• 更新日 : 2024年3月29日

慶弔休暇とは?何日取れる?取得条件や申請方法を解説!

慶弔休暇とは?何日取れる?取得条件や申請方法を解説!

「慶弔休暇」は、結婚や出産といった「お祝いごと」や葬儀などの「お悔やみごと」があったときに取ることができる休暇です。慶弔休暇は法定外休暇であるため、会社によってルールや対象者、取得日数、休暇の有給無給、申請や手続き方法が異なります。この記事では、慶弔休暇の取得条件や取り扱い、申請・手続き方法などについて解説します。

慶弔休暇とは?

「慶弔休暇」とは、結婚や出産といったお祝いごと(慶事)や葬儀などのお悔やみごと(弔事)があったときに取得することができる休暇です。ただし、慶弔休暇は労働基準法で定められた法定休暇ではありません。「法定外休暇」(特別休暇)になるため、慶弔休暇を定めている会社と定めていない会社があります。

また、慶弔休暇を取得できる対象者や取得条件も会社によって定め方が異なります。慶弔休暇と似ている言葉に「忌引き」があります。慶弔休暇と忌引きはどのように意味合いが違うのでしょうか。

慶弔休暇と忌引きの違い

「忌引き」とは、葬儀に参列するために会社を休むこと、あるいは近親者が亡くなったときに会社を休み「喪中」「忌中」に入ることを言います。「忌引き」は慶事には使いませんが、「慶弔休暇」は慶事と弔事の両方を指しますので、厳密には意味合いが異なるものになります。

慶弔休暇を取得出来る条件-雇用形態など

慶事・弔事は、正社員だけではなく、パート・アルバイト従業員、契約社員、派遣社員など雇用形態に関わらず誰にでも起こりうることです。

慶弔休暇は、法律上の規定はありません。また、休暇の利用が許される労働者も定められていません。したがって、就業規則に慶弔休暇制度を規定することによって、さまざまな条件を定めることが可能です。

その際、規定により雇用形態や勤続年数などの違いによる慶弔休暇の利用者を限定することも可能です。ただし、利用者を限定することにより、「同一労働・同一賃金」の指針から外れてしまう可能性が高いため、利用者の限定は行わないのが望ましいと言えます。

フルタイムではなく週2~3日の勤務をしている短時間労働者に慶事・弔事が起きた場合は、勤務日の振替などで対応できないかを労働者と調整し、それが難しい場合は慶弔休暇を与えるような対応の検討が必要です。

慶弔休暇は何日取得できる?

慶弔休暇は、法定休暇ではなく法定外休暇です。したがって、慶弔の事由や取得できる日数は会社によって自由に定めることができます。一般的には、厚生労働省の「モデル就業規則」に規定されている慶弔休暇の条文に沿って設定している会社が多いのではないでしょうか。

【参考】モデル就業規則 慶弔休暇

慶弔休暇 モデル就業規則

引用:>モデル就業規則について>モデル就業規則(令和5年7月)|厚生労働省

取得可能な日数については、会社によって異なります。また、慶弔の対象事由によっても変わりますが、通常は3〜7日程度で設定されていることが多いです。例えば、下記のような日数を例として目安として紹介しておきます。

※慶事の場合の日数の例

  • 本人が結婚したとき・・・5日
  • 子が結婚したとき・・・1日
  • 妻が出産したとき・・・2日

※弔事の場合の日数の例

  • 配偶者が亡くなったとき・・・5日
  • 子または父母が亡くなったとき・・・3日
  • 兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母または兄弟姉妹が亡くなったとき・・・3日

慶弔休暇で取得できる事由や日数については、就業規則などに明記しておきましょう。

慶弔休暇の対象外となることもある?

慶弔休暇の制度を定める場合には、会社ごとに細かい取得条件や内容が定められることになります。その規定で定められた内容以外の事由については、慶弔休暇の対象にならないケースがあります。

例えば、一般的に慶弔休暇の対象になる親族は3親等以内と規定されることが多いため、3親等以上は慶弔休暇が認められないケースです。このケースにおいても、会社によっては、3親等以上の親族が亡くなった際でも1日程度の慶弔休暇を与える場合もあります。

従業員から問い合わせを受けて困らないように、自分の会社のルールがどうなっているのかを就業規則などで必ず確認しておきましょう。

慶弔休暇の休暇に関する扱い-有給・無給どちら?

