- 更新日 : 2024年10月7日
休日出勤とは?割増賃金の発生ケースと計算方法を解説!
休日出勤とは、労働義務がない日に労働することをいいます。休日出勤には割増賃金が適用されますが、すべての休日が割増対象となるわけではありません。法定休日・法定外休日によって取り扱いが異なる上、振替休日や代休の有無によっても計算が変わります。
今回は、休日出勤の計算の基本的ルールや、ケース別の計算方法について解説します。
目次
休日の種類と定義
休日に従業員を勤務させた場合、休日労働として割増賃金の支払いが必要となるのは、「法定休日」が対象です。「法定外休日」の労働では休日労働の割増賃金は発生しませんが、時間外労働もしくは深夜労働として割増賃金が適用される可能性があります。以下、休日出勤で押さえておくべき休日の定義について解説します。
法定休日
「法定休日」とは、法律で定められた休日のことをいいます。労働基準法第35では、週に1回(例外として4週間を通じて4回)の休日を与えなければいけないとされています。
たとえば、週休二日制を採用している企業で月に8回休日がある場合、半分の4回が法定休日となります。法定休日は、会社ごとに就業規則等で設定することが可能です。ただし、法定休日の特定は義務ではありません。
もし就業規則などに法定休日の特定の定めがない場合は、暦週において「1週間のうちで最も後順に位置する休日」という行政解釈を使用することができます。ここでいう行政解釈では、日曜を週の初めとし土曜を週の終わりとしています。つまり、土日の週休二日制の企業において法定休日の定めがない場合、土曜日を法定休日と考えます。法定休日に働いた場合は、35%の割増賃金率が適用されます。
参考:Q10-A10 改正労働基準法にかかる質疑応答|厚生労働省
法定外休日(所定休日)
「法定外休日」とは、上記で説明した法律が定める法定休日以外の、企業が設定した休日をいい、所定休日とも呼ばれます。
法律上は週に1回でよい休日を、「土日休み」のように2日設定している企業が一般的であることを疑問に思うかもしれません。これには、法定労働時間が関係しています。労働基準法では、原則として「1日に8時間、1週間に40時間」を超える労働は禁止されています。この時間を、法定労働時間といいます。
1日8時間を週に5日働けば、40時間ですから、残りの2日が休みとなります。そのため、一般的には週休2日制が定着しています。休日労働の割増賃金が発生するのは、法定休日に働いた場合です。ただし、法定外休日の労働でも、法定労働時間を超えて働いた分は時間外労働として25%の割増賃金率が適用されます。
※ただし法定労働時間を超えた時間外労働には25%の割増賃金率を適用 |
参考:労働時間・休日|厚生労働省
しっかりマスター労働基準法|東京労働局
振替休日
「振替休日」とは、事前に振替をする労働日を特定し、事前または事後に休日を与えたものをいいます。休日を振り替えたことにより出勤した日は休日出勤ではなく所定労働日として考えます。そのため、休日労働の割増賃金は発生しません。ただし、翌週に休日を振替えるなど、振替出勤により出勤した週の1週間の労働時間が40時間を超えた場合は、その40時間を超えた分は、時間外労働として割増されます。
代休
「代休」とは、法定休日に労働をさせ、その後に代わりの休みを与えた場合のことをいいます。この場合は休日出勤として、休日労働の割増賃金が発生します。
祝日
祝日の取り扱いは、企業によって異なります。「休みになる日」というイメージが強い祝日ですが、労働基準法上、祝日を休日としなくても問題はないとされています。飲食店や宿泊施設など、祝日勤務が一般的である業界を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
法定休日は週に1日あればよく、祝日を法定休日とするケースは少ないでしょう。しかし、就業規則などで祝日を法定休日としている場合は、祝日の勤務は休日労働の割増賃金が発生します。法定休日となる祝日以外のそのほかの祝日の労働については、その労働が法定労働時間内かどうかによって、時間外労働の割増賃金の有無を判断します。
- 祝日が法定休日に指定されており、休日出勤した場合
休日労働の割増賃金率が適用されます。
- 祝日が法定休日に指定されており、休日出勤をして代休をとった場合
休日労働の割増賃金率が適用されます。
- 祝日が法定休日に指定されているが、事前の通知があり振替休日をとって休日出勤した場合
休日労働の割増賃金率は適用されません。ただし、振り替えることにより出勤した週の40時間を超えた実労働時間に対しては時間外労働の割増賃金が発生します。
- 法定休日ではないが、本来であれば休みの祝日に休日出勤した場合
週40時間を超えた実労働時間分に対して、時間外労働の割増賃金率が適用されます。
休日出勤を会社が命令できる要件
一定の要件を満たすときは、会社は従業員に休日出勤を命じることができます。満たすべき要件について見てみましょう。
