• 作成日 : 2023年1月13日

雇用期間が1ヵ月だけなら社会保険に加入しなくてよい?入りたくない人必見!

雇用期間が1ヵ月だけなら社会保険に加入しなくてよい?入りたくない人必見!

日常生活で身近な健康保険は知っていても、他にどのような社会保険があるのか、会社で人事労務などを担当していなければ、意外と知らないものです。

短期間の有期雇用のパートやアルバイトであれば、「加入して社会保険料を支払うのは嫌だ」という人もいるでしょう。

本稿では健康保険以外の厚生年金保険雇用保険なども含めて、社会保険の加入条件や加入のメリットなどについて解説します。

雇用期間が1ヵ月だけなら社会保険に加入しなくてもよい?

社会保険は、勤務期間がどのくらいだと加入義務があるのでしょうか。例えば雇用期間が1ヵ月であれば、加入しなくてもよいのでしょうか。

公的保険である社会保険は、それぞれの法律によって原則として加入が義務づけられています。ただし例外もあり、それは社会保険によって異なります。

ただし、当初から1ヵ月という短期間の有期労働契約が締結されている場合に、加入義務が生じる社会保険はありません。

それぞれの社会保険の加入条件については後述しますが、継続して31日以上雇用が見込まれない場合などは、加入義務がない社会保険もあります。

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そもそも社会保険とは?

社会保険のメリットや加入条件を見る前に、社会保険の種類と概要を確認しておきましょう。ここでは、会社員のように雇用される労働者を対象とする社会保険を取り上げます。

健康保険

健康保険は、最も馴染みのある社会保険といえるでしょう。被保険者である会社員本人だけでなく、扶養される家族の私傷病にも療養の給付があり、出産した場合は(家族)出産育児一時金、死亡した場合は(家族)埋葬料が支給されます。

被保険者本人に対しては、私傷病により労務不能となって休業した場合には通算1年6ヵ月の傷病手当金が、産休中は出産手当金が生活保障として支給されます。

厚生年金保険

公的年金においては、すべての国民は地域保険である国民年金(基礎年金)に加入することになっています。公的年金は2階建て構造になっており、国民年金(基礎年金)は1階部分に当たります。

会社員などの被用者は1階部分の国民年金(基礎年金)に加入するとともに、2階部分の厚生年金にも加入することになります。

国民年金・厚生年金ともに保険事故(保険給付の原因となる事由)は老齢、障害、死亡の3つであり、それぞれ老齢基礎年金・老齢厚生年金、障害基礎年金・障害厚生年金、遺族基礎年金・遺族厚生年金という組み合わせで支給されます。

介護保険

介護保険は2000年にスタートした保険制度であり、市区町村が保険者となっています。

40歳以上の人が被保険者となり、65歳以上の人は介護を必要とする状態(要介護状態)になったり、家事や身支度などの日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)になったりした場合、いつでも介護サービスを受けることができます。

雇用保険

雇用保険は、被保険者が失業したとき、高齢や介護など雇用の継続が困難になったとき、育児で休業するときなどに、生活および雇用の安定と就職の促進のために必要な給付を行います。

また、保険給付とは別に失業の予防、雇用状態の是正および雇用機会の増大、労働者の能力の開発および向上、その他労働者の福祉の増進などを図るための付帯事業を行っています。

労災保険

労災保険は他の社会保険と異なり、被保険者という概念がありません。

本来、労働者を雇用する使用者(事業主)は労働者が業務上、傷病、障害、死亡したときには労働基準法上の災害補償義務を負いますが、確実・迅速に補償されない可能性があります。

そこで使用者に強制的に保険に加入させ、保険事故が生じたときに保険給付する仕組みになっています。これが労災保険で、すべての労働者に適用されます。保険料は全額、使用者が負担します。

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社会保険に加入するメリットは?

日本は国民皆保険・国民皆年金であり、すべての国民は何らかの社会保険に加入しています。

しかし、共働き世帯で妻がパートなどの短時間労働者の場合は夫の被扶養家族の扱いになり、健康保険・厚生年金保険への加入義務はありません。

その場合でも私傷病などについて療養の給付を受けられますが、家族にはない保険給付もあり、前述の傷病手当金や出産手当金が該当します。

傷病手当金は、被保険者本人が業務外の病気やケガの療養中で働くことができず、給与の支払いがない場合に、その間の生活保障として支給されます。

1日当たりの金額は、支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額を30で除して計算します。概算では月給の3分の2程度になり、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月まで受給することができます。

最近は、30代以降は乳ガンや子宮ガンの発生率が高くなるといわれており、長期で療養するリスクを考えれば、給与の約3分の2が支給されることは大きなメリットといえます。

出産手当金についても、健康保険に被保険者として加入すれば、産前6週間、産後8週間の休業期間に傷病手当金と同様に給付されます。

雇用保険についても、加入していなければ失業した際に転職までの生活保障としての給付はないため、加入することのメリットが大きい社会保険といえます。

詳しくは以下の記事を参照してください。

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社会保険の加入条件は?

