• 更新日 : 2025年3月4日

退職後にハローワークでするべき手続きは?失業給付の受給までの流れを解説

退職後、失業給付を受給するには、ハローワークで必要な手続きを済ませることが重要です。ハローワークに足を運んだら「求職の申し込み」を行い、必要書類を提出することから始めましょう。指示された手順に従い、所定の期間内に就職活動を行って失業認定を受けると、失業手当を受給できます。

本記事では、退職後にハローワークでするべき手続きについて具体的に解説します。失業給付の受給までの流れを正確に理解し、手続きをスムーズに進めるために、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

退職後の失業保険の受給手続きはハローワークで行う

退職後、失業給付の手続きはすべてハローワークで行います。ハローワーク(公共職業安定所)は、厚生労働省が運営しており、仕事をお探しの方や失業状態にある方に対し、さまざまなサービスを無償で提供する総合的雇用サービス機関です。ハローワークは、全国500ヶ所以上に設置されており、失業給付の手続きだけでなく​職業​紹介や雇用保険、雇用対策などの支援が受けられます。

退職後の失業給付の手続きについては、以下で具体的に解説します。

持ち物や必要書類

失業給付の手続きを行う場合は、以下の書類が必要です。

  • 雇用保険被保険者証
  • 雇用保険被保険者証離職票−1
  • 雇用保険被保険者証離職票−2
  • 個人番号書類のいずれか一つ
    • 個人番号確認書類
    • 個人番号通知カード
    • 個人番号の記載がある住民票
  • 身元確認書類の1のうちどれか一つ、または2のうち異なる2種類
    1. 運転免許証・運転経歴証明書・個人番号カード・官公庁発行の身分証明書など
    2. 住民票記載事項証明書・公的医療保険の被保険者証・年金手帳など
  • 写真2枚
  • 印鑑
  • 本人名義の預金通帳
  • 船員の方は船員失業保険証及び船員手帳

参考:厚生労働省「雇用保険(求職者給付)の受給手続きについて」

離職票には2種類あり、離職票−1は「資格喪失確認通知書(被保険者通知用)」と記載された用紙です。離職票−2は左右に記入欄が分かれた書類です。2種類とも必要な書類のため、忘れず提出しましょう。また、マイナンバーカードを提示する場合は顔写真の省略が可能です。

失業給付の手続きをスムーズに進めるためにも、事前に準備しておくことが​重要です。

申請期限

失業給付の申請期限は、原則、離職日から1年後の「受給期間満了日」までです。ただし、所定給与日数が330日または360日の場合と受給期間を延長した場合は例外となります。

所定給与日数が330日の受給期限は、離職した翌日に1年間に30日を加えた期間です。また、所定給与日数が360日で、給付制限を受けない方の受給期間は、離職した翌日から1年に60日を加えた期間となります。

受給期間を延長した場合は、所定給与日数が330日もしくは360日の方も含めた受給期間は、離職した翌日から最長4年です。

上記の期限を過ぎた場合、もしくは受給手続きが遅れたことにより所定給与日数分を受給していなくても、以降、失業給付を受給できないため注意が必要です。

失業保険の受給条件・受給金額の目安・対象外になるケース

そもそも失業給付とは、退職した方が経済的負担を抱えずに就職活動できるよう、失業中の生活を支援するために給付を行う制度です。受給条件を満たしていれば、ハローワークで手続きして失業給付を受給できます。

転職先が見つかっていない時点で退職することになると、転職先が見つかるまでは経済的にも負担となり、転職活動に支障をきたす可能性があります。しかし、失業給付を活用すれば収入を確保でき、転職活動に集中できるでしょう。

以下では、失業給付の受給条件や金額の目安、対象外になるケースを具体的に解説します。

受給条件

失業給付の受給条件は以下のとおりです。

  • ハローワークで休職の申し込みを行い、就職しようとする積極的な意思と能力があるにもかかわらず、就職できない「失業状態」もあること
  • 退職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること
  • 特定受給資格者または特定理由離職者の場合、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上あること

被保険者期間については、一定以上の期間を満たしていなければ、失業給付を受給できないため注意しましょう。

受給金額の目安

失業給付の基本手当日額は年齢ごとに上限があります。基本手当日額とは、1日あたりの失業保険(失業給付)の金額です。基本手当日額は、原則として離職日の直前6ヶ月間に支払われた賃金の総額を180で割った金額の約50〜80%の範囲内で算出されます。

令和6年8月1日時点での年齢区分ごとの受給上限額は以下のとおりです。

30歳未満7,065円
30歳以上45歳未満7,845円
45歳以上60歳未満8,635円
60歳以上65歳未満7,420円

参考:厚生労働省「基本手当について」

賃金日額の上限額と下限額は毎年8月に見直しされるため、厚生労働省の公式サイトから最新情報を確認しておきましょう。

失業保険の受給対象外になるケース

働く意思や能力があったとしても、失業給付の受給対象外になるケースがあるため注意が必要です。

以下のような状況の場合は、原則失業給付を受給できません。

  • 病気やケガのため、すぐに就職できない
  • 妊娠・出産・育児により就職できない
  • 定年で退職し、しばらく休養が必要である
  • 結婚により家事に専念する必要があり、すぐに就職できない

退職してすぐに転職する人や転職する意思がなければ、失業給付は受け取れません。また、単に失業状態にあるすべての人が失業給付を受け取れるわけではありません。離職前の職場で雇用保険に加入しており、一定条件を満たした人が対象となるため注意が必要です。

失業保険の受給手続きの流れ

失業給付を受給するためには、以下の流れで手続きを進めましょう。

  1. 必要書類を持ってハローワークで求職の申し込みをする
  2. 受給資格の決定を受けたら雇用保険受給者初回説明会に参加する
  3. 求職活動をする
  4. 失業認定を受け、失業手当を受給する

