• 更新日 : 2024年1月19日

雇用保険被保険者証をもらってない時、どうすればよい?対処法を解説

雇用保険被保険者証をもらってない時、どうすればよい?対処法を解説

雇用保険被保険者証は、労働者の雇用保険加入を証明する重要なものですが、場合によっては手元に届いていないこともあります。本記事では、そのような状況に直面した際の対処法を詳しく解説します。

加えて、雇用保険被保険者証の基本情報、もらえるタイミング、もらっていない理由、再発行の方法、そして健康保険証や離職票との違いについても取り上げます。

雇用保険被保険者証とは?

雇用保険被保険者証とは、雇用保険の被保険者であることを証する書面のことです。労働者として雇用され、一定の要件を満たすと健康保険や厚生年金保険の被保険者となりますが、社会保険には他にも労災保険と雇用保険があります。労災保険は必ず適用されますが、雇用保険は労働時間等、一定の要件を満たす場合に被保険者になります。

雇用保険は、失業した場合に再就職するまでの生活保障である基本手当等の求職者給付を支給することはよく知られています。しかし、それ以外にも教育訓練給付、雇用継続給付、育児休業給付のように在職中に支給される重要な給付があります。その受給手続において、雇用保険被保険者証は不可欠な書類になります。

※詳細については、こちらの記事を参考にしてください。

雇用保険被保険者証はいつもらえる?

雇用保険の適用事業に雇用されると、原則として本人の意志にかかわらず被保険者となります(例外として、1週間の所定労働時間が20時間未満である場合や、同一の事業主に継続して31日以上雇用される見込みがない場合は、被保険者とならないこともあります)。

雇用した事業主は、個々の従業員についてその都度、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を資格取得日(雇入れ日)の属する月の翌月10日までに提出することが義務づけられています。

雇用保険被保険者資格取得届の提出によって、事業主にはハローワークから雇用保険被保険者証が交付され、事業主はこの書類を本人に渡すことになります。したがって、本人が雇用保険被保険者証を受け取れるのは、入社してからタイムラグがあり、通常、入社してから10日前後と考えればよいでしょう。

雇用保険被保険者証をもらっていない理由

実のところ、雇用保険被保険者証の認知度は決して高くありません。正社員として働いているにもかかわらず、見たことがないという人も少なくないと思われます。雇用保険被保険者証をもらっていないという場合、その理由としてはどのようなことが考えられるのでしょうか。

会社側で管理が行われている

従業員が雇用保険被保険者証を受け取っていない一つの原因は、会社側が保管している場合です。一部の企業では、管理上の都合で従業員の被保険者証を人事部門等で一括管理していることがあります。これは、特に大規模な企業や、頻繁に人事異動がある組織で見られますが、紛失防止などの理由のためです。この場合、従業員は通常、必要に応じて人事部門に申し出ることで入手できます。

ただし、このような管理方法は従業員が自らの雇用保険の状況を把握しにくくする可能性もあるため、会社側は従業員に対して保険の加入状況やその保管場所に関する情報を周知する必要があります。

単純に渡し忘れている

単純な渡し忘れも従業員が雇用保険被保険者証を受け取っていない原因の一つです。特に中小企業や人事管理体制が整っていない企業では、入社手続の過程で被保険者証を渡すことを忘れてしまうケースがあり得ます。このような場合、従業員は自身の雇用保険加入状況について確認を取ると同時に、被保険者証の交付の申出をするとよいでしょう。

雇用保険は失業時の求職者給付だけでなく、教育訓練給付等、在職中の保険給付の手続きをする際にも不可欠なものであり、その重要性についてはよく認識しておくことが大切です。なお、会社の渡し忘れだけでなく、被保険者本人がもらっていながら、忘れていることも少なからずあります。

雇用保険に加入していない

最も問題となるのは、従業員の雇用保険の被保険者手続がなされていないケースです。雇用保険の適用事業所は従業員を雇用保険に加入させる義務がありますが、加入手続が適切に行われていない、あるいは故意に加入させていない場合もあります。これは法令違反であり、従業員の権利を著しく侵害する行為です。

