• 更新日 : 2023年6月16日

コミュニケーションとは?意味や能力を鍛える方法、コミュ不足による失敗例を解説

コミュニケーションは、人々が感情や思考を伝える手法です。同じ企業で働く従業員の間の情報共有だけではなく、働きやすい職場作りや、信頼できる関係性の基盤ともなります。

ここでは、コミュニケーションの意味について解説するとともに、職場でのコミュニケーションの重要性やコミュニケーション不足の解消法について紹介します。

コミュニケーション能力とは?

コミュニケーションとは、感情や考えていること、情報などを受け取り、または伝えあうことをいいます。相手に対して、自分の気持ちを言葉に表すことや、分かりやすく説明することは、円滑な人間関係を築く上で重要となる能力です。コミュニケーションを上手く取るスキルは、若い世代の間では「コミュ力」とも呼ばれ、友人関係や就活など、さまざまな場面で役に立ちます。

コミュニケーションの意味

Communicationの語源は、ラテン語でのコミュニス(Communis)だと言われています。これには、「同じものを持つ、あるいは共通したもの」という意味があります。コミュニケーションは、感情や思考を伝達する手法です。また、『広辞苑』の定義では、「社会生活を営む人間のあいだで行われる知覚や感情、思考の伝達」とされています。

コミュニケーションを取る重要性

コミュニケーションを取ることは、信頼関係の構築や醸成、情報共有の円滑化という点で重要です。

【コミュニケーションが重視される理由】

  • 相手の気持ちが分かることで信頼関係が構築される
  • 必要な情報がタイムリーに伝達される
  • 相手の思考を理解し、望んでいる行動を予測することができる

また、人間は本質的に集団で生活する社会的な生き物です。争いを避け、生産性を上げるためには、他者とコミュニケーションを取ることを避けることはできません。他者とつながり、社会的承認を得るためにも、コミュニケーションを取ることは重要であるといえます。

コミュニケーション能力が高い人の特徴

コミュニケーション能力が高い人は、言語化能力に優れているだけではなく、聞く(聴く)力に長けているという特徴があります。また、コミュニケーション能力は、技術を学び、実践し、鍛えることで、後天的に高めることが可能です。

聞く(聴く)力に長けている

コミュニケーション能力が高い人が優れているのは、「相手の話を聴く力」です。話上手な人というのがひと昔前の「コミュ力の高い人」でしたが、現代、とくに職場でのコミュニケーションでは、相手の話を聴く「傾聴力」が重要となります。

なぜなら、コミュニケーションは双方向のものであり、相手の気持ちや考えを尊重することが、良質なコミュニケーションの第一歩となるからです。「この人と話していると気持ちがいいな」「話しやすいな」と周囲から思われる人は、相手の話を遮らずに最後まで聴いたり、相手の意見を否定しないといったスキルに長けています。

質問力に優れ、相手の話を引き出すことができる

「質問がうまい」というのも、コミュニケーション能力が優れている人の特徴です。質問をするとき、相手に興味を持ち、理解しようとする立場から発言すれば、会話は弾むでしょう。コミュニケーション能力が優れている人は、「どんな質問が場に適しているのか」「どんな質問で話を引き出すことができるか」を考えてタイムリーに発言することができます。

言語化能力に優れている

コミュニケーション能力の高い人は、自分の気持ちを言語化するだけではなく、相手の思考の言語化にも優れています。相手が言葉選びに困っているときなど、すかさず適切な言葉で言語化することで、相手を理解しようとする姿勢を伝えることができます。ただし、相手の気持ちの言い換えや要約は、やりすぎると相手の話を遮ることにもつながるため、注意が必要です。

相手に共感できる

相手への共感を示すことは、相手の心を開くことにつながります。「理解してもらえる」という実感を相手が持つため、信頼関係が築きやすくなるのです。「場を盛り上げよう」「楽しいことを言おう」という表面的なコミュニケーションではなく、「相手を理解しよう」という気持ちが、コミュニケーションの本質といえます。

