- 更新日 : 2026年9月9日
年末調整で必要な控除証明書とは?発行方法も解説
保険料控除申告書の記載欄に対応する形で、加入している制度ごとに交付されます。
- 申告書の記載欄ごとに対応する証明書がある
- 10月ごろに保険会社や年金機構から届く
- 紛失しても再発行や電子データで対応する
令和8年分の申告書には、23歳未満の扶養親族がいる場合の記載欄が加わりました。一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円になる特例に対応するためです。
年末調整は、会社が従業員に支払う毎月の給与から源泉徴収されている額を、年末に精算して過不足を調整する手続きです。手続きをするのは給与所得を支払った会社ですが、従業員自身が記載して会社(勤務先)に提出しなければならない書類もあります。今回は、年末調整で必要な控除証明書の種類、交付方法について解説していきます。
年末調整で必要な控除証明書とは?
年末調整では、会社が従業員に支払う給与などから天引きした1年間の所得税の額と、実際に納付すべき額(年調年税額)の過不足を計算して年末に精算します。従業員が所得税控除の対象となっている生命保険料などを支払っていた場合、年末調整することで納め過ぎた税額は還付されます。その際、保険料の支払いを証明するために必要になるのが、「控除証明書」です。
控除証明書とひとまとめで呼んでいますが、その種類はいくつもあります。
控除証明書の種類
控除証明書には、勤務先に提出する「給与所得者の保険料控除申告書」を記入する際に必要な情報が記載されています。
控除証明書がなければ申告書は作成できません。申告書は10月から12月までの間に勤務先から配布され、記入のうえ提出を求められます。申告書の記載欄と、対応する控除証明書は次のとおりです。
申告書の4つの記載欄に、対応する控除証明書があります。
| 申告書の記載欄 | 対応する控除証明書 |
|---|---|
| 生命保険料控除 | 生命保険料控除証明書(生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料) |
| 地震保険料控除 | 地震保険料控除証明書 |
| 社会保険料控除 | 社会保険料控除証明書 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済等掛金払込証明書(iDeCoなど) |
なお令和8年分の申告書は、生命保険料控除欄に、23歳未満の扶養親族を有する場合の特例に対応した記載欄が加わっています。次からそれぞれの控除証明書について解説していきましょう。
生命保険料控除証明書
生命保険料控除欄には、生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3種類の控除があります。都道府県民共済は、一般の生命保険料に該当します。
申告書の控除欄に記入するのは次の項目です。
- 保険会社の名称
- 保険の種類
- 保険期間または年金支払期間
- 保険の契約者の氏名
- 保険金等の受取人の氏名
- 制度の新・旧の別
- 本年中に支払った保険料等の金額
金額については、証明日までに実際に払い込まれた額が「証明額」、その年の12月末までに払い込む予定の金額が「申告額」です。証明日以降、年末まで12月分の保険料を支払うことが確実なときには、「申告額」を「本年中に支払った保険料等の金額」欄に記入します。
地震保険料控除証明書
地震保険料控除証明書は、自分や生計同一の親族の家屋や家財に関する地震等での損失を補填する目的の損害保険契約に加入して保険料を支払っていることを証明するものです。
地震保険料控除として、一定の金額の保険料控除を受けることができます。
申告書に記入する項目は、保険会社の名称、保険の種類(目的)、保険期間、契約者の氏名、地震保険料または旧長期損害保険料の区分、保険料の額です。
地震保険料と旧長期損害保険料を両方とも支払っている場合には、それぞれの保険料を決められた計算式にあてはめて計算した額が地震保険料控除額になります。
社会保険料控除証明書
社会保険料控除証明書は、自分や生計を同一にする親族の社会保険料を納付した場合の証明書です。
ただし、会社員や公務員は自分自身の健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料は勤務先ですでに控除されています。よって、対象となるのは、勤務先が把握できない社会保険料になります。具体例としては、国民年金保険料のケースがあり、次のような場合が該当します。
- 個人事業主が、年の途中で就職した場合のそれまでに納付済みの国民年金保険料
- 国民年金に加入している配偶者もしくは扶養親族の納付済みの国民年金保険料
- 滞納や免除になっていたが、その年に追納した国民年金保険料
- 学生や無職の方が年の途中で就職した場合の納付済みの国民年金保険料
申告書に記入する項目は、社会保険の種類、支払先の名称、保険料を負担する人の氏名と続柄、本年中に納付した金額になります。
小規模企業共済等掛金払込証明書
小規模企業共済等掛金控除は、給与から差し引かれた掛金以外に本年中に支払った掛金が対象となります。申告書には次の4種類について記載します。
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金
- 確定拠出年金法で定められた企業型年金加入者掛金
- 確定拠出年金法で定められた個人型年金加入者掛金
- 心身障害者扶養共済制度で一定の要件に該当する契約の掛金
従業員個人がiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入して拠出している掛金の額は、勤務先では確認できません。したがって小規模企業共済等掛金払込証明書をもとに、掛金の額を申告書の控除欄に記載します。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
送付状テンプレ集 36選パック-時候の挨拶×12か月分(上旬・中旬・下旬)
こちらは「送付状テンプレ集 36選パック」です。 12か月分の上旬・中旬・下旬、それぞれの時期に対応した時候の挨拶が含まれています。
季節や時期に応じた送付状を作成する際の参考資料として、ぜひご活用ください。
電子契約にも使える!誓約書ひな形まとめ
誓約書のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。資料内から任意のひな形をダウンロードいただけます。
実際の用途に合わせてカスタマイズしていただきながら、ご利用くださいませ。
人事・労務の年間業務カレンダー
毎年大人気!人事労務の年間業務を月別にまとめ、提出や納付が必要な手続きを一覧化しました。
法改正やシーズン業務の対応ポイントについて解説するコラムも掲載していますので、毎月の業務にお役立てください。
人事・労務担当者向け Excel関数集 56選まとめブック
人事・労務担当者が知っておきたい便利なExcel関数を56選ギュッとまとめました。
40P以上のお得な1冊で、Excel関数の公式はもちろん、人事・労務担当者向けに使い方の例やサンプルファイルも掲載。Google スプレッドシートならではの関数もご紹介しています。お手元における保存版としてや、従業員への印刷・配布用、学習用としてもご活用いただけます。
控除証明書の発行方法は?
