• 更新日 : 2023年9月29日

ギグワーカーとは?意味を解説!雇用や働き方のメリット・デメリット

ギグワーカーとは?意味を解説!雇用や働き方のメリット・デメリット

ギグワーカーとは、主にインターネット上のプラットフォームを介して、単発の仕事を請け負って働く人を指す言葉です。フリーランスよりもさらに短いサイクルで企業の依頼を受けられることから、自由に働く仕事のスタイルとして近年浸透してきました。

ここでは派遣や日雇いとの違いや、どんな仕事がギグワーカーに向いているのかを解説します。

ギグワーカーとは?

ギグワーカーとは、主にインターネット上のプラットフォームを介して単発の仕事を請け負う働き方をする人のことをいいます。近年増えているのは、飲食店の料理配達代行などをするフードデリバリーの仕事です。特定の企業に属さず、スキルに合わせて仕事を選べることもあって、副業などの形で収入アップを狙う人もいます。

企業にとっても、雇用の手間を削減し、単発業務に対してスポットで人材確保ができるメリットがあります。一方、仕事の不安定さや法的な立場の弱さといった課題もあります。

フリーランスや個人事業主との違い

ギグワーカーの形態は、フリーランスや個人事業主に該当するケースが多いでしょう。企業と雇用契約を結ぶのではなく、単発・プロジェクトごとに仕事が発生し、仕事の完成・納品をもって報酬を得る点は、フリーランスや個人事業主と違いはありません。ただし、細かい部分で以下のような違いがあります。

単発の短い契約が多い

ギグワーカーは数分から1日以内で完了する単発での契約が多い働き方です。一方、フリーランスや個人事業主は、数日から長いと数ヵ月もの期間働くことがあり、特定の企業と継続性が高い取引を行うことも多くあります。

簡単に取り組みやすい仕事が多い

ギグワーカーの仕事は、短期間で完了する簡単な仕事が多い傾向があります。フリーランスや個人事業主は、プログラミングやデザイナーのように高いスキルや専門的な知識が求められるものも多く含まれます。

インターネットで仕事を請け負う

ギグワーカーは基本的に、インターネットのプラットフォームを利用したサービスを介して仕事を受注します。フリーランスや個人事業主の間でもクラウドサービスのようなインターネットプラットフォームが広がっていますが、フリーランスや個人事業主は、専門性や過去の信頼関係に基づく企業からの仕事依頼、企業への直接営業で仕事を得ることが少なくありません。

英語における「ギグ」の意味とは

ギグ(gig)とは、ミュージシャンがライブハウスなどで一度限りのセッションを行うことを指します。「単発の」とも訳されるギグに「働く人」を意味するワーカーがついて、ギグワーカーという言葉が誕生しました。ギグワーカーとは、まさに「単発」で「短い」仕事で「働く人」を表した言葉なのです。

ギグワーカーの歴史 – 注目された背景は?

ギグワーカーという働き方が広まっている背景には、労働者不足や副業解禁などがあげられます。規模の小さい企業では、人材育成に時間を割いたり、短期間で働くスタッフを大量雇用したりする余裕がないことから、ギグワーカーはスポットで活用できる人材として浸透しています。

さらに、インターネットで簡単に仕事を請け負えるプラットフォームやアプリが発展したことも、ギグワーカーが広まるきっかけとなっています。また、コロナ禍以降の雇用不安から、副業という収入アップを目的に、ギグワーカーとして働くホワイトカラー系のワーカーもいます。

ギグワーカーはどんな仕事につく?

ギグワーカーに多いのは、以下の仕事です。

  • 配達代行
  • ポスティング
  • 記事ライティング
  • イラスト作成
  • カウンセラー
  • 運転代行
  • 家事代行
  • オンラインレッスン
  • コンサルティング
  • 翻訳
  • プログラマー

料理の配達代行やポスティング、運転代行など、簡単に行える仕事が主流ですが、なかにはスキルが求められる仕事もあります。

ギグワーカーの雇用形態

ギグワーカーと他の雇用形態との違いを見てみましょう。

アルバイトやパートとの違い

アルバイトやパートは、フルタイムで働く正社員よりも所定労働時間数や所定労働日数が短い点が特徴です。企業と労働契約を結び、労働時間数によっては、正社員と同様に社会保険に加入する義務が企業に発生することがあります。

ギグワーカーは、発注企業と雇用契約を結びません。ゆえに、社会保険の適用なども受けられないのです。

日雇い労働との違い

日雇い労働者とは、企業と日々雇用契約を結んで就労する労働者のことを指し、雇用保険法では、日々雇用される者や30日以内の期間を定めて雇用される者と定義しています。日雇い労働者が1日単位の契約で雇われるのに対し、ギグワーカーは、雇用契約を結ぶことなく数時間などの短い期間で単発の仕事を請け負います。

派遣労働との違い

派遣労働者は、派遣元となる企業と雇用契約を結びます。派遣先企業は、必要に応じて教育機会の提供や福利厚生施設の利用の提供といった義務を負います。また、派遣元企業は、労働者派遣法や最低賃金法に定められた適切な賃金を支払わなければなりません。

ギグワーカーが企業で働く場合でも、企業は教育機会の提供といった義務を負うことはありません。また、最低賃金法や労働者派遣法の規制はなく、仕事内容に応じて企業の裁量のみで決定した報酬で働くかどうかは、ギグワーカーに委ねられます。