職場でコミュニケーションを取る重要性やメリット

近年、テレワークの普及によりリモートワークが増加したことから、職場でのコミュニケーションのあり方も変化しています。働き方に合わせてコミュニケーションを取ることは、チームの生産性向上につながります。また、仕事をただの労働で終わらせず、一人一人の働きがいを向上させるためにも、特にマネジメント層は良質なコミュニケーションについて考えることが大切です。

チームワークが向上する

良質なコミュニケーションは、チームワークを向上させます。お互いにどんな仕事をしているか、何を思って仕事をしているのかなどは、同じオフィスで働いていても理解するのは困難です。近年では、動画ミーティングやスケジュールの共有ガジェットなど、離れていても円滑なコミュニケーションが図れるツールが発達しています。定期的なコミュニケーションを重ねることで、メンバー同士の理解が深まり、チームワークが向上します。

職場の生産性が上がる

コミュニケーションを頻繁に取らない職場では、業務のミスが発生する可能性が高くなります。また、ミスが発生した原因が共有されないため、同じようなミスが繰り返し発生することもあるでしょう。コミュニケーションを普段から取り、情報を円滑に共有することで、業務の重複や抜け漏れを防ぎ、生産性を向上させることができます。

人間関係のトラブルが減少する

他者の理解が足りないという状況は、人間関係でのトラブルを招きやすくなります。「〇〇さんばかり優遇されている」というような、不平・不満の声が従業員から出れば、職場の雰囲気は悪くなるでしょう。

評価面談の際、評価の結果だけではなく、背景なども細かく伝えるようにすれば、部下の不満解消に効果的です。コミュニケーションを取ることは、職場での人間関係のトラブルを予防するだけではなく、従業員の不満解消にもつながります。

コミュニケーション不足による職場のトラブル

コミュニケーションが不足している組織では、同じようなミスが発生しやすくなります。また、テレワークやリモートワークを導入している企業では、目的を明確にしたコミュニケーションが効果的です。ここでは、コミュニケーション不足がもたらす職場のトラブルを紹介します。

業務のミスが発生しやすくなる

情報伝達などに問題がある場合、業務上のミスが発生しやすくなります。たとえば、電話で伝言を受けた場合、どのような方法で相手に伝えるかが明確になっていない職場では、伝言ミスが発生するかもしれません。また、「これは誰かがやっているだろう」というような思い込みは、発注ミスや対応ミスにつながることもあります。ミス防止には、互いの業務状況を可視化し、こまめな情報伝達が重要です。

新しいアイディアや意見が生まれにくくなる

コミュニケーションが不足している職場では、発言しづらい雰囲気が生まれてしまいます。特に若手や経験の浅い従業員は日頃から話を聞いてもらえる経験が少ないため、発言を遠慮してしまい、その結果、新しいアイディアや意見が生まれにくくなります。コミュニケーション不足は、中長期的な視点でみれば、企業のイノベーションを阻害することになりかねません。

ハラスメントが慢性化するなど職場の問題が解消されない

発言が少ない、発言しても受け入れてもらえないなど、コミュニケーション不足が常態化している職場では、問題が明るみになるまで時間がかかることがあります。一例として挙げられるのが、パワハラやセクハラ、孤立感・孤独感によるメンタル不調などの問題です。

近年、テレワークにより人と接することが少なくなったことから、うつ病などのメンタル不調により従業員が休職するケースが増えています。上司やチームメンバーとの良質なコミュニケーションが欠けているため、問題が発覚し解決するまでに時間がかかることが、その原因の1つといえるでしょう。なかには、不平不満を内に秘め、何も言わずに職場を去ってしまうケースも考えられます。

コミュニケーション不足を解消する策

職場でのコミュニケーション不足を解消するには、対面のコミュニケーションを増やすほか、効果的にITツールを活用することが重要です。コミュニケーションを解消する方法について解説します。

