• 作成日 : 2022年9月30日

給料から社会保険料が引かれる額 – 具体例を用いて解説

給料から社会保険料が引かれる額 - 具体例を用いて解説

社会保険料は毎月給与から天引きで徴収されるため、いくら引かれているのか金額を気にしたことはないかもしれません。社会保険の引かれる額が上がるタイミングは毎年9月頃です。加えて、大幅に給与が変動した場合はその都度保険料が増減します。この記事では、社会保険料が引かれる額について具体例を用いて解説しましょう。

給料から社会保険料が引かれる額は?

社会保険は健康保険と厚生年金保険からなり、40歳以上65歳未満の被保険者は介護保険の保険料も負担しなければなりません。これらに労災保険、雇用保険からなる労働保険をあわせて広義の社会保険と呼ばれることもあります。ここでは狭義の社会保険、すなわち健康保険・介護保険と厚生年金保険に的を絞り、社会保険料がいくら引かれるのかを紹介していきましょう。

社会保険料とは

社会保険料は健康保険料と厚生年金保険料からなり、毎月給与から天引きで徴収されます。保険料の負担は労使折半で、天引きされた金額の倍額を保険料として、所属先企業から日本年金機構に毎月納付しなければなりません。

保険料は4月から6月までの3ヶ月間の平均報酬である「報酬月額」から決定される「標準報酬月額」に基づき算定されます。報酬には毎月の給与のほか、役職手当・住宅手当・家族手当・月割りの通勤手当なども含まれるため注意しましょう。一方、お祝い金やお見舞い金、出張旅費など一時的に支給されるものは含まれません。

標準報酬月額は、健康保険では第1等級から第50等級、厚生年金保険では第1等級から第32等級に分類されているので、報酬月額と照らし合わせて確認してください。

なお、以前は賞与には社会保険料が課されませんでしたが、公平な保険料の負担を目的に「総報酬制」が導入され、賞与にも保険料が課されるようになりました。年3回以下の賞与は、税引前の賞与総額から千円未満の端数を差し引いた「標準賞与額」を算定基礎に保険料が算出されます。なお、年4回以上の賞与は月割りで標準報酬月額の対象報酬に算入されるため注意しましょう。

参考:標準報酬月額・標準賞与額とは?|全国健康保険協会
参考:標準報酬月額の決め方|全国健康保険協会
参考:標準報酬月額、賞与等|日本年金機構

社会保険料の計算方法

算定基礎である標準報酬月額、もしくは標準賞与額に保険料率を乗じた金額が社会保険料です。

健康保険の保険料率は都道府県別に毎年改定されており、各健康保険組合から提示されています。40歳以上65歳未満の介護保険第2号被保険者は介護保険料も加算されるため注意しましょう。介護保険の保険料率は全国一律です。

厚生年金保険の保険料率は2004年から段階的に引き上げられてきましたが、2017年で引き上げが終了し、全国一律18.3%となっています。保険料の計算方法は下記の通りです。

  • 健康保険料
    毎月の健康保険料=標準報酬月額×保険料率(健康保険料率+介護保険料率)
    賞与の健康保険料=標準賞与額×保険料率(健康保険料率+介護保険料率)
  • 厚生年金保険料
    毎月の厚生年金保険料=標準報酬月額×保険料率(18.3%)
    賞与の厚生年金保険料=標準賞与額×保険料率(18.3%)

なお、健康保険料と介護保険料、厚生年金保険料は労使折半なので、上記計算式で求めた保険料の半額が自己負担額となります。

参考:令和4年度保険料額表(令和4年3月分から)|全国健康保険協会
参考:協会けんぽの介護保険料率について|全国健康保険協会
参考:厚生年金保険の保険料|日本年金機構
参考:厚生年金保険料率の引上げが終了します|厚生労働省

給料が10万円の場合の社会保険料

ここからは実際にいくら社会保険料が引かれるのかを計算していきます。

まず、月の給料が10万円の場合の社会保険料です。ここでは4月から6月までの3ヶ月間の平均総支給額も10万円とします。東京都の企業に勤めており、介護保険制度の対象ではない労働者の2022年8月現在の社会保険料は下記の通りです。

なお、社会保険料の一部として、児童福祉に係る「子ども・子育て拠出金」も合わせて徴収されるため注意しましょう。子ども・子育て拠出金は全額会社負担で、拠出金率は0.36%です。

  • 健康保険料
    98,000円(標準報酬月額:第5等級)×(9.81%÷100)(健康保険料率)=9,613.8円
    9,613.8円(健康保険料)÷2(労使折半)=4,806.9円(自己負担額)
  • 厚生年金保険料
    98,000円(標準報酬月額:第2等級)×(18.3%÷100)(厚生年金保険料率)=17,934.0円
    17,934.0円(厚生年金保険料)÷2(労使折半)=8,967.0円(自己負担額)
  • 子ども・子育て拠出金
    98,000円(標準報酬月額)×(0.36%÷100)(拠出金率)=352.8円
  • 社会保険料
    9,613.8円(健康保険料)+17,934.0円(厚生年金保険料)=27,547.8円
    27,547.8円+352.8円(子ども・子育て拠出金)=27,900.6円(総納付額)
    27,547.8円(社会保険料)÷2(労使折半)=13,773.9円(自己負担額)

