- 更新日 : 2026年9月14日
中途採用された場合の年末調整を解説!必要な書類など
中途採用で転職した場合の年末調整は、転職先の会社が前職分の給与を合算して行います。
Q. 前職の源泉徴収票を紛失した場合は?
A. すぐに前職へ再発行を依頼してください。再発行不可の場合は年末調整ができないため、自分で確定申告が必要です。
年の途中で中途採用により会社が変わった場合、転職した先で年末調整を行います。その際、前職を退職したときに受け取った源泉徴収票が必要です。ここでは、中途採用された人が年末調整を受ける場合に必要な書類や紛失時の対応、2025年・2026年の税制改正による変更点などについて解説します。
中途採用された人の年末調整はどうする?
例年12月になると、会社では「年末調整」が行われます。年の途中で転職したケースでは、1年間の間に給与の支払いを受けた会社が複数存在することになります。このようなケースでは、前の会社からの給与を合算し、中途採用で入社した後の会社が年末調整を行います。そのとき、前職の源泉徴収票が必要になります。
そもそも年末調整とは
年末調整とは、毎月の給与から天引きされた所得税と、1年間の正しい所得税額との差額を精算する手続きです。会社員や役員などのように会社から給与が支払われる場合、月々の給与から所得税があらかじめ差し引かれており、これを会社が本人に代わって国に納税します。これを「源泉徴収」といいます。
源泉徴収で納める税額は、1年間の給与所得や控除額を正確に計算した金額ではありません。そのため、所得に対して納めるべき税額に過不足が発生します。この払いすぎ・不足分を精算するのが、毎年12月に勤務先で行われる年末調整です。年末調整では1月1日から12月31日までの収入をもとに正しい所得税額を算出し、払いすぎていた場合は還付、不足していた場合は追加徴収が行われます。
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中途採用された人が年末調整を受けるために必要な書類は?
中途採用者の年末調整では、前職分の給与を合算するための源泉徴収票と、各種控除を受けるための申告書の提出が必要です。年の途中で就職した場合、会社からまず、その年中に別の会社から給与の支払いを受けていたかどうかについて確認されます。
前職の源泉徴収票と扶養控除等申告書の提出
年の途中で就職した人が、前職の勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出して給与の支払いを受けていた場合は、前職分の給与も含めて転職先で年末調整を行います。そのため、前職の「給与所得の源泉徴収票」を転職先に提出する必要があります。転職先へ前職の「給与所得の源泉徴収票」を提出することで、前職の給与分も含めて新たな勤務先で年末調整を受けられるようになります。あわせて、前職でその年に給与の支払いがあった場合には、前職の勤務先から退職時に渡された源泉徴収票を会社に提出するのを忘れないようにしましょう。
基礎控除申告書など各種控除申告書の提出
国税庁の最新の案内では、年末調整の各種控除を受けるために、扶養控除等申告書のほかに、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、特定親族特別控除申告書、所得金額調整控除申告書、保険料控除申告書、住宅借入金等特別控除申告書などを勤務先に提出する必要があるとされています。特定親族特別控除は2025年(令和7年)分の税制改正で新設された控除で、19歳以上23歳未満の親族などの所得要件が緩和された点が特徴です。中途採用者もこれらの申告書を漏れなく提出する必要があります。
控除証明書類の提出時期と対象範囲
年末調整では収入の証明だけではなく、所得控除を受けるために提出する書類もあります。これらの書類を提出するタイミングは、勤務先が年末調整の準備をする毎年11月中旬から下旬となるのが一般的です。たとえば、退職し再就職するまでの間に国民年金・国民健康保険料を支払った場合は、社会保険料控除の対象となるため支払証明書もあわせて提出しましょう。なお、転職期間中に受給していた失業手当(雇用保険)の金額は収入には含まれないため、証明書の提出は不要です。
中途採用者が提出する主な書類一覧
| 提出書類 | 内容 |
|---|---|
| 前職の源泉徴収票 | 前職分の給与収入を合算するために必要 |
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 扶養親族の有無にかかわらず提出が必要 |
| 基礎控除申告書 | 基礎控除(最大104万円)の適用を受けるために提出 |
| 配偶者控除等申告書 | 配偶者控除・配偶者特別控除の適用を受けるために提出 |
| 特定親族特別控除申告書 | 19歳以上23歳未満の親族等がいる場合に提出 |
| 国民年金・国民健康保険料等の支払証明書 | 社会保険料控除の対象となる場合に提出 |
| 住宅ローン控除のためのローン年末残高等証明書 | 住宅借入金等特別控除を受ける場合に提出 |
| 小規模企業共済等掛金払込証明書 | 小規模企業共済等掛金控除を受ける場合に提出 |
前職の源泉徴収票は絶対に必要?
年の途中で就職した場合、前職での給与収入を証明する源泉徴収票の提出を必ず求められます。年末調整は1年間の給与収入を合算して所得税を確定させる手続きのため、前職分の収入が把握できないと正しい税額が算出できません。
この「前職」とは正社員に限りません。パートやアルバイトなど雇用形態が異なっていたとしても、扶養控除等申告書を提出して給与の支払いを受けていた勤務先がある場合には、その分も含めた給与収入が年末調整の対象となります。中途採用で年の途中に入社した場合は、入社前に働いていた勤務先のその年の給与収入について、きちんと確認しておきましょう。
なお、以下のいずれかに該当する場合は年末調整の対象にならないため、自分で確定申告を行います。(下記のほかに、医療費控除を受ける場合などは年末調整ではなく、確定申告が必要になります。)
- 本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人
- 「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」の規定により、本年分の給与に対する源泉所得税および復興特別所得税の徴収猶予または還付を受けた人
- 2か所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出している人や、年末調整を行うときまでに扶養控除等(異動)申告書を提出していない人
前職の源泉徴収票を紛失した、または手に入らない場合は?
