- 更新日 : 2023年7月28日
アンコンシャスバイアスとは?定義や対策方法を学ぼう
「アンコンシャスバイアス」とは、無意識の思い込み、偏見を意味する言葉です。アンコンシャスバイアスは、日常生活や会社など、さまざまな場面で発生するとされています。
この記事では、アンコンシャスバイアスの意味や種類、企業に及ぼす影響、アンコンシャスバイアスの有無のチェック方法や解消方法について詳しく解説します。
目次
アンコンシャスバイアスとは?
アンコンシャスバイアスとは、「無意識の思い込み、偏見」を意味する言葉です。
誰かと話すときや接するときに、過去の経験、周囲の意見、日々接する情報などから「この人は○○○だからこうだろう」「普通は▲▲▲だからこうだろう」というように、無意識の思い込みや偏見によって偏った物の見方をしてしまうことを言います。
偏見との違い
偏見とは、偏った見方や考え方、客観的な根拠なしに集団や人を判断することです。一方、アンコンシャスバイアスは、自分が気づかない間に持つ偏った見方や考え方のことを言います。
偏見とアンコンシャスバイアスの違いは、事実や根拠のあるデータに基づかないところは同じですが、無意識のうちに集団や人を判断してしまうかどうかの違いになります。
バイアスとの違い
バイアスという言葉は偏見と同義語ですので、前述した偏見との違いと同じになります。
アンコンシャスバイアスの種類
アンコンシャスバイアスには、いろいろな種類があります。アンコンシャスバイアスの種類をいくつか紹介します。
ステレオタイプ
ステレオタイプバイアスとは、出身国、性別、年齢、職業など、ある属性による先入観や固定観念によって、「みんなそうだ」と判断することを言います。
<例>
- 政治家や弁護士は男性の職業、看護師や保育士は女性の職業だと思い込んでいる
- 今の若い人は常識がないと決めつけている
確証バイアス
確証バイアスとは、根拠がないにもかかわらず、自分の価値観や考えなどを肯定する情報だけを集め、否定する情報は無視、または集めようとしないことを言います。
<例>
- 一度「こうだ」と決めたことに対して聞く耳を持ちにくい
- 抗がん剤の治療に消極的な患者が、インターネットや雑誌などで抗がん剤のデメリットやリスクばかり探して「抗がん剤は危険だ」と主張する
正常性バイアス
正常性バイアスとは、危機的な状況が発生した場合でも、無意識のうちにそれを正常な範囲内であると思いこんでしまうことを言います。
<例>
- 災害警戒情報が出た地域に住んでいるにもかかわらず、「自分の家は大丈夫だ」と根拠なく思い込んでしまい、避難が遅れる
集団同調性バイアス
集団同調性バイアスとは、「周りの人と同じように行動していれば間違いないだろう」と思い込んで、周りにいる人に同調してしまうことを言います。
<例>
- 「みんながそう言っているのであれば、そうなのだろう」と思い込んでしまう
- 自分には別の意見があっても他の人の意見に合わせてしまう
現状維持バイアス
現状維持バイアスとは、変化を好まず保守的になり、現状維持がよいと思い込むことを言います。
<例>
- 「うちの会社は〇〇だから」と現在の状態を正当化し、新しい考え方を受け入れることに抵抗を感じてしまう
インポスター症候群
インポスター症候群とは、自分の成功を周りから評価されても、成功を過小評価してしまうことを言います。
<例>
- 成果を出しても「たまたま運が良かっただけ」と自分の成果だとは思わない。
アンコンシャスバイアスがあることの問題とは?
仕事上において、アンコンシャスバイアスがある場合、それを放置しておくと会社にどのような影響を与えるのでしょうか。
イノベーションの創出が阻害される
アンコンシャスバイアスを放置しておくと、管理職や上層部の意見や多数派の意見が重視されるようになり、変化を好まず保守的になります。
そうなると、集団同調性バイアスや現状維持バイアスが起き、その結果、意識や発想が硬直してしまい、イノベーションの創出が阻害されてしまうことにつながります。
ハラスメントやコンプライアンス違反が起きやすくなる
イノベーションの創出が阻害され、アンコンシャスバイアスも自覚しないままに他者に接することで、パワーハラスメントなどのハラスメントやコンプライアンス違反が起きやすくなります。
ハラスメントやコンプライアンス違反が公になると、企業価値を低下させることにもつながりかねません。
人材の流出につながる
上司などの評価者がアンコンシャスバイアスを自覚しないまま部下の人事評価を行うと、部下を正当に評価できないために、部下は公正性に疑問を持つようになります。
また、配置や昇進に関しても、アンコンシャスバイアスがあると、「このままこの会社で働き続けても成長できない」と感じてしまい、結果的に退職されて人材の流出リスクにつながることも考えられます。
これらの悪い部分の影響を生じさせないためにも、企業としてアンコンシャスバイアスを解消するにはどうすればよいか、真剣に取り組んでいくことが大事です。
アンコンシャスバイアスの有無をチェックする方法
アンコンシャスバイアスは、日常にあふれており、誰にでもあるものです。例えば、下記の例に該当する場合、アンコンシャスバイアスがあるかもしれないためご注意ください。
<例>
- 血液型で、相手の性格を想像することがある
- 「介護中の社員」と聞くと、女性のことを思い浮かべる
- 「乳がん」と聞くと、女性を思い浮かべる(男性を思い浮かべない)
- 「親が単身赴任中」ときくと、父親を思い浮かべる(母親の方ではなく)
- 「男らしく」や「女らしく」と、思うことがある
- 「日傘」は、女性がするものだと思う
- まわりが頼む飲み物にあわせて、つい「私も同じもので」と言うことがある
- 年齢、学歴、職業等の属性で、相手を見ることがある
- 挑戦する前に、「私には、きっと無理」と、思うことがある
- 「前例」が気になり、一歩踏み出せないことがある
- 評判や噂で、相手をみることがある
- 「普通は〇〇だ」「たいてい〇〇だ」という言葉を使うことがある
引用:アンコンシャスバイアスとは?|一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所
上記は、日常にあふれているアンコンシャスバイアスの有無を確認する方法のほんの一例です。場面によって変わってきますので注意しましょう。
アンコンシャスバイアスを無くすためには?解消方法
アンコンシャスバイアスがあった場合に、それを解消するための方法はあるのでしょうか。ポイントとしては、まず自分の持つアンコンシャスバイアスが相手にどのように受け取られているのか、また、それがどのような影響や問題を生じさせているのかの実態把握が重要です。
また、企業は自社の社員がそれぞれどのようなアンコンシャスバイアスを持っているのかを把握しておく必要があります。
そのうえで、アンコンシャスバイアスの解消に最も効果的なのが研修の実施です。アンコンシャスバイアス研修を行うことで、以下のような動きを起こしやすくなります。
- 自分が持っている偏見と向き合う
- これまで「常識だ」「当たり前だ」と思っていたことに疑問を抱く
- 今までの言動を改善する
その結果、アンコンシャスバイアスを解消させる方向に向けたスキルが身につき、徐々にアンコンシャスバイアスが取り払われていくようになります。
アンコンシャスバイアスの把握と解消に注力しましょう
アンコンシャスバイアスは、無意識の思い込み、偏見を意味します。そのまま放置しておくと、企業には「イノベーションの創出の阻害」「ハラスメントやコンプライアンス違反の派生」「人材の流出」といったさまざまな悪影響がもたらされる可能性があります。
アンコンシャスバイアスの有無の実態の把握や研修の実施により、アンコンシャスバイアスを解消し、従業員の多様性を尊重する企業にしていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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