• 作成日 : 2023年2月10日

試用期間中に解雇はできる?不当解雇になるのかを解説

社員としての適性を判断するため、新規採用者に対して試用期間を設けることは一般的に認められています。試用期間中は通常よりも広い範囲での解雇が認められているものの、理由によっては不当解雇と判断されます。また入社後14日を過ぎてから解雇する場合は、通常の解雇と同じように解雇予告や解雇通知書といった手続きが必要です。

試用期間中でも解雇はできる

試用期間中は、通常の場合よりも広い範囲の理由で対象社員を解雇することが認められています。また、労働基準法は「試みの使用期間」として、14日以内であれば通常の解雇手続きを行わずに解雇することを認めています。

本採用拒否とは

本採用拒否とは、試用期間が終了する時点で社員としない決定を下すことです。正式に採用することを拒否するもので、本採用拒否をした後の対応には退職と試用期間延長があります。試用期間の延長は原則としてできませんが、試用期間の多くを病欠したといった特別な理由があり、労働者が同意した場合は認められます。

試用期間とは

試用期間とは、新たに雇い入れた従業員に対して設ける、お試し期間のことです。1ヵ月や3ヵ月などの期限を設けて、自社の正社員とすることが相応しいかどうかを見極めるために設けられます。どの程度の期間を試用期間とするかは法律などで規定されておらず、企業は任意で試用期間の長さを定めることができます。ただし、労働者の身分が安定しないことから長過ぎる試用期間は社会通念上問題があるため、一般的には3ヵ月程度とされています。

試用期間中の労働契約

試用期間中に企業と労働者の間で締結される労働契約は、「解約権留保付労働契約」であると解されています。解約権留保付労働契約とは、企業に解約する権利が付与されている労働契約のことです。労働者にとっては不利な条件の労働契約ですが、解約権留保付労働契約であっても会社は自由に従業員を解雇できるわけではありません。従業員を正式に採用することができないことが社会通念上認められなければ、試用期間中でも解雇はできません。

試用期間中の解雇が成立するもの

試用期間中に解雇してもやむを得ないと認められるケースには、どのようなものがあるのでしょうか。解雇が成立するケースや条件などを見てみましょう。

能力不足

業務遂行に必要な能力が不足している場合は、試用期間中の解雇が認められます。外国語でのやり取りが必須であるのにも関わらず語学力が十分でない場合や、試用期間中に課されていた課題を完遂できなかった場合などが、能力不足に該当します。

病気やケガで復職が難しい

試用期間中に病気やケガで休業し、復職できなかった場合も解雇が認められます。ただし、一定期間の休業により復職できる可能性がある場合に、試用期間中だからといって即座に解雇すると、不当解雇になる可能性があります。また、労災の場合は解雇制限が適用されます。

経歴の詐称

応募の際に提出する書類に虚偽を記載していた場合も、経歴の詐称として試用期間中に解雇できます。履歴書に学歴や職歴、賞罰などについて虚偽を記載していた場合や、職務経歴書に実際は経験したことのない職務を偽って記載していた場合などが、経歴の詐称に該当します。特に、業務遂行に欠かせない資格を保有していないのにも関わらず資格保有と申告していた場合には、重大な経歴詐称として取り扱うことができます。

勤務態度や協調性の欠如

勤務態度が悪い場合や協調性に乏しい場合も、試用期間中の解雇が認められます。勤務態度が悪い場合とは、遅刻や欠勤を繰り返したり、就業中に真面目に業務に取り組まなかったりすることを指します。正当な理由がないのに勤怠状況が悪い、指示に従わない、素行が悪いといった問題があり、注意や指導を行っても改善が見られなければ、試用期間中の解雇もやむなしと判断されます。
また協調性がなく、周囲の人と協力できないような場合も試用期間中の解雇ができます。協調性の欠如は、当該従業員の業務遂行だけでなく他の業務にも支障をきたすことがあるため、解雇理由とすることができます。