まずは、ハローワークで求職の申し込みをして、雇用保険被保険者離職票を提出します。提出時に失業給付の受給資格がある場合、雇用保険受給者初回説明会の日時を通知され、参加が必須です。

説明会では、失業給付​の制度や手続きの詳細が説明されるため、しっかり理解しておきましょう。また、説明会では「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が交付され、初回の失業認定日が知らされます。

失業給付を受け取るには、就職に向けた活動が必要です。活動内容としては、ハローワークや求人サイトを利用しての求人検索、企業への応募、面接などが含まれます。活動状況を記録し、失業認定時に申告しましょう。

失業認定は、原則4週間に1度の失業認定日に行われます。失業認定とは、失業状態にあるかどうかを確認することです。失業認定日にハローワークに行き「失業認定申告書」に求職活動の状況を記入したら、「雇用保険受給資格者証」と一緒に提出してください。

失業の常態が確認されれば、通常5営業日で指定した金融機関の預貯金口座に基本手当が支給されます。基本手当は再就職までの間の所定給付日数と受給期間満了日までの日数を限度に支給されます。

失業給付をスムーズに受給するためにも、各手続きを正確に進めることが重要です。

離職票がもらえない場合、ハローワークで失業給付の受給手続きはできる?

離職票がもらえないと、失業給付の受給開始が先に伸びてしまい、経済的にも負担がかかります。退職してから12日以上経過しても離職票が届かない場合には、ハローワークで失業給付の仮手続きができます。

仮手続きとは、離職票の発行が遅れている場合に、後日の発行を想定して先に失業給付の手続きを進められる制度です。

ただし、ハローワークで仮手続きをするためには、求職登録を行い、離職日が証明できる退職証明書などの書類が必要です。また、仮手続きから4週間後にあたる「失業認定日」までに離職票を提出しなければ基本手当の振込が保留となってしまう点に留意する必要があります。

退職後にハローワークに行かないとどうなる?

退職後にハローワークに行かなければ、失業給付を受給できません。失業給付の受給は義務でないため、ハローワークに行かないことによる罰則を課されることはありません。

ただし、ハローワークに行くのが遅くなったことにより失業給付(失業保険)を受給できる日数が少なくなる、もしくは受給期間満了日を過ぎると受給手続きができなくなってしまいます。そのため、失業給付を受給したい場合は、離職票を受け取ったらすみやかにハローワークに行き、手続きしましょう。

​また、手続き後に妊娠・出産・介護などの事情によりハローワークに行けなくなった場合は、事前にハローワークの窓口に連絡し、どのように対応するか相談することが重要です。あくまでも失業給付を受給するかどうかは本人次第ですが、受給したい場合は早期に手続きを済ませ、事情が変わった場合はすぐにハローワークに相談しましょう。

退職前でもハローワークの手続きやサービス利用はできる?

退職前でも、ハローワークは利用可能です。ただし、ハローワークは仕事を探している方や求人事業主向けの公的機関であるため、在就職中は活用できないサービスもあります。在職中にハローワークを利用する場合、転職のための求人検索、職業相談、求人応募、失業給付の受給についての相談が可能です。しかし、失業給付の手続きは退職後「失業状態」でなければできません。

以下では、在職中から利用できる手続きやサービス、また退職後でないと利用できないサービスについて解説します。

在職中から利用できる手続き・サービス

在職中でも求人情報の検索や閲覧、職業訓練に向けた相談などのサービスを受けられます。なかには、在職中の方は応募できない求人もあり、転職活動に有効でないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、仕事の相談や紹介を無料で受けられるため、仕事を辞める前に転職の相談をしたい方には最適です。在籍中にハローワークに利用登録しておけば、退職後に登録する手間を省き、すぐに転職活動を進められ、退職後すみやかに失業給付の手続きができます。

今の仕事を辞める前に相談して、次の転職先を確保しておきたいとお考えの方は、在職中からハローワークに登録しておくといいでしょう。

退職後でなければ利用できない手続き・サービス

失業保険の手続きや職業訓練の受講は、退職後でなければ利用できません。

失業保険は、ハローワークが定めた「失業状態」であることが前提です。失業状態とは、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、就職できない状態です。そのため、会社に在籍中の方は失業給付の受給資格を満たしません。

また、職業訓練の申し込みは在籍中でも可能です。しかし、受講は退職後に限られているため、在職中は受講できないため注意が必要です。

前述したように、ハローワークは在籍中の方も利用できます。ただし、なかには急募の求人が掲載されており、急募の背景や在籍中の方の場合、要件に満たない可能性があります。そのため、手続きやサービスを利用する際は、事前に条件を確認しておくことが重要です。退職後にハローワークを利用すると、求人応募もしやすくなり、スムーズな転職活動が可能です。

失業手当を受給するためにも、退職後はハローワークで適切に手続きしよう

失業手当を受給するためには、退職後にハローワークで適切な手続きを行う必要があります。まず、必要書類を準備し、ハローワークで求職の申し込みをします。その後、受給資格が決定されれば、初回説明会に参加し、雇用保険の制度や手続きの流れを把握することが大切です。

失業手当を受け取るには、就職活動を継続的に行い、失業認定日には活動状況を報告する必要があります。失業認定は、原則4週間に1度、失業の認定が行われ、認定を受けた後は通常5営業日程度で給付金が振り込まれます。上記のような手続きを進めると、就職活動をしながら失業手当を受給可能です。

退職後は、早めに手続きを進め、再就職の準備を整えることが重要です。ハローワークを活用し、適切な手順で失業給付を受給すると、経済的不安を軽減しながら転職活動を進められます。


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