- 更新日 : 2024年7月5日
DESC法とは?アサーティブ型の意味やメリット・デメリットを例を用いて解説
DESC法とは、相手の意見の尊重と自分の主張を両立できる、ポジティブなコミュニケーション技法のことです。DESC法を活用すれば、建設的な議論が行えるでしょう。DESC法の意味やメリット、アサーティブ型などのコミュニケーションの定義などをまとめました。
目次
DESC法とは?
DESC法とは「デスク法」と読み、相手を不快な気持ちにせずに自分の主張を行い、納得感を持たせるポジティブなコミュニケーション技法のことです。
DESC法は「Describe」「Explain」「Specify」「Choose」の頭文字からつけられた名前であり、アメリカの心理学者ゴードン・バウアーらによって提唱されました。
DESC法の4つの要素
DESC法は、アサーションのプロセスを「Describe」「Explain」「Specify」「Choose」の4つの要素に分解したものです。アサーションとは、相手の気持ちを尊重しつつ自分の意見を伝えるコミュニケーションを指します。DESC法の4つの要素を、それぞれ確認していきましょう。
Describe
Describeは、「描写する」という意味の言葉です。DESC法においては、解決しようとしている課題について、客観的に置かれている状況や相手の行動を描写し、事実のみを伝えるステップです。
主観や推測を入れてしまうと、アサーティブ・コミュニケーションが成立しにくくなります。主観や推測は、相手との事実の共有を阻害する要因となるためです。また、主観が入ってしまうと、意見の衝突が起こりやすくなるため注意が必要です。
Explain
Explainのステップでは、「説明する」という意味のとおり、Describeで伝えた客観的な事実についての主観的な感情や意見を述べます。相手の状況に配慮しつつ、自分の感情や意見を率直に述べることがポイントです。
Specify
Specifyは「提案する」という意味であり、具体的かつ実現可能性の高い解決策や提案を明示します。相手を責めたり命令したりすることなく、丁寧に伝えることが大切です。
Choose
Chooseは「選択する」という意味で、提案を相手が受け入れた場合と受け入れなかった場合について、それぞれの選択肢と代替案を示します。相手の対応に応じた選択肢を、メリットとデメリットが明確になるように提示しましょう。
DESC法に関わるコミュニケーションの定義
DESC法に関して理解を深めるためには、日常的なコミュニケーションについても知っておくことが重要です。日常的なコミュニケーションは、以下の3つの型に分類されます。
- アグレッシブ型
- ノンアグレッシブ型
- アサーティブ型
DESC法は、このうちアサーティブ型に分類されます。それぞれの型の特徴を確認しましょう。
アグレッシブ型
アグレッシブ型のコミュニケーションでは、自分の意見を主張するために、相手を論破したり追い詰めたりします。また、納得できない指示や意見に対しては、自分自身が納得できるまで相手に質問を投げかける傾向もみられます。
自分の考えを通すことが最優先であるため、周囲にストレスを与えたり敬遠されたりする可能性が高いです。
ノンアグレッシブ型
ノンアグレッシブ型のコミュニケーションでは、他者の主張を優先し自分の意見や感情を後回しにします。
相手との対立は避けられるものの、相手を優先させることに主眼を置くため、誤った選択につながりやすいというデメリットがあります。また、自分の意見を主張を軽んじることにより、ストレスを抱えやすいことも特徴です。
アサーティブ型(Desc法に該当)
DESC法に該当するアサーティブ型は、自分の考えや主張を率直に伝えつつ、相手のことも尊重し主張を受け止めようとするコミュニケーションスタイルのことです。アグレッシブ型とノンアグレッシブ型の中間のタイプともいえるスタイルで、自分と相手のどちらの意見も尊重し、合意点を探ります。そのため、自分も相手もストレスを感じにくい点がメリットといえるでしょう。
DESC法の具体例
たとえば夕方に新規の仕事を依頼された際、「忙しいので無理です」と感情的に断るのは、DESC法におけるDescribeとはいえません。「◯時までに◯◯を終わらせなければならず、その仕事に充てる時間を確保できません。◯時以降でしたら対応できます」と、客観的な事実のみを描写するように伝えることが、Describeに該当します。
そして、Explainでは「余裕があれば引き受けたいと思っています。しかし、時間を確保できません。今回は対応できないことをご理解ください」というように自分の感情を伝えましょう。
次のSpecifyでは、「明日以降であれば対応できます。それでも大丈夫でしょうか」といったように、現実的な代替案の提案を行います。
最後のChooseは、代替案に対する相手の反応を踏まえ、選択肢を提示するステップです。「早急に対応できそうな、ほかの者を探しましょうか?」「今日中の対応が必須であれば、ほかの業務の期限を変更できるか確認します」などと伝えます。
DESC法のメリット
DESC法の主なメリットは、以下のとおりです。
- 説明内容を簡潔に分かりやすくできる
- 建設的な議論ができる
各メリットを解説します。
説明内容を簡潔に分かりやすくできる
DESC法を用いると、簡潔に分かりやすく説明できます。相手とのやり取りを行う際、自分の頭の中である程度整理しながら順序立てて説明することになるため、聞く側も理解しやすいといえるでしょう。
建設的な議論ができる
建設的な議論が実現することも、DESC法のメリットです。お互いの意見を尊重しつつ、最終的に折衷案を見つけていく方法によって、お互いがストレスを感じにくく建設的な議論になりやすいといえます。
DESC法のデメリット
