• 更新日 : 2023年9月29日

ミッションとは?意味やビジョン・バリューとの違い、企業事例を解説

ミッションとは?意味やビジョン・バリューとの違い、企業事例を解説

ミッションとは企業に与えられた使命のことで、「存在意義」という意味でも用いられます。社会における企業のあり方や進むべき方向を示すために設定され、バリュー・ビジョンとともに「MVV」として企業の最重要課題とすべきとされています。優れたミッションの条件は「社会に受け入れられる」「強みが生かされている」「浸透しやすい」の3つです。

ミッション(Mission)とは?

ミッションは、使命や任務と訳される英単語「Mission」が元になっています。そのため、企業におけるミッションとは、その企業に与えられた使命を指します。社会においてどのような存在なのか、どのような価値を提供するのかを明確にしたもので、企業と社会の関係を示すものともいえます。その企業が社会にとって必要不可欠な存在であることを示すために設定されることから、存在意義と同じ意味で使われることも少なくありません。

企業が必要に応じて行うすべての決定において、ミッションは方向性を示す羅針盤の役割を担います。どうあるべきか、どの方向に進むべきかについての指針となるのです。

企業理念のMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)

近年、ミッションとともに注目されている言葉に「MVV」があります。どういう意味があるか、アルファベットはそれぞれ何を指しているか、知っておきましょう。

MVVとは?

近年、ミッションはビジョン(Vision)やバリュー(Value)とともに「MVV」として使われることが増えました。オーストリア出身の経営学者であるピーター・F・ドラッカーが自分自身の著書で組織における重要性を提唱したことをきっかけに、MVVは広く浸透しました。ドラッカーは「ネクスト・ソサエティにおける企業の最大の課題は、社会的な正統性の確立、すなわち価値、使命、ビジョンの確立である。他の機能はすべてアウトソーシングできる」として、MVVが企業にとって最重要課題であることを提唱しています。

ミッション(Mission)

ミッションは、単独では企業が持つ使命という意味で使われますが、MVVの中では企業が進む方向を示すために用いられます。企業が発展・成長・拡大するために、どの方向に進むべきかを示すのがミッションです。企業の存在意義や、社会に求められる企業であるためにしなければならないことを、ミッションとして設定します。

ビジョン(Vision)

ビジョンは、企業の今後の展望や将来ありたい姿を表したものです。将来なっていることが予想される姿や理想を示して、実現への道筋を明確にするために設定されます。将来像をはっきり示すことで、実現に向けて必要なものが何か明らかになるため、従業員と意識を共有するためにも用いられます。

バリュー(Value)

バリューは企業価値を示します。企業が存在して企業活動を行うことで、社会に何が提供できるかを表すものです。社会に対する企業価値を明らかにすることによって、企業・従業員が行動を起こす際の指針とすることができます。

企業において優れたミッションを設定するには?

企業の経営の安定やさらなる発展、社会的地位の向上のためには、優れたミッションを設定する必要があります。どのような方法でミッションを設定すれば、優れたミッションになるのでしょうか?優れたミッションの条件と設定のポイントを紹介します。

社会に受け入れられるか

ミッションの条件として、まず人々に必要とされていることが挙げられます。必要とされていないミッションは、いくら素晴らしい内容であっても、社会に受け入れてもらえません。多くの人から求められているミッションこそが社会に受け入れられ、優れたものといえます。人々や社会が何を求めているかを把握し、それに応えるミッションを設定することが大切です。

会社の強みを生かすことができるか

ミッションは、会社の強みを生かしたものでなければなりません。そのため、「自社だからこそ、社会で問題になっていることを解決できる」という内容であることが求められます。会社の強みとは他社との違いでもあるため、差別化を意識してミッションを設定することが重要です。

組織や従業員に浸透しやすいか

ミッションには、社会における企業の立ち位置や進むべき方向を示すという役割もあります。経営陣・従業員が一丸となって企業活動を行うためには同じ意識で働く必要がありますが、ミッションによって意識の共有が図られます。意識の共有が容易になるよう、浸透しやすいことも優れたミッションの条件といえるでしょう。

企業と個人におけるミッションの違い

企業ミッションは組織全体の目的や価値、目標を表す声明といえます。企業ミッションは従業員や顧客、株主、社会に対して、企業がどのような存在であるかを明確に伝えるためのものです。

一方で個人ミッションは、個人が自分自身に対して設定した目標や価値、目的を表す声明です。個人ミッションは、キャリアの方向性や人生の目的を明確にするのに役立ちます。

ミッションについて参考になる企業事例

優れたミッションを設定、成長・発展を実現している企業の事例を紹介します。

楽天グループ株式会社

楽天はミッションに「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」、ビジョンに「グローバルイノベーションカンパニー」、バリューに「楽天主義」を掲げています。さまざまなイノベーションによる革新的なサービスで、人々の暮らしや社会に貢献するサービスを生み出しています。

キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングスはミッションに「キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、『食と健康』の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します」、ビジョンに「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」、バリューに「熱意・誠意・多様性(Passion. Integrity. Diversity.)」を掲げています。育んできた技術により、夢と志を持って一歩進んだ食と健康のスタイルを提案し、世界中の人々の健康・楽しさ・快適さへの貢献を目指しています。

株式会社メルカリ

メルカリは「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに、「Go Bold(大胆にやろう)」「All for One(全ては成功のために)」「Be a Pro(プロフェッショナルであれ)」の3つをバリューに掲げています。2021年1月に導入した人事評価制度では、会社が従業員に期待している貢献を明確にした上で評価を行っています。

スターバックスコーヒージャパン株式会社

スターバックスはミッションに「人々の心を豊かで活力あるものにするために―― ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティーから」を掲げており、その達成に向けた行動指針を「OUR VALUES」としています。「従業員の成長はミッションとバリューに理解・共感するところから始まる」との考えに基づいて、エンゲージメント向上に向けたさまざまな取り組みを入社当初から行っています。

株式会社串カツ田中ホールディングス

串カツ田中はミッションに「世界中を串カツ田中ホールディングスのファンに!!」、ビジョンに「会社のミッションに共感している社員が、世界一目を輝かせて働ける会社をつくる」、バリューに「すべては1本の串カツから始まる」を掲げています。2021年に人事制度を改定し、目の前の成果だけでなくプロセスも評価する体制を構築しています。

ミッションで社会における存在意義を高め、企業価値の向上を図ろう

ミッションとは企業に与えられた使命のことで、多くの場合は存在意義と同じ意味で使われます。社会との関係を示すもので、どのようにあるべきか、どの方向に進むべきかを示すものとして設定します。

優れたミッションを設定するためには、「社会に受け入れられるか」「会社の強みを生かすことができるか」「組織や従業員に浸透しやすいか」を考慮することが重要です。拡大や成長を続けている企業のミッションを参考にすると、どのようなミッションが企業の発展に結びつくか、理解できるでしょう。優れたミッションを設定して、存在意義や企業価値の向上を図りましょう。


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