- 更新日 : 2024年9月13日
有給申請は何日前まで?申請理由は自由で大丈夫?
有給休暇の取得は法律で定められた労働者の権利であり、私用など理由を問わず取得できるものです。一方で申請のタイミングには注意が必要で、会社ごとに「何日前から」と期限が決められています。申請方法も各社でルールがあるため、用紙の書き方など確認しましょう。この記事では有給申請について、申請方法や断られる場合の対応方法などを紹介します。
目次
有給休暇の申請は義務?
有給休暇を付与されている労働者は、年に5日以上申請・取得する義務があります。年次有給休暇は労働基準法で労働者への付与が義務付けられており、付与される最低日数も定められています。週の所定労働時間が30時間以上、あるいは5日以上の場合、最低10日間の有給休暇が付与されます。一方、10日以上有給休暇が付与される労働者は年5日以上取得しなくてはなりません。パートタイム労働者以外は基本的に週の所定労働時間が30時間や5日を超えるため、多くの労働者は毎年5日以上有給申請・取得する義務が生じます。
なお、労働者が有給休暇を付与されるためには6ヶ月以上勤続しつつ全労働日の8割以上出勤している必要があります。条件を満たしていない労働者は有給休暇の取得をできないため注意しましょう。
ちなみに、有給休暇の申請義務は2019年4月の法改正から発生しました。法改正以前は取得のために労働者からの申請が必須だったため、社内の雰囲気や暗黙のルールなどで有給休暇を取得できないケースが多くみられたのです。多くの労働者が有給休暇を取得できていない状況を改善すべく、法改正で使用者は労働者に有給休暇を取得させる義務を課せられました。
参考:年次有給休暇の計画的付与と取得について|厚生労働省
参考:労働基準法|e-Gov 法令検索
参考:年次有給休暇取得のススメ|宇部労働基準監督署
休暇は何日前までに申請する必要がある?
有給休暇を取得する場合、休暇当日までに申請できる期限が設けられています。法的には「いつまでに」という具体的なタイミングは定められておらず、会社ごとの規則が用いられます。多くの会社では2日から1週間前までに申請するような規則がありますが、会社や事業内容によっては2週間前などのこともあるでしょう。
有給申請のタイミングには注意が必要です。指定されている期限より遅すぎると取得できませんが、逆に早すぎても取得しづらくなります。事前の有給申請をせずに欠勤した場合、会社と欠勤理由によって有給休暇の事後取得が可能か否か変わります。自社での有給休暇申請タイミングを確認して、適切な期間を守って申請しましょう。有給休暇の申請タイミングについて以下で詳しく解説します。
有給休暇の申請タイミングが早すぎてもダメ?
有給休暇の申請はある程度早めにおこなう必要がありますが、あまりに早すぎるとトラブルの原因になるかもしれません。労働者から有給休暇を申請された会社は、その労働者がいない状態で業務を回せるように人員などを調整します。申請がぎりぎりになると調整が難しくなるため、多くの会社では有給休暇の申請にある程度の締め切りを設けています。基本的に申請が早ければ調整しやすくなりますが、あまりに早すぎると業務の予定がまだ決まっていない可能性もあります。業務予定が組まれる前から有給休暇を取得しようとすると、担当者に忘れられたり断られたりするかもしれません。
休暇の後から有給休暇を申請できる?
