- 更新日 : 2022年5月13日
健康保険の傷病手当金とは
健康保険に加入していれば、被保険者や家族がケガをしたり病気になったりしたとき、一部の負担で治療を受けることができます。お医者さんが処方してくれた薬も同様です。
これを「病養の給付」といい、名称を知らない人であっても、病院に行った際、健康保険証を提出しさえすれば、一部の負担金で治療を受けることができるということを知らない人は少ないでしょう。
病院にかかったときに70歳未満の被保険者の場合は3割負担で医療を受けられるのはこの制度があるためです。そのほかにも、健康保険にはさまざまな制度があります。医療費が高額になりそうなときの「限度額適用認定」や高額な医療費を払ったときの「高額療養費」、病気やケガにより会社を休んだ場合の「傷病手当金」などがあります。
このうち今回は「傷病手当金」について解説します。
傷病手当金のあらまし
傷病手当金とは、病気やケガで出勤できず給料をもらえない場合に、被保険者とその扶養家族の生活を保障するために扶養家族の生活を保障するために設けられた制度で、健康保険から支払われるお金のことを指します。
傷病手当金は非課税で、社会保険料控除の対象です。なお、傷病手当金を受給中であっても社会保険料は請求されます。
ただし、任意継続被保険者の方は傷病手当金支給の対象外であり、傷病手当金は支給されませんので注意しましょう。なお、任意継続被保険者とは、会社を辞めて社会保険の資格を喪失した後も、一定条件を満たすことにより社会保険を継続している方です。
受けとるための要件は?
傷病手当金は、会社を休まざるを得なかったときに健康保険から支給されるものですが、例えば1日休んだだけでは適用されません。
被保険者が病気やケガで出勤できず、欠勤日が連続して3日間あった場合の4日目過ぎてから休んだ日に対して支給されるものです。
会社を休んでいても、病院へ行かずに自宅で休養した場合などには適用されません。保険診療でも自由診療でもかまいませんが、診療した事実があることが支給の要件に掲げられています。
受給期間について
4日以降から最長1年6カ月間まで支給されます。ただし、会社から傷病手当金の金額よりも多い給料が支給された場合、傷病手当金は支給されないため注意が必要です。
支給される金額について
支給額は、原則として、病気やケガで欠勤した日1日にごとに、標準報酬日額の3分の2が支払われます。ただし、以下の場合は支給額が調整されます。
・事業主から給料を受けとっている場合
・同一の傷病により障害厚生年金を受給している場合(国民年金の障害基礎年金を受けるときは、その合算額)
・退職後、老齢厚生年金や老齢基礎年金または退職共済年金などを受給している場合 (複数の老齢給付を受けるときは、その合算額)
以上の支給日額が、傷病手当金の金額を上回る場合は、傷病手当金は支給されません。一方で、傷病手当金の日額より少ないときは、その差額が支給されます。
退職後の支給条件について
傷病手当金を受けとっている途中に退職することになった場合、あるいは退職日に傷病手当金を受けとるための要件を満たしている場合、社会保険資格喪失の前日(つまり退職日)まで社会保険の被保険者期間が継続して1年以上あれば、傷病手当金を継続して受けとることができます。
在職中の手続きは事業主が行いますが、退職後は自分で社会保険事務所か健康保険組合に直接出向き、手続きを行います。
まとめ
以上、見てきたように、健康保険に加入していれば、病気やケガなどの治療、療養が必要になり、仕事復帰がすぐにかなわない場合に給料が支払われなくても被保険者と家族の生活の保障のために設けられているのが傷病手当金です。
支給の適用となるためには、健康保険組合のHPなどで、一定の条件があることを確認しておき、必要な状況になったときでも慌てずに利用できるようにしておきましょう。
また、この制度は、退職後の方でも条件によっては利用可能です。社会保険事務所あるいは健康保険組合に相談することになりますが、自分でも制度のあらましを知っておくと、相談しやすいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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