• 更新日 : 2025年1月28日

扶養内のパートも産休・育休が取れる?もらえるお金も解説

扶養内のパートでも、産休・育休を取得できる可能性があります。ただし、条件を満たす必要があり、雇用形態や勤務時間などがポイントです。また、扶養内パートが産休・育休中にもらえるお金や手続きの方法を事前に知ることが重要です。

本記事では、産休の具体的な取得条件や給付金の内容、扶養内パートがもらえるお金についてわかりやすく解説します。

扶養内のパートも産休が取れる?

扶養内のパートでも産休を取得できます。産休とは「産前産後休業」のことで、出産の準備のために仕事を休む「産前休業」と、産後に身体を回復させるための「産後休業」を組み合わせた休業です。

産休は、労働基準法で正社員やバイト、パートなど雇用形態にかかわらず取得が可能です。労働基準法第65条により、出産前後の女性は誰でも産休・育休を取得できるよう定められています。

パートの産休の取得期間と条件

産前休業の場合、仕事先に産休の申請をすると取得できます。産休は、会社に雇用されていれば、雇用形態を問わず取得可能です。産前休業は、出産予定日の42日(6週間)前(多胎妊娠の場合は14週間前)から取得できます。

一方、産後休業の取得期間は、出産翌日から56日(8週間)までです。もし、出産を終えた本人が復職したいと希望していても、法律で産後8週間を経過していなければ、労働させてはいけないと義務付けられています。

ただし、産後42日(6週間)を経過した際に従業員自身が仕事に復帰したいと希望して医師が許可を出した場合、例外として復職可能です。

扶養内のパートも育休が取れる?

扶養内のパートでも育休を取得できます。育休とは、育児休業のことで、1歳未満の子どもの養育を目的とした制度です。扶養内のパートも条件を満たせば育休を取ることが可能ですが、条件には注意が必要です。

また、2022年4月1日の育児・介護休業法の改正により「産後パパ育休(出生児育児休業)」が新設され、夫婦で柔軟に育休を取得できるようになりました。以下では、パートが取得できる育休の具体的な取得期間と条件を紹介します。

パートの育休の取得期間と条件

パートの育休の取得期間は、女性の場合は産後8週間の産休後から子どもが1歳の誕生日を迎える前日までが基本です。また、育休は男性でも取得でき、子どもの出生後8週間以内から1歳の誕生日を迎える前日まで取得できます。夫婦で取得する場合は、子どもが1歳2ヶ月になるまでの間で1年間取得でき、保育所に入れない場合には最長2歳まで延長可能です。

パートが育休を取得するための条件は、子どもが1歳6ヶ月に達する日までに契約が終了していないことが求められます。また、労使協定により就業開始1年未満の従業員や、週2日以下の勤務の従業員は対象外となることがあるため、勤務先への確認が重要です。

扶養内のパートも育休手当はもらえる?

扶養内のパートとして働いている場合、雇用保険に入っており、条件を満たしていれば扶養内の育休手当(育児休業給付金)を受け取れます。

育休手当とは育児休業給付金のことで、雇用保険の被保険者が1歳未満の子どもを養育する目的で育児休業を取得した際に受け取れる手当です。育休取得により給与をもらわない期間、収入を補うために支給されます。

育休手当を受け取るためには、以下の条件に当てはまっている可能性があります。

  • 1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得した被保険者であること
  • 休業開始日前2年間に、賃金支払い基礎日数が11日以上ある完全月が12ヶ月以上あること(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上)
  • 一支給単位期間中の就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下であること
  • 養育する子が1歳6ヶ月に達する日までの間に、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと

参考:厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」

雇用保険の加入条件は、「週20時間以上の就労と、雇用期間が31日以上あること」です。雇用保険に加入し、上記の要件を満たせば育休手当が支給されます。

上記を満たしていなければ、育児手当は受給できないため注意が必要です。

扶養内のパートが産休・育休でもらえるお金とは?

扶養内のパートでも、一定の条件を満たしていれば産休や育休による給付金や手当を受け取れます。ただし、個人の仕事の状況により異なるため、事前に確認しておくことが重要です。以下では、扶養内のパートが産休・育休でもらえるお金について解説します。

家族出産育児一時金

家族出産育児一時金(出産育児一時金)とは、健康保険に加入している被保険者や被扶養者が出産した際に、出産費用の負担を軽減するための制度です。支給される金額は以下のとおりです。

産科医療補償制度加入の医療機関などで妊娠週数22週以降に出産した場合子ども1人につき50万円
産科医療補償制度に未加入の医療機関などで出産した場合子ども1人につき48.8万円
産科医療補償制度に加入の医療機関などで妊娠週数22週未満で出産した場合

参考:全国健康保険協会「子どもが生まれたとき」

ただし、産科医療補償制度に未加入の医療機関での出産や、妊娠22週未満の出産の場合は、支給額が異なることがあります。申請手続きは、直接支払い制度を利用する場合、医療機関での手続きが必要となり、利用していない場合は加入している健康保険組合への申請が必要です。

