• 更新日 : 2023年8月18日

フリーアドレスとは?目的や利点、必要な設備を解説!

近年、企業が効率性向上や柔軟な働き方の実現を目指す中で、「フリーアドレス」が注目を浴びています。従来のような決められた座席ではなく、従業員が自由に席を選べるこのスタイルが、社内環境の改革として導入されるケースが増えています。

本記事では「フリーアドレス」の定義や目的、メリット・デメリット、導入手続き、注意点などについて詳しく解説します。

フリーアドレスとは?働き方の仕組み

フリーアドレスとは、従業員が自由に席を選択できるオフィス環境のことです。従来のオフィスでは、各従業員に決められた席が割り当てられていましたが、フリーアドレスでは従業員がその日の業務やニーズに応じて席を選びます。フリーアドレスでは、席の選択をコンピューターや予約システムを通じて行うこともあります。

フリーアドレスにする目的

フリーアドレスは、以下のようにさまざまな目的で導入されています。

柔軟性と協働促進

フリーアドレスは、従業員が自由に座席を選ぶことで柔軟性を提供し、異なるチームや部門間のコラボレーションを促進します。従業員は、必要に応じて同僚と情報共有や意見交換を容易に行うことができます。

スペース効率化

席が決まっている場合、その従業員が不在の時には空席が発生します。フリーアドレスでは空いている席をいつでも誰でも利用できるため、オフィスのスペースを有効に使えます。これによってスペースの無駄が減り、コスト削減や環境負荷の軽減にもつながります。

柔軟なワークスタイルの促進

フリーアドレスは、従業員の自律的なワークスタイルを提供します。従業員は自身の業務内容に合わせて席を選択できるため、作業効率や生産性の向上が期待できます。また、フリーアドレスはリモートワークやフレックスタイムなどの柔軟な働き方とも相性が良く、働き方の多様化を促進します。

カルチャーやブランド価値の強化

フリーアドレスは、企業のカルチャーやブランド価値を反映する要素としても活用できます。オープンなコラボレーションを重視する企業やイノベーションを推進する企業は、フリーアドレスを採用することで、そのメッセージを社内外にアピールすることができます。

フリーアドレスのメリット

前述のとおり、フリーアドレスにはさまざまなメリットがあります。改めて整理すると、以下の4つが主な目的であり、メリットといえます。

  1. 柔軟性と協働促進
  2. スペース効率化
  3. 柔軟なワークスタイルの促進
  4. カルチャーやブランド価値の強化

フリーアドレスのデメリット

フリーアドレスには、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

コミュニケーションの問題

フリーアドレスでは従業員同士の心理的・物理的な距離が近くなる一方で、一部の従業員にとっては集中力の低下やプライバシーの欠如など、コミュニケーションに関する問題が生じる場合があります。

席争いやストレス

席を自由に選択できるため、環境が良い場所や特定の設備がある場所を選ぶ人が多い時は、席争いが発生することがあります。また、毎日席を選ぶことによるストレスや、席の変更が頻繁に行われることによる安定感の欠如もデメリットといえるでしょう。

ファシリティと管理の課題

フリーアドレスでは予約システムを導入したり、席の識別方法を定めたりする必要があります。また、従業員が毎日異なる場所に座るため、ネットワーク接続や電源の確保など、ファシリティの提供や管理に課題が生じる可能性もあります。

フリーアドレスにする際の手続き・進め方

メリットとデメリットがあるフリーアドレスですが、実際に導入する場合はどのように進めていけばよいのでしょうか。

社内制度の変更・設定

フリーアドレスを導入する際は、社内制度の変更や設定が必要です。

① オフィス利用ポリシーの策定

フリーアドレスの利用に関するポリシーを策定し、従業員に周知する必要があります。席の利用方法や予約システムのルール、共有スペースの利用条件などを明確に定め、従業員が利用に関するガイドラインを把握できるようにします。

② 予約システムの導入

フリーアドレスでは、従業員が席を予約する仕組みが必要です。適切な予約システムを導入し、従業員が席を選択・予約できる環境を整えます。予約システムは使いやすく、席の空き状況をリアルタイムで表示する機能を備えているものを選びましょう。

③ プライバシーに関するルールの設定

プライバシーの確保も重要です。従業員が機密情報を取り扱う場合や、集中して作業を行う必要がある場合は、プライバシーブースや集中作業スペースなど、適切な場所を設ける必要があります。

オフィス環境の構築

フリーアドレスを実現するためには、適切なオフィス環境を構築しなければなりません。

① 適切な席の配置

オフィス内の席の配置は、従業員のニーズやコラボレーションの促進を考慮して慎重に行います。集中作業スペースやコミュニケーションエリア、共有スペースなど、異なる目的に合わせたスペース・エリアを設けることが重要です。

