- 更新日 : 2026年8月28日
有給休暇管理表とは?作成義務・保管期間・書き方をわかりやすく解説するには?
有給休暇管理表は、年10日以上の有給が付与される全労働者を対象に、基準日・日数・時季の3項目を記録して作成・保管が義務付けられた帳票です。
- 必須記載は基準日・日数・時季の3項目
- 保管期間は原則5年(当面は3年)
- 未取得は罰金リスク、管理表で証明必須
Q. 有給休暇管理表を作成しないと罰則はある?
A. 管理表の未作成自体に直接の罰則はありませんが、年5日の時季指定義務に違反した場合は30万円以下の罰金が科される可能性があります。
有給休暇管理表とは、労働基準法に基づき年次有給休暇の取得状況を記録するための帳票です。2019年4月の法改正により、年10日以上の有給休暇が付与される労働者には年5日以上の取得が義務付けられ、企業は年次有給休暇管理簿(有給管理簿)を作成・保管する必要があります。本記事では作成義務の内容、保管期間、書き方、罰則の有無までを整理して解説します。
有給休暇管理表とは?
有給休暇管理表とは、労働者ごとの年次有給休暇の取得状況を明らかにするために使用者が作成する帳票のことで、法律上は「年次有給休暇管理簿」とも呼ばれます。様式やフォーマットの指定はありませんが、記載すべき項目は法令で定められています。
根拠となるのは労働基準法施行規則第24条の7です。使用者は労働者ごとに時季・日数・基準日を明らかにした書類を作成し、有給休暇を与えた期間中および期間満了後の一定期間保存しなければならないと定められています。
参考:労働基準法施行規則(第二十四条の七)|e-Gov法令検索
記載すべき3つの項目(基準日・日数・時季)
有給休暇管理表に必須の記載項目は「基準日」「日数」「時季」の3つです。この3項目のいずれかが欠けていると、法令が求める管理簿としての要件を満たしません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基準日 | 労働者に年10日以上の年次有給休暇が付与された日 |
| 日数 | 付与された有給休暇の日数、または取得した日数 |
| 時季 | 実際に有給休暇を取得した具体的な日付・期間 |
基準日は入社日を起点に算定されるため、入社時期が異なる従業員が複数いる場合は、基準日も従業員ごとに異なる点に注意が必要です。
参考:労働基準法施行規則(第二十四条の七)|e-Gov法令検索
有給休暇管理表と年次有給休暇管理簿の違い
結論として、両者は基本的に同じ書類を指す呼称の違いにすぎません。法令上の正式名称は「年次有給休暇管理簿」ですが、実務では「有給休暇管理表」「有給管理表」「有休管理表」といった呼び方も広く使われています。
呼称は異なっても、記載すべき項目や保管義務の根拠となる法令は共通です。社内文書や社労士とのやり取りで名称の揺れがあっても、指している対象は同一であると理解しておくとよいでしょう。
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有給休暇管理表の作成はなぜ義務なのか?
有給休暇管理表の作成が義務付けられているのは、2019年施行の改正労働基準法により、年5日の年次有給休暇取得(時季指定義務)が企業に課されたためです。取得状況を客観的に記録しておかなければ、義務の履行を証明できません。
作成義務が生じるタイミング
有給休暇管理表の作成義務は、実際に労働者へ年次有給休暇が付与・取得されたタイミングで発生します。労働者が年次有給休暇の取得権を得た時点ではない点に注意しましょう。
もっとも、実務上はあらかじめフォーマットを用意し、付与のたびに随時記録を追加していく運用が一般的です。取得のたびに作成していては後追いの管理になりやすいため、事前準備を前提とした運用が望ましいとされています。
管理対象となる従業員の範囲
管理対象は、年次有給休暇が10日以上付与される全労働者です。正社員に限らず、パートタイムやアルバイトなど雇用形態を問わず対象となります。
管理監督者や一般社員といった役職の違いも問われません。一方で、年次有給休暇の付与日数が10日未満の従業員は対象外であり、繰り越しによって結果的に10日を超えた場合でも管理対象にはなりません。
| 雇用形態 | 管理対象になる条件 |
|---|---|
| 正社員 | 年次有給休暇付与日数が10日以上 |
| パート・アルバイト | 所定労働日数の条件を満たし、付与日数が10日以上 |
| 管理監督者 | 役職に関わらず付与日数が10日以上なら対象 |
有給休暇管理表の保管期間はどれくらい?