申請期限は出産日の翌日から2年以内となっています。本制度は家族の健康保険の被扶養者のパートであっても適用されます。

出産準備金・子育てクーポン

出産準備金・子育てクーポンは、2023年に開始された「出産・子育て応援交付金」の一環として提供される支援制度です。本制度は、「伴走型相談支援」と「出産・子育て支援ギフト」によって構成されています。

伴走型相談支援では、妊婦や子育て中の家庭に対し、面談やアンケートを通じて相談を受け、個々のニーズに合ったサポートを提供します。

出産・子育て支援ギフトの魅力は、出産応援ギフトとして5万円相当、子育て応援ギフトとして5万円相当が支給される点です。対象は、2022年4月1日以降に生まれた0〜2歳の子どもを持つ家庭やこれから出産する家庭で、扶養内で働くパートや雇用保険未加入者も含まれます。

扶養内のパートの産休・育休に関して会社が行う手続き

扶養内のパートが産休・育休申請した場合は、会社は必要に応じて適切な手続きを行わなければいけません。

産前休業は、出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から開始できます。従業員からの申し出に基づき、会社は休業期間の調整を行います。また、出産翌日から8週間は労働基準法第65条により、就業が禁止されているため注意が必要です。

従業員から申し出を受け取ったら、会社は育休開始予定日の1ヶ月前までに必要な手続きを進めます。育児休業給付金は、雇用保険の被保険者でなければ申請できないため、事前に確認しておきましょう。

また、会社は産休・育休に関する就業規則や労使協定を整備し、従業員に産休・育休について周知する義務があります。とくに、産休・育休取得の条件や手続きについて明確に定め、従業員が安心して休業できる環境を整えることが重要です。

上記のような手続きを適切に行うと、扶養内パートの産休・育休取得を円滑にサポートできるでしょう。

パートの産休・育休後の復職で会社が確認すべきポイント

パートの産休や育休後に復職する際、会社は円滑な復帰を支援するためにいくつかの重要なポイントを確認する必要があります。従業員が仕事と育児を両立できるよう、柔軟な勤務体制やサポートを提供することが大切です。以下では、パートの産休・産後の復職で確認するポイントについて解説します。

労働時間や雇用契約

パートが産休・育休後に復職する際、会社は労働時間や雇用契約の見直しを検討する必要があります。育児と仕事の両立を支援するため、短時間勤務制度の導入や勤務時間の柔軟な調整が求められます。

ただし、雇用形態の変更は従業員の同意が必要であり、不利益な変更は避けるべきです。また、就業規則に育児短時間措置がどのように記載されているかを確認し、従業員の希望と企業の方針を調節することが重要です。

復職後の適切なサポート

パートが産休・育休後に復職する場合、企業は適切なサポートを提供することが重要です。具体的には、柔軟な勤務時間の設定や業務内容の調整、職場内でのサポート体制の強化などです。

育児と仕事の両立は、従業員にとって大きな負担となる場合があります。適切なサポートがない場合、従業員のストレスが増大し、業務効率の低下や離職につながりかねません。一方、企業が積極的に支援を行うと、従業員のモチベーションや職場定着率の向上が期待できます。

そのため、企業は適切なサポートを提供することで、従業員の不安を軽減し、スムーズな復職を促進可能です。

各種助成金

パートの産休・育休後の復職に際し、企業は「両立支援等助成金」を活用すると、育児と仕事の両立を支援し、経済的な負担を軽減できます。

助成金の申請には、育児休業取得前の計画策定や育児休業取得者の業務代替要員の確保、職場復帰後の支援体制の整備など、事前の準備が必要です。

会社は産休・育休から復職するパートの支援のために、助成金制度を活用すると、従業員の職場復帰を円滑に進め、企業の負担を軽減できるでしょう。

産休・育休に関わる申請書類のテンプレート

産休・育休を取得する際には、企業への申請手続きが必要です。そのためには、適切な書類を提出することが求められます。以下では、産休・育休に関わる申請書類のテンプレートを紹介します。

産休申請書テンプレート

産休を取得するためには、適切な申請書を提出することが必要です。従業員がスムーズに育休を取得するためには、書類を適切に作成することが重要です。そこでシンプルでわかりやすいテンプレートを活用すると、簡単に申請書を作成できます。

産休申請書テンプレートは、以下のリンクから無料でダウンロード可能です。ぜひ活用してみてください。

産休申請書テンプレート

育児休業申請書テンプレート

育児休業の申請のためには、育児休業申請書を作成して手続きする必要があります。育児休業に記載すべき項目がわかっていない場合、テンプレートの利用がおすすめです。テンプレートには必要項目がわかりやすく記載されており、育児休業を申請する際の労力も軽減できます。

育児休業申請書テンプレートは、以下のリンクから無料でダウンロード可能です。ぜひ活用してみてください。

育児休業申請書テンプレート

扶養内のパートでも産休が取れるようにサポートしよう

扶養内のパートでも、条件を満たしていれば産休を取得できます。産休は、労働基準法で正社員やバイト、パートなど雇用形態にかかわらず取得でき、心身に負担なく出産するためにも必要不可欠です。産休の申請を受けた場合、企業は従業員が安心して休業できるようにする手続きを済ませなければいけません。

パート従業員が安心して産休を取得できるようにするためにも、ぜひ本記事を参考にしてみてください。


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