- 更新日 : 2024年10月7日
産休とは?もらえるお金や取得条件、期間、会社の手続きまとめ
産休とは、産前休業と産後休業を合わせた休みのことです。産前は6週間(42日)、産後は8週間(56日)の14週間休業を取得できます。産前は雇用形態に関係なく、誰もが取得可能です。産休中は給料が払われないのがほとんどのため、出産手当金をもらい、生活します。また、健康保険料や雇用保険などは免除申請を行うため、支払いはありません。
目次
産休とは?
産休とは、産前休業と産後休業を合わせた休業の総称です。以下で、産休について解説します。
- 産休の期間
- 産前休業と産後休業の違い
- 産休の対象者
1つずつ見ていきましょう。
産休の期間はいつからいつまで
産休の期間は、産前42日(6週間)、産後56日の合計96日(14週間)です。産前は出産準備のため、産後は母体の回復のための休業です。産前休業は任意のため、休まなくても法的な問題はありません。
例えば、生まれる1週間前、または1日前まで本人が働ける状態であれば就業できます。
産後8週間は原則として勤務できませんが、本人の希望で、医者からの許可が下りれば、産後6週間後から働いてもよいとされています。
双子以上の場合、産前休業は14週間前から取得できます。産後休業は8週間休まなければいけないため、合わせて22週間取れます。同じく、産後は6週間目から就業可能です。
産前休業と産後休業の違い
産前休業とは、出産予定日の6週間前から出産予定日まで取得できる休暇のことを指します。対して、産後休業の期間は、出生後の翌日から8週間です。
もし、出産予定日より遅く生まれた場合、産前休業が長くなります。一方、出産予定日より早く生まれた場合は、産前休業は短くなる計算です。
長くなったり、短くなったりしますが、問題はないため、安心して休業できます。
産休の対象者
産休の対象者は会社に勤めている女性です。正社員やパート・アルバイトも対象となります。妊娠した人が誰もが取得できる権利として認められているのが産休です。
業務委託やフリーランスの場合は次の章で解説します。
雇用期間がある場合の産休の取得条件
雇用期間がある場合の産休の取得条件について3つのパターンで解説します。
- パート・アルバイトの場合
- 派遣社員の場合
- 業務委託・フリーランスの場合
産休は取れても、その後の育児休業は取得できない場合などがあるため、よく確認しましょう。
パート・アルバイトの場合
パート・アルバイトの場合でも、産休は取得できます。女性の権利となっているため、正社員ではないから休めないということはありません。
会社側からパートまたはアルバイトだから産休は取れないと言われることもあります。そういう時は、労働基準法で産休について確認してくださいと伝えましょう。
産休は取得可能ですが、育児休業とはまた条件が別のため、注意しなければなりません。
派遣社員の場合
派遣社員の場合、産休・育休を取得する条件として、契約が終了していないことが挙げられます。出産予定日の6週間前に派遣社員として契約が続いている必要があります。派遣社員は有期契約の場合もあるため、人材派遣会社との雇用契約の確認をしましょう。
業務委託・フリーランスの場合
業務委託の場合、会社に勤めているわけではないため、労働基準法が定める産休を取得できません。ただ、業務委託先と相談し、休みを取得することはできます。
フリーランスの場合も同じく、会社に雇用されていないため、産休はありません。自分で仕事のペースを考えて休業をするか、仕事を減らすなどしなければならないでしょう。
産休中に給料は支払われる?
