• 更新日 : 2026年10月5日

所得税の支払い方法をどう選ぶ?7つの納税方法と納付期限・延滞税対策

Point所得税の支払い方法は何種類ある?

所得税の支払い方法は振替納税・ダイレクト納付・クレジットカード納付など7種類あり、手数料や上限額が異なります。

  • 国への納付に決済手数料がかからないのはクレジットカード納付以外の6方法です。ただし、インターネットバンキング・ATMでは金融機関の利用手数料がかかる場合があります。
  • スマホ・コンビニ納付は30万円以下限定
  • 期限超過で最大年9.1%の延滞税が発生

Q. 手数料なしでおすすめの納付方法は?

A. 振替納税かダイレクト納付。国への納付手数料は不要で、振替納税は利用可能額に原則として制限がなく、ダイレクト納付も金融機関ごとの取扱可能金額などを確認する必要があります。

所得税の支払い方法は、振替納税やダイレクト納付、クレジットカード納付など7種類があり、手数料や利用限度額はそれぞれ異なります。本記事では所得税の納税方法の特徴と選び方、納付期限、期日までに支払えない場合の猶予制度・延納制度まで、バックオフィス担当者向けに整理して解説します。

所得税の支払い方法にはどんな種類がある?

所得税の支払い方法(納税方法)は、振替納税、ダイレクト納付、インターネットバンキング・ATM納付、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、QRコードによるコンビニ納付、金融機関・税務署窓口での現金納付の7種類です。

国税庁はキャッシュレス納付の利用拡大を進めており、現金納付以外にもオンラインで完結する複数の納付方法が用意されています。どの方法にも一長一短があるため、自分の事業スタイルや納税額に合わせて選ぶことが大切です。以下でそれぞれの特徴を解説します。

振替納税(口座振替)

振替納税とは、事前に金融機関の口座を登録しておくことで、所得税を自動的に口座引落しで納付できる方法です。

利用するには「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」をe-Taxまたは税務署・金融機関の窓口に提出します。引っ越し等で所轄税務署が変わる場合は「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」の提出が必要ですが、確定申告書第一表の「振替継続希望」欄に○を付ければ、届出書なしで振替納税を継続できます。

一度手続きをすれば翌年以降も自動的に振替納税が行われるため、支払い忘れを防止できます。ただし振替日に口座残高が不足していると、法定納期限の翌日から延滞税が発生するため、事前の残高確認が欠かせません。参考として、令和7年分の所得税等の振替日は2026年4月23日(木)と公表されており、通常の納付期限より1カ月ほど資金準備の余裕が生まれます。

参考:【税金の納付】|国税庁

ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)

ダイレクト納付とは、e-Tax(国税電子申告・納税システム)で申告書を送信した後、届出済みの口座から即時または指定日に電子納付する方法です。

利用には事前にe-Taxの利用開始手続き、納税用確認番号等の登録、ダイレクト納付利用届出書の提出が必要です。個人はオンライン提出が可能ですが、法人は書面での提出となります。

  1. 納付情報データを作成・送信する
  2. 納付区分番号通知の画面でダイレクト納付を選択する
  3. 今すぐ納付するか、納付日を指定するかを選ぶ
  4. 引き落とし口座を選択し、内容を確認する
  5. メッセージボックスの完了通知で納付結果を確認する

2024年4月からは、法定納期限にあらかじめ登録した口座から自動的に引き落とされる「自動ダイレクト」機能も始まり、都度の納付操作が不要になりました。申告から納付までをオンラインで完結したい人に向いています。

参考:G-2-2 ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)の手続|国税庁

インターネットバンキング・ATM納付

インターネットバンキング(ネットバンキング)やATMでも、e-Tax経由で所得税を電子納付できます。

ATMでの支払いは「Pay-easy(ペイジー)」対応の金融機関に限られます。事前にe-Taxの利用開始手続きと納税用確認番号等の登録を済ませ、納付情報データを送信後、収納機関番号「00200」などを入力して支払う流れです。普段からネットバンキングやペイジー対応ATMを利用している人には便利ですが、対応していない金融機関の口座では利用できない点に注意しましょう。

クレジットカード納付

クレジットカード納付とは、「国税クレジットカードお支払サイト」で情報を入力し、クレジットカード決済で所得税を納める方法です。

納付できる金額は1回の手続きにつき1,000万円未満、かつ利用するクレジットカードの決済可能額以下(決済手数料を含む)です。決済手数料は納付税額1万円ごとに99円(税込、実質手数料率は約0.99%)が加算される仕組みで、金額が大きいほど手数料も増えます。

