- 更新日 : 2023年8月4日
リフレクションとは?意味や企業で使用するメリットを解説
リフレクションとは内省という意味で、人材教育においては仕事の進め方や考え方を客観的に振り返り、新たな気づきを得る方法を指します。本記事ではリフレクションの使い方やメリット、デフリーフィングとの違いなどを解説します。企業で実践するための手順もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
リフレクションとは?
リフレクション(reflection)は「内省」という意味で、人材教育の分野では日々の業務から一度離れ、仕事の進め方や考え方を振り返る手法をあらわす言葉です。仕事に関する新たな気づきを獲得し、行動を変革させることを目的とします。
ここでは、リフレクションと似たような意味の、「デブリーフィング」「反省」「フィードバック」との違いを解説していきます。
リフレクションとデブリーフィングの違い
リフレクションとデブリーフィングの主な違いは、振り返りをするのは誰かという点と、実施する目的にあります。
デブリーフィングとは、ビジネスにおいては業務完了後に行われるチームでの情報共有や、結果の報告のことを意味する言葉です。デブリーフィングは、業務における要点の整理や方向性の確認などをするために実施します。
これに対しリフレクションは、基本的に自分の仕事を自ら振り返り、仕事への姿勢や意識を見つめ直すことです。リフレクションは自身の成長や意識の変革のために行うことが多いのに対し、デブリーフィングは、組織やチームの成長や発展のために行います。
リフレクションと反省との違い
リフレクションと反省は、振り返りをどのような心情で行うのかという点が、大きく異なります。「反省」は、自身の言動を振り返り、いたらなかった部分を認識して同じ過ちを繰り返さないようにすることです。自責の念にかられて行うことも多いでしょう。
一方、リフレクションは感情に流されることなく、客観的に経験してきた仕事を振り返り、新たな気づきを得る未来志向の手法です。反省のように、過ちやミスにスポットを当てるわけではありません。感情的にならずにフラットな視点で自身を省みる点が、反省との違いといえるでしょう。
リフレクションとフィードバックとの違い
リフレクションとフィードバックとの違いは、振り返りを行う主体が誰かという点です。
フィードバックは、他者から自分の行動に対する評価を受けることです。しかし、前述のとおりリフレクションは自身で行動を振り返ることであり、振り返りを行うのは誰かという点が異なります。
企業で使える「リフレクション教育」とは
リフレクション教育は、企業の人材育成において重視される教育の1つです。リフレクション教育が、組織を円滑に運営し発展させるために必要な、俯瞰的な視点を持つリーダーの育成に適しているためです。
リフレクションは、自身の行動を客観的に振り返り、新たな気づきを得るための手法です。リフレクション教育を受けると、目の前の業務にとらわれることなく、客観的かつ未来志向で物事をとらえられるようになります。そのため、全体を俯瞰しながらチームを引っ張る人材を育成するための手法として有効と考えられます。
リフレクションに使用されるメソッド
リフレクション教育には、以下のようなメソッドを用いるのが一般的です。
- KPT法
- KDA
- YWT
- 経験学習モデル
- リフレクション・ミーティング
各メソッドについて解説します。
KPT法
KPT法とは、効果的に振り返りを行うための手法で「Keep(継続)」「Ploblem(問題)」「Try(挑戦)」の3つの単語の頭文字をつなげたものです。
ビジネスで続けたいことと(Keep)、日々の業務における課題を挙げ(Problem)、今後新たに実践することや課題の解決策を抽出します(Try)。KPT法では、3つの要素を意識しながら自分の経験を振り返ることがポイントです。
KDA
「KDA」は「Keep(継続)」「Discard(切り捨てる)」「Add(加える)」の3つの単語の頭文字を取った、メソッドの名前です。「継続していくこと」「やめること」「新たに加えること」の順番で、ビジネスにおける自身の行動を振り返ります。
YWT
「YWT」「やったこと(Y)」「わかったこと(W)」「次にやること(T)」の3つを振り返る方法は「YWT」と呼ばれるリフレクションの実践手法です。実際にやってみたことや経験したことから、良かったことと課題を抽出し、次のステップで活かします。人材の自律的な成長を促すために用いられます。