有給休暇管理表の保管期間は原則5年間ですが、当面の間は経過措置により3年間とされています。保存期間は有給休暇を与えた期間の満了後から起算します。
参考:労働基準法施行規則(第二十四条の七)|e-Gov法令検索
原則5年・経過措置で3年となる理由
保管期間が原則と異なるのは、2020年施行の改正民法による消滅時効の見直しに合わせて法定保存期間が延長された一方、賃金台帳など他の労務関連書類との整合性を保つための経過措置が設けられているためです。
経過措置がいつまで続くかは明示されていませんが、将来的に原則の5年に統一される可能性を踏まえ、余裕を持って長期保存できる体制を整えておくと安心です。保存期間満了後は破棄することも可能ですが、労務トラブルに備えて慎重に判断するとよいでしょう。
有給休暇管理表を作成しない場合、罰則はある?
有給休暇管理表そのものの未作成・未保管に対する直接的な罰則はありません。ただし、時季指定義務に違反した場合など、関連する法令違反には罰則が科される可能性があります。
有給休暇管理表は、労働基準監督署の調査時に義務履行を証明する資料として機能します。管理表がなければ、正しく有給休暇を取得させていることを説明できず、結果的に是正指導や罰則のリスクが高まります。
時季指定義務違反時の罰則
年5日の時季指定義務に違反した場合、企業には罰則が科される可能性があります。労働基準法第119条・第120条にそれぞれ根拠があります。
| 違反内容 | 罰則 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合 | 30万円以下の罰金 | 労働基準法第120条 |
| 労働者が申請した時季に有給休暇を与えなかった場合 | 6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 労働基準法第119条 |
| 時季指定について就業規則に記載していない場合 | 30万円以下の罰金 | 労働基準法第120条 |
参考:労働基準法(第百二十条)|e-Gov法令検索 、労働基準法(第百十九条)|e-Gov法令検索
時季変更権の行使が認められる条件
企業が労働者の希望する取得時季を変更できる「時季変更権」は、事業の正常な運営を妨げる場合に限り認められます。単なる繁忙期という理由だけでは行使が認められない点に注意が必要です。
有給休暇管理表の作り方は?
有給休暇管理表の作成は、基準日・日数・時季の3項目を軸に、対象者の抽出から取得状況の記録までを段階的に進めることで、漏れのない管理が可能になります。作成方法自体は紙・エクセル(Excel)・勤怠管理システムのいずれでも法令上問題ありません。
以下、実務でよく採用される作成手順をSTEPごとに解説します。
STEP1 対象者の抽出
まず、年次有給休暇が10日以上付与される従業員を洗い出します。正社員だけでなく、所定労働日数の条件を満たすパート・アルバイトも対象に含める必要があります。
対象者の抽出漏れがあると、管理簿の作成義務そのものを履行できていないことになるため、雇用形態や勤続年数を人事データと突き合わせて確認しましょう。
STEP2 基準日・付与日数の入力
対象者ごとに、有給休暇が付与された基準日と付与日数を記録します。入社時期が異なる従業員が多い場合、基準日を統一して管理する方法(一斉付与方式)を採用すると事務負担を軽減できます。
一斉付与方式は、全社または部署単位で基準日をそろえる運用であり、労使協定に基づく計画的付与とあわせて活用されるケースもあります。
STEP3 取得日(時季)の記録
有給休暇を取得した日付を、取得のたびに記録します。半日単位で取得した場合は0.5日として日数に反映させ、時間単位取得を認めている場合はその旨がわかるよう区別して記載します。
取得記録が曖昧だと、年5日の取得義務を満たしているかどうかの判定が困難になります。取得日ごとに即時反映する運用を徹底しましょう。
STEP4 残日数と取得義務達成状況の確認