② 快適なワークスペース

フリーアドレスでは、従業員が自由に席を選ぶことができます。快適なワークスペースを提供するために、デスクやチェアの品質や調整機能に注意し、職場環境の快適さを保ちましょう。

③ コミュニケーションツールとテクノロジー

フリーアドレスの導入には、コミュニケーションツールやテクノロジーの活用も必要です。ビデオ会議システムやチャットツール、共有ドキュメントなど、コラボレーションと情報共有をサポートするツールを導入し、従業員のコミュニケーションを円滑にしましょう。

従業員への利用方法についての周知

フリーアドレスの利用方法について従業員に周知する必要があります。その際は、以下の点に注意しましょう。

① 社内コミュニケーション

フリーアドレスの導入に関する情報を適切に伝えるために、社内メールや社内ポータル、社内会議などのコミュニケーションチャネルを活用します。利用方法やポリシーの変更についてわかりやすく説明し、従業員の理解を促します。

② トレーニング

新入社員や異動者に対しては、フリーアドレスの利用方法についてのトレーニングを行うとよいでしょう。席の予約方法や共有スペースの利用方法などを丁寧に教育し、スムーズな導入を支援します。

③ ユーザーガイドやマニュアルの提供

フリーアドレスに関する利用方法やルールをまとめたユーザーガイドやマニュアルを作成し、従業員に配布します。利用方法や予約システムの手順などが、わかりやすく説明されているものを作成しましょう。

フリーアドレスと固定席はどちらがよい?

前述のとおり、フリーアドレスにはメリットとデメリットがあります。固定席とフリーアドレスは、どちらがよいのでしょうか。以下の項目に分けて比較してみましょう。

コミュニケーションとコラボレーション

フリーアドレスでは従業員が席を自由に選べるため、異なる部門やチームのコミュニケーションとコラボレーションが促進されます。一方、固定席では情報共有や意見交換が制限される場合があります。フリーアドレスは、コミュニケーションとコラボレーションの活発化に役立つといえるでしょう。

柔軟性と自律性

フリーアドレスでは、従業員が自由に席を選ぶことができます。これにより、従業員は自身の業務内容に合わせて柔軟に働くことができます。一方、固定席では従業員の席があらかじめ決まっているため、柔軟性や自律性が制限されることがあります。フリーアドレスは、従業員のワークスタイルに合わせた柔軟な働き方に寄与します。

スペース効率とコスト削減

フリーアドレスでは、オフィスのスペースを最適化できます。無駄なスペースが減るため、オフィスを効率的に利用できるでしょう。一方、固定席では従業員に決められた席が割り当てられているため、その従業員が不在の時は空席が発生します。フリーアドレスは、スペース効率とコスト削減においても有利といえるでしょう。

プライバシーと集中力

固定席では従業員がそれぞれ席を持つため、比較的容易にプライバシーや集中力を確保できます。一方、フリーアドレスでは席の選択が自由であるため、周囲の騒音や他の従業員の動きによっては集中力が低下する場合があります。固定席は、プライバシーと集中力の維持において有利といえます。

フリーアドレスと固定席には、それぞれにメリットとデメリットがあるため、企業の特性や目標に合わせて慎重に選択する必要があります。

コミュニケーションと柔軟性を重視する場合はフリーアドレス、プライバシーや集中力の確保を重視する場合は固定席が適しています。状況に応じて、適切な選択を行うことが大切です。

フリーアドレスにする上での注意点

フリーアドレスを導入する場合、どのようなこと注意すればよいのでしょうか。

席数が足りるかどうか

フリーアドレスを導入する際は、十分な席数が確保されているかどうかを慎重に確認する必要があります。従業員が自由に席を選ぶことができるため、需要に応じた席数を確保しなければ不足が生じるからです。

席の不足は従業員の不満やストレス、生産性の低下につながる可能性があります。従業員の数やオフィスのスペースを鑑みて、適切な席数を確保することが大切です。

チームのコミュニケーションが阻害されていないか

フリーアドレスでは席を自由に選べるため、チームのコミュニケーションが阻害される可能性があります。チームメンバーが遠く離れた席や別のエリアの席に座ることで、円滑なコミュニケーションが図れなくなる場合があります。

これを防ぐために、必要に応じてチーム専用のエリアや共有スペースを設けることを検討しましょう。また、コミュニケーションツールの活用や、定期的なチームミーティングなどのサポートも有効です。

フリーアドレスの目的や利点・必要な設備について知っておこう!

フリーアドレスの定義や目的、メリット・デメリット、導入手続き、注意点などについて解説しました。

フリーアドレスを導入する際は、従業員の意見を十分に反映させることが大切です。適切な運用と柔軟な調整を行うことで、フリーアドレスは生産性向上と働きやすい環境の実現に寄与するでしょう。


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