にお答えしていきます。

税務署への源泉徴収票について提出が必要な対象

給与所得の源泉徴収票自体は、給与等を支払ったすべての人について作成し、交付しなければなりません。

しかし、税務署に提出が必要なものは、支払金額が一定金額を超える場合に限られ、年末調整したものか否かによっても違ってきます。

給与の支払金額が一定以上の場合

税務署に提出しなければならない給与所得の源泉徴収票は、年末調整したものについては、次の人が提出対象となっています。

  1. 法人の役員については、その年中の給与等の支払金額が150万円を超える人。役員には、相談役、顧問そのほかこれらに類する場合のほか、現に役員をしていなくても、その年中に役員であった場合も含みます。
  2. 弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士等については、その年中の給与等の支払金額が250万円を超える人。ただし、給与等として支払うのではなく、報酬として支払う場合には、「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」を提出することとなります。
  3. 上記の2つ以外の人については、その年中の給与等の支払金額が500万円を超える人

何らかの理由で年末調整をしなかった場合

一方、年末調整をしなかったものについては、給与等の支払金額の線引きが異なります。

  1. 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出したものの、その年中に退職した場合や、災害により被害を受けたため給与所得に対する所得税および復興特別所得税の源泉徴収の猶予を受けた場合については、その年中の給与等の支払金額が250万円を超える人。ただし、法人の役員については、50万円を超える人が対象となります。
  2. 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した場合で、その年中の主たる給与等の金額が2,000万円を超えるため、年末調整をしなかった人
  3. 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しなかった場合については、その年中の給与等の支払金額が50万円を超える人

3には、給与所得の源泉徴収税額表の月額表、または日額表の乙欄、または丙欄の適用者が該当します。

なお、その年の途中で入社した従業員で「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出があったものの、前職の源泉徴収票がなく、給与等の金額がわからないような場合も年末調整はできません。したがって、転職後の給与等の支払金額が250万円を超える場合には、「給与所得の源泉徴収票」を税務署に提出する必要があります。

税務署への源泉徴収票提出における注意点

次に給与所得の源泉徴収票を提出する際の注意事項についてみていきましょう。ここでは、退職者の場合の扱いと、源泉徴収票の提出方法について説明していきます。

退職者の源泉徴収票はどうなる?提出が必要?

会社は退職した年の1月から退職日までの支払いの確定した給与についての源泉徴収票を退職日年度の途中で退職した社員に対しては、原則として年末調整は行いません。12月末時点で給与の支払いを受けない人、つまり年末調整の対象者になっていない人については、本人が確定申告を行うことになります。

確定申告書の作成に源泉徴収票が必要となるため、から1ヵ月以内に本人に交付します。月の途中で退職した従業員に日割りで支払う場合の源泉徴収額は、源泉徴収税額表の日額表を利用して求めます。

また、退職金制度がある会社では、退職時に一時金あるいは年金として退職金を支給することになります。その際、会社がすでに所得税等を源泉徴収しており、本人に「退職所得の受給に関する申告書」を提出させていれば、退職所得控除が適用され、退職時に適切な税率で源泉徴収がなされています。

なお、退職所得は分離課税であるため、その時点で課税関係は完結します。特に本人が税務関係ですることはありません。ただし、「退職所得の受給に関する申告書」の提出がなかった場合は、本人が確定申告を行うことで税金が還付されることがあります。

また、本人に不動産所得や事業所得があり、会社から支払われた給与と退職金との損益通算で赤字の場合などが考えられます。退職金を一時金ではなく、年金として受取る場合は、雑所得の公的年金等の扱いとなり、確定申告をすることで還付されるでしょう。

いずれにしても、退職金を支払ったすべての人について会社は「退職所得の源泉徴収票」を作成し、交付しなければなりません。「退職所得の源泉徴収票」は、従業員交付用と税務署提出用だけでなく、市町村に提出するための「特別徴収票」を兼ねています。

源泉徴収票の提出方法は?郵送でも大丈夫?

源泉徴収票については、作成するのは税務署提出用が1枚、本人交付用が1枚となります。税務署に提出が必要な従業員については、これ以外に市町村提出用を2枚作成する必要があります。市町村に提出するものは、源泉徴収票と記載項目は同じですが、名称は「給与支払報告書」となっています。

年末調整では、源泉徴収票等の法定調書を税務署に提出しますが、その際、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計票」も一緒に提出することになります。法定調書合計表とは、年末調整で確定した1年間の支払額や税額を全体としてまとめて報告するものです。

郵送で送付することはできますが、納税関係の書類をはじめとした各種申告書は信書に当たることから、ゆうパック、ゆうメール、ゆうパケットは利用できないことに注意しましょう。レターパック(レターパックプラス、レターパックライト)での送付は可能です。

年末調整に関するものは重要な書類のため、普通郵便ではなく、追跡システムが利用できる特定記録郵便、簡易書留、レターパックで送付することをおすすめします。

また、郵送以外にも、e-Taxによる提出が認められています。詳しくは、以下のサイトを参照してください。

参考:国税庁「e-Tax国税電子申告・納税システム」

なお、源泉徴収票は、所轄税務署以外にも提出が必要になります。名称は前述のように「給与支払報告書」ですが、記載内容は源泉徴収票と同じです。

税務署への源泉徴収票の提出期限

「給与所得の源泉徴収票」は、いつまでに所轄税務署に提出すればよいのでしょうか。

ほかの法定調書と給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表とともに、支払いの確定した年の翌年の1月31日までに提出しなければなりません。

ちなみに市町村に提出する「給与支払報告書」は、その年中に給与等の支給を受けているすべての従業員のものを翌年度の1月1日現在に居住している市町村に対し、1月31日までに提出します。

なお、税務手続に関する書類の提出日は、原則として“到達主義”をとっており、税務官庁に書類が到達した日となります。ただし、例外として納税申告書および添付書類や関連して提出する書類は、“発信主義”を採用しています。

つまり、郵便や信書便により提出された場合、その通信日付印により表示された日が提出日とみなされるため、当日消印は有効です。

とはいえ、〆切ギリギリに提出するのではなく、少しでも余裕を持って提出することを心掛けましょう。

税務署への源泉徴収票を忘れてしまったら?

従業員の人数が多い場合、源泉徴収票に提出漏れが生じるケースもあるかもしれません。こうした場合はどうすればよいのでしょうか。

源泉徴収票に限らず、法定調書に提出漏れがあったときは、追加提出分として改めて作成することになります。併せて「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」も提出します。

その際、合計表については、「調書の提出区分」欄に記入する数字を「2」(追加=2)とします。そのうえで、「1 給与所得の源泉徴収票合計表」欄について、追加分の人員数、支払金額等を訂正します。
給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
参考:国税庁「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」

税務署に提出する源泉徴収票について理解しておこう!

年末調整の際の法定調書のひとつである源泉徴収票について、特に税務署に提出するうえでのポイントを解説してきました。すべての源泉徴収票が提出対象ではないことや、記載内容、退職者の扱いのほか、注意すべき点は少なくありません。

税務に関する重要な書類であり、提出期限等、厳格に処理することが不可欠ですが、万が一、提出漏れがあった場合も慌てずにルールにしたがって対処することが大切です。

よくある質問

税務署への源泉徴収票の提出が必要な対象について教えてください。

年末調整したものについては給与の支払いが一定の金額を超える人が対象です。詳しくはこちらをご覧ください。

源泉徴収票の提出について注意点があれば教えてください。

郵送での送付が可能ですが、ゆうパック、ゆうメール、ゆうパケットは利用できません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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