産休中の生活に不安がある方も多いのではないでしょうか。基本的に、産休中は会社から給料は支払われないことが多いです。そのため、健康保険から支払われる、出産手当金を申請します。産休中は手当金を生活資金としてあてる方がほとんどです。
以下では3点について解説します。
- 産休中の賞与支給
- 各種保険料の支払い
- 産休中の有給の扱い
産休中のお金問題や、保険料など気になる方はぜひ参考にしてください。
産休中の賞与支給
産休中に賞与支給日がきた場合、もらえる可能性は高いでしょう。産休前までに働いた期間を対象とした賞与となるためです。
男女雇用機会均等法や育児・介護法では、妊娠や出産を理由として、不利益な対応をしてはならないと定められています。賞与を支払わないということはあってはなりません。
各種保険料の支払い
産休中の健康保険料や雇用保険料、住民税について解説します。
健康保険料は、産休期間中は免除できます。ただし、申請が必要です。会社に免除申請を行うように伝えましょう。
雇用保険料については、産休中は働いていないため、所得(給料)がありません。そのため、払う必要はありません。
住民税については、前年度の所得に応じて決められる税金のため、産休中でも支払いはあります。産休前に会社で産休中の住民税を一括で天引きしてもらうことが可能です。そうすれば、会社側が毎月支払ってくれます。会社側が天引きしなかった場合は、自分で支払うこととなります。
産休中の有給の扱い
産休中では産前休業であれば有給は取得できます。しかし、産後6週間は労働してはいけないと決められているため、有給は使用できません。
産前休業の際に有給を取得すると、出産手当金を満額もらえなくなるため、注意しましょう。産休に入る前(6週間より前)までに取得すると、早めに産休に入れたり、出産手当金を満額もらえたりします。
産休・育休でもらえるお金や支援
産休・育休でもらえるお金や支援について5つ紹介します。
- 出産育児一時金
- 出産・子育て応援交付金
- 出産手当金
- 育児休業給付金
- 産休・育休中の社会保険料や雇用保険料
特に、出産・子育て応援交付金は2023年1月から開始されました。より詳細な情報は各自治体のホームページを確認してください。
出産育児一時金
出産育児一時金とは、産休に入る本人、または扶養者が健康保険に加入している場合、出産費用として50万円がもらえる制度です。2023年4月より42万円から8万円増額されました。
ただし、妊娠22週以降で出産した場合のみ、支給されるという条件があります。それ以前に出産した場合はもらえないことに注意しましょう。双子以上の場合、胎児の分×50万円が支給されます。
出産・子育て応援交付金
2023年1月に併走型の相談支援を充実させるための目的で出産・子育て応援交付金が創設されました。妊娠届時に5万円、出生届時に5万円が交付されます。2025年度に制度化することが決定しています。
参考:出産・子育て応援交付金の制度化についての自治体説明会|こども家庭庁
出産手当金
出産手当金は、産休中に会社から給料が支払われない場合にのみ、支給されます。もらえる金額は、給料の額によってさまざまです。
条件は出産する本人が会社の健康保険に加入していることです。扶養されている場合は支給対象外となるため、注意しましょう。
育児休業給付金
産休を終えて、扶養する子が1歳になるまで休業する際にもらえる給付金です。育休開始から半年までは、給料の67%、半年以降は50%が支給されます。
また、保育園申し込みしても入れなかったり、扶養者がケガをしていたり、病気にかかっていたりする場合は、1歳6ヶ月、最長2歳まで給付金がもらえます。
産休・育休中の社会保険料や雇用保険料
産休・育休中の社会保険や雇用保険料の支払いは免除されます。厳密には、社会保険料は免除申請をする必要があります。
産休・育休中は労働をしておらず、所得がないため、雇用保険料の支払いはありません。
男性の産休とは?