「給与所得者の保険料控除申告書」の記載欄に対応する控除証明書について説明してきました。控除証明書は、申告書を作成する際に手元に準備する必要があります。どこが発行し、どのような方法で入手するのかをみていきましょう。
基本的に、いずれの控除証明書も従業員本人にハガキの形で郵送されます。発行については、本人の側から請求するなどの手続きは必要ありません。
発行元は、それぞれ加入する保険事業の運営主体(保険者)です。
- 生命保険料控除証明書:生命保険会社
- 地震保険料控除証明書:損害保険会社
- 社会保険料控除証明書:日本年金機構
- 小規模企業共済等掛金払込証明書:独立行政法人中小企業基盤整備機構、国民年金基金連合会など
送付時期は年末調整に間に合うよう10月ごろが中心ですが、発行元によって幅があります。損害保険会社は10月上旬から中旬、生命保険会社は10月から翌年1月にかけて、日本年金機構は10月下旬から11月上旬というのが目安です。
生命保険や損害保険では、契約内容や保険料の払込期月(月払・半年払・年払)によって発送時期を分けていることもあります。届く時期が前後しても、慌てる必要はありません。
控除証明書等の電子的交付
控除証明書は郵送だけでなく、電子データで受け取ることもできます。これを「電子的控除証明書等」と呼びます。
平成30年分以後、電子的控除証明書等を一定の方法で印刷した「QRコード付控除証明書等」による提出ができるようになりました。平成31年1月以後はe-Taxで電子的控除証明書等を添付して送信でき、令和2年10月以後は年末調整の際に勤務先へ電子的に提出することもできます。
令和2年10月からは、政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」から、さまざまな電子的控除証明書等を一括で取得し、取得した情報を申告書へ自動入力できる「マイナポータル連携」も始まりました。
電子的控除証明書等の交付は、次の流れとなります。
- 保険会社や自治体等の保険者が、控除証明書の電子データ(XML形式)を作成し、電子署名して保険等の契約者に提供する
- 契約者が、マイナポータルまたは保険会社等のマイページから電子データを取得する
- 契約者が、年末調整控除申告書作成用ソフト(年調ソフト)や勤務先指定のソフトを使い、取得した電子データを申告書に添付して送信する
勤務先へは、社内メールなどで提出することになります。
控除証明書を発行する際の注意点
控除証明書の発行は、郵送または電子的交付で行われますが、郵送の場合には紛失するケースも少なくないでしょう。また、発行の時期自体が年末調整に間に合わないということも考えられます。このような場合は、どう対処すればよいのでしょうか。
紛失した場合はどうする?
控除証明書を紛失しても、加入している保険会社などの保険者に依頼すれば再発行してもらえます。
郵送された控除証明書は、しっかりと保管するのが基本です。
ただ保管場所を忘れてしまうこともあるでしょう。慌てる必要はなく、いずれの証明書も担当窓口で再発行に対応しています。
郵送での再発行は、再発行申請書の提出が必要になるなど、手元に届くまでに日数がかかります。保険会社によってはマイページから再発行の手続きができ、こちらのほうが早く受け取れることもあります。
急ぐ場合の解決策として、前述した「電子的控除証明書等」が使えます。国税庁のホームページにある「QRコード付証明書等作成システム」を利用できるためです。保険会社や金融機関等から交付を受けた電子的控除証明書等から、年末調整で提出する「QRコード付控除証明書等」を印刷できます。
ただしこのシステムは、スマートフォンが推奨環境外のため使用できないおそれがあります。パソコンで操作してください。
参考: QRコード付証明書等作成システムについて|「e-Tax」国税電子申告・納税システム|国税庁
証明書の発行が年末調整に間に合わない場合は?
