• 更新日 : 2023年11月2日

セクシャル・ハラスメント(セクハラ)とは?定義や行動・発言の例

セクシャル・ハラスメント(セクハラ)とは?定義や行動・発言の例

セクハラとは、他者を不快にさせる職場での性的な内容の発言や行為です。どこからハラスメントに該当するかの範囲については、法律の定義に従い判断されます。健全な職場の実現にはセクハラ防止が重要であるため、2020年には法改正によってセクハラ防止の対策が強化されました。当記事では、社会的問題でもあるセクハラについて解説します。

セクシャル・ハラスメント(セクハラ)とは

セクシャル・ハラスメントはセクハラとも呼ばれ、社会的な問題となっています。2020年には男女雇用機会均等法が改正され、セクシュアル・ハラスメントを始めとした職場におけるハラスメント防止対策が強化されました。ここでは、セクシュアル・ハラスメントの概要と定義について解説します。

参考:雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために |厚生労働省

他人を不快にさせる職場における性的な言動

セクシャル・ハラスメントとは、他人を不快にさせるような職場における性的な言動です。一般的にセクハラと呼ばれ、職場の健全性を著しく害するため社会的な問題となっています。

セクハラは法律によって厳密に定義されており、セクハラの防止は事業主が講じなければならない措置の一つです。男女雇用機会均等法においては、職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応について、労働条件に関する不利益を被ったり、労働者の就業環境が害されたりする言動がセクハラと定義されています。

職場において行われる労働者の意に反する性的な言動は、すべてセクハラに該当するため気をつけましょう。

参考:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 | e-Gov法令検索

職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動

男女雇用機会均等法で定められた職場は職務に従事する場所を意味するため、通常就業している事業所内に限りません。例えば、取引先の事業所や接待の席、顧客の居宅、出張先、イベント会場、営業車内なども職場に該当します。さらに、歓迎会や送別会、忘年会、新年会など宴会の席も職務の延長として捉えられ、職場と同様に扱われるため注意が必要です。

職場外の言動でもセクハラに該当する可能性があるため、職員が他の職員を不快にさせるような職場外における性的な言動には十分気をつけましょう。

パワハラとの違い

パワハラはパワー・ハラスメントの略で、職務上の優位な立場を利用し他者に不快な思いをさせる言動です。セクハラと同様に職場環境を著しく害するため、社会的な問題となっています。男女雇用機会均等法の改正にあわせて、2020年に労働施策総合推進法が改正され、パワー・ハラスメントの防止は事業主が講ずべき措置の一つとして定められました。

セクハラは性的な言動による嫌がらせを指すのに対し、パワハラは立場上の優位性を利用した嫌がらせと区別することが可能です。なお、パワハラは上司から部下に対する嫌がらせだけでなく、同僚同士の嫌がらせや後輩から先輩に対する嫌がらせも含まれます。

正規雇用労働者から非正規雇用労働者に対する差別的な言動もパワハラに該当する可能性があるため、十分気をつけましょう。

マタハラとの違い

マタハラはマタニティ・ハラスメントの略で、妊娠や出産を理由とした女性労働者に対する嫌がらせや不当な取扱いを指します。セクハラやパワハラに比べると社会的な認知度はまだ十分ではありませんが、マタハラは女性の活躍を阻害する非常に深刻な問題です。

性別を問わず他者に不快な思いをさせる性的な言動がセクハラなのに対し、マタハラは妊娠出産を理由とした女性に対する嫌がらせと区別できます。例えば、産前産後休業や育児休業の取得を申し出た女性労働者に対し、不利益な取扱いや差別的な対応をすることはマタハラに該当するため、十分気をつけましょう。

なお、近年は国家レベルで男性の育児参画が推進されていることから、育児休業等を取得する男性労働者に対する嫌がらせなども広義のマタハラに含まれるため注意が必要です。

性的な言動の範囲・内容

セクハラは他者を不快にさせる性的な言動と定義されますが、セクハラを防止するためには性的な言動の範囲や内容を明確化しておくことが重要です。ここでは、どのような言動・内容がセクハラに該当するのかを解説します。

