• 作成日 : 2022年11月18日

マイナンバーで病歴は分かる?マイナ健康保険証スタート後は?

2015年に導入されたマイナンバーは、社会保障や税務処理などに利活用されています。さらに、2021年からはマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになりました。政府はより良い医療の提供を謳っていますが、マイナンバーから病歴や通院履歴はバレるのでしょうか。この記事ではマイナンバーと病歴の関わりを紹介します。

マイナンバーで病歴は分かる?

マイナンバーは正式には個人番号といい、社会保障・税務処理・災害対策に利活用されています。2021年10月からは、利便性の向上とより良い医療の提供を目的に、マイナンバーカードの健康保険証としての利用がスタートしました。政府はマイナンバーカードを利用することで医療データを一元管理し医師や薬剤師と共有することで、データに基づくより良い医療を提供できると謳っています。ここで気になるのは、マイナンバーによって過去の病歴や病院への通院履歴が第三者にバレるのかということです。マイナンバー制度の概要とマイナンバーと病歴の関係性を詳しく紹介します。

マイナンバー制度の概要

マイナンバー制度は、2015年10月にスタートした全国民に固有の個人番号を付与する制度です。行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現するための社会基盤といわれています。個人番号は通称マイナンバーと呼ばれ、社会保障や税務処理、災害対策などに利活用される固有の番号です。マイナンバーは通知カードか個人番号通知書によって通知されますが、希望者にはマイナンバーを記載したマイナンバーカードが発行されます。マイナンバーカードは行政のあらゆる手続きに活用することが可能です。

マイナンバーカード

引用:マイナンバー制度とマイナンバーカード|マイナンバーカード|総務省
参考:マイナンバー制度とマイナンバーカード|マイナンバー制度|総務省

マイナ保険証とは?

マイナンバーカードの更なる活用の一環として、2021年10月から健康保険証として利用できるようになりました。マイナンバーカードの健康保険証利用は通称マイナ保険証と呼ばれ、対象の医療機関や調剤薬局で健康保険証の代わりに利用可能です。政府はマイナ保険証を利用することで患者の負担を軽減し、データヘルスを実現できると謳っています。データヘルスとは、過去の薬剤情報や特定健診結果などの医療データを一元管理し医師や薬剤師と共有することで、データに基づくより良い医療を提供できる取り組みです。

参考:マイナンバーカードの保険証利用について(被保険者証利用について)|厚生労働省
参考:マイナンバーカードの保険証利用でみんなにいいことたくさん!|厚生労働省

マイナ保険証のメリット

マイナ保険証を利用することで、データに基づくより良い医療を受けられるなどの様々なメリットがあります。政府が掲げる主なメリットは下記の通りです。

  • 薬剤情報や特定健診結果などの医療データを共有できるため、初めての医療機関でもより良い医療が受けられます。
  • 限度額適用認定証がなくても、高額療養費制度における限度額を超える支払いが免除されます。
  • 顔認証による自動受付でスムーズに医療保険の資格確認ができ、医療機関や調剤薬局における事務処理の効率化が期待できます。
  • 医療保険の請求誤り等が減少することから、事務処理コストが削減でき持続可能な制度運営につながる見込みです。
  • 就職や転職、転居してもマイナンバーカードを健康保険証として引き続き使うことができます。

メリットの多いマイナ保険証ですが、現時点で利用できる医療機関・調剤薬局は限られるのが現状です。また、マイナ保険証を導入している医療機関は自己負担額が高くなるデメリットもあります。これは、薬剤情報や特定健診結果等の医療データを提供するという、従来の保険証にはない機能を利用するための費用です。

参考:マイナンバーカードの健康保険証利用の本格運用がスタートしました|デジタル庁
参考:データヘルス編についてもっと詳しく知りたい方は説明コラムへ|厚生労働省

マイナ保険証で病歴はわかる?

マイナ保険証を利用することで、第三者に病歴がバレることはまずありません。

例えば、会社にマイナンバーを提出済みで、持病がバレてしまわないか心配している方もいるでしょう。マイナンバーに紐づく情報は第三者が照会できないようになっているので、マイナンバーを提出したからといって持病がバレることはありません。さらに、マイナンバーカードのICチップには病歴等の情報を保持していないため、万が一マイナンバーカードを紛失しても読み取られることはないでしょう。

ただし、利用者証明用電子証明書を同時に知られてしまうとマイナポータルから特定健診の結果や薬の情報を知られてしまうため、マイナンバーカードと暗証番号を一緒に保管することは絶対に止めてください。なお、医療機関では今まで健康保険証を提出していましたが、マイナ保険証は患者自らがスキャナで読み取るだけなので提出することはありません。

マイナ健康保険証スタート後は病歴の扱いも変わる?

現在、マイナ保険証で一元管理され、医療機関・薬局および患者本人が閲覧できる医療データは下記の通りです。

  • 受診歴
    • 医療機関名
    • 受診年月日
  • 診療実績
    • 診療年月日
    • 入外等区分
    • 診療識別
    • 診療行為名(放射線治療、画像診断、病理診断、医学管理等、在宅医療のうち在宅療養指導管理料、処置のうち人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流)

上記に加え、患者本人は手術・移植歴などを含めた診療情報をマイナポータルで確認可能です。一方、傷病名の公開については賛否がある状況で、厚生労働省の討論会で議論が進んでいます。現状は診療報酬明細書、いわゆるレセプトに記載される情報に基づいてデータが管理されているため、具体的な傷病名を閲覧することはできません。マイナ保険証を利用しても過去の病歴がわかるわけではないため注意が必要です。

参考:診療情報閲覧機能でできること|厚生労働省

マイナンバーで病歴がバレることはない

マイナンバーならびにマイナンバーカードの健康保険証利用について紹介しました。

マイナンバーは全国民に付与される識別番号で、社会保障・税務処理・災害対策等に利用される固有の番号です。希望者にはマイナンバーが記載されたマイナンバーカードが発行され、あらゆる行政手続きに利用することができます。

マイナンバーカードの更なる活用の一環として、2021年10月よりマイナンバーカードを健康保険証として利用することができるようになりました。マイナンバーカードの健康保険証利用は通称マイナ保険証と呼ばれ、マイナ保険証を活用することでデータに基づくより良い医療が実現可能といわれています。薬剤情報、過去の特定健診結果、受診歴、診療実績等の医療データが一元管理され、医療機関・薬局・患者本人が閲覧することが可能です。

しかし、マイナ保険証で一元管理される医療データはレセプトに記載される情報に基づくため、現時点で傷病名を把握することはできません。将来的に傷病名が管理されるようになったとしても、マイナンバーに紐づく医療データは医療機関以外の第三者が照会することはできません。マイナンバーを会社等に提出していても、過去の病歴がバレる可能性は極めて低いため、安心してマイナ保険証を活用してください。

よくある質問

マイナンバーで病歴は分かりますか?

現時点では、マイナンバーで傷病名はわかりません。将来的に傷病名が管理されるようになったとしても、医療機関以外の第三者がマイナンバーに紐づく医療データを照会することはできないでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。

マイナ健康保険証導入後には、病歴の扱いは変わりますか?

マイナ保険証によって薬剤情報、過去の特定健診結果、受診歴、診療実績等が一元管理されます。しかし、管理される医療データはレセプトに基づくため、具体的な傷病名ならびに病歴を把握することはできません。詳しくはこちらをご覧ください。


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