対面コミュニケーションを増やす

リモートワークが普及した現代では、メールやチャット、動画でのコミュニケーションが一般的になりました。一方で、向かい合って話す対面コミュニケーションの情報量には敵わないという声もあります。

対面コミュニケーションでは、目線や話し方、表情や顔色、声、雰囲気などから言葉以上の情報を受け取ることができます。また、職場でのコミュニケーション不足を解消するためには、上司や部下の縦のコミュニケーションだけではなく、チーム間の横のコミュニケーション、部署を横断したコミュニケーションなど、コミュニケーションが取れるラインを増やすことが重要です。

ITツールの活用ルールを決める

コミュニケーションを活性化する方法として、近年注目されているのがITツールの活用です。ビジネスチャットやSNS、テレビ電話など、メール以外に活用できる社内専用ツールは、気軽に文章や画像を送り合うことができ、ミーティングや業務の打ち合わせ、業務報告に適しています。

ただし、ITツールを活用するには、活用ルールを社内で浸透させることが重要です。「業務連絡は結論から話す」「ダイレクトメールは使用しない」というルールを設けることで、遠隔でのコミュニケーションミスを防ぐことができます。

目的を明確にしたコミュニケーションを取る

やみくもにコミュニケーション不足を解消するのではなく、目的を明確にすることも重要です。たとえば、近年取り入れる企業が増えている「1on1ミーティング」では、評価面談とは異なり、「部下の話を聞く場である」と目的を共有することで、場の形骸化を防ぐことができます。

職場のレクリエーションや全社会にも同様のことがいえます。「何のためのコミュニケーションか」を明確にすることで、効果的なコミュニケーションを促進することができるでしょう。

コミュニケーション能力をあげる方法

コミュニケーションスキルは、鍛えることができます。伝える力や聴く力を伸ばすことができれば、他者からの信頼を得やすくなるでしょう。ここでは、コミュニケーション能力を上げる方法について解説します。

相手の話を否定しないことを心がける

コミュニケーションを取るなかで、相手の考えが自分の考えと違うと感じることは珍しくありません。しかし、思いついたことをすぐに言葉にしては、相手の話を遮ってしまいます。相手も、「話を聞いてもらえなかった」と不満が残ることでしょう。

相手の話を聞く際、聴くことに専念する姿勢が、良質なコミュニケーションの一歩となります。相手を否定しないことと、相手の考えを100%受け入れることは違います。否定しなくても、相手の気持ちや思考を理解することは可能です。相手の話をまず受け入れるというワンステップを踏むことで、一方的な意見の押し付けではなく、双方向の会話が生まれます。

相手の言葉や動作に合わせて話す

話しやすい雰囲気作りには、相手の声のトーンや動作に合わせて会話することが大切です。こうした行為はミラーリングと呼ばれ、相手に同調することは安心感を与えます。また、目を合わせて話をする、適切なタイミングで相槌を打つ、相手の言葉を繰り返すというテクニックを用いることで、相手に「否定されていない」「安心して話ができる」という心理的安全性を生み出すことができます。

自己開示をする

相手の話を聞くだけではなく、自己開示も良質なコミュニケーションにつながります。とくに、上司や先輩など、職場で上の立場にある人が、自己の弱みや失敗談について話すことは、部下の緊張をほぐすことにつながります。「こんなすごい人でも、そんな時代があったのか」と親近感を抱き、相手との距離を縮める効果があります。

コミュニケーション不足の解消は職場の生産性向上につながる

コミュニケーションは、相手と信頼関係を築くうえで重要です。とくに職場では、チームの生産性向上やメンバーのモチベーションに影響します。

コミュニケーション能力は、研修などの訓練で磨くことができます。相手の話を遮らない、挨拶をこまめにするなど、日頃の取組みが円滑なコミュニケーションにつながるでしょう。


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