フリーランス・個人事業主との違い

フリーランス・個人事業主とギグワーカーは、企業と雇用契約を結ばない点では同様です。一方、収入の安定性といった違いがあります。取引先と長期的な関係性を築ける可能性のあるフリーランス・個人事業主のほうが、単発のギグワーカーと比較して、月々の収入が安定する傾向があります。

ギグワーカーを雇用する企業のメリット

ギグワーカーを活用する企業のメリットについて解説します。

採用コストを減らせる

ギグワーカーへの仕事の依頼は単発が前提です。雇用するわけではないため、雇用に必要な採用活動や入社手続きは必要ありません。そのため、採用コストを削減することができます。ギグワーカーのニーズがあれば、仕事を最短スピードで始めることができます。

スポットでの人材確保ができる

仕事内容ごとに単発の依頼が可能であり、ギグワーカーの活用はスポットでの人材確保に適しています。また、プラットフォームによっては多くのギグワーカーが登録しており、単発の依頼でも安定した人材確保が可能です。

優秀な人材を確保できる

スキルの高い人材がギグワーカーとして働いていることもあります。単発で依頼するプロジェクトで、社内の人材よりもプロフェッショナルな経験を持ったギグワーカーに依頼できる可能性があります。

ギグワーカーを雇用する企業のデメリット

一方、ギグワーカーを雇用する企業は、以下の点に注意しなければいけません。

社内に知見を蓄積できない

ギグワーカーは、仕事が完了すれば企業との関係性は解消されます。たとえ配達代行という仕事でも、ギグワーカーの持つノウハウを企業内で蓄積することはできません。人材育成につながらないほか、新人を教育する人材を育てることもできません。単発でギグワーカーが持つスキルを借りることしかできない点を踏まえたうえで、ギグワーカーの活用を考えましょう。

人材のスキルについてばらつき・良し悪しがある

通常の採用とは異なり、仕事の依頼前にギグワーカーと企業が会う時間はほとんどありません。そのため、ギグワーカーのスキルや信頼性が曖昧なまま仕事を依頼することもあります。とくに初回の依頼では、仕事のスキルにばらつきがでる可能性が考えられます。

情報漏洩などのセキュリティ上の問題

単発で仕事を依頼するギグワーカーと関わる人数が増えるほど、顧客情報や企業機密などの情報漏洩のセキュリティリスクが高まります。事前にマニュアルを配布し、注意するべきポイントを共有するといったセキュリティ対策が求められます。

勤務時間等が一定でない可能性も

単発依頼のため、時期や時間によってはギグワーカーの確保が難しくなる可能性があります。依頼をすれば人材確保ができるとは限らないため、注意が必要です。

ギグワーカーから見た働き方のメリット

ギグワーカーから見た、働き方のメリットを紹介します。

特定の時間に縛られることがない

自由な働き方は、ギグワーカーの特徴です。自分のライフスタイルに合わせて働く時間や場所を選ぶことができます。単発依頼が多いことから、仕事量の調整もしやすくなっています。

自分のスキルを十分に活かすことができる

スキルに合わせた仕事を選ぶことができます。企業に雇用されているときのように、与えられた業務だけではなく、興味関心や経験に合わせて仕事に挑戦できます。

収入を増やすことができる

空いた時間で仕事を引き受けられるのもギグワーカーの特徴です。正社員として働きつつ、週末はギグワーカーといった働き方であれば、着実な収入アップが見込めます。

ギグワーカーから見た働き方のデメリット

ギグワーカーとして働くデメリットも存在します。

収入が安定する可能性が低い

単発仕事がメインのギグワーカーは、それ自体で生計を立てるのが難しくなります。毎回、良いタイミングで希望の仕事が見つかるとは限りません。また、仕事ができない・していない期間は収入がゼロになります。

何かあった場合の責任は自分になる

フリーランスと同様に雇用保険や健康保険などの社会保険の適用が受けられないため、税金や年金などの手続きは自分で管理しなければなりません。また、雇用契約を結んでいる働き方と異なり、労災のように事故によるケガや病気に対する補償がされないため、何かあった場合の責任を自分で取ることになります。

ギグワーカーを採用するまでの流れ

ギグワーカーを採用してからスタートするまで、以下の流れで行います。

企業が進める手続き

ギグワーカーに依頼する仕事内容を明確にします。その上で、自社に適したプラットフォームを選択しましょう。配達代行や家事代行など、近年仕事内容に特化したさまざまなサービスが登場しています。プラットフォームに登録したのち、仕事の依頼を行います。

ギグワーカーが進める手続き

自分のスキルや興味に合わせて、プラットフォームを選択し登録します。登録には、身分証明書が必要です。また、銀行口座も登録します。仕事の種類によっては、自分で自転車やヘルメットなど仕事に必要な道具をそろえておく必要があります。

ギグワーカーの活用は企業にとっても大きなメリットがある

単発で仕事を依頼できるギグワーカーは、採用コストの削減や人材育成の手間の軽減、正社員など従業員の負担軽減といったメリットがあります。また、個人にとっては、スキルを活かして自由に働けるライフスタイルを確立する手段にもなるでしょう。

働く場所を問わないため、家事や育児との両立を考えて仕事を選ぶことも可能です。今後も、ギグワーカーという働き方は一般に浸透していくと考えられます。


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