経験学習モデル
経験学習モデルは、自分の経験から学ぶ手法です。経験したことを概念化し、実践するというサイクルを回します。通常の学習方法は、誰かに教えてもらう受動形式ですが、経験学習モデルは能動形式である点が特徴といえるでしょう。
リフレクション・ミーティング
個人で行ったリフレクションをミーティングで共有する手法を、リフレクション・ミーティングといいます。リフレクション・ミーティングでは、自分の経験を他者に伝えるために言語化する必要があるため、内省をさらに深めることが可能です。また、自分以外のリフレクションでの考え方などを聞くことで、1人では得られなかった新たな気づきを獲得できます。
リフレクション教育を企業に取り入れるメリット
リフレクション教育を企業に取り入れるメリットとしては、主に次の2点が挙げられます。
- 俯瞰的な視点を持つリーダーの育成につながる
- 生産性が向上する
前述のとおり、リフレクション教育は俯瞰的な視点を持つリーダーの育成に適しています。また、企業の生産性の向上に寄与すると考えられます。リフレクション教育を行うことで、業務への関わり方を自ら客観的に振り返り、改善できる従業員が増えるためです。
リフレクションを企業で実践するための方法・手順
リフレクションを企業で実践する際は、基本的に以下の流れに沿って進めます。
- リフレクションする出来事を選ぶ
- 対象の出来事をプロセスごとに振り返る
- できたこととできなかったことを整理する
- 次回、取るべき行動を考える
順番に確認していきましょう。
リフレクションをする出来事を選ぶ
はじめに、リフレクションの対象となる出来事を選定します。複数の出来事をリフレクションするのではなく、たとえば、営業担当者であれば「Aという顧客との商談」というように、1つに絞り込むことが大切です。
対象の出来事をプロセスごとに振り返る
対象となる出来事を選定したら、プロセスごとに分解して振り返ります。このとき、結果の良し悪しに目を向けず、過程を振り返ることがポイントです。Aという顧客との商談で受注できた要因を探すのではなく、商談の準備からクロージングまでのそれぞれの工程を分解し、振り返ります。
できたこととできなかったことを整理する
出来事をプロセスごとに分解したら、「できたこと」と「できなかったこと」をそれぞれ振り返りましょう。たとえば「商品のプレゼン後に、顧客から疑問点をヒアリングする際、十分に本音を聞き出せなかった」など、想定していた状況との乖離を抽出するのもよいでしょう。ただし、失敗した点ばかりに注目するのは避けましょう。
次回、取るべき行動を考える
できたこと・できなかったことの振り返りを行った後は、次に同じような状況に遭遇した際、取るべき行動に落とし込んでいきます。リフレクションの後、次に取る行動を考え実行し、再度リフレクションを行うというサイクルを繰り返すことで、思い描く状態に近づけるでしょう。
リフレクションを企業で実践する上での注意点
リフレクションを企業で実践する上での注意点は、以下の3点に注意しましょう。
- 失敗ばかりを振り返らない
- 他者に視点を向けない
- リフレクションを行う時間を確保する
リフレクションは、客観的に自身の仕事の進め方や考え方を振り返る手法です。成功に着目し、強みを発見することもリフレクションの重要な目的であるため、失敗ばかりを振り返らないように意識しましょう。
また、他者に視点を向けないことも重要です。他責思考でリフレクションを行っても、自分の考え方や価値観を改善することはできません。
実施する時間を確保することも、リフレクションで効果を得るためには必須です。業務の合間に急いで終わらせても、本質的な振り返りを行うことは不可能でしょう。定期的にリフレクションを実施できる時間を確保し、継続できる環境整備を行いましょう。
リフレクション教育を導入し組織の成長を目指そう
リフレクションは内省という意味で、人材教育においては、仕事に関する新たな気づきを獲得するために、仕事の進め方や考え方を振り返る手法をあらわす言葉です。
リフレクション教育は、組織を円滑に運営し発展させるために必要な、俯瞰的な視点を持つリーダーの育成に適しています。人材育成にリフレクション教育を取り入れると、組織の成長が期待できるでしょう。この機会にぜひ、リフレクション教育の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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