DESC法のデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 特定の意見を強く主張はできない
- 複数の意見を用意する必要がある
それぞれの内容をみていきましょう。
特定の意見を強く主張はできない
DESC法では、特定の意見を強く主張することは難しいでしょう。強く主張したい意見であっても、あくまでも提案として伝えるしかありません。相手の意見や主張が明らかに破綻しているような場合には、不向きな手法といえるでしょう。
複数の選択肢を用意する必要がある
自分の提案を押し通すことは不可能であるため、提案を断られるケースを考慮して、複数の選択肢を用意しておかなければならないことも、DESC法のデメリットです。複数の選択肢を用意するのには時間を要することから、結論が出るのが遅くなる可能性があります。
DESC法が光る場面
- 仕事を断る時
- 意見の食い違いがあった時
- 面接での活用
- プレゼンテーションの構成作り
それぞれの場面について解説します。
仕事を断る時
DESC法は、代替案を提示して、双方が納得できる落とし所を探るのに適しています。そのため、対応が難しい仕事を断る時に使うとよいでしょう。「引き受けられない代わりに、対応できそうなほかの者を探してもよいか」といったように、相手の状況を考慮した提案ができます。
意見の食い違いがあった時
会議中などに意見の食い違いが発生した際も、DESC法が役立ちます。事実を客観的に述べた後に自分の主張や提案を提示し、相手からの反応に応じた選択肢を示すという一連のプロセスによって、双方がストレスを最小限に抑えながら建設的に話し合いを行えるためです。
自分の主張を押し通した場合、相手との関係性が悪化するリスクがありますが、DESC法であれば関係を壊さずに意見を伝えられます。
面接での活用
DESC法は、面接でも活用できるでしょう。たとえば、応募者に対してプレッシャーをかけて反応を見極める圧迫面接であっても、DESC法を用いれば切り抜けられる可能性が高まります。応募者の反応をうかがうための質問に対して、不快な感情をあらわにしたり本気で怒ったりすると、感情のコントロールが苦手であると判断されてしまいかねません。
しかし、DESC法を活用すれば、筋道を立てて意見を伝える必要があるため、伝える過程で自然と感情をコントロールしやすくなります。
プレゼンテーションの構成作り
DESC法は、プレゼンテーションの構成作りにおいても有効です。とくに問題解決型のプレゼンテーションの構成作成において、効果を発揮します。たとえば、Describe(描写)のステップでは、客観的かつ重要な事実を伝えられます。主観に基づいて問題提起を行うよりも、相手の納得感を得られやすくなるでしょう。
DESC法を使用するうえでの注意点
ここからは、DESC法を使用するうえでの注意点をご紹介します。
客観的な視点を維持する – 感情的になりすぎない
DESC法を使用する際は、客観的な視点を維持し、感情的にならないように意識しましょう。DESC法は自分の考えや主張を率直に伝えつつ、相手のことも尊重し主張を受け止めようとする、アサーティブ型のコミュニケーションスタイルです。相手の意見を受け入れるために、常に客観的かつ冷静にやり取りをすることが欠かせません。
納得をゴールにしない
DESC法は相手に納得感を与えやすい方法ではあるものの、すべてのケースで納得してもらえるわけではありません。相手の納得を引き出すことばかりを意識すると、強引なコミュニケーションとなってしまう可能性があります。納得を得られない場合もあることを考慮し、代替案を用意しながらアプローチを行う必要があります。
DESC法以外の手法
DESC法以外の表現手法として、PREP法とSDS法があります。いずれもDESC法と似ているとされる手法ですが、構成に違いがあることを押さえておきましょう。ここからは、PREP法とSDS法について解説します。
PREP法
PREP法とは、結論から先に述べていく方法です。「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(実例・具体例)」「Point(結論)」の4つの単語の頭文字を取って名付けられました。
結論から述べ、最後に再びまとめとして結論を述べるため、話の要点が分かりやすく聞き手にストレスを与えません。プレゼンや営業のほか、就職活動や上司への報告などでも使用されます。
SDS法
SDS法とは、内容の詳細についての理解を促す表現方法です。構成は、名称の頭文字の通り「Summary(要点)」「Details(詳細)」「Summary(要点)」の順番で、要点から伝えることが特徴です。ニュース番組やスピーチ、プレゼンなどで使われる手法で、聞き手が状況の詳細を把握しやすい点がメリットといえるでしょう。
PREP法は何故その結論なのか、結論を重視する方法であるのに対し、SDS法は要点(結論)もさることながら、その過程やストーリー自体を重視する点が異なります。
DESC法を活用して建設的な議論を行おう
DESC法とは、相手を尊重しながら自分の主張を行い、納得感を持たせるコミュニケーションの技法のことです。アサーションのプロセスを「Describe」「Explain」「Specify」「Choose」の4つの要素に分解した手法で、それぞれの単語の頭文字から名付けられました。
DESC法を活用したコミュニケーションを用いることで、従業員一人ひとりが率直な意見を出し合えるようになるでしょう。DESC法を用いて、建設的な議論を行っていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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