- 更新日 : 2026年9月9日
年末調整の対象とならない人とは?対象になる人との違いも解説
扶養控除等申告書を出していない人や、給与収入が2,000万円を超える人などは対象から外れます。
- 扶養控除等申告書を出した勤務先が手続きをする
- 給与収入が2,000万円を超えると外れる
- 対象外の人は自分で確定申告して精算する
令和8年分は控除額の改正が12月に施行されます。
給与所得者は年末調整で1年間の所得税を精算し、そこで納税関係が終わります。ただし例外として、年末調整の対象とならない従業員がいます。対象から外れた従業員には確定申告の案内が必要になるため、判定の基準を押さえておきましょう。令和8年分からは控除額の改正もあります。
年末調整の概要と流れ
年末調整は、毎月の給与から源泉徴収した所得税と、本来納めるべき年税額との差額を精算する手続きです。会社が従業員に代わって行うため、対象になった従業員は原則として確定申告をする必要がありません。
毎月の源泉徴収は概算で年末に精算する
毎月の給与を支払う際に控除する源泉所得税は概算による仮払いのため、正確な納税額は年末に計算して精算します。総収入額や控除額が確定するのが年末だからです。
この手続きが年末調整で、会社が従業員各人の所得税の過不足を調整します。年末調整のあとは、支払者の情報などに加えて、次の内容を源泉徴収票に記載して従業員へ交付します。
なお従業員が退職する際には、年末調整の時期にかかわらず源泉徴収票を交付する義務があります。
扶養控除等申告書を提出した従業員が対象になる
年末調整は、勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員が対象です。年間を通じて勤務する従業員や、年の途中で転職により採用されてから年末まで勤務する従業員などが当てはまります。
この申告書を提出しない従業員は、提出した従業員よりも毎月の給与から控除する源泉所得税が多く計算される仕組みになっているうえに、年末調整の対象にもなりません。
多く計算された源泉所得税を精算して還付を受けるには、従業員自身で確定申告を行うことになります。
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年末調整の対象となる人とは?
扶養控除等申告書を提出した従業員のうち、1年間に支払うことが確定した給与の総額が2,000万円以下で、災害減免法による徴収猶予や還付を受けていない人は、12月に行う年末調整の対象です。また、以下に該当する人は、年の中途で行う年末調整の対象となります。
- 1年間を通して勤務した、あるいは転職による採用後年末まで継続して勤務した従業員
- 死亡により退職した、または心身の障害により年の中途で退職し、本年中に再就職が見込めない従業員
- 12月中に給与を受け、その後退職した従業員
- パートタイムで働いていた従業員が退職し、本年の給与総額が136万円を超えない場合(ただし、退職後本年中に別の勤務先から給与を受け取る見込みがある場合を除きます)
- 海外の支社や子会社に年の中途で転勤することとなり、非居住者となった従業員
1年を通じて勤務した人と年の途中で入社した人
その年の最後まで在籍している従業員は、雇用形態を問わず年末調整の対象です。正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトも含まれます。年の途中で入社した従業員に前職の給与がある場合は、前職の源泉徴収票を提出してもらい、合算して年税額を計算します。
年の途中で退職しても対象になるケース
年の途中で退職した人でも、その年のうちに他から給与を受け取る見込みがない場合は、退職の時に年末調整を行います。対象になるのは次のケースです。
- 死亡による退職
- 著しい心身の障害による退職
- 12月中に給与を受けた後の退職
- パートタイマー等が退職し、本年の給与総額が136万円を超えない場合
136万円という金額は、給与所得控除の最低保障額と基礎控除を足したラインです。令和7年分は123万円でしたが、令和8年分は改正により136万円になります。
海外転勤で非居住者になった人
年の途中で海外の支社や子会社へ転勤し、非居住者となった従業員も、出国までに支払った給与を対象に年末調整を行います。
非居住者とは、国内に住所も1年以上の居所も有しない個人をいいます。
1年以上の海外勤務が見込まれる場合は、出国の時点で非居住者となります。
出国後に支給される給与は年末調整の対象に含めません。
年末調整の対象とならない人とは?