源泉徴収票を紛失した場合や受け取っていない場合は、すぐに前職の担当者に連絡しましょう。多くの場合、企業は再発行に応じてくれます。
源泉徴収票の発行は所得税法で会社の義務として定められています。会社は、従業員が退職した日から1ヵ月以内に、源泉徴収票を本人に交付しなければいけません(所得税法・第226条2項)。そのため、退職したのに源泉徴収票を受け取っていないというケースでは、必ず前職に確認をしましょう。
ただし、以下のように源泉徴収票がどうしても手に入らないケースもあります。
- 前職が再発行に対応してくれない
- 何らかの理由で源泉徴収票を発行してくれない
- 前職が倒産してしまっている
このように前職から源泉徴収票の交付を受けていない場合は、まず前職の勤務先に交付を依頼します。それでも交付されない場合には、一定の要件のもとで「源泉徴収票不交付の届出手続」を利用できます。一方、いったん交付された源泉徴収票を紛失した場合の再発行については、「源泉徴収票不交付の届出手続」の対象外です。そのため、まず前職の勤務先に再発行を依頼します。
参考:給与所得の源泉徴収票等の交付義務|国税庁、F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続|国税庁
年末調整の前に退職した場合はどうなる?
中途採用で入社しても年末調整の前に退職した場合や、年の途中で退職して再就職しなかった場合は、翌年に自身で確定申告を行う必要があります。確定申告で各種控除を申請し、納めすぎていた所得税があれば還付を受けることができます。
確定申告を行える時期は、原則としてその年の翌年の2月16日から3月15日の期間になります。ただし、納めすぎた所得税の還付を受ける還付申告の期間は、確定申告の期間にかかわらずその年の翌年1月1日から5年間、いつでも申告できます。
2019年の税制改正により、確定申告時に源泉徴収票を添付する必要はなくなりました。ただし、確定申告で収入金額を確認する書類としては源泉徴収票が確実です。そのため、退職時に会社から受け取った源泉徴収票は大切に保管し、時期がきたら早めに確定申告を行いましょう。なお、確定申告の期限を過ぎた場合でも、源泉徴収票を保管していれば還付申告により5年遡って還付を受けることが可能です。
参考:No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき|国税庁、No.2030 還付申告|国税庁
2025年・2026年の税制改正で年末調整はどう変わった?
2025年(令和7年)分の年末調整から、基礎控除・給与所得控除が引き上げられ、2026年(令和8年)分については、令和8年度税制改正により基礎控除や給与所得控除の最低保障額などが改正されます。これらの改正は原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分の所得税から適用されるため、令和8年12月に行う年末調整から新しい制度に基づいて計算します。中途採用者は前職分の給与を合算して控除額を計算するため、この改正内容を理解しておくことが重要です。
基礎控除・給与所得控除の引き上げ内容
令和7年度改正により、基礎控除は合計所得金額に応じて58万円から最大95万円の範囲に、給与所得控除の最低保障額は55万円から65万円に引き上げられました。さらに令和8年度改正により、令和8年(2026年)分・令和9年(2027年)分の基礎控除額は、合計所得489万円以下の場合は104万円(本則62万円+特例加算42万円)、489万円超655万円以下の場合は67万円(本則62万円+特例加算5万円)、655万円超2,350万円以下の場合は62万円(本則のみ、改正前は58万円)となります(合計所得2,350万円超の場合の基礎控除額に変更はありません)。
あわせて給与所得控除の最低保障額も65万円から74万円に引き上げられました。
これにより、給与収入が一定額以下の場合は所得税が発生しない、いわゆる課税最低限のラインが従来より上がっています。
基礎控除の上乗せ部分(低所得層向けの加算)は当初、2025年・2026年分限りの暫定措置とされ、2027年以降は一律58万円になるとされていました。しかし令和8年度税制改正により、この方針は見直され、令和8年(2026年)分以後は基礎控除の本則部分が恒久的に4万円引き上げられる(合計所得655万円超2,350万円以下の場合は58万円→62万円)など、2027年以降も所得水準に応じた控除額が維持される見込みです。
ただし、合計所得金額2,350万円超の人に対する基礎控除額の減額措置には変更がありません。中途採用者の年末調整でも、前職分と現職分を合算した所得金額に応じてこの新しい控除額が適用されるため、担当者は従業員に提出してもらう基礎控除申告書の記載内容を必ず確認しましょう。
参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁
転職や退職の際には年末調整にも注意しておこう!
中途採用で年の途中に転職した場合、年末調整は転職先の会社にて前職分の給与を合算して行います。前職から交付された源泉徴収票は失くさずに保管し、2025年・2026年の税制改正による基礎控除・給与所得控除の変更点もあわせて確認しておきましょう。また、退職し再就職しない場合は、翌年に確定申告を行うことで払いすぎた所得税の還付を受けることができます。収入の証明と各種控除を受けるための証明書は、大切に管理しておくといいでしょう。
よくある質問
中途採用された人の年末調整はどうなりますか?
原則として、中途採用で入社した先の企業が、前職分での給与を含めて年末調整を行います。前職での所得証明には、退職時に交付された源泉徴収票が必要です。紛失した場合はすぐに前職の会社に連絡しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
年末調整の前に退職した場合どうなりますか?
年末調整を行う前に退職し、そのまま再就職しなかった場合、翌年に個人で確定申告を行うことで払いすぎた所得税の還付を受けることができます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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