また、事業所自体が、強制適用事業所であるにもかかわらず、保険関係の成立手続をしていないケースもあります。

雇用保険被保険者証をもらっていない時の対処法

雇用保険被保険者証が手元にない場合、前述のような様々なケースが考えられます。いずれの場合も人事部門への確認が必要です。結果的に未加入であれば、適切な加入手続を依頼することになります。必要に応じてハローワークに相談することにもなるでしょう。

また、雇用保険被保険者証は、本人がもらっていながら紛失していることもあれば、会社が紛失してしまったということも考えられます。こうした場合の対処法について見ていきます。

ハローワークで再発行を依頼する

雇用保険被保険者証を紛失した場合には、ハローワークでの再発行の申請ができます。この手続きは、最寄りのハローワークに出向いて行います。その際、本人確認書類として、マイナンバーカード、運転免許証、官公庁が発行した身分証明書(写真付き)のいずれかを持参します。手続自体は簡単ですが、再発行には数日から数週間かかる場合があります。

ハローワークを直接訪問できない場合

ハローワークを直接訪問できない場合、雇用保険被保険者証の再交付は、電子申請や郵送で申請することもできます。郵送する書類は、雇用保険被保険者証再交付申請書、前述の本人確認書類の写し、返信用封筒(切手貼付)です。ただし、郵送での申請の場合、通常、交付までに2週間程度かかります。

また、記載漏れや本人確認書類の添付漏れがある場合、さらに交付までの時間がかかることになります。ハローワークのウェブサイトでは、雇用保険被保険者証再交付申請書の記載例を公開しているので、よく確認のうえ、特定記録などの引き受け記録が残る方法で確実に郵送することが重要です。

雇用保険被保険者証の再発行ができないケース

雇用保険被保険者証の再発行は、本人のハローワークへの出頭または電子申請・郵送申請によってできますが、最初から雇用保険の被保険者となっていない場合は再発行できません。

すでに述べたように雇用保険の被保険者となっていない理由としては、本人が被保険者としての加入要件を満たしていない場合の他、事業所が被保険者資格取得届を提出していない場合、事業所自体が保険関係の成立手続を怠って未適事業所となっている場合などが考えられます。

雇用保険被保険者証と健康保険証の違い

雇用保険被保険者証は、前述のように雇用保険の被保険者であることを証する書面であり、雇用保険法における失業時の求職者給付の他、在職中の教育訓練給付、雇用継続給付、育児休業給付などの保険給付を受給するために使用します。

一方、健康保険証は、健康保険の被保険者であること、または被扶養者であることを証するものであり、正式名称は健康保険被保険者証といいます。業務外・通勤外で負傷または疾病になった場合に原則、自己負担3割で受診するために保険医療機関の窓口で提示することはご存知の通りです。なお、2024年12月2日には現行の健康保険証は廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に移行するとされています。

雇用保険被保険者証と離職票の違い

雇用保険被保険者証が雇用保険の被保険者であることを証する書類であるのに対し、離職票は、雇用保険の被保険者が失業した場合に基本手当などの求職者給付を受給するためのものです。正確には、雇用保険被保険者離職票-1と、雇用保険被保険者離職票-2の2つがあります。

被保険者である従業員が退職すると、事業所は所轄のハローワークに被保険者資格喪失届と離職証明書(A3サイズの3枚複写綴り)を提出します。離職証明書は、基本手当の受給要件の確認、日額の決定、所定給付日数の決定をするために必要な書類です。

離職票-2は、離職証明書の3枚複写綴りのうちの3枚目の書類であり、事業所が被保険者資格喪失届と離職証明書を提出した際、ハローワークが事業所に離職票-1とともに交付します。被保険者が退職後、事業所から受け取り、その後本人が最寄りのハローワークで基本手当の受給手続の際に離職票-1、離職票-2を提出することになります。

※離職票の詳細については、以下の記事をご覧ください

雇用保険被保険者証がない場合の理由と対処法を知っておこう!

雇用保険被保険者証が手元にない場合、まずはその理由を明らかにし、会社への確認、ハローワークでの再発行手続きなど、適切な対処法を講じることになります。

企業の人事部門の担当者においては、雇用保険被保険者証の役割、健康保険証や離職票との違いなど、基本的な事項をしっかり理解しておくことが重要です。


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