- 更新日 : 2018年10月31日
雇用保険における特例一時金とは
雇用の形態には職種や業態によってさまざまなものがあります。一年を通して平均して仕事がある会社と雇用契約を結んで勤め続けるのが一般的ですが、一定の期間のみ仕事があってその都度雇用をする形態の会社も少なくありません。
雇用保険では、このような就職と離職をある期間で繰り返している被保険者に対して、一時金を支給する制度を設けています。この制度で給付されるものを特例一時金と言います。
雇用保険の特例一時金の受給資格
雇用保険の特例一時金の給付を受ける対象となるのは、短期雇用特例被保険者と呼ばれる雇用保険の被保険者です。短期雇用特例被保険者とは季節的な雇用をされる者を指します。
季節的な雇用とは、天候に左右される仕事で季節を限定して行われる雇用をいい、具体的な例としては、農閑期となる冬に農業従事者が行う他業種への就業や、夏の海の家や冬のスキー場での就業などがあげられます。(なお、短期雇用特例被保険者となる条件は、「4ヶ月以上の期間を定めて雇用される」、「週所定労働時間30時間以上」となります。)
短期雇用特例被保険者に対して雇用保険の特例一時金が支給されるためには、ハローワーク(住所地を管轄する職業安定所)に本人が出向き、求職の申し込みをし、特例受給資格の決定を経なければなりません。
雇用保険の特例一時金の受給資格要件
雇用保険の特例一時金を受給するために必要な特例受給資格を得るには、以下の3つの要件を満たさなければなりません。
1.離職して雇用保険の被保険者ではないことをハローワークが確認していること。
2.求職の申し込みをすることによって、就職していない状況であること、および就職口を探す意思や能力があることを示し、受給資格決定日・認定日においても就職していないこと。
3.離職日直前の1年間で雇用保険に通算で6ヶ月以上加入していたこと。ただし、この場合の被保険者期間は、賃金の支払い対象となった日を基準として、1ヶ月のうちに11日以上あればそれを1ヶ月として計算したもの。
前記要件を満たしても、自分で事業を始めていたり、家業に従事したり、家事の手伝いをして実際に就職ができない状態であれば、特例一時金は受給できません。パートタイム労働やアルバイト、日雇い、報酬のあるなしに関わらず会社役員に就任した場合なども同様です。
雇用保険の特例一時金を受給する手順
雇用保険の特例一時金を受給するまでの手順は次のとおりです。
1.住所地を管轄しているハローワークに、離職票、本人確認書類、本人名義の通帳や印鑑などを用意して行き、求職の申し込みを行います。短期雇用特例被保険者の場合は2枚以上の離職票がある場合もあります。特例受給資格に関係するので、離職票はすべて提出してください。(実際の持ち物については、管轄にご確認ください。)
2.ハローワークが提出者の状況と要件を照らし合わせ、受給資格があるかどうかを判断します。資格があると判断されれば、特例受給資格の決定が下されます。
3.特例受給資格の決定に従って、特例受給資格者証が交付されます。また、失業認定に関する手続きに必要な特例受給資格者失業認定申告書を渡されますので、失業の認定日までに必要事項を記入しておきます。
4.後日指定された失業の認定日にハローワークへ出向きます。そこで失業の認定に関する手続きを行います。
失業の認定に関する手続きとは、記入しておいた特例受給資格者失業認定申告書を窓口に提出することです。ハローワークが失業の認定を行った時点で、雇用保険の特例一時金の支払いが行われます。
受給期間と給付制限
雇用保険の特例一時金の場合、その受給できる期間は、離職した日の翌日を起算日として、6ヶ月までとなります。一般の雇用保険(失業給付)と同様に、特例受給者資格についても離職日から7日間の待機期間が定められています。つまり、申請をして特例受給資格者であるとハローワークが確認しても、待機期間を過ぎてからでなければ雇用保険の特例一時金は受給できません。
また、場合によっては待機期間が3か月になる(自己都合退職や職務上の責任を取って解雇された場合など)というもの、一般の雇用保険(基本手当)と同様です。
雇用保険の特例一時金の支給額
ハローワークが特例受給資格者と確認し、待機期間を過ぎた時点で、ハローワークが算出した基本手当日額の30日分(現在のところ暫定措置として40日分)が支給されます。
なお、ハローワークが失業を認定した日と受給期限日(離職から6ヶ月目)が30日(暫定40日)に満たない場合は、雇用保険の特例一時金の算定は残っている日数分に減じられます。
まとめ
雇用保険の特例一時金は、基本手当を受けることのできない短期雇用特例被保険者を保護するための給付制度です。
名称のとおり失業の認定を受けた時点で1回しか支給されませんが、受給要件や期間が基本手当を受給する場合とは異なるため、きちんと確認し、漏れのないよう受給手続きを行う必要があります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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