- 作成日 : 2023年2月22日
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書とは?発行日や使用ケース
国民年金に加入している方には、毎年10月下旬から11月上旬、または翌年の2月上旬の2回、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書が届きます。この証明書は確定申告や年末調整の際に必要なのですが、何のために使用されるのでしょうか。本記事では、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の使用方法や見方などについて解説します。
目次
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書とは?
社会保険料は本人が全額負担、または勤務先と折半で支払います。扶養している家族の保険料も含め、支払った保険料は所得税や住民税を計算する際に所得から全額控除されます。
一般的に、事業所に雇われて給与から保険料を源泉徴収されている方は勤務先が年末調整で計算を行うため、控除の申請を行う必要はありません。ただし、条件によっては、勤務先に控除を申請する必要があります。また、自営業者など、厚生年金に加入せず国民年金保険料を支払っている場合には、確定申告を行う際に控除を申請します。
このように社会保険料(国民年金保険料)の控除を申請する際に必要になるのが「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書(以下、『控除証明書』)」です。控除証明書には、その年の1月1日から12月31日までに納付した国民年金保険料の納付額が記載されています。
控除証明書は年末調整もしくは確定申告で使用する
さて、上で述べたように、控除証明書は所得税や住民税の計算の基礎となる所得から社会保険料を控除する際に、納付した保険料の金額を証明するための書類です。
国民年金の被保険者は、第1号被保険者から第3号被保険者に区分されており、控除申請手続きの規定や申請方法が異なります。それぞれの区分の手続きについては、以下のとおりです。
- 第1号被保険者:20歳以上60歳未満の農業者、自営業者、学生、無職の方など
国民年金保険料は口座振替や納付書などにより自分で支払っています。そのため、確定申告の際に控除証明書を添付して申告すると、所得から社会保険料が全額控除されます。 - 第2号被保険者:会社員、公務員など
国民年金と厚生年金の両方に加入していますが、国民年金の保険料は支払っていないため、国民年金保険料の控除はありません。国民年金の保険料は、厚生年金制度から拠出されています。
ただし、以下のような場合には年末調整の際に申請し、所得から控除を受けられます。- 配偶者や子どもなど、扶養家族の国民年金保険料を支払った場合
- 年の途中に第1号被保険者から第2号被保険者になった場合
- 国民年金保険料の滞納や免除があり、年内にその支払をした場合
- 国民年金保険料の前納分がある場合
- 第3号被保険者:性別を問わず、第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の方(年収130万円未満)
第2号被保険者の配偶者や子、両親などが、国民年金の保険料を負担している場合は、年末調整の際に申請し、第2号被保険者の所得から控除を受けられます。
このように、納付した社会保険料についてはすべて、所得から控除されます。申請を行う際には控除証明書が必要になるため、失くしたりすることのないよう大切に扱いましょう。
参考:公的年金制度の種類と加入する制度|日本年金機構
参考:社会保険料控除|国税庁
令和4年の発送日と対象者
控除証明書は、その年の国民年金保険料を年内にすべて納付した本人宛てに送付されます。
日本年金機構のホームページによれば、令和4年の控除証明書は、令和4年1月1日から令和4年9月30日の間に国民年金保険料を納付した方には、令和4年10月下旬から11月上旬にかけて発送されます。9月30日までに全額納付していない場合には、令和5年に発送されます。
参考:令和4年分社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発送予定をお知らせします|日本年金機構
令和5年の発送日と対象者
令和4年分の国民年金保険料を令和4年10月1日から令和4年12月31日の間に納付した方には、控除証明書は令和5年2月中旬に発送されます。ただし、令和4年中に既に控除証明書を受け取っている方には発送されません。
参考:令和4年分社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発送予定をお知らせします|日本年金機構
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の見方