ポイント還元のあるクレジットカードを使えば納税額に応じてポイントを貯められる一方、手数料負担や利用できるカードブランドの制限がある点はデメリットです。

参考:クレジットカード納付のQ&A|国税庁

スマホアプリ納付

スマホアプリ納付とは、e-Taxの受信通知経由で「国税スマートフォン決済専用サイト」にアクセスし、PayPayやd払いなどのスマホ決済アプリで納付する方法です。

利用できるのは納付税額30万円以下の場合に限られます。対応するPay払いはPayPay、d払い、au PAY、メルペイ、楽天ペイの5種類です(2026年1月3日にAmazon Payの取り扱いが終了しました)。

2025年2月からはアクセス方法がe-Tax経由に一本化され、30万円を超える税額を複数回に分けて納付する運用も実質的にできなくなりました。

手軽な一方、限度額を超える納税額がある人や、まとまった金額を一括で納めたい人には不向きです。

参考:スマホアプリ納付のQ&A|国税庁

QRコードによるコンビニ納付

QRコードによるコンビニ納付とは、自宅等で作成したQRコードをコンビニの端末で読み取らせ、出力された納付書をレジに持参して現金で納める方法です。

納付できる金額は30万円以下に限られ、対応するコンビニはローソン・ナチュラルローソン・ミニストップの「Loppi」設置店舗、ファミリーマートの「マルチコピー機」設置店舗のみです。QRコードは国税庁の「コンビニ納付用QRコード作成専用画面」または確定申告書等作成コーナーで作成できます。24時間いつでも利用できる手軽さがある一方、クレジットカードや電子マネーは使えず、現金の用意が必要です。

参考:No.9209-2 コンビニ納付(QRコード)|国税庁

金融機関・税務署窓口での現金納付

納付書を持参し、金融機関や税務署の窓口で現金により所得税を支払う、最も古くからある納付方法です。

インターネット操作やキャッシュレス決済に不慣れな人でも安心して利用できますが、窓口の対応時間内でしか納付できません。なお、キャッシュレス納付の普及に伴い、令和6年5月送付分から、e-Taxで申告する法人や一部の個人については納付書の事前送付が取りやめとなっています。該当する場合は自身で税務署から納付書を取り寄せるか、他の納付方法への切り替えを検討しましょう。

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所得税の支払い方法はどう選べばいい?

手数料の有無や利用限度額、日頃使っている決済手段との相性で選ぶのが基本です。支払い方法によって手数料や上限額が異なるため、自分の納税額やライフスタイルに合わない方法を選ぶと余計な手間や費用が発生しかねません。

支払い方法 手数料・利用可能額 おすすめの人
振替納税 手数料不要/利用可能額に制限なし 支払いを口座振替に統一し、手続きの手間を省きたい人
ダイレクト納付 手数料不要/金融機関ごとに取扱可能金額が異なる場合あり 申告から納付までe-Taxで一括完結したい人
インターネットバンキング・ATM 国への納付手数料不要(金融機関によっては別途利用手数料がかかる場合あり)/限度額は金融機関により異なる 普段からPay-easyやATMをよく使う人
クレジットカード納付 決済手数料あり(1万円ごとに99円税込)/1,000万円未満 クレジットカードのポイントを貯めたい人
スマホアプリ納付 手数料不要/30万円以下 日常的にPay払いを利用している人
QRコードコンビニ納付 手数料不要/30万円以下 現金納付派だが窓口対応時間に行きにくい人
窓口現金納付 手数料不要/利用可能額に制限なし シンプルで分かりやすい方法を希望する人

参考:国税にはどんな納付方法があるの?|政府広報オンライン

毎年の手続きの手間を減らしたい人は、初回の届出だけで継続利用できる振替納税やダイレクト納付が向いています。クレジットカード納付は会計ソフトと連携できるものが多く、仕訳の自動化にも役立ちます。納付税額が30万円以下であれば、スマホアプリ納付やQRコードコンビニ納付が手軽です。自身の納税額と普段の決済手段の相性を踏まえて、最適な納税方法を選びましょう。

所得税の納付期限はいつ?