社会保険にはさまざまな種類があることがわかりましたが、それぞれの加入条件(被保険者となる資格要件)はどのようになっているのでしょうか。

健康保険・厚生年金保険の加入条件

健康保険と厚生年金保険は一体として扱われ、一方のみに加入することは原則として認められません。

健康保険・厚生年金保険の適用事業所で使用される正社員は、厚生年金保険では70歳未満、健康保険ではすべてが被保険者になります。

パートタイマーやアルバイトなどの非正規社員の場合はいわゆる「4分の3ルール」というものがあり、1週間の所定労働時間および1ヵ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上であれば、正社員と同様に加入義務があります。

また、令和4年10月には法律が改正され、100人を超える企業に勤務している場合、1週間の所定労働時間が4分の3未満であっても、以下のすべての要件に該当する人は被保険者となります。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上あること
  2. 賃金の月額が8.8万円以上であること
  3. 学生でないこと

なお、健康保険・厚生年金保険には適用除外規定があり、臨時に2ヵ月以内の期間を定めて使用され、その期間を超えない人は加入することができません。

雇用保険・労災保険の加入条件

雇用保険では、適用事業所で使用される従業員は、常用・臨時雇・日雇・アルバイト・パートタイマーなどの名称や雇用形態にかかわらず加入義務があります。

ただし、以下のように適用除外とされる場合もあります。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間未満である者
  2. 同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者

前述のとおり30日以下の有期雇用の場合、雇用保険には加入できません。

労災保険には被保険者という概念がないため、労働の対償として賃金が支払われる者であれば、すべて保険給付の対象となります。

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社会保険加入条件の「2ヵ月」はいつからいつまで?

健康保険・厚生年金保険には、臨時に2ヵ月以内の期間を定めて使用され、その期間を超えない人は加入することができないという適用除外があります。

その2ヵ月は、入社日から契約期間の満了日までをカウントします。

例えば、10月1日入社で11月30日までの有期雇用契約であればちょうど2ヵ月であり、適用除外となります。

令和4年9月までは、2ヵ月の有期雇用について就業規則や雇用契約書などで契約を更新する旨の記載があっても、当初から2ヵ月の雇用期間となっていれば適用除外となっていました。

しかし法改正により、令和4年10月からは就業規則などに契約を更新する旨が明示されている場合は、当初から雇用保険の加入義務が生じることになりました。

社会保険に入りたくない場合はどうする?

夫が勤務先の健康保険に加入しており、妻が専業主婦であれば、被扶養家族となるため加入義務はありません。

妻が夫の扶養から外れることなくパートで働くためには、どうすればよいのでしょうか。

加入条件を満たさないように就業調整することで、扶養から外れることなく働くことができます。

具体的には、収入と労働時間を調整します。

収入を調整する

「130万円の壁」というものがあり、妻のパートの年収が130万円以上になると扶養から外れます。

では、収入を130万円未満に調整すればよいのでしょうか。前述の令和4年10月の法改正によって、100人を超える企業に勤務している場合は、年収が130万円以下であっても「106万円の壁」によって社会保険への加入義務が生じることがあります。

そのため、勤務する事業所の規模によって年収を130万円未満にするか、106万円未満にするかを判断することになります。

労働時間を調整する

パートタイマーなどの「4分の3ルール」を紹介しました。1週間の所定労働時間および1ヵ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上であれば、正社員と同様に加入義務が生じるというものです。

4分の3ルールに触れないように1週間の労働時間と1ヵ月労働日数を調整すれば、社会保険の加入義務は生じません。

ただし、労働時間についても令和4年10月の法改正が問題になります。100人を超える企業に勤務している場合、年収106万円で週の所定労働時間が20時間以上であれば、社会保険の加入義務が生じます。

労働時間も、事業規模を考慮して調整する必要があるということです。

2024年10月~ 社会保険の適用範囲拡大に注意!

政府は、短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大を進めています。

令和4年10月の法改正も、その一環です。この適用拡大措置は令和6年10月に再度改正され、50人を超える企業も対象となります。

「どうしても社会保険に加入したくない」という人は覚えておきましょう。

社会保険のメリットと加入条件を知っておこう!

社会保険の加入条件や、加入することのメリットなどについて解説しました。

共働き世帯でパートとして働いている女性は、「年収の壁」で就業調整をしようと考える人が多いと思いますが、加入のメリットもよく考えて判断することが大切です。

よくある質問

雇用期間が1ヵ月だけなら社会保険に加入しなくてよい?

1ヵ月の有期労働契約であれば、加入義務はありません。詳しくはこちらをご覧ください。

社会保険加入条件の「2ヵ月」は、いつからいつまで?

入社日から契約期間の満了日までをカウントします。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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