控除証明書には、以下のような項目があります。ここではハガキ版を例に、見方を説明しましょう。
令和4年1月1日から9月30日の間に納付した方の場合

- 納付済額
令和4年1月1日から令和4年9月30日までに納付した国民年金保険料の合計額です。 - 見込額
現時点の納付方法で、令和4年10月1日から令和4年12月31日までに納付が見込まれる金額です。
なお、以下の場合には見込額が表示されません。- 現時点で第1号被保険者ではない場合
- 令和5年3月または令和6年3月までの国民年金保険料を前納している場合
- 令和4年4月から令和4年8月に未納期間がある場合(口座振替、クレジットカード払いの方を除く)
- (1)と(2)の合計額です。
- 「済」は納付済の月を、「見」は納付見込の月を表しています。
令和4年10月1日から令和4年12月31日の間に納付した方の場合

- 納付済保険料の証明額
令和4年1月1日から令和4年12月31日の間に納付した国民年金保険料の合計額です。 - 納付状況の内訳
「済」は、令和4年中に納付した月を表しています。
引用:令和4年社会保険料(国民年金保険料)控除証明書(ハガキ)の見方|日本年金機構
控除証明書は電子データでも受け取れる
令和4年(2022年)より、確定申告や年末調整に必要な日本年金機構からの通知書を、電子データで受け取ることができるようになりました。控除証明書もその一つです。受け取った電子データは、e-Taxでの確定申告や、年末調整の際に利用できます。
控除証明書を電子データで受け取るためには、以下の準備が必要です。
- マイナポータルから「ねんきんネット」の利用登録をする
マイナポータルとは、政府が運用するオンラインサービスで、さまざまな行政手続きをオンラインで行うことができます。
利用には「マイナンバーカード」「マイナンバーカードの利用者証明用電子証明書パスワード」「マイナンバーカードを読み取れる端末やスマートフォン」が必要です。「ねんきんネット」利用登録の詳しい方法はマイナポータルからの利用登録方法をご覧ください。なお、電子データでの送付は令和4年より始まったため、「ねんきんネット」の利用登録を控除証明書の発行時期より前に済ませた方には、令和4年分については紙と電子データ両方の控除証明書が送付されます。控除証明書の発行時期よりも後に利用登録した方の場合は紙で郵送されますが、「ねんきんネット」から「通知書の再交付申請」をすればデータでも受け取ることができます。
- 「ねんきんネット」で、電子送付希望の登録をする
電子データは、マイナポータルの「お知らせ」欄に届きます。令和5年以後、控除証明書を電子データで受け取るためには、「電子送付希望」の登録が必要です。
電子送付希望を登録すると、紙の控除証明書は届かなくなります。 - 「お知らせ」欄に届いた電子データの確認方法
「お知らせ」に届く電子データは、書面形式では表示されません。ただし、「ねんきんネット」から操作して、書面形式で表示したり、PDF形式でパソコンに保存したり、印刷したりすることができます。詳しい方法は「ねんきんネット」による国民年金保険料に関する通知書の確認をご覧ください。
参考:確定申告・年末調整に必要な通知書をマイナポータルで受け取る|日本年金機構
参考:マイナポータルからの利用登録方法|日本年金機構
参考:「ねんきんネット」による国民年金保険料に関する通知書の確認|日本年金機構
参考:マイナポータル|デジタル庁
国民年金保険料の納付の証明
社会保険料を納付している方は、確定申告や年末調整で納付額を申請すれば所得控除を受けられます。
事業所に勤めている方のほとんどは、勤務先が年末調整で控除額を計算してくれます。
しかし、自営業者など、国民年金を納付する方の多くは年末調整がなく、確定申告で国民年金保険料の納付額を申告しなければなりません。そのために、年金事務所では、1年間に納付した国民年金保険料の金額を証明する書類を発行しています。
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書は、自営業者など、国民年金に加入する人々を守るための大切な証明書なのです。
よくある質問
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書とは何ですか?
納付済または納付見込の、国民年金保険料の1年間の総額を証明する書類です。詳しくはこちらをご覧ください。
控除証明書はどういったケースで使用しますか?
確定申告や年末調整の際に、納付した国民年金保険料の所得控除を受けるために提出します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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