ただし、要件を満たしている場合でも、必要性に欠ける出勤命令は職権乱用とみなされる可能性があります。休日出勤を命令する前に、今一度、必要性や妥当性について検討してください。
36協定を締結している
1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えて労働者に時間外労働をさせるときには、36(サブロク)協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。36協定とは、労働基準法第36条に基づく労使協定のことで、時間外労働をする業務の種類や、1日・1ヶ月・1年あたりの時間外労働時間の上限などが含まれます。
なお、36協定で定める時間外労働時間は、臨時的な事情がなければ月45時間、年360時間を超えられません。また、臨時的な事情があるときでも、年720時間、複数月平均80時間、月100時間、月45時間を超える月が6ヶ月を超えることはできません。
休日出勤の理由・日数・時間数が36協定の範囲内である
休日出勤の理由や日数、時間数などは、いずれも36協定の範囲内であることが必要です。従業員ごとに時間外労働時間を管理し、規定を超えることがないようにしましょう。
就業規則または雇用契約で休日出勤命令が認められている
就業規則または雇用契約において、会社に休日出勤命令の権限があることが明記されている必要があります。ただし、休日出勤命令について就業規則で定める前に雇用した従業員に対しては、休日出勤命令が無効になる可能性があります。
休日出勤が割増賃金になるケース
休日出勤として、休日労働の割増賃金が適用対象となるのは、あくまで法定休日出勤をしたときのみです。ただし、それ以外のケースでも労働基準法にしたがって割増賃金が適用されます。以下に、「法定休日の出勤」「祝日の出勤」「代休の出勤」について、割増賃金の扱い方を見てみましょう。
法定休日出勤の場合
法定休日に出勤した場合、その日の労働時間は割増賃金の対象となります。割増賃金率は35%です。深夜労働の時間帯では深夜手当も発生します。この、法定休日で深夜労働をした労働時間分については、「休日手当(35%)」と「深夜手当(25%)」を合算した60%の割増賃金率となるため注意が必要です。
たとえば、法定休日である日に「9時から24時(休憩1時間)」で労働した従業員の割増賃金は、「9時から22時」までは35%の割増賃金率、「22時から24時」の間は35%と25%を合算した60%の割増賃金率になります。
祝日に出勤した場合
祝日を休日とするかどうか、休日とする場合に法定休日とするかどうかは、会社によって異なります。そのため、就業規則等で祝日が法定休日とされている場合のみ、休日労働の割増賃金率が適用されます。
それ以外の法定休日でない祝日の出勤で割増賃金が発生するかどうかは、その労働が時間外労働にあたるかどうか、深夜労働にあたるかどうかで扱いが変わります。
- 祝日の出勤が1日8時間・週40時間の法定労働時間を超える場合
→超えた分に対して、時間外労働として25%の割増賃金率が適用される - 祝日の出勤が、22時から5時までの深夜労働に該当する場合
→労働時間に対して、深夜労働として25%の割増賃金率が適用される - 祝日の出勤に、22時から5時までの深夜労働があり、かつ法定労働時間を超える労働がある場合
→該当する労働時間に対して、時間外労働手当25%+深夜労働手当25%の合計50%の割増賃金率が適用される
代休をとった場合
代休とは、法定休日に労働をして事後に与えられた代わりの休みをいいます。すなわち、代休をとったということは法定休日に労働したということですから、35%の割増賃金が発生します。
- 法定休日に働き代休をとった際の、時間外労働の扱い
法定休日の割増賃金は、休日労働と深夜労働のみが対象であり、時間外労働の割増賃金率は適用されません。代休をとった場合、休日に出勤した週の勤務時間が法定労働時間の40時間を超えるケースがあります。しかし、該当する法定休日の日に働いた時間数が法定労働時間を超えていても、25%の時間外労働の割増は適用されず、法定休日の休日労働として35%の割増賃金率のみ(もしくは+深夜手当)が適用される点に注意しましょう。
休日出勤が割増賃金にならないケース
休日出勤をしても、その日が法定外休日であれば、休日労働の割増賃金の対象外となります。ただし、週40時間の法定労働時間を超える分には、時間外労働の割増賃金が適用されます。以下に、詳しい事例を交えながら「法定外休日」「振替休日」「その他特殊なケース」について、割増賃金の取り扱いを解説します。
法定外休日出勤の場合
法定外休日出勤は、休日労働の割増賃金の対象外です。ただし、週40時間以上を超えた分は時間外労働として割増されます。
