• 作成日 : 2023年1月27日

派遣スタッフは社会保険に加入できる?条件や手続きについて解説!

社会保険は病気・ケガ・労働災害・失業・高齢化などの誰にでも発生しうるリスクに対して、社会全体で備えることを目的に運用されている制度です。派遣スタッフであっても加入条件を満たせば社会保険には加入しなければなりません。

そこでこの記事では社会保険の概要や加入条件、必要な手続きなどについて詳しく解説します。

派遣スタッフも加入できる社会保険

派遣スタッフでも条件を満たせば社会保険に加入できます。社会保険とは、雇用保険・年金保険・健康保険・介護保険・労働災害補償保険の総称です。日々の生活で起こるさまざまなリスクに備えるために加入者が保険料を出し合い、皆が安心して暮らせる社会を構築する仕組みです。

雇用保険

雇用保険とは、労働者が失業して所得がなくなった際に、生活の安定や再就職促進を図るために失業給付などを支給する公的保険を指します。フルタイムかそれに近い時間を働いて収入を得ている方の場合、失業による金銭的なダメージは軽視できません。同様に失業期間中の就職活動にも生活費から交通費までさまざまな費用が必要です。そうした労働者の負担を軽減するために雇用保険が設けられているのです。

参考:雇用保険制度の概要|ハローワークインターネットサービス

年金保険

年金保険とは、基本的に日本国内に住む20歳から60歳のすべての方が保険料を納め、その保険料を高齢者などへ年金として給付する制度です。日本の年金制度は20歳以上のすべての方が共通して加入する国民年金と、会社員などが加入する厚生年金による2階建てと呼ばれる構造が採用されています。会社に勤めていて、厚生年金に加入している派遣スタッフなどは、毎月定率の保険料を会社と折半で負担して保険料は毎月の給料から天引きされます。

参考:年金制度の仕組みと考え方|厚生労働省

健康保険

健康保険とは、病気やケガなどをした場合の経済的な負担を軽減するための、公的な医療保険制度のひとつです。病気やケガをすると思わぬ出費が必要となり、場合によっては収入が途絶えて生活が不安定になりかねません。そうした事態に対応するため、日本では健康保険が整備されています。日頃から健康保険の加入者が保険料を支払って、それを財源に必要な時に必要としている方が保険給付を受けられる仕組みで運用されているのです。

参考:国民健康保険制度|厚生労働省

介護保険

介護保険とは、社会全体で介護を支えるために創設された公的保険です。被保険者が保険料を納めて、介護が必要と認定された際から介護サービスを利用できます。介護保険の被保険者は40歳以上の方で、年齢によって第1号被保険者と第2号被保険者に分類されます。65歳以上の第1号被保険者の方は、原因を問わずに要支援や要介護状態になった場合に介護サービスを受けることが可能です。一方、40歳以上65歳未満の第2号被保険者の方は末期がんなどの特定疾病により、介護が必要になった際に介護保険の給付が適用されます。

参考:介護保険制度の概要|厚生労働省

労働災害補償保険

労働災害補償保険とは、労働者の業務上や通勤による傷病などに対して必要な保険給付を行い、被災労働者の社会復帰を促進するための制度です。例えば、労働災害によるケガや病気による治療のための費用や休業時の補償がされます。ほかにも、高度障害が残ってしまった場合の障害補償なども備わっています。労働災害補償保険は労働者を1人でも雇用している事業者は、必ず加入しなければなりません。保険料に関しても100%を事業者が負担します。

参考:労災補償|厚生労働省

派遣スタッフが社会保険に加入できる条件

社会保険は正社員・契約社員・アルバイト・派遣スタッフなどの雇用形態に関係なく、以下の加入条件を満たせば被保険者になる制度です。

健康保険と厚生年金保険の場合

まず、常用雇用者の方と以下の条件を満たす方が加入対象です。

  • 1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が通常労働者の3/4以上
  • 2ヶ月を超える雇用が見込まれる

次に、短時間労働者の場合には以下のすべての条件を満たせば加入対象となります。ただし、2022年10月からは労働者数101人以上の会社、もしくは労使合意がある会社に限定されます。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 1年以上の雇用が見込まれる
  • 賃金の月額が88,000円以上
  • 昼間学生ではない