上記27,900.6円が会社から日本年金機構に社会保険料として納付する金額、13,773.9円が自己負担額です。

参考:令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表|全国健康保険協会

給料が20万円の場合の社会保険料

続いて月の給料が20万円の場合の社会保険料を計算してみましょう。4月から6月までの3ヶ月間の平均総支給額も20万円とします。前章同様、東京都の企業に勤めており、介護保険制度の対象ではない労働者の2022年8月現在の社会保険料です。

  • 健康保険料
    200,000円(標準報酬月額:第17等級)×(9.81%÷100)(健康保険料率)=19,620.0円
    19,620.0円(健康保険料)÷2(労使折半)=9,810.0円(自己負担額)
  • 厚生年金保険料
    200,000円(標準報酬月額:第14等級)×(18.3%÷100)(厚生年金保険料率)=36,600.0円
    36,600.0円(厚生年金保険料)÷2(労使折半)=18,300.0円(自己負担額)
  • 子ども・子育て拠出金
    200,000円(標準報酬月額)×(0.36%÷100)(拠出金率)=720.0円
  • 社会保険料
    19,620.0円(健康保険料)+36,600.0円(厚生年金保険料)=56,220.0円
    56,220.0円+720.0円(子ども・子育て拠出金)=56,940.0円(総納付額)
    56,220.0円(社会保険料)÷2(労使折半)=28,110.0円(自己負担額)

上記56,940.0円が会社から日本年金機構に社会保険料として納付する金額、28,110.0円が自己負担額です。

参考:令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表|全国健康保険協会

給料が30万円の場合の社会保険料

最後に月の給料が30万円の場合の社会保険料を計算します。4月から6月までの3ヶ月間の平均総支給額も30万円です。東京都の企業に勤めており、介護保険第2号被保険者の2022年8月現在の社会保険料は下記のようになります。

  • 健康保険料
    300,000円(標準報酬月額:第22等級)×{(9.81%+1.64%)÷100}(健康保険料率+介護保険料率)=34,350.0円
    34,350.0円(健康保険料)÷2(労使折半)=17,175.0円(自己負担額)
  • 厚生年金保険料
    300,000円(標準報酬月額:第19等級)×(18.3%÷100)(厚生年金保険料率)=54,900.0円
    54,900.0円(厚生年金保険料)÷2(労使折半)=27,450.0円(自己負担額)
  • 子ども・子育て拠出金
    300,000円(標準報酬月額)×(0.36%÷100)(拠出金率)=1,080.0円
  • 社会保険料
    34,350.0円(健康保険料)+54,900.0円(厚生年金保険料)=89,250.0円
    89,250.0円+1,080.0円(子ども・子育て拠出金)=90,330.0円(総納付額)
    89,250.0円(社会保険料)÷2(労使折半)=44,625.0円(自己負担額)

上記90,330.0円が会社から日本年金機構に社会保険料として納付する金額、44,625.0円が自己負担額です。

参考:令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表|全国健康保険協会

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社会保険料があがるタイミングは?

社会保険料があがるタイミングは、毎年9月頃もしくは給与に大幅な変動があった時です。

社会保険の算定基礎である標準報酬月額は、毎年7月に所管の年金事務所に「被保険者報酬月額算定基礎届」を提出することで決定されます。これは「定時決定」と呼ばれ、4月から6月までの3ヶ月間の平均報酬から標準報酬月額を決める手続きです。定時決定された標準報酬月額は9月から適用され、有効期限は翌年8月末までの1年間となります。

年度の途中で2等級以上変動するような大幅な給与の増減があった場合は、その都度「随時改定」という手続きで標準報酬月額は見直されるため注意しましょう。社会保険料が変更になるのは、定時決定もしくは随時改定されたタイミングです。

参考:定時決定(算定基礎届)|日本年金機構
参考:随時改定(月額変更届)|日本年金機構

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労使負担割合を理解し社会保険料の自己負担額を把握しよう

社会保険の自己負担額について紹介しました。社会保険料は毎月給与から天引きされているため、保険料をあまり意識していないかもしれません。健康保険・厚生年金保険は労使折半なので、天引きされた金額の倍額が社会保険料です。社会保険料は毎年9月頃もしくは給与が大幅に増減したタイミングで変更されます。当記事を参考に労使負担割合や保険料率を理解し、社会保険料の自己負担額を正しく理解しましょう。

よくある質問

給料が30万円の場合、社会保険料が引かれる額はいくらですか?

44,625.0円です。なお、社会保険料は労使折半なので、会社が日本年金機構に納付する保険料は倍額の89,250.0円に子ども・子育て拠出金1,080.0円を足した90,330.0円となります。 詳しくはこちらをご覧ください。

社会保険料があがるタイミングについて教えてください。

毎年9月の定時決定、もしくは大幅に給与が増減した際に実施される随時改定のタイミングで社会保険料が変更されます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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