所得税の確定申告分の納付期限は原則として翌年3月15日で、期限が土日祝日にあたる場合は翌開庁日にずれます。予定納税がある人は、第1期分を7月中、第2期分を11月中に納める必要があります。

実際の期限は年によって前後します。たとえば令和7年分(2025年分)の所得税等の納期限は2026年3月16日(月)でした。

振替納税を選んでいる場合は、実際の口座引落しが行われる「振替日」がこれより1カ月ほど後ろ倒しになります。令和7年分の振替日は2026年4月23日(木)と公表されています。ただし振替日まで納税義務が消えるわけではなく、法定納期限自体は変わらない点に注意しましょう。

振替納税を選んだ場合の納付期限

振替納税を利用している場合、実際に口座から引き落とされる振替日は、通常の納付期限よりおよそ1カ月遅くなります。

令和7年分の所得税等の振替日は2026年4月23日(木)、消費税及び地方消費税は2026年4月30日(木)です。確定申告ぎりぎりで納税額が想定より多くなった場合でも、振替納税なら資金準備の猶予が生まれます。

参考:【税金の納付】|国税庁

納付期限までに支払えなかった場合はどうなる?

所得税を納付期限までに支払えなかった場合、納付が遅れた日数に応じて延滞税が課されます。

延滞税の割合は毎年見直されており、令和8年中は納期限の翌日から2カ月以内が年2.8%、2カ月を超えると年9.1%です。

延滞税は「本税×利率×延滞日数÷365」で計算され、納付が遅れるほど負担が大きくなります。振替納税やダイレクト納付を利用している場合も、口座残高が不足していれば同様に延滞税の対象となるため、引落日前の残高確認が重要です。

参考:No.9205 延滞税について|国税庁

所得税の支払いが期日までに難しい場合はどうすればいい?

納税が困難な場合は、「猶予制度」または「延納制度」を活用することで、延滞税の負担を抑えながら納付時期を調整できます。どちらも国税庁が定める正式な制度で、要件を満たせば延滞税の軽減・免除や納付期限の延長を受けられます。

猶予制度

猶予制度には、主に「換価の猶予」と「納税の猶予」があります。

換価の猶予は、国税を一時に納付することで事業の継続や生活の維持が困難となるおそれがある場合など、一定の要件を満たすと、原則として1年以内の期間、納付を猶予してもらえる制度です。申請による換価の猶予は、原則として納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請する必要があります。

納税の猶予は、災害、病気・負傷、事業の休廃業など、一定の事情に該当する場合に、納税を猶予してもらえる制度です。申請期限などは適用される制度や事情によって異なります。猶予が認められた場合、猶予期間中の延滞税が免除または軽減される場合があります。

対象は確定申告分だけでなく、予定納税や中間申告分、修正申告分も含まれます。許可されれば申請日以降の延滞税が軽減または免除されます。申請時期には注意が必要です。

  1. e-Taxによる電子申請
  2. e-Taxで作成した申請書類を書面で税務署へ郵送・持参
  3. 国税庁ホームページの様式をダウンロードして作成し、税務署へ郵送・持参

猶予が認められると、税務署から猶予許可通知書が送付されるため、猶予税額と猶予期間を確認しておきましょう。

参考:G-9 換価の猶予の申請手続|国税庁

延納制度

延納制度とは、納付期限(振替納税の場合は振替日)までに納付すべき所得税額の2分の1以上を納めていれば、残額の納付をその年の5月31日(5月31日が土日祝日の場合は翌営業日)まで延長できる制度です。

延納期間中は残額に対して利子税がかかりますが、令和8年中の利子税率は年1.3%で、延滞税(年2.8〜9.1%)より低く抑えられているのが特徴です。利子税は必要経費に算入できますが、延納手続きをせずに期限を過ぎてしまうと延滞税の対象となり、経費算入の扱いも異なります。

手続きは、確定申告書第一表の「延納の届出」欄に、「納める税金」欄の金額の2分の1以下の金額を記載して提出するだけです。期日までに満額を用意するのが難しいとわかっている場合は、あらかじめ延納の手続きをしておきましょう。

参考:手順5 延納の届出|国税庁

所得税の支払いは自分に合った納税方法を選んで計画的に

所得税の支払い方法には振替納税やダイレクト納付、クレジットカード納付など複数の選択肢があり、手数料や利用限度額もそれぞれ異なります。納付期限を過ぎると延滞税が発生するため、猶予制度や延納制度も踏まえながら、自身の事業スタイルに合った所得税の納税方法を早めに選び、計画的に準備を進めましょう。


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