• 作成日 : 2022年9月9日

産休の社会保険料免除はいつから?免除の仕組みは?

いつから?免除の仕組みは?

産休を取得している間、申請することで会社と従業員の双方の社会保険料(健康保険・厚生年金)の支払いが免除されます。これは従業員と企業の負担軽減のための措置で、免除期間も社会保険の加入期間として扱われます。
ここでは、具体的な産休期間の例をもとに、社会保険料免除が適用される期間について解説します。

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産休期間の社会保険料はいつから免除される?

産前産後休業(産休)を従業員が取得した場合、その期間は社会保険料免除となり、従業員と会社の双方は保険料の支払が免除されます。以下に、詳しい免除期間について解説します。

産休の開始月分から免除される

産前産後休業とは、産前42日(多胎妊娠の場合には98日)と産後56日のうち、妊娠または出産を理由に勤務していなかった期間を指します。この期間、従業員が申請書を提出することで社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の支払が免除されます。

社会保険料の免除が始まるのは、産休の開始月からです。免除が終わるのは、産休終了予定日の翌日の属する月の前月までとなっている点に注意しましょう。

出産予定日を基準として産前産後休業の具体例を見てみましょう。

  • 出産予定日:6月21日
  • 産前休業:5月11日~6月21日
  • 産後休業:6月22日~8月16日
  • 社会保険料免除期間:5月分~7月分

この場合、社会保険料の免除を受けるのが産前休業に入った5月から終了日の前月の7月までとなり、3か月分の社会保険料が免除されることになります。

参考:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が産前産後休業を取得したときの手続き|日本年金機構

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産休の社会保険料免除について注意点

産休の社会保険料免除は、産休に入った月から適用されます。ただし、実際の給与に反映されるのは、天引きのタイミングなど給与計算ルールを考慮する必要があります。ここでは、月の途中、月末、15日締めなどの給与計算のタイミングがどのように社会保険料免除に関係するかを解説します。

社会保険料の控除が翌月の場合

多くの企業では、社会保険料は翌月徴収となっているでしょう。このように社会保険料を翌月控除としている場合、「産休の開始=社会保険料免除スタート」が給与の支給額に反映されるまでにタイムラグが発生します。社会保険料免除が反映されるのは、産休がスタートする月に支払われる給与ではなく、翌月に支払われる給与です。

前述した「6月21日出産予定日」「社会保険料免除は5月からスタート」の場合、社会保険料免除と給料での控除を表にすると以下のようになります。

給料支払
タイミング
5月6月7月
給与に含まれる
社会保険料
4月分5月分
(産休による社会保険料免除)
6月分
(産休による社会保険料免除)
給与からの控除されるされないされない

社会保険料の給与控除が翌月となる場合は、産休に入った月の給与ではなく、翌月の給与から天引きされなくなる点に注意しましょう。

給与の締めが月途中・15日締め・月末によって変わる?

給与の支払いは「15日締め、当月末払い」「末締め、翌月15日払い」など、会社によってルールが異なります。そのため、どのタイミングで社会保険料免除が反映されるのか、混乱する方もいるでしょう。

考え方として、社会保険料は月単位で計算されます。そのため、会社の給与の締めのタイミングが15日や20日などの月の途中でも、社会保険料免除の計算は影響を受けません。

たとえば、15日締めの給与計算ルールで、5月11日と5月30日から産休に入る二人の従業員がいた場合、両者とも5月分の社会保険料が免除されます。給与の締めのタイミングではなく、あくまでも産休に入る月を基準に社会保険料免除を計算します。

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産休の社会保険料免除が適用される期間

社会保険料免除の申出は、産前産後休業期間中に行います。ここまで、産休中の社会保険料免除期間について、出産予定日を起算とし42日前の産前と56日後の産後で説明してきましたが、実際に免除を受ける期間が出産日によって変更になるケースがあります。

出産予定日よりも早くに出産した場合

たとえば、6月21日が出産予定日で6月7日に出産した場合、予定よりも2週間早く出産したことになります。このとき、産前休業の期間は実際の出産日である「6月7日」が基準となり、42日前となる4月27日〜6月7日が「産前休業」としてカウントされます。