性的な関心や欲求に基づくもの

性的な関心や欲求に基づく言動は、代表的なセクハラ行為です。例えば、身体的な特徴を話題にする、聞くに堪えない卑猥な発言をする、性周期に関する発言をする、性経験や性生活について質問する、などはセクハラに該当します。

また、性的なポスターを職場に掲示する、髪や身体にみだりに触れる、デートや食事にしつこく誘う、などの行動もセクハラに該当するため注意が必要です。

性別により役割を分担すべきという意識に基づく言動

性別によって役割を分担すべきという意識も、セクハラにつながるため注意が必要です。例えば、女性だからといってお茶くみや掃除、電話対応、来客対応などを強要することはセクハラです。

逆に、男性だけに重い荷物を持たせたり、肉体的にきつい労働を課したりすることはセクハラに該当します。先入観や思い込みによるステレオタイプな考え方は、往々にしてセクハラを引き起こすため気をつけましょう。

性的指向や性自認に関する偏見に基づく言動

セクハラは、LGBTを始めとした性的マイノリティに関する問題とも密接に関わっています。どの性別を恋愛の対象とするのかを表す性的指向や、性別に関する自己認識を表す性自認などに関する偏見は、セクハラにつながるため注意が必要です。

性的指向や性自認は尊重すべき個性であるため、性的マイノリティであることを理由に嫌がらせをしたり、不必要に批判的な立場を表明したりする言動は絶対にやめましょう。

セクハラの対象者の範囲

セクシャル・ハラスメントという言葉が登場した当初は、もっぱら男性から女性に対するセクハラが問題視されていました。しかし男女平等や性の多様化に伴い、現在ではセクハラは男性から女性に対する性的な嫌がらせに限りません。ここでは、セクハラの対象者について改めて解説します。

異性間だけでなく、同性間も対象になる

一般的に、セクハラは男性から女性に対する性的な嫌がらせと捉えられてきました。しかし、女性から男性、男性から男性、女性から女性に対する性的な言動もセクハラに該当します。例えば、相手が嫌がっているにもかかわらず男性同士だからといって猥談を続ける、女性同士で他者の体型や容姿をからかう、などの言動はれっきとしたセクハラです。

セクハラは異性間だけでなく、同性間も対象となるため十分気をつけましょう。なお、性別を問わず、取引先や顧客など社外の人間に対する性的な言動もセクハラに該当するため、注意が必要です。

セクハラに場所的・時間的な制限はある?

セクハラに、場所的・時間的な制限はありません。前述の通り、職場に準ずる場所であれば職場と同様に扱われます。例えば、取引先や出張先、研修会場、イベント会場なども職場と同等です。また、終業後に実施される宴会の席も、職務の延長として職場と同様に扱われるため注意が必要です。

宴席でアルコールが入ると開放的になり、不用意に性的な言動をしてしまう恐れもあります。意図せずセクハラしてしまわないよう、言動には十分気をつけましょう。

セクハラの種類

セクハラは、発言や行動によって4つに分類することが可能です。ここでは、言動に基づくセクハラの種類について解説します。

対価型

対価型セクハラとは、職務上の優遇への対価として、労働者の意に反して性的な行為を要求するセクハラです。逆に、性的な要求を拒否したことを理由に不利益な取扱いをしたり、差別的な対応をしたりする行為も対価型セクハラに該当します。

例えば、昇格や昇給の見返りとして性的な行為を求める、性的な行為を拒否したことを理由に降格や降給を命じる、などの行為は代表的な対価型セクハラです。

環境型

環境型セクハラとは、労働者の意に反する性的な言動によって、職場環境を著しく害するセクハラです。例えば、職場に性的強調表現の強いポスターを掲示する、職務中や休憩時間に性的な会話をする、宴会の席でお酌を求める、カラオケでデュエットを強要する、などの行為は環境型セクハラです。

