- 更新日 : 2019年4月23日
雇用保険の給付の種類とそれぞれの受給資格
雇用保険の給付には、失業時にもらえる基本手当(失業保険)のほかにも、さまざまな種類があるのをご存じですか?
ここでは、雇用保険の4つの給付の説明と、各給付の主な手当、そしてその受給資格について紹介します。
求職者給付
求職者給付とは、定年や解雇などで失業した際に支給され、失業期間の安定した生活を保障することで、再就職活動を支援するものです。
雇用保険のなかで広く知られている、失業手当もこの求職者給付に含まれます。求職者給付で支払われる主な手当には以下のものがあります。
基本手当
基本手当とは、「失業保険」として知られるもので、失業時に要件を満たすことで、手当が支給されます。基本手当の受給資格は、以下の項目を全て満たすことです。
1.雇用保険の被保険者であった期間が、離職以前の2年間で合計12カ月以上あること
なお、1カ月当たり、賃金の支払いの基礎となる日が11日以上ある必要があります。また、離職の理由が会社都合の場合(解雇や倒産など)や、もしくは勤務者の都合であっても正当な理由(傷病、育児、結婚による住所移動など)がある場合には離職以前の1年間に加入期間が6カ月以上であればよいとされています。
2.公共職業安定所(ハローワーク)での求職の手続きを行い、働ける能力はあるが失業状態であること
なお、傷病、妊娠、結婚といった理由や、定年後に少し休養を取るなどの理由でしばらく働かない場合には、失業状態とはみなされないため、基本手当の受給資格はありません。けれども、受給期間延長の手続きをとることで、1年~3年後に基本手当を受給することが可能です。
基本手当をもらえる期間は、離職の理由や状況によって異なり、3カ月~1年ほどです。なお、離職理由が勤務者都合ではなく会社都合(解雇や倒産など)の方が、勤務年数と年齢によっては長く基本手当が支給されます。
「雇用保険の退職後の手続き」のページでは基本手当の受給に必要な手続きや必要書類について解説しいますので、ご参照ください。
傷病手当
傷病手当とは、公共職業安定所で求職の手続きをした後にけがや病気で働けなくなった場合に支給されるものです。15日以上病気やけがのために働けない場合は上記の基本手当の受給ができないため(30日以上の場合受給期間の延長はできます)、基本手当に代わり、傷病者の生活を安定させるために支給されます。
就職促進給付
就職促進給付とは、再就職を支援するための手当や、再就職した後にその仕事に長く勤務できるように支給される手当です。以下に、主な就職促進給付を紹介します。
再就職手当
再就職手当は、上記で説明した基本手当の受給資格者が、安定した職業への再就職を果たし、要件を満たす場合に支払われる手当です。この手当を受けるためには、以下の要件の全てを満たすことが必要です。
1.基本手当の受給者で、基本手当の支給の残り日数が給付期間の3分の1以上あること
2.確実に1年以上勤務すること
3.再就職先が離職前の事業所と異なり、離職前の事業所とのつながり(資金面や人事などに関して)がないこと
4.再就職手当の給付が決定されるまでに離職していないこと
5.求職申込時にすでに内定していた職場での再就職ではないこと
6.3年以内に、再就職手当や常用就職支度手当てを受け取っていないこと
7.雇用保険の被保険者になっていること
8.受給手続きを行ってから、就職したり事業を開始したりするまでの期間が7日間以上あること
9.自己理由での退職等、基本手当に給付制限がある場合は、待機期間1カ月以内の就職については公共職業安定所(ハローワーク)か厚生労働大臣の許可する職業紹介事業者の紹介によること
再就職手当について、支給額や受給の具体例はこちらのページを参考にしてください。
就業促進定着手当
就業促進定着手当は、再就職手当の受給者が6カ月以上、しかも離職前よりも低い給与で雇用されている場合に支給されるもので、再就職活動で就いた仕事を長く続ける支援となります。
広域求職活動費
広域求職活動費は、ハローワークの紹介により遠方(距離が往復200キロメートル以上)の企業を見学するために赴いたり、面接のために足を運ぶ際に、宿泊費と交通費が支給されるものです。
教育訓練給付
教育訓練給付は、失業者の生活の安定や再就職の支援を行う上記の給付と異なり、労働者にも給付されるもので、仕事のスキルアップや資格取得のために受けた教育に対する講座費の一部が給付されます。教育訓練給付の主なものは、以下の2種類です。
一般教育訓練給付金
一般教育訓練給付金では教育訓練経費の20%(上限は10万円)が給付されるものです。以下の要件全てを満たす場合に、受給資格を満たします。
1.厚生労働大臣の定める講座を修了すること
2.雇用保険被保険者期間が3年以上あること
ただし、初めて教育訓練給付金を受ける場合に限り、雇用保険被保険者期間が1年以上で可能(2019年4月現在)
3.複数回の支給を受ける場合には、次回の受給までに3年以上の期間があいていること
専門教育訓練給付金
専門教育訓練給付金では、教育訓練経費の50%(上限は毎年40万円。3年で120万円まで認める)が給付されるものです。(平成30年1月1日以降に受講開始する教育訓練から)以下の要件全てを満たす場合に、受給資格を満たします。
1.厚生労働大臣の定める講座を修了すること
2.雇用保険被保険者期間が3年以上あること
ただし、初回は2年以上(2019年4月現在)
3.複数回の支給を受ける場合には、次回の受給までに3年以上の期間があいていること
また、上記の条件に加えて、講座修了から1年以内に、定められた資格を取得した場合には、追加で教育訓練経費の20%の給付金がもらえます。
雇用継続給付
雇用継続給付は、高齢者の就業促進や就業意欲の維持を行うための給付や、介護や育児で休業する際に支給される給付金です。以下で、代表的なものを紹介します。
育児休業給付
育児休業給付には、1歳未満の子の世話をするため育児休暇を取った際に支払われる育児休業給付金があります。なお、「パパママ育休プラス制度」を利用する場合には1歳2カ月未満、保育所に入れない、婚姻を解消したなどの理由で延長する場合には最大2歳未満まで認められます。
支給額は、6カ月までが、給与日額の67%(上限301,299円)、6カ月経過後は給与日額の50%(上限224,850円)となっています。(2019年4月現在)
受給の要件は以下の通りです。
1.一般被保険者であること
2.1歳(一定の場合は1歳2ヵ月、さらにやむを得ない事情により延長申請した場合は1歳半又は2歳)未満の子の養育のための育児休業中であること
3.休業開始の前2年の間に、賃金支払い基礎日が11日以上の月が12カ月以上あったこと
4.1カ月あたりの賃金が、休業前に受け取っていた賃金の80%未満であること
5.支給対象となる月の就業が1カ月あたり10日(10日を超える場合には就業時間が80時間)以下であること
高年齢雇用継続基本給付金の受給資格
高年齢雇用継続基本給付金は、高年齢者の就業意欲を奨励するための制度で、以下の要件にすべて当てはまる場合には、受給資格を得ることができます。
1.60歳以上65歳未満であること
2.60歳になった後も継続して就労していること
3.雇用保険の被保険者であった期間が5年以上あること
なお、失業給付や再雇用手当を受給した場合は受給が終わってから5年以上経過している必要があります。
4.60歳以後の賃金が、60歳になった時点で受け取っていた賃金の75%未満であること
まとめ
さまざまな雇用保険の種類について紹介しました。失業時には、基本手当や、再就職手当などさまざまな給付が受けられます。また、教育訓練給付や育児休業給付など、失業時でなくても受けられるものがあります。雇用保険の給付について確認し、上手に利用しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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