- 更新日 : 2025年1月17日
終業時間とは?始業時間との関係やどこまで含まれるか解説
終業時間を守ることは働き方を見直す第一歩です。
本記事では、終業時間の定義や始業時間との関係性、労働時間に含まれる範囲を解説します。
終業時間を守るためのポイントも紹介するので、働きやすい環境を整えたい方は参考にしてみてください。
目次
終業時間とは?
終業時間とは、1日の労働が終了する時刻を指します。英語では「finishing time」や「closing time」と表記され、始業時間(Start Time)とともに勤務時間を規定します。
一般的な勤務時間が9時から18時であれば、18時が終業時間です。終業時間の言い換え表現では「退社時間」「業務終了時間」などがあり、使用場面によってニュアンスが異なります。
仕事の平均終業時間は?
日本の多くの企業では、定時は17時から18時に設定されています。
通常、午前9時に始業し昼休憩を1時間はさんで8時間労働する形が基準です。しかし、すべての労働者が定時で退社できるわけではありません。
近年の働き方改革の影響で、フレックスタイム制やテレワークを導入する企業も増加しました。たとえば、早朝7時に始業して15時に終業する勤務形態は、個人の生活に合わせた柔軟な働き方が実現できるでしょう。
終業時間と就業時間との違い
終業時間は1日の仕事が終わる時刻を指します。一方、就業時間は始業時間から終業時間までの全体の時間を表します。
業種や企業によって、さまざまな就業形態が存在するのが特徴です。代表的な就業形態における時間設定の例を、下表にまとめました。
就業形態 | 始業時間 | 終業時間 | 休憩時間 | 実労働時間 |
---|---|---|---|---|
標準勤務 | 9:00 | 18:00 | 1時間 | 8時間 |
早番勤務 | 8:00 | 17:00 | 1時間 | 8時間 |
遅番勤務 | 11:00 | 20:00 | 1時間 | 8時間 |
短時間勤務 | 9:00 | 16:00 | 1時間 | 6時間 |
就業時間に含まれる時間でも、実際の労働時間と認められないケースがあります。自主的な勉強会への参加時間や任意の早めの出社時間などです。
一方で、会社の指示による研修や会議は、たとえ通常の就業時間外であっても労働時間として扱われます。
始業時間と終業時間のルールと具体例
始業時間とは、労働が正式に開始される時刻のことです。一方、出社時間は従業員が職場に到着する時間のことを指し、始業時間と異なります。
たとえば、9時が始業時間と定められている場合、8時45分に出社して職場で準備をしても、労働時間の計算は9時から始まります。
終業時間も同様に、労働が終了する時刻のことです。ただし、仕事の片付けや日報作成など、指揮命令下の作業が含まれる場合があります。
また労働基準法によると、1日の労働時間は原則8時間以内です。労働基準法第89条では、就業規則を作成する際に「始業時刻・終業時刻・休憩時間を必ず定めなければならない」と規定されています。
よって、法定労働時間の範囲内で始業時間と終業時間を設定する必要があるでしょう。
始業時間と終業時間の具体例を下表にまとめました。
勤務形態 | 始業時間 | 終業時間 | 休憩時間 | 労働時間 |
---|---|---|---|---|
オフィス勤務 | 9:00 | 18:00 | 12:00~13:00 | 8時間 |
フレックスタイム制 | 自由 (例:8:00) | 自由 (例:16:00) | 自由 (1時間) | 総労働時間で管理 |
サービス業 (変形労働時間制) | 10:00 | 19:00 | 13:00~14:00 | 8時間 |
変形労働時間制を採用している場合は、シーズンや繁忙期によって1日の労働時間が8時間を超えることがあります。なお、一定期間の平均が週40時間以内になるように調整しなければいけません。
勤務時間の計算や労働基準法の適用範囲は勤務形態によって異なるため、就業規則や労働契約で明確に定義することが大切です。
始業時間と終業時間はタイムカードと同じ?
タイムカードの打刻時間は、必ずしも始業・終業時間と一致するわけではありません。
出社後に業務をはじめるまでの時間や、退社後に雑談している時間などは労働時間に含まれないからです。しかし、労働時間とするか否かは会社の指示内容次第です。
たとえば、着替えや日報作成が義務付けられているなら、その時間も労働時間に含まれる可能性があります。法的トラブルを防ぐため、企業側には明確な基準作りが求められます。
こまでが始業時間・終業時間に含まれるか
労働時間の範囲は、判断が難しいケースもあります。基本的に、会社の指揮命令下にある時間は労働時間として認められるでしょう。
たとえば、始業時間が9時、終業時間が18時と決められている会社では、9時前の準備や18時以降の片付けは労働時間に含まれません。しかし、制服着用が義務付けられている場合や、特殊な安全装備が必要な業務では、着替えや準備時間も労働時間と認められます。
また、業務の引き継ぎや日報作成も労働時間に含まれ、給与計算の対象です。一方で、自主的な早めの出社や任意の勉強会への参加は、原則として労働時間には含まれません。
各企業は、このような曖昧さを避けるために、就業規則で明確な基準を設けることが望ましいです。グレーゾーンとなりやすい行動は、事前に労使で協議を行い、適切なルールを定めておきましょう。
終業時間後の仕事や連絡は許される?