環境型セクハラの場合、本人にはセクハラをしているという自覚がないケースもあります。他の職員は嫌な思いをしている可能性もあるため、言動には十分注意し周囲に配慮することが重要です。

制裁型

制裁型セクハラとは、ステレオタイプな考え方に基づき異性に圧力をかけるセクハラです。男性は外で働き女性は家で家事や育児をすべし、といった旧態依然とした価値観によって女性の活躍を阻害する行為は制裁型セクハラに該当します。

例えば、女性労働者にだけお茶くみや掃除を命じたり、女性上司の指示命令に従わなかったりする行為は、制裁型セクハラです。

性別だけを理由に態度を変える行為は、制裁型セクハラに該当するため十分注意しましょう。

妄想型

妄想型セクハラとは、相手が自分に好意を寄せていると思い込み、相手の意に反して性的な発言や行動を取るセクハラです。例えば、挨拶や会話を交わしたり、出張や営業に同行したりしたことを理由に恋愛感情があると勘違いし、しつこく食事やデートに誘ったり、頻繁にメールや電話をしたりする行為は妄想型セクハラに該当します。

妄想型セクハラの場合、本人にはセクハラをしている自覚がないケースもあるため、セクハラが悪化する前にしっかりと拒絶することが重要です。

セクハラの具体例

最後に、セクハラの具体例を紹介します。

厚生労働省の男性職員は2018年、同省の女性職員に対しセクハラに該当するようなメールを繰り返し送ったとして、戒告の懲戒処分を受けました。当該職員は、特定の女性職員に対し複数回食事に誘ったり、泊りの出張に誘ったりしていたようです。厚生労働大臣は「セクハラ対策を推進する立場の厚生労働省として、こうしたことが取り沙汰されるのは誠に遺憾だ」と話し、「信用失墜行為の禁止」に当たるとして懲戒処分としました。

さらに、千葉県市川市の男性職員は2019年、女性職員に対しSNSで体型を揶揄するようなメッセージを繰り返し送ったとして、減給の懲戒処分を受けました。当該職員は、勤務時間内のみならず、勤務時間外もSNSを通して特定の女性職員にメッセージを送っていたようです。市川市長は、「法令に従わなければならない公務員が、本事案を起こしたことは遺憾の極み。深くおわびし、服務規律の順守を徹底する」とコメントしています。

これらの事案は、典型的なセクハラです。セクハラをした本人にとっては軽い気持ちだったかもしれませんが、セクハラを受けた当人は不快な思いをする可能性もあります。同じ職場のメンバーであっても、発言や行動には十分注意が必要です。

参考:厚労省、健康局長をセクハラで戒告 食事に…特定の女性職員にメール400回 – 産経ニュース
参考:LINEでセクハラ 市川市 30代男性職員減給 | 千葉日報オンライン

セクシャル・ハラスメント(セクハラ)は他者を不快にさせる性的な言動

今回はセクシャル・ハラスメントについて解説しました。セクシャル・ハラスメントは一般的にセクハラと呼ばれ、他者を不快にさせる職場での性的な言動です。例えば、身体的な特徴について話題にする、職務中や休憩時間に卑猥な雑談をする、職場に性的なポスターを掲示する、などはセクハラに該当します。

なお、職場内での性的な言動だけでなく、取引先や出張先、終業後の宴席なども職場と同様に扱われるため注意が必要です。また、男性から女性に対する言動だけでなく、女性から男性、男性から男性、女性から女性に対する性的な言動もセクハラに該当するため気をつけましょう。

セクハラは、職場の健全性を著しく害する深刻な問題です。何気ない発言でも、相手は不快な思いをするかもしれません。言動には十分注意し、周囲を配慮することが重要です。


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