慶弔休暇は法定外休暇にあたります。そのため、取得できる事由や取得可能日数と同じで、慶弔休暇が有給か無給かということも会社の就業規則によって異なります。

慶弔休暇制度が設けられていて無給とされている場合でも、慶弔見舞金を支給している会社もあります。自社の慶弔休暇制度が有給が利用されるのか、無給なのかとうことを就業規則や雇用契約書に明記しておくと労働者とのトラブルを避けるために有効な手段になります。

慶弔休暇の申請手続き・方法

慶弔休暇を申請したい場合に必要な申請の手順や手続き方法は、会社によって異なります。従業員は就業規則で確認したり、上長や人事部門に相談しながら申請を進めたりするのが通常です。一般的な慶弔休暇の申請手続きや申請方法について説明します。

書類の記入と上長への連絡が一般的

通常の手順としては、会社が準備した申請書類に慶弔休暇の取得日時や取得理由を記入して、上長に書類の提出と一緒に口頭で伝えるのが一般的な流れです。

会社が準備した申請書類がなく、メールで必要事項を連絡すれば問題ない会社や、「慶弔休暇をどのような理由でいつ取るのかと緊急連絡先が分かればどんな申請方法でも良い」という会社もあります。就業規則を確認しても分からない場合、従業員は上長や人事部門に確認するでしょう。

証明書が必要になるケースもある

慶事で休暇を取る際には必要になることはあまりありませんが、弔事で休暇を取る際には、葬儀を行ったことが分かる証明書の提出を求める会社もあります。

その場合、会葬礼状(会葬の場で参列者に渡されるお礼状)を提出することが多いです。会葬礼状がないような小規模な葬儀だった場合は、死亡診断書のコピーなどを求める場合があります。

また、弔事の場合には、会社から弔電や供花を送るために、故人の氏名、葬儀の場所や日時などの詳細な情報を求めることもあるでしょう。

慶弔休暇の理由の伝え方

慶弔休暇を取る際の理由の伝え方について、難しくて困ったという従業員もいますが、ありのままの理由で慶弔休暇を申請してくることが多いです。

「妻の出産のため」「祖母の葬儀に出席するため」と言う理由は事実の話です。それをそのまま伝えて慶弔休暇を取っても問題ないと考えています。そのため、人事担当者はそれほど心配することもありません。

慶事の場合は、あらかじめ慶弔休暇を取ることが明らかですので、上長に伝え、あわせて申請書類を提出すれば問題ありません。

弔事の場合はあらかじめ予測することができないため、深夜や早朝に起きることもあります。その場合は、取り急ぎメールなどで伝えておき、連絡できるようになったら改めて電話などで連絡することで問題ないでしょう。

慶弔休暇を取得する事前準備

従業員が慶弔休暇を申請するときに意識しておく点には次のようなことが考えられます。

  • 就業規則を事前に確認しておく
  • 申請は早めに行う
  • 休む期間をメンバーや関係者に伝える

それぞれについて順番に見ていきましょう。

就業規則を事前に確認しておく

慶弔休暇の申請は、特に弔事の場合にはどうしても突発的に発生するため申請も慌てて行うことになってしまいます。万一のときに備えて、前もって就業規則を確認しておくと申請の時に慌てることなく対応することができます。

  • 会社に慶弔休暇があるのかどうか
  • 取得できる日数が何日あるのか
  • 慶弔休暇が有給か無給か
  • 必要な証明書類などの有無

上記とあわせて申請書類についても確認しておくと安心です。

申請は早めに行う

慶弔休暇の申請はなるべく早めに行うことが重要です。その間、メンバーや関係者に申請者の仕事を依頼する都合などがあるためです。慶事は、事前に日程が決まっていることが多いため、休暇が必要な日程が分かったらなるべく早めに申請します。

一方で、弔事の場合は突然の休暇取得になることが多いため、通夜や告別式の日程が決まった段階で申請します。とにかく申請を早めに行うことが重要です。

休む期間をメンバーや関係者に伝える

慶弔休暇を取得するときには、仕事の関係者にも事前に伝えておくのが望ましいです。休暇を取得する日数(期間)や仕事上の申し伝え事項、緊急連絡先も伝えておければ関係者も安心できます。

慶弔見舞金制度について-設置方法とテンプレート

慶弔見舞金とは、従業員やその家族に慶事や弔事があったときに支給されるお金のことを言います。慶弔見舞金を制度として支給する場合の慶弔見舞金には、一般的には以下のような種類があります。

  • 結婚祝い金・・・従業員が結婚したときに支給
  • 出産祝い金・・・従業員またはその妻が出産したときに支給
  • 弔慰金・・・従業員または従業員の家族が死亡したときに遺族または本人に支給
  • 傷病見舞金・・・従業員が傷病を理由に休業したときに支給
  • 災害見舞金・・・従業員が地震などの災害によって被害を受けたときに支給

上記以外にも、会社ごとに独自の祝金や見舞金を設けています。慶弔見舞金の申請は、専用の申請書を作成して行うと担当者も手続きが行いやすいでしょう。以下のテンプレートもご活用ください。

慶弔休暇は事前に就業規則で確認しておきましょう

慶弔休暇は、結婚や出産といった祝いごとや葬儀などのお悔やみごとがあったときに取ることができる休暇です。慶弔休暇は法定外休暇になるため、福利厚生の一つとして制度化している会社も多くあります。

慶弔休暇制度は、就業規則に制度の有無、対象者、休暇の種類、取得可能日数、申請方法などのルールが明記されていますので、事前に確認しておきましょう。

また、実際に慶弔休暇を取得するときには、なるべく早めに申請を行い、関係者にも休む期間などをきちんと連絡してから休むように促すことをおすすめします。


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