扶養控除等申告書を提出していても、次に当てはまる従業員は年末調整の対象になりません。対象外の従業員は、自分で確定申告をして所得税を精算することになります。
- 1年間に支払うことが確定した給与の総額が2,000万円を超える従業員
- 災害減免法によって源泉所得税・復興特別所得税の徴収猶予や還付を受けている従業員
- ダブルワークなど2か所以上の勤務先から給与収入を得ており、自社以外の勤務先に扶養控除等申告書を提出している従業員
- 扶養控除等申告書が未提出の従業員
- 年の中途で退職した従業員(対象となるケースに該当しない場合)
- 年初から海外に居住している非居住者
- 一定の条件を満たす日雇労働者
給与の収入金額が2,000万円を超える人
1年間に支払うことが確定した給与の総額が2,000万円を超える従業員は、年末調整の対象になりません。給与以外の所得があるかどうかにかかわらず対象から外れ、本人が確定申告をします。この場合、会社は年末調整をしていない源泉徴収票を交付します。
扶養控除等申告書を提出していない人
扶養控除等申告書の提出がない従業員は、年末調整の対象になりません。この申告書の提出があって初めて、甲欄として源泉徴収税額が計算されるためです。提出がない場合は乙欄が適用され、毎月の源泉所得税が高く計算されます。
1か所からしか給与を受けていないのに未提出の従業員がいれば、提出するよう案内しましょう。
2か所以上から給与を受けサブの勤務先にあたる人
複数の勤務先がある場合、扶養控除等申告書を提出できるのは主たる給与を受け取る1社だけです。
申告書の提出を受けていないサブの勤務先では、年末調整を行えません。その従業員は、確定申告で全体を精算することになります。
年の途中で退職し例外に当てはまらない人
年の中途で退職した従業員のうち、対象になるケースに当てはまらない人については年末調整を行いません。
年末調整の対象とならない従業員は、原則としてその年の12月31日に会社に在籍していない退職者です。年の途中で転職した場合は、転職先の会社で年末調整を行います。転職前の会社は対象外、転職後の会社は対象という関係になります。
転職せず、年内に再就職しなかった場合は、本人が確定申告をして精算します。
年初から海外にいる非居住者
年初から海外に居住しているなど、その年を通じて非居住者に当たる人は年末調整の対象外です。
年の途中で非居住者になった人が対象になるのとは扱いが異なります。出国のタイミングで判定が分かれるため、混同しないよう気をつけます。
災害減免法の適用を受けた人や日雇労働者
災害減免法によって源泉所得税等の徴収猶予や還付を受けた従業員と、日々雇い入れられる日雇労働者も対象になりません。
災害減免法の適用を受けた場合、その年の税額は確定申告で確定させます。日雇労働者は継続して同一の雇用主に雇用されていないため、丙欄で源泉徴収を行い、年末調整は行いません。
年末調整の対象外になった人は確定申告で精算する
年末調整の対象とならなかった従業員は、自分で確定申告をしなければ所得税の精算ができません。還付を受けられるはずの人も、申告しなければそのままになります。会社は源泉徴収票を交付したうえで、確定申告が必要になることを案内しましょう。
確定申告は、例年、給与が支払われた年の翌年2月16日から3月15日までの間に行います。
ただし年末調整が行われず、源泉所得税が多く計算されたために税金の還付が受けられる場合は還付申告となり、翌年1月1日から5年以内であればいつでも手続きできます。次のケースも同じく5年以内に申告できます。
- 年末調整を受けた従業員の医療費控除・寄附金控除・雑損控除
- 1年目の住宅借入金等特別控除
申告をせずに所得税に不足があると、不足分が追徴されたうえで無申告加算税や延滞税を課される可能性があります。
なお年末調整を受けた従業員であっても、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える場合は確定申告が必要です。株式売買による譲渡所得や、家賃収入による不動産所得などが当てはまります。20万円以下であれば所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要になります。
参照:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
掛け持ち勤務はどちらの会社で年末調整する?