試用期間中の解雇で不当解雇となる可能性があるもの

新規採用者は「会社にまだ慣れていない」「環境の変化に対応中である」といった理由で、能力を十分に発揮できない状況にあると考えられます。このようなことを考慮しない以下のような解雇は、不当解雇と判断される可能性があります。

新卒採用者に対しての「能力不足」

新卒採用者は学校を卒業したばかりで、社会人経験がありません。未経験者が経験者と比べて能力的に劣っているのは当然で、新卒採用者に対して能力不足を理由に試用期間中に解雇することは不当とみなされる可能性があります。

結果だけを理由にしている

新卒採用者だけでなく中途採用者に対しても、仕事の結果が芳しくないことのみを理由に試用期間中の解雇を行うことは認められません。仕事の結果は労働者の能力だけに左右されるものではなく、会社が望む結果ではなかったとしても、それだけで労働者の能力が不足しているとは判断できないからです。仕事の結果は、例えば営業であればマーケットの状況やライバルの動向など、さまざまなものの影響を受けます。乾姜によって求められる結果を出せない場合もあり、一概に能力不足と決めつけることはできません。入社したばかりで能力を発揮できない部分もあるため、結果だけを理由とする試用期間中の解雇は不当解雇とされます。

指導を行わないまま解雇する

試用期間は解約権留保付労働契約が締結されているとされ、試用期間経過後よりも幅広い理由での解雇が認められます。しかし、試用期間中の解雇が幅広い理由で認められているのはc、ミスマッチに早く気付いて対処するためです。例えば、能力が求めていた基準に達していなくても、十分な指導を行わないうちに解雇の決定を下すのは、正当性を欠きます。試用期間中の解雇を検討する際は、十分に指導した上で判断しなければなりません。 

試用期間中の解雇手続き

試用期間中に正当な理由がある場合でも、従業員の解雇にあたっては所定の手続きが求められます。労働基準法は、従業員解雇の際には解雇予告を行うことを規定しています。試用期間14日以内の場合は予告なしの即時解雇が可能ですが、トラブルにならないよう注意する必要があります。

解雇予告

解雇予告とは労働基準法第20条の規定により、会社が従業員を解雇する際に行わなければならない事前告知のことです。会社は30日前までに従業員に解雇することを告げるか、30日分の賃金を解雇予告手当として支払わなければなりません。

労働基準法第20条(解雇の予告)
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

試用期間中14日以内であれば即時解雇が可能ですが、14日を超えた場合は解雇予告や解雇予告手当支払いを行う必要があります。

解雇通知書

解雇通知者は、従業員に解雇を告げるために作成・交付する書類です。解雇は口頭で告知しても成立しますが、証拠が残らないためトラブルになることも考えられます。解雇通知書の作成・交付には解雇の正当性を示して、トラブルを未然に防ぐ効果があります。記載する内容は、従業員の氏名や解雇日、解雇理由などです。

試用期間中でも解雇はできるが不当解雇にならないように気を付けよう

新規採用者をいきなり正式採用とするのではなく、試用期間を設けて様子を見ることは一般的に認められています。労働基準法においても14日間は試みの使用期間として、解雇予告を行わずに解雇できるとしています。そのため、実際には3ヵ月程度とされることが多い試用期間中であっても14日を超えて働くことになった場合は、解雇にあたって解雇予告や解雇予告手当が必要になります。
試用期間は社員としての適性を判断するため設けられているため、広い範囲での理由で解雇できるとされています。しかし、新規採用者ならではの性質を無視した理由での解雇は不当解雇とみなされるため、注意しましょう。

よくある質問

試用期間中に解雇はできる?

試用期間中の解雇は可能ですが、相応の理由が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

試用期間中の解雇で不当解雇となるものは?

指導を行わない、結果だけで判断するなどによって試用期間中に解雇すると、不当解雇となることがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


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