もし、本人が4月末から妊娠または出産を理由に休業していた場合は、さかのぼって4月分から社会保険料の免除を受けることができます。本人が産休を開始したのが5月に入ってからであり、当初の産休開始日より前に労務に従事しなかった期間がない場合には、産休開始日は繰り上げられず、社会保険免除の開始月も変更を受けません。

出産予定日より前に出産した場合

引用:産前産後休業期間中の保険料免除が始まります|日本年金機構

予定日よりも遅くに出産した場合

予定日よりも遅くに出産した場合は、産前休業の期間に出産予定日から出産日までの日数が追加されます。たとえば6月21日が出産予定日で実際の出産日が6月24日だった場合、産前休業は5月11日から6月24日、産後休業は6月25日から8月19日となります。

出産予定日より後に出産した場合

引用:産前産後休業期間中の保険料免除が始まります|日本年金機構

出産日が予定日と異なった場合には、届出を行う

産休の社会保険料免除の申出は、産休中に行えばよいため、出産前でも出産後でもどちらのタイミングで行っても問題ありません。出産前に届出を行い、予定日と出産日に変更が生じた際には、「産前産後休業取得者変更(終了)届」を提出する必要があります。

出産後に社会保険料免除の届出を出した場合には、申請手続きは1回で終了します。ただし、出産予定日よりも早く出産した場合には、月をまたいで産前休業の開始日が変更となって、すでに産前休業中の社会保険料が給与から控除され、会社が日本年金機構へ納付しているケースもあるため注意が必要です。この場合には、免除申請後、会社はさかのぼって日本年金機構へ支払う保険料が調整されることになります。従業員の方は会社の説明をよく聞いて、多く徴収されている社会保険料があれば、清算してもらうのを忘れないようにしましょう。

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産休の社会保険料免除の具体例

では最後に、出産予定日や実際の出産日、産前に休業に入ったタイミングなど具体例を用いながら産休中の社会保険料免除期間について解説します。

Aさんは出産予定日が6月21日。法令に従えば産前休業は5月11日からでしたが、妊娠による体調不良を理由に5月1日から休業に入っていました。社会保険料免除の届出は、5月中に行われています。届出で計算された社会保険料免除期間は、5月分から7月分の3か月分です。

  • 出産予定日:6月21日
  • 産前休業:5月11日~6月21日
  • 産後休業:6月22日~8月16日
  • 産前の届出で計算された社会保険料免除期間:5月分、6月分、7月分

Aさんは出産予定日よりも2週間早い6月7日に出産したため、産後休業中に変更届を提出しました。それによれば、産前休業は4月27日から6月7日です。しかしAさんは4月は勤務していたため、4月分の社会保険料は従来通りとなり、免除期間に変更は生じませんでした。

  • 実際の休業日:5月1日~
  • 実際の出産日:6月7日
  • 出産日を基準に考える産前休業:4月27日~6月7日
  • 出産日を基準に考える産後休業:6月8日~8月2日
  • 実際に適用された社会保険料免除期間:5月分、6月分、7月分(変更なし)
  • 給与に反映されるタイミング:6月支払~8月支払

産休の社会保険料免除では出産日による変更に注意

産休中は、申請することにより従業員も事業主も社会保険料の支払いが免除されます。出産日が予定日よりも変更になった場合、免除される期間も変更になる可能性があります。社会保険料は月単位で計算するため、月をまたぐ変動には特に注意が必要です。

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よくある質問

産休期間の社会保険料免除はいつから適用開始になりますか?

産前休業が開始した日の属する月から適用開始になります。たとえば5月11日から産前休業に入った場合、5月分の社会保険料から免除されます。給与の控除は翌月ですので6月支給の給与から免除が反映されます。詳しくはこちらをご覧ください。

産休期間の社会保険料免除が適用される期間について教えてください。

産休期間の社会保険料免除は、産休を開始した月から終了を予定する日の翌日が属する月の前月までの期間です。実際の出産日が前後し、産休期間に月をまたぐ変動が生じた際には免除期間も変更になることがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加治 直樹(経営労務コンサルタント)

銀行に20年以上勤務し、融資融資から資産運用、年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタント。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は行政で企業及び労働者の労働相談業務を行いながら、セミナー講師など幅広く活動中。

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