• 更新日 : 2022年10月14日

社会保険における被扶養者とは?

社会保険における被扶養者とは?

従業員に子どもが産まれたことや結婚したことなどにより、社会保険における扶養の手続きが必要になる場合があります。

今回は、社会保険の扶養とはどのようなことをいうのか、被扶養者とはどのような人なのかについて解説します。また、家族を扶養にする際の加入要件となる「被扶養者の範囲」「収入要件」についても確認していきましょう。

社会保険における扶養(被扶養者)とは?

社会保険における扶養とは、「未成年である」「高齢である」「失業している」などの理由により、一人では生計をたてることが難しい人を、家族や親族が援助することをいいます。社会保険の扶養に入る際には、決められた扶養条件を満たしていないと扶養に入ることはできません。

扶養認定を受ける条件として、「被扶養者の範囲」と「収入要件」の2つがあります。それぞれについて見ていきましょう。

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社会保険の扶養条件1「被扶養者の範囲」

社会保険で扶養条件となるもののうち、被扶養者の範囲は「被保険者との同居が必要ない者」と「被保険者との同居が必要ある者」の2種類があります。

被保険者との同居が必要ない者

被保険者と同居する必要がない者の扶養条件は「配偶者」「子」、「孫」及び「兄弟姉妹」ならびに「直系尊属」です。

「配偶者」には、民法上の「婚姻関係」はないけれども生活を共にしている夫婦同様のいわゆる「事実婚」である場合も含まれます。

「直系尊属」とは、父母や祖父母など自分よりも上の世代の中で、被保険者本人と直接つながっている親族のことです。養父、養母は直接の血のつながりがありませんが「養子縁組」を行った時点で「直系尊属」となります(民法第727条)。また、自分より上の世代でも、叔父や叔母といったように、婚姻関係でつながった親族は「傍系尊属」となりますので注意が必要です。

被保険者との同居が必要ある者

「配偶者」「子、孫及び兄弟姉妹」「直系尊属」以外にも、同居を条件に社会保険上の扶養にできる者がいます。

例えば「甥っ子・姪っ子」や「ひ孫」「伯父母」などの「3親等以内の親族」は、同居していれば扶養にすることができます。

また「内縁関係の配偶者の父母及び子」も同居であることを条件に扶養にすることができます。内縁関係の配偶者の父母及び子は、その内縁関係の配偶者が死亡したあとも引き続いて同居する場合、被扶養者として認定されます。

「3親等以内の親族」の「親等」とは親族関係の世代を表す単位で、次の図のように数えます。

3親等以内の親族

0親等は本人と配偶者です。1親等には本人の父母と配偶者の父母、そして本人の子どもが入ります。2親等は本人と配偶者の祖父母、そしてそれぞれの兄弟姉妹も含まれます。自分たちの孫も2親等です。

兄弟姉妹は一見すると1親等になりますが、本人から直接つなげるのではなく、父母にさかのぼって1親等、そこから兄弟姉妹に下って1親等になるので2親等となります。3親等は本人と配偶者の曾祖父母、ひ孫とその配偶者が含まれます。

さらに、本人、配偶者の父母の叔伯父母、それぞれの兄弟姉妹の子どもである甥姪・その配偶者も3親等内の親族です。

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社会保険の扶養条件2「収入要件」

社会保険の扶養条件には、親族関係のほかに、扶養となる方自身の収入要件もあります。

収入要件は「年間収入130万円未満」

被扶養者の収入に関する要件は「年間収入が130万円未満であること」と定められています。ただし、60歳以上である、または障害者の場合は「年間収入180万円未満」まで認められます。しかし収入要件はこれだけではありません。

全国健康保険協会では、被扶養者の定義として「主として被保険者に生計を維持されている人」「被保険者の収入により生計を維持されている」ことを挙げています。

引用:被扶養者とは?|全国健康保険協会

つまり、130万円または180万円未満の年間収入だとしても、その収入が生計を維持するための収入になっている場合は被扶養者とは認められないのです。誰の収入で生計を維持しているかどうかは、次の基準で判断されます。

  • 同居の場合:被保険者の収入の1/2未満であること
  • 同居でない場合:収入が被保険者からの仕送りより少ないこと

ただし同居している場合には例外があります。それは、収入が被保険者本人の収入の2分の1以上だとしても、被保険者の収入を上回らず、被保険者が当該世帯の生計を維持していると認められる場合です。

このような場合、扶養条件を満たしていると判断されるケースがあります。

「年間収入」とは?

