• 作成日 : 2022年2月15日

中途採用された場合の年末調整を解説!必要な書類など

年の途中で中途採用により会社が変わった場合、転職した先で年末調整を行います。その際、前職を退職したときに受け取った源泉徴収票が必要です。ここでは、中途採用された人が年末調整を受ける場合に必要な書類や紛失時の対応などについて解説。さらに、年末調整前に転職・退職した場合の対応についても紹介します。

中途採用された人の年末調整

例年12月になると、会社では「年末調整」が行われます。年の途中で転職したケースでは、1年間の間に給与の支払いを受けた会社が複数存在することになります。このようなケースでは、前の会社からの給与を合算し、中途採用で入社した後の会社が年末調整を行います。そのとき、前職の源泉徴収票が必要になります。

そもそも年末調整とは

サラリーマンや会社役員などのように会社から給与が支払われる場合、月々支払われる給与から「所得税」が天引きされます。天引きされた所得税は会社が本人に代わり国に納税します。これを「源泉徴収」といいます。

源泉徴収で納める税額は1年間の給与所得や控除額を正確に計算した金額ではありません。そのため、所得に対して納めるべき税額に過不足が発生してしまいます。この、税金の払いすぎ・もしくは不足分を精算するのが毎年12月に勤務先で行われる「年末調整」です。

年末調整では1月1日から12月末までの収入をもとに正しい所得税額を算出します。もし源泉徴収で税金を支払いすぎていた場合には払い戻しがあり、不足分があった場合には追加で徴収されることがあります。

詳しくは以下の記事も参考にしてください。

中途採用された人が年末調整を受けるために必要な書類

年の途中で就職した場合、会社からまず、その年中に別の会社から給与の支払いを受けていたかどうかについて確認されます。

前職の勤務先から給与の支払いを受けたことがある方は、後に就職した会社から最初の給与が支払われる前までに「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」を提出します。この書類を提出することで、前職の給与分も含めて、新たな勤務先で年末調整を受けられるようになります。

転職により年の途中で就職した場合には、入社後すぐに「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」を会社に提出します。前職でその年に給与の支払いがあった場合には、前職の勤務先から退職時に渡された「源泉徴収票」を会社に提出するのを忘れないようにしましょう。

また、年末調整では収入の証明だけではなく、所得控除を受けるために提出する書類もあります。これらの書類を提出するタイミングは、勤務先が年末調整の準備をする毎年11月の中旬から下旬となります。

たとえば、退職し再就職するまでの間に、国民年金・国民健康保険料を支払った場合は、これらの保険料も年末調整の社会保険料控除の対象になります。国民年金・国民健康保険料の支払証明書も合わせて提出しましょう。

なお、転職期間中に受給していた失業手当(雇用保険)の金額は収入には含まれませんので、証明書の提出は必要ありません。

【年末調整で収入証明や控除証明として提出する書類の例】

  • 前職の源泉徴収票
  • 国民年金や国民健康保険、生命保険料などの支払証明書
  • 住宅ローン控除のためのローン年末残高等証明書
  • 小規模企業共済等掛金払込証明書

参考:各種控除について(給与所得者用)|国税庁

前職の源泉徴収票は絶対に必要?

先に説明した通り、年末調整とは1年間の給与収入を合算して支払うべき所得税を確定するものです。そのため、年の途中で就職した場合、前職での給与収入を証明する源泉徴収の提出を必ず求められます。

この「前職」とは、正社員に限りません。パートやアルバイトなど雇用形態が異なっていたとしても、「給与所得者の扶養控除等申請書」を提出して給与の支払いを受けていた勤務先がある場合には、その分も含めた給与収入が年末調整の対象となります。

中途採用で年の途中で入社した場合は、入社前に働いていた勤務先のその年の給与収入について、きちんと確認しておきましょう。

なお、以下のいずれかに該当する場合は年末調整の対象にはなりませんので、自分で確定申告を行います。

【年末調整の対象とならない人の例】

  • 本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人
  • 「災害被害者に対する租税の減免、 徴収猶予等に関する法律」の規定により、本年分の給与に対する源泉所得税及び復興特別 所得税の徴収猶予又は還付を受けた人
  • 2か所以上から給与の支払を受けている人 で、他の給与の支払者に扶養控除等(異動) 申告書を提出している人や、年末調整を行うときまでに扶養控除等(異動)申告書を提出 していない人

引用:Ⅱ 年末調整とは|国税庁

前職の源泉徴収票を紛失した、または手に入らない場合

もし、前職で発行された源泉徴収票を紛失してしまったり、まだ受け取っていなかったりする場合、すぐに前職の担当者に連絡をしましょう。紛失した場合でも、通常であれば企業は再発行に応じてもらえます。

源泉徴収票の発行は、所得税法で会社の義務として定められています。

会社は、従業員が退職した日から1ヵ月以内に、源泉徴収票を本人に交付しなければいけません(所得税法・第226条2項)。

そのため、退職したのに源泉徴収票を受け取っていないというケースでは、必ず前職に確認をしましょう。

参考:給与所得の源泉徴収票等の交付義務|国税庁

ただし、以下のようにどうしても源泉徴収票が手に入らないケースがあります。

  • 前職が再発行に対応してくれない
  • 何らかの理由で源泉徴収票を発行してくれない
  • 前職が倒産してしまっている

このように、何らかの理由で前職の源泉徴収が提出できない場合、勤務先は年末調整を行うことができません。そのため、自分で確定申告を行う必要が出てきます。その際、源泉徴収票が前職から発行されていない旨の届出として「源泉徴収票不交付」の手続きを行う必要もあります。

参考:[手続名]源泉徴収票不交付の届出手続 |国税庁

年末調整の前に退職した場合はどうなる?

もし中途採用で入社しても年末調整の前に退職したときや、年の途中で退職して再就職しなかった場合は、翌年に確定申告を行います。確定申告で各種控除を申請し、納めすぎていた所得税があれば還付を受けることができます。

確定申告を行える時期は、原則として翌年の2月16日から3月15日のあいだです。しかし、納めすぎてしまった所得税の還付を受ける還付申告の期間については、確定申告の期間に関わらず、翌年1月1日から5年間、いつでも申告することができます。

2019年の税制改正により、確定申告時に源泉徴収票を添付する必要はなくなりました。ただし、確定申告で収入金額を確認する書類としては源泉徴収票が確実です。そのため、退職時に会社から受け取った源泉徴収票は大切に保管し、時期がきたら早めに確定申告を行いましょう。

なお、確定申告の期限を過ぎた場合でも、源泉徴収票を保管していれば、還付申告により5年遡って還付を受けることが可能です。

参考:
No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき|国税庁
No.2030 還付申告|国税庁

転職や退職のさいには年末調整にも注意しておこう!

中途採用で年の途中に転職した場合、年末調整は転職先の会社にて、前職分の給与を合算して行います。そのため、前職の企業から交付された源泉徴収票は失くさずに保管しましょう。

また、退職し再就職しない場合は、翌年に確定申告を行うことで払いすぎた所得税の還付を受けることができます。収入の証明と各種控除を受けるための証明書は、大切に管理しておくといいでしょう。

よくある質問

中途採用された人の年末調整はどうなりますか?

原則として、中途採用で入社した先の企業が、前職分での給与を含めて年末調整を行います。前職での所得証明には、退職時に交付された源泉徴収票が必要です。紛失した場合はすぐに前職の会社に連絡しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整の前に退職した場合どうなりますか?

年末調整を行う前に退職し、そのまま再就職しなかった場合、翌年に個人で確定申告を行うことで払いすぎた所得税の還付を受けることができます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事