人や状況などによって、有給休暇を休んだあとから取得したいと考える可能性もあります。急な体調不良などで休むと、基本的には通常の欠勤として扱われます。通常の欠勤では給料が支払われないため、休んだ分収入の低下につながります。欠勤が決まってから有給休暇にできれば、収入を減らさずに休めるでしょう。
多くの場合、有給休暇の申請は事前におこなっておくよう就業規則などで定められています。一方で、病気や災害などやむを得ない事情であれば有給休暇の事後申請を認めている会社も少なくありません。就業規則に記載されていなくとも、慣例的に事後申請を認めている事例があれば認められる可能性もあります。事前に就業規則を確認したり、有給休暇に関する慣例を確認したりしておきましょう。
遊びや寝坊などの事情では、基本的に有給休暇の事後申請を認めてもらえません。会社には『時季変更権』という権利があり、有給休暇によって事業に大きな支障が出る場合は休暇のタイミングを労働者に変更させられます。有給休暇を事後申請されると時季変更権を使用できないため、原則として事後申請ができないようになっています。
有給休暇の申請方法
有給休暇の申請方法は会社ごとに異なりますが、基本的には申請書に必要事項を記入して社内の担当者まで提出します。申請書のほか、近年はメールやチャット、クラウドサービスなどを利用して有給申請できるケースもあるようです。申請書やメールなどとは異なる独自の方法を採用している場合もあります。異なるやり方で申請を受け付けている場合、自社流の申請方法を確認して、スムーズに活用できるようにしましょう。異なるやり方の例として、社内で一斉に有給休暇を取得して休業したり複数人のグループ単位で取得したりするケースなどが挙げられます。
原則として、有給休暇の取得理由を会社に伝える必要はありません。有給休暇の取得は労働者が行使できる権利であり、理由によって取得を認めない場合は違法行為にあたります。ただ、緊急の事情で有給休暇を取得したい場合は理由も伝えておきましょう。労働者の急な欠勤は業務に支障が出るため、会社の時季変更権行使によりその日の有給所得を拒否されるかもしれません。やむを得ない事情であると会社側に伝えられれば、急な欠勤にも理解を得やすくなります。可能であれば、他人に伝言を頼む形でなく担当者に直接伝えましょう。
有給休暇の申請を会社から断られたらどうする?
会社や状況などによって、有給申請を断られる可能性もあります。断られる主な理由として以下の2パターンが考えられるでしょう。
- 申請から休暇当日までの感覚が短すぎる
有給申請のタイミングが遅すぎると会社側に時季変更権を行使されるかもしれません。会社はあらかじめ決めた予定に合わせて事業を進めるため、有給休暇により労働者の出勤状況が急に代わると事業に悪影響が生じます。会社は予定を守るために時季変更権を用いて、申請したタイミングでの有給取得を断る可能性があります。
有給申請は可能な限り早めにおこないましょう。休暇までの日数に余裕があれば、会社側も予定を調整しやすくなります。急な事情であれば理由を伝えて、事情に対する理解を得ましょう。
- 会社として労働基準法を守っていない
会社のなかには、労働基準法を順守せずに有給申請も受け付けない悪質なものも存在します。有給休暇の取得を合理的な理由なく拒否した場合、使用者には6ヶ月以下の懲役か30万円以下の罰金が科せられます。会社が時季変更権など正当な権利を行使せずに有給申請を断ってきた場合、労働者は一人で悩まずしかるべき場所に相談しましょう。主な相談対象として『労働組合』『労働基準監督署』『弁護士』などが挙げられます。いずれに依頼する場合も、有給申請を断られたとわかる証拠の確保が重要です。
有給休暇は必ず取得する必要がある
労働者の有給休暇取得について、取得義務・タイミング・申請方法・断られた場合の対応方法などを紹介しました。有給休暇の取得は労働者に認められた権利であり、使用者に課せられた義務です。申請するタイミングを考えつつ、適切に休暇を取得して活用しましょう。万が一会社から違法行為やハラスメントと思われる対応を取られたら、味方を増やして法的手段に訴える必要が生じるかもしれません。
なお、アルバイトやパートタイム労働者など正社員以外の雇用形態でも有給休暇は取得できる可能性があります。勤続年数や勤務時間によって異なるため、自分や身近な人物が該当しうる場合は確認しておきましょう。
年次有給休暇申請書のテンプレート(無料)
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
よくある質問
有給休暇の申請は義務ですか?
一定基準の勤務時間を満たしている労働者に必ず付与されて、毎年5日以上申請・取得する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
有給休暇は何日前に申請すればよいですか?
会社ごとに申請の期限が設けられており、多くの場合は2日から1週間前までの申請が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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