年末調整に間に合わなかった場合でも、確定申告をすれば控除を受けられます。
控除証明書の発行そのものは、QRコード付証明書等作成システムから自分で印刷できるので、気づいた時点で入手できます。それをもとに「給与所得者の保険料控除申告書」を作成すれば、間に合うこともあります。間に合わない場合の対処法は、次のとおりです。
- QRコード付証明書等作成システムで証明書を自分で印刷し、申告書を作成する
- 勤務先の担当者に相談し、対応してもらえるか確認する
- 間に合わなかった場合は、確定申告で還付を受ける
会社が税務署へ年末調整の法定調書を提出する期限は1月31日とされています。
しかし勤務先は通常、11月には申告書を回収して12月給与で年末調整の計算結果を反映するというスケジュールを組んでいます。1月の給与で年末調整を行う場合もありますが、スケジュール的にはかなり厳しいといえます。
相談次第で勤務先の担当者が対応してくれる場合もあるでしょう。難しかった場合は、年末調整では控除を受けられません。
とはいえ還付金を受け取れなくなるわけではありません。自分で確定申告をすればよいだけです。
確定申告は、本来、個人事業主等が1年間の売上から経費を差し引いた所得をとりまとめ、所得にかかる税金を計算して税務署に報告する手続きです。会社員にはあまり馴染みがないかもしれませんが、年末調整と同様に所得控除による還付を受けられます。
なお令和9年1月以後に行う令和8年分以後の確定申告では、生命保険料控除を受ける際に一定の明細書を添付すれば、控除証明書の添付が不要になります。ただしこれは確定申告での取扱いで、年末調整では引き続き控除証明書が必要です。
参照:年金Q&A(社会保険料の控除証明)|日本年金機構
参照:令和7年分社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発行について|日本年金機構
年末調整の控除証明書は大切に保管しましょう
年末調整によって所得控除されれば、結果的に税金が安くなります。そのもとになるのが控除証明書です。生命保険料、地震保険料、社会保険料、小規模企業共済等掛金の記載欄それぞれに対応する証明書があり、加入している制度に応じて10月ごろから届きます。紛失しても再発行や電子データで対応できるので、慌てる必要はありません。
令和8年分は生命保険料控除欄に新しい記載欄が加わるため、様式の違いにも気をつけましょう。郵送で受け取ったら、勤務先から配布されている「給与所得者の保険料控除申告書」など年末調整関係の書類とともに保管しておくことをおすすめします。
参照:令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A|国税庁
よくある質問
控除証明書にはどういった種類のものがありますか?
生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、社会保険料控除証明書、小規模企業共済等掛金控除証明書等があります。詳しくはこちらをご覧ください。
控除証明書の発行方法について教えてください。
保険会社等による郵送が基本ですが、電子的控除証明書等による発行もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 年末調整業務
年末調整の保険料控除申告書で受取人がわからない場合はどうする?
保険料控除申告書の受取人がわからないときは? 保険証券や保険会社のマイページで確認し、空欄のまま提出しないようにします。 控除証明書には受取人が載っていない 空欄だと控除を受けられ…
詳しくみる -
# 年末調整業務
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の個人番号とは?省略はできる?
扶養控除等申告書の個人番号は省略できる? 扶養控除等申告書への個人番号記載は原則義務ですが、一定条件を満たせば省略が認められています。 帳簿整備済みなら申告書への記載不要 提供済み…
詳しくみる -
# 年末調整業務
給与所得者の基礎控除申告書の収入金額がわからない時は?副業・年金の扱いも解説
基礎控除申告書の収入金額が未確定のときはどうする? 配布時点で年収が未確定でも、年末調整書類には「見積額」で記入できます。 1月から直近の総支給額に、残り月分と賞与の見込みを加えて…
詳しくみる -
# 年末調整業務
【見本つき】源泉徴収票の正しい書き方!扶養や保険についての注意点も解説
この記事では源泉徴収票を迷いなく書けるよう、見本つきで各項目や注意点を解説いたします。 源泉徴収票は従業員を雇用している企業が必ず毎年作成し、交付しなければならない書類です。 もし…
詳しくみる -
# 年末調整業務
国民年金保険料の前納制度とは?年末調整での控除方法とともに解説!
国民年金保険料を前納すると何が変わる? まとめて前払いすると保険料が割引になり、納めた年の社会保険料控除にできます。 2年分をまとめると1万6千円以上安くなる 家族の分を納めた人が…
詳しくみる -
# 年末調整業務
年末調整で源泉徴収票がないとどうなる?リスクや対処法を解説
源泉徴収票がないと年末調整はどうなる? 前職の源泉徴収票がない場合、企業は年末調整を実施できず、従業員は自分で確定申告する必要があります。 源泉徴収票がなければ年末調整は不可 還付…
詳しくみる


.png)