男性の産休は、出生時育児休業と呼ばれ、2022年4月から取れるようになりました。子どもが生まれてから8週間の間に最大4週間取れる制度です。
申請期限は休業2週間前までです。それまでに会社に出生時育児休業を取得する旨を伝えなければなりません。また、出生時育児休業は分割して取得ができます。
休業中は育児休業給付金が賃金の67%または50%が支払われるため、女性と同様に安心して子育てできます。
男性の育児休業取得率は30.1%で、昨年度より13%上がり、過去最高となりました。
男性の産休や育休の制度も充実し、取得しやすくなっています。
産休の取得で会社がすべきこと
産休の取得で会社がすべきことは、以下の3つが挙げられます。
1つ目は、産休を取得したらもらえる出産手当金の申請です。出産日が確定して産後休業が終了し、給料の締め日を過ぎたら申請できます。労働者に振り込まれるまでには、出産後3ヶ月ほどかかる点に注意が必要です。
2つ目に社会保険料免除の申請です。産休に入る月から免除されます。申請しないと免除にならないため、注意しましょう。
3つ目は、育児休業を取得するかの確認です。取得する場合は、育児休業給付金の手続きを行う必要があるためです。
産休と同じく、育休中も社会保険料は免除されるため、その手続きも行いましょう。
産休・育休手続きに関する各種テンプレート
産休・育休手続きに関するテンプレートを紹介します。
産休申請書と産休申出書は産休を取得するために必要な事項を記入する大切な書類です。社会保険料の免除申請などの手続きに使います。必ず提出してもらいましょう。
育児休業申請書、育児休業申出書も育休を申し出るときに書いてもらう書類です。育休開始1ヶ月前までに提出が必要です。社会保険料の免除や育児休業給付金の手続きに使います。
以下でダウンロードしてご活用ください。
https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/516/
https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/1456/
https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/415/
https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/885/
産休・育休・子育てにやさしい企業事例
産休や育休・子育てにやさしい企業として3企業を紹介します。
- docomo(ドコモ)
- 資生堂
- マネーフォワード
上記企業のように、子育てにやさしい企業が増えると、男性も女性も子育てと仕事の両立がしやすくなるでしょう。
docomo(ドコモ)
docomoでは、社員一人ひとりの能力を最大限発揮できるように両立支援の取り組みを行っています。
出産に関しては以下の3つです。
- 妊娠中の通勤緩和措置
- 妊娠中、出産後の健康診査などの場合、勤務を免除する制度(有給)
- 産前6週間(多胎妊娠の場合14週)、産後8週間の特別休暇制度(有給)
育児については、育児時間の付与や育児のための短時間勤務、育児休職などが充実しており、子育てしながら働きやすい環境です。
また、仕事と育児の両立支援セミナー(復職者+上司)や育児休職者フォーラムといった、復職に不安のある社員と意見交換をして、復職をサポートする取り組みを行っています。
資生堂
資生堂では、オフィスワークとリモートワークを組み合わせた多様な働き方を実現させています。
育児休業制度では、法定では最長2歳まで取得できますが、資生堂では満3歳になるまで取得できるため、長く子どもといられます。
また、出産・育児のための特別休暇として、社員の配偶者などが出産した場合、5日以内の特別休暇(有給)が取得できます。
その他にも、育児期への補助金など多くの取り組みを行っており、社員が働きやすい企業です。
参考:働きがいのある職場の実現 | 人財 | サステナビリティ | 資生堂
マネーフォワード
マネーフォワードでは、男性育休の取得率50%以上の実績があります。その背景には、役員が約2ヵ月の育休(自主休業)を取ったことが発端となり、休んでも大丈夫だという認識が広がったことがあります。
また、さまざまなケースをカバーした産休育休ガイドブックを発行し、産休育休についての理解が深まっています。
このように、産休育休への取り組みを行うことで、働きやすく子育てもしやすい企業となっているでしょう。
参考:男性育休の取得率は50%以上! マネーフォワードの先進的な産休・育休制度を支える風土と取り組み|マネーフォワード
産休を取得し手当や支援を頼ろう
この記事では、産休や産休に関わる手当、支援、男性の産休について解説しました。
産休とは、産前休業と産後休業があり、合計14週間取れます。その間、会社から給料が支払われない場合は、出産手当金を申請しましょう。
また、出産育児一時金や、出産・子育て応援支援金、育児休業給付金など、子育てに関する支援が充実しているため、休業中のお金の不安を少し解消できます。
男性の産休や育休も取得率アップし、夫婦ともに子育てできる環境づくりも進んでいます。産休を取得して、手当や支援を受けて子育てと仕事の両立を目指しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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