介護保険の場合

40歳になると加入されます。介護保険の適用条件は健康保険と厚生年金保険の場合と同様です。

雇用保険の場合

1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用が見込まれる場合に加入できます。

労働災害補償保険の場合

労働者を1人でも雇用する場合は、労働災害補償保険の加入が義務付けられているとお伝えしました。従って、就業した時点で自動的に被保険者資格を得ることになります。

参考:社会保険適法ガイドブック|厚生労働省
参考:雇用保険の適用範囲が拡大されました!|厚生労働省

派遣スタッフの場合、「派遣元の会社」の社会保険が適用される

派遣スタッフの社会保険は派遣元の会社の制度が適用されます。そもそも派遣スタッフは一般の労働者とは異なって、就業先ではなく派遣元の会社と雇用契約を交わします。仕事上での指示は就業先から受けますが、社会保険だけでなく給与の支払いなどはすべて派遣元の会社によって行われます。実際に働く就業先の会社の社会保険制度は適用されないため注意しましょう。

参考:派遣会社の事業所の皆様へ|厚生労働省

派遣スタッフが扶養内で働きたい場合の注意点

そもそも、扶養とは自分の力だけで生活が難しい方が、家族や親族から経済的な援助を受けることを指します。例えば、妻が夫の扶養に入るといったケースが考えられるでしょう。次に、派遣スタッフが扶養内で働くとは扶養控除が受けられる範囲での労働を意味します。扶養控除には「社会保険上の扶養控除」と「税法上の扶養控除」があり、それぞれ適用条件が異なるため注意が必要です。

まず、社会保険上の扶養控除を受けるには、派遣スタッフの方の年収が130万円未満でなければなりません。130万円を超えてしまうと社会保険への加入が必要となります。ただし、一定以上の規模の会社で年収が106万円以上あると、自分で社会保険に加入して社会保険料を負担する必要があるため注意しましょう。

次に、税法上の扶養控除には、年収が103万円以下の場合は配偶者控除、103万円を超えて201万円以下の場合には配偶者特別控除が適用されます。ただし、配偶者特別控除は収入金額が150万円を超えると段階的に控除額が減る仕組みとなっているため注意が必要です。

参考:配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさま|厚生労働省

派遣スタッフの退社時・入社時における社会保険の手続き

  • 健康保険と厚生年金保険の手続き
    まず、退社時には健康保険・厚生年金保険の資格喪失手続きを行います。退職日の翌々日から5日以内に、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を管轄の年金事務所へ提出します。この際、退職者とその被扶養者の健康保険被保険者証を添付しなければなりません。健康保険被保険者証は退職日の当日までは使用できるため、その翌日以降に忘れずに被扶養者の分も含めて返却してもらう必要があります。

    次に、入社時には健康保険・厚生年金保険の資格取得手続きを行います。入社5日以内に健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届を管轄の年金事務所へ提出します。入社した方に被扶養者がいる場合には、健康保険被扶養者(異動)届や第3号被保険者関係届を提出しなければなりません。そのため、労働者の被扶養者の社会保険の加入状況なども事前に確認しておきましょう。

  • 雇用保険の手続き
    まず、退社時には雇用保険の資格喪失手続きを行います。退職日の翌々日から10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届を管轄の公共職業安定所に提出します。また、本人が離職票の交付を希望する場合には、雇用保険被保険者離職証明書を併せて提出しなければなりません。退職者が失業中に雇用保険の基本手当を受給する場合に必要となる手続きです。労働者の退職が決まったら、離職票の要否を事前に確認しておきましょう。

    次に、入社時には雇用保険の資格取得手続きを行います。労働者が入社した翌月10日までに、雇用保険被保険者資格取得届を管轄のハローワークに提出します。添付書類として、賃金台帳・労働者名簿・出勤簿などが必要となる場合があるため準備が必要です。

参考:手続き一覧表|厚生労働省
参考:事業主の行う雇用保険の手続き|厚生労働省

派遣スタッフにも条件を満たせば社会保険が適用される

派遣スタッフとして働いている方でも、条件を満たせば社会保険が適用されます。ただし、社会保険の種類によって加入条件が異なるため、それぞれの要件を正しく理解する必要があります。派遣スタッフの方が退社や入社された際には、社会保険の手続きを忘れずに行いましょう。

よくある質問

派遣スタッフが加入できる社会保険にはどういったものがありますか?

雇用保険・年金保険・健康保険・介護保険・労働災害補償保険の5つがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

派遣スタッフが扶養内で働きたい場合の注意点について教えてください

まず、社会保険上の扶養控除を受けるには、年収が130万円未満でなければなりません。次に、税制上の扶養控除を受けるには、年収が103万円未満でなければならないため注意が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


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