業務時間外に連絡を行うこと自体は違法ではありません。しかし、連絡を強制し労働を指示するのは、労働基準法5条で原則禁止されています。
また、厚生労働省のガイドラインでは、テレワーク時の時間外連絡について「人事評価において不利益な扱いをしてはならない」と明記されています。
以下のような場合を除き、終業時間後の業務連絡は原則控えるべきです。
- 災害や事故など、緊急事態への対応が必要な場合
- システムトラブルで業務に重大な支障が出る場合
- 翌日の重要な会議や締め切りに関する必要最小限の確認
- 取引先からの緊急の問い合わせ対応
これらの緊急時対応についても、事前に明確なルールを設け、従業員に過度な負担がかからないよう配慮が大切です。
反対に、深夜の連絡や過度な頻度のメール送信は、労働基準法違反やハラスメントとみなされる可能性があります。働き方改革の一環として、企業には労働者の「つながらない権利」を尊重する姿勢が求められています。
終業時間を守るためのポイント
残業時間は、法定内残業と法定外残業で対応が異なります。法定内残業(1日8時間以内の残業)には割増賃金の支払い義務はありません。
しかし、法定外残業(1日8時間を超える残業)には25%以上の割増賃金が必要となります。
定時退社を実現するには、以下のポイントを意識した取り組みが効果的です。
業務の優先順位を決める
効率的な時間管理のために、まず取り組むべきは業務の優先順位付けです。朝すぐにその日のタスクを整理し、期限や重要度を基準に順位をつけましょう。
たとえば、長時間かかる企画書作成は午前中に行い、単純作業や確認業務は午後に回すと効率的です。優先順位が決まっていれば、仕事をはじめる際に迷う時間も減り、無駄な業務への割り込みを防げます。
定時退社を意識しながら計画的に進めることで、作業効率と時間管理の両方を改善できるでしょう。
スケジュールを細かく管理する
タスク管理の基本はスケジュール設定です。ひとつのタスクごとに必要な時間を割り当て、終業時間内にすべての作業が完了するように計画しましょう。
午前中に2時間で資料作成、午後は1時間でミーティングなど具体的な時間配分がポイントです。また、予定外の仕事が発生した際も、優先度の低いタスクを翌日に回す柔軟性をもつと効率がよいです。
時間管理ツールを活用すれば、進捗をリアルタイムで把握でき、スケジュール変更にも素早く対応できるでしょう。
締め切りと終業時間を逆算して行動する
終業時間を守るには、タスクごとの締め切りを終業時間から逆算する方法が有効です。17時に仕事を終える場合、15時までに大きなタスクを完了し、16時から細かい修正や確認を行うように計画しましょう。
逆算思考を取り入れると、各作業の適切な開始時間が明確になり、時間切れを防げます。さらに、集中力の向上や無駄な時間の排除にもつながり、業務の質とスピードを両立できます。
終業時間後の対応を控える
終業時間後にメールや電話対応を続けると、勤務時間が曖昧になり、プライベートとの境界も崩れます。終業時間後の対応を控えるために、顧客や取引先に対応可能な時間帯を事前に周知しておきましょう。
また、緊急連絡の基準を明確にし、一般的な問い合わせには翌営業日に対応するルールを設けるのも効果的です。このような取り組みは、ワークライフバランスの向上につながり、集中力の維持や仕事へのモチベーションを高めます。
ITツールやシステムで業務を効率化する
業務効率化には、ITツールの活用がおすすめです。たとえば、Slackのようなコミュニケーションツールはチーム内の情報共有を円滑にし、クラウドサービスで資料の共有や共同編集を効率化します。
また、定型作業の自動化ツールを導入すれば、作業時間を大幅に削減できます。ツールの選定には、導入コストと効果を十分に検討しましょう。
正しい時間管理で働きやすい職場を作ろう
本記事では、終業時間と始業時間の定義や法的ルールなどを解説しました。
終業時間の適切な管理は、従業員の健康維持とワークライフバランスの向上につながります。労働時間に明確な区切りを設けることで、集中力を高めた効率的な働き方が可能になるでしょう。
本記事を参考に、労働環境を改善し、時間の使い方を見直す一歩を踏み出してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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