付与日数から取得日数を差し引き、残日数と年5日取得義務の達成状況を随時確認します。未達成の従業員がいる場合は、期限までに時季指定を行う必要があります。
エクセルで管理する場合、残日数の自動計算にはSUM関数が活用できます。付与日数のセルから取得日数の合計を差し引く数式を組んでおけば、入力のたびに手計算する手間を省けます。
紙・エクセル・勤怠管理システムの作成方法比較
作成方法は主に紙・エクセル・勤怠管理システムの3種類があり、それぞれメリットとデメリットが異なります。従業員数や運用体制に応じて選択するとよいでしょう。
| 作成方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 紙 | 導入コストがかからず、すぐに始められる | 従業員数が多いと管理が煩雑になりやすい |
| エクセル(Excel) | テンプレートを活用でき、関数で自動計算が可能 | 従業員ごとにファイル管理が必要で、更新漏れのリスクがある |
| 勤怠管理システム | 自動付与・自動集計・アラート機能などで効率化できる | 導入・運用コストが発生する |
従業員数が多い企業や、複数拠点で人事管理を行う企業では、勤怠管理システムを活用することで有給休暇管理表の作成・更新にかかる工数を大きく削減できます。
有給休暇管理表の無料テンプレートはどこで入手できる?
有給休暇管理表には様式の指定がないため、無料で配布されているテンプレートを活用すれば、法令に沿った項目をゼロから設計する手間を省けます。基準日・日数・時季の3項目があらかじめ組み込まれたテンプレートを選ぶことがポイントです。
厚生労働省をはじめ、各種勤怠管理システムを提供する事業者も無料テンプレートを配布しています。自社の運用に合わせてカスタマイズしながら活用するとよいでしょう。
年次有給休暇管理帳のテンプレート – 無料でダウンロード
ここまでで紹介した通り、有給休暇管理表には様式やフォーマットの指定はありません。しかし、有給休暇の取得については労働基準法で細かく規定されているため、基準日・日数・時季等を明確化し法令に基づき管理する必要があります。様式やフォーマットが適切でないと法令違反に繋がるため、十分注意してフォーマットを作成しなければなりません。
一方、関連法の細かな規定を全て把握しフォーマットを作成する作業や、定期的に改定される法令に合わせてフォーマットを修正する作業は大きな負担となります。そこで、マネーフォワード クラウドでは無料で利用可能なテンプレートを作成しました。年次有給休暇管理帳のテンプレートは以下からダウンロードできます。このテンプレートを活用し、法令順守と業務効率化を是非実現してください。
▼ 年次有給休暇管理帳のテンプレートはこちらから無料でダウンロードできます
有給休暇管理表を正しく整備し、時季指定義務を確実に履行しよう
有給休暇管理表は、年次有給休暇の基準日・日数・時季を記録し、年5日の時季指定義務を履行していることを証明するための重要な帳票です。保管期間は原則5年、当面は経過措置で3年とされており、未作成自体に直接の罰則はないものの、時季指定義務違反には罰金等のリスクが伴います。紙・エクセル・勤怠管理システムのいずれかを選び、基準日から残日数まで漏れなく管理する体制を整えましょう。
よくある質問
有給休暇管理表とはなんですか?
有給休暇管理表とは、年次有給休暇を正しく管理するための帳票です。10日以上の有給休暇を付与された労働者には年5日以上の有給休暇を取得させなければならず、有給休暇管理表で適切に管理する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
有給休暇管理表の保管期間について教えてください。
有給休暇管理表の保管期間は、改正民法における消滅時効に則り原則5年間です。ただし、当面の間は経過措置として、賃金台帳などとあわせて3年間となっています。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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