2か所以上から給与を受け取っている場合、年末調整を行うのは1社だけです。どちらの会社で行うかは、扶養控除等申告書をどこへ提出したかで決まります。
扶養控除等申告書を提出した勤務先で行う
2か所以上の会社から給与を受け取っている場合には、メインとなる勤務先が扶養控除等申告書の提出を受け、その会社で年末調整を実施します。
そのため、年末調整が行われていない収入や、年末調整で控除できない所得控除・税額控除がある場合には、従業員自身で確定申告をするよう説明しなければなりません。
また、年の途中で退職し、本年中に再就職しなかった従業員には、所得税の過払い分を取り戻す還付申告があることを伝えましょう。
提出がないと翌年の源泉徴収税額も高くなる
扶養控除等申告書の提出を受けないと、年末調整の対象にならないだけでなく、配偶者控除や扶養控除などの人的控除も適用されません。
その結果、翌年の毎月の給与から控除する源泉徴収税額が高く計算されます。
従業員が独身の場合や、配偶者等の扶養となっている場合でも、扶養控除等申告書は必要です。提出漏れが起きやすいところなので、配布時に声をかけておくとよいでしょう。
参照:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁
令和8年度税制改正で変わることは?
令和8年度税制改正により、基礎控除と給与所得控除が引き上げられました。施行が年末に寄っているため、年末調整の実務にそのまま影響します。
基礎控除と給与所得控除の引き上げは12月に施行される
基礎控除の引き上げ、給与所得控除の最低保障額の引き上げ、扶養親族等の所得要件の改正は、令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。
令和8年11月までの毎月の源泉徴収事務に変更はありません。12月に行う年末調整で改正後の控除額により1年分の税額を計算し、それまでに徴収した税額との差額を精算します。
改正後の源泉徴収税額表を使った毎月の計算は、令和9年1月に支給する給与から始まります。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 基礎控除(本則) | 58万円 | 62万円 |
| 給与所得控除(最低保障額) | 65万円 | 74万円(69万円+特例5万円) |
| 扶養親族等の所得要件 | 58万円以下 | 62万円以下 |
参照:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁
中途退職者の給与総額の基準が136万円になる
年の中途で退職したパートタイマー等が年末調整の対象になるかどうかの基準は、令和8年分から136万円になります。
給与所得控除の最低保障額74万円と、基礎控除62万円を合わせた金額です。令和7年分の123万円から引き上げられました。
なお、令和8年の途中で退職して年末調整を受けていない人には改正後の控除が反映されないため、その適用を受けるには確定申告が必要です。源泉徴収票を交付する際に、あわせて案内しておくとよいでしょう。
参照:令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A|国税庁
年末調整の対象かどうかは扶養控除等申告書の提出で決まる
年末調整の対象になるかどうかは、勤務先に扶養控除等申告書を提出しているかどうかが出発点になります。そのうえで、給与の総額が2,000万円を超える人、2か所以上から給与を受けてサブの勤務先にあたる人、年の途中で退職して例外に当てはまらない人などは対象から外れます。
対象とならない従業員は自分で確定申告をしなければ精算ができず、還付を受けられるはずの税金もそのままになります。誰が対象で誰が対象外かを事前に整理し、対象外の従業員には源泉徴収票を交付したうえで確定申告を案内しましょう。
令和8年分は控除額の改正が12月に施行される点もあわせて伝えておくと親切です。
よくある質問
年末調整とは
給与から天引きされた1年間の所得税額と、実際に支払われた1年間の給与に対する所得税額を年末に調整することです。 詳しくはこちらをご覧ください。
年末調整の対象となるケースとは
「扶養控除等(異動)申告書」を提出した会社で1年間を通して勤務した場合など、さまざまなケースがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
年末調整の対象とならないケースとは
1年間の給与の合計額が2,000万円を超える場合など、さまざまなケースがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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