- 更新日 : 2018年8月7日
年末調整とは
毎月の給与から源泉徴収されている所得税は、その年に支払うべき所得税の仮払いであるため、年末調整によって精算されなければなりません。
ここでは、年末調整の目的や仕組みのおさらいに加え、年末調整と確定申告の違いについてもお話しします。
年末調整が行なわれる理由
所得税額は、給与や不動産、配当金などで発生した所得から、給与所得控除、配偶者控除、社会保険料控除(納税者本人)、医療費控除などの所得控除を差し引いた残額に税率をかけて求められます。もし、住宅借入金等特別控除など、所得税から差し引ける税額控除分があれば、それらを差し引いて最終的な所得税額を算定します。
給与所得者の場合には、給与の支払い時に所得税が源泉徴収されています(ちなみに、給与には給料のほか、賞与や残業代など、会社から受け取るすべての報酬が含まれます)。
しかし、毎月天引きされた所得税額は、必ずしも実際に納付すべき所得税額であるとはいえません。
なぜなら、毎月天引きされる源泉徴収税額には、扶養家族の社会保険料控除や、生命保険料控除、住宅借入金等特別控除(2回目以降)、家族構成の変更による扶養控除の過不足などが考慮されていないからです。
年末調整とは、それらの控除に必要な申告書を勤務先に提出し、最終的な所得税額を調整・精算してもらう制度のことをいいます。通常、給与所得者の場合には勤務先が年末調整を行うため、確定申告は不要です。そして、年末調整により納税額に過不足が判明したら、勤務先によって差額分が徴収、または多く払いすぎた分が還付されます。
年末調整の対象者とは
1年間を通して(転職者であれば年末まで)勤務している給与所得者が年末調整の対象となります。ただし、条件として、総収入が2,000万円以下であること、災害による特別な源泉徴収の免除を受けていないこと、および「給与所得者の扶養控除等申告書」を年末調整の前に勤務先へ提出していることが必要です。
また、転職者については、以前の勤務先から源泉徴収票をもらい、現在勤務する会社に渡すことで年末調整を受けることが可能になります。
通常、年末調整は年末に行われます。ただし、死亡による退職者や、日本国外の支店や子会社に転勤した者などは、年度の途中であっても、それが発生した時点で年末調整を受ける場合があります。
年末調整と確定申告の違いについて
確定申告とは、1年間の総収入から経費や控除項目を差し引いて求めた最終の所得税額を申告書に記し、所轄税務署に提出することをいい、報酬を受け取った際に源泉徴収されるか、本人が予定納税をしていない限り申告後に納税することとなります。
一方、年末調整とは、毎月徴収された所得税を年末に精算し、最終的な所得税額を決定する制度のことで、医療費控除や寄付金控除、1年目の住宅借入金等特別控除などのように、年末調整では適用できない控除項目もあります。確定申告は過払分を取り戻す場合にも利用され、前述した年末調整では適用できない控除項目を納税者本人が申告することによって還付請求できます。
年末調整をしたら、確定申告は不要!?
原則、年末調整を受けた給与所得者には、確定申告をする義務はありません。しかし、税金を払い過ぎている場合には、黙っていても戻って来ることはありませんから、還付を受けるために確定申告をしなければなりません。
年末調整を受けた後、子どもが就職して扶養家族の数が変更した場合や、転職前に国民健康保険や国民年金保険料を払っていた場合などには、再年末調整を勤務先に依頼することで過不足の調整が可能です。しかし、勤務先の担当者に再年末調整を頼みにくく感じたり、医療費控除や寄付金控除が適用される支払いがあった場合には、確定申告で過不足の精算をすることができます。
また、年度の途中で退職し再就職しなかった場合には年末調整を受けられないので、所得税の過払い分の還付を受けたい場合は、確定申告をしなければなりません。
還付申告書は5年までさかのぼって提出することができるため、翌年の確定申告期間内(2月16日~3月15日)に行わなければならないというわけではありません。ただ、申告の際に必要な書類を準備しなければならないので、先のばしにせず、さっさと済ませておきましょう。
まとめ
給与所得者であっても、納税者本人の給与が2,000万円を超える場合や、災害による特別な源泉徴収の免除を受けている場合などは、確定申告をする必要があります。
確定申告を行う必要があるケースに関しては、こちらの国税庁のサイトを参考にしてください。
国税庁 平成29年分 確定申告特集
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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