ここで注意しなければならないのが、「年間収入」は認定日以降の年間所得見込額であるという点です。「将来的に一定以上の収入の見込みがないので扶養に入りたい」ということなので、認定に際しては認定日までの年間収入が問われることはありません。

目安としては、収入が給与所得のみであれば「総支給額が月給108,333円以下」で「年間収入130万円」をクリアすることになります。

したがって、例えばアルバイトをしている子どもが6ヶ月で72万円稼いでいたとすると、72万円÷6ヶ月=12万円ですので扶養にすることはできません。

雇用保険の失業給付を受給している場合は、失業給付を含んだ収入により各保険者が判断します。

参考:被扶養者とは?|全国健康保険協会

なお、事業収入や不動産収入がある場合は、収入から必要経費を差し引いた残額で「年間収入130万円」を判定してよいとされています。

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配偶者特別控除の計算方法 – 収入と控除額

配偶者特別控除とは、合計所得金額が48万円以上のため、配偶者控除を受けることができない配偶者が受けることのできる所得控除をいいます。配偶者特別控除の金額の計算方法は、配偶者自身の収入ではなく、所得の金額により控除額が変わります。

以下の表で、縦軸の「配偶者の合計所得金額」と横軸の「控除を受ける納税者本人の合計所得金額」の交差するところが、配偶者特別控除の金額になります。

【配偶者特別控除の金額(令和2年分以降)】

控除を受ける納税者本人の合計所得金額
900万円以下900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下









48万円超 95万円以下38万円26万円13万円
95万円超 100万円以下36万円24万円12万円
100万円超 105万円以下31万円21万円11万円
105万円超 110万円以下26万円18万円9万円
110万円超 115万円以下21万円14万円7万円
115万円超 120万円以下16万円11万円6万円
120万円超 125万円以下11万円8万円4万円
125万円超 130万円以下6万円4万円2万円
130万円超 133万円以下3万円2万円1万円

引用:配偶者特別控除|国税庁

例えば、配偶者の合計所得金額が102万円で納税者本人の合計所得金額が930万円であれば21万円になります。

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社会保険の扶養における注意点

社会保険で、新たに扶養にしたい家族などが増えた場合には、誰に相談すればよいのかわかりますか?ここでは、社会保険の扶養においての注意点について見ていきます。

扶養対象が増えた・生じた場合、誰に相談すればよい?

子どもが産まれた、結婚した等で、新たに家族を扶養に入れたい場合には、必要な手続きは会社が行いますので、会社の担当者に相談して必要な手続きを確認してください。

一時的な収入も配偶者控除の対象になる?

配偶者に所得があったとしても、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で配偶者の合計所得金額が年間48万円以下の場合は配偶者控除が受けられます。

ただし、合計所得の金額が年間48万円を超える場合は配偶者控除は受けられなくなりますのでご注意ください。

社会保険の扶養条件をきちんと確認しましょう

社会保険の被扶養者であれば、被保険者本人と同様に病気や怪我をした際の保険給付が受けられます。扶養条件を満たしている場合は、被扶養者になったほうが保険料の面でも節約をすることが可能です。

ここで挙げた扶養条件を満たしているにもかかわらず、被扶養者として申請をしていない人はできるだけ早く申請をすることをおすすめします。

また収入要件のところでも触れたように、場合によっては要件を満たしていなくても被扶養者として認定される場合もあります。少しでも疑問がある場合は、最寄りの協会けんぽ支部に問い合わせてみましょう。

よくある質問

社会保険における扶養とは何ですか?

社会保険における扶養とは、未成年や高齢であるなどの理由で、一人では生計をたてるのが難しい人を家族や親族が援助することをいいます。扶養に入るには、あらかじめ決められた扶養条件を満たす必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

社会保険の扶養における収入要件について教えてください。

原則の収入要件は「年間収入130万円未満」(60歳以上または障害者は「年間収入180万円未満」)です。全国健康保険協会では上記に加えて「主として被保険者に生計を維持されている人」などを挙げています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)

山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)
やまもと社会保険労務士事務所所長
大学卒業後、システム開発技術者、上場企業情報システム部&人事部を経て2016年に開業。
独立後も労働局の総合労働相談員として200件以上のあっせん事案に関与。労働相談は民間委託事業の電話相談も含めて1,000件以上の実績あり。
労務相談、就業規則、給与計算を中心に、各種手続きや労使問題対応など、外部人事部員として活動。システムのことも分かる社会保険労務士です。

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