たとえば、1日7時間×月~金の5日勤務、週に35時間の労働時間(所定労働時間)が定められている会社で、土曜日の法定外休日に7時間働いた場合、2時間のみが時間外労働として25%の割増賃金率が適用されます。
【週35時間労働の人が、土曜日(法定外休日)に休日出勤して7時間実働した例】
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振替休日を決めていた場合
振替休日として法定休日としていた日に出勤をする場合は、休日労働の割増賃金の対象にはなりません。しかし、以下の2点のケースでは、割増賃金が発生するため注意が必要です。
- 休日を振替たことにより、時間外労働が発生した場合
法定労働時間の超過分に対して、25%の割増賃金が発生します。振替を行って労働した日の、1日の労働時間が8時間を超えた場合、もしくはその日が含まれる週の労働時間が40時間を超えた場合に、時間外労働の割増賃金が発生します。
その他、特殊なケース
休日に働いたり、週40時間を超えて勤務したりしていても、割増賃金の適用対象にならないケースがあります。以下に、管理職の割増賃金の扱いについて説明します。
【管理監督者は休日出勤と時間外労働の割増賃金が支払われない】
労働法第41条において、管理監督者は法律上定められた労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されないとしています。そのため、1日8時間以上、週40時間以上働いた場合の時間外労働の割増賃金も、法定休日に出勤した場合の休日労働の割増賃金も、適用されません。
ただし、管理監督者は、労働条件の決定など労務管理について「経営者と一体的な立場にある者」をいい、一般的にいわれる会社内で決められている「管理職」とは異なります。管理監督者であるかどうかは、「部長」「工場長」といった名前だけに捉われず、職務内容、責任と権限、勤務態様、賃金等の待遇など実態に即して判断されなければいけません。
経営者と一体的な立場にあり、労働時間の裁量を持ち、規制の枠を超えて活動せざるを得ないほどの重要な職務内容を有しているかが判断のポイントになります。労働条件の決定や労務管理を自らの裁量で行える権限があるかどうか、基本給や役職手当といったその地位にふさわしい待遇といえるかどうか、ボーナスが一般労働者よりも優遇されているかどうかという点も、管理監督者と判断するポイントになります。
なお、深夜労働の割増賃金は管理監督者でも適用対象になります。さらに、2019年4月より施行された働き方改革関連法においては、月80時間を超える時間外労働をした者に対しては、管理監督者か否かを問わず、申し出にもとづき、医師による面接など適切な健康管理措置を講じなければいけないとされています。管理監督者であっても、健康を維持できる環境整備が求められます。
【裁量労働制でも割増賃金率は適用される】
割増賃金の扱いで誤解されやすいものに、「裁量労働制」があります。裁量労働制とは、業務の性質上、実施する方法を労働者の裁量に委ねなければ進めることができないと判断される場合に適用される働き方で、厚生労働省の定める一定の職種等に限り採用できる制度です。
裁量労働制は、実際の労働時間に関わらず、一定の労働時間を働いたとみなす制度です。たとえば、5時間働いた翌日10時間働いたとしても、裁量労働制として1日8時間の「みなし労働時間」を締結している場合は、両方の勤務日ともに8時間働いたものとみなされます。
このように裁量労働制では、たしかに「1日10時間」のような勤務でも時間外労働の割増は適用されません。しかし、「みなし労働時間」を「1日10時間」とすると、法定労働時間を超える2時間分に対しては、時間外労働として割増賃金が発生します。法定外休日、法定休日、深夜の労働時間に対しても、これまでの説明と同様の割増賃金が発生するため注意が必要です。
割増賃金の計算方法
ここからは、具体的な割増賃金の計算方法について説明します。割増賃金の計算は、1時間あたりの賃金を用います。
【基本的な計算式】
① 基礎賃金の時給を計算
割増賃金の計算には、「1時間あたりの賃金」を用います。このとき、対象となる従業員が時給制で働いていれば時給の額を用いますが、月給制の場合は1時間あたりの賃金を算出する必要があります。計算には、「月給」と「1か月の平均所定労働時間」を用います。
【1時間あたりの賃金を計算する式】
【月給に含まれるもの】
- 基本給
- 役職手当など各種手当
【月給に含まないもの】
- 家族手当
- 通勤手当
- 住宅手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 臨時に支払われた賃金(結婚手当、出産手当など)
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
参考:労働基準法施行規則21条
※家族手当、通勤手当、住宅手当が、それぞれ人数、距離、費用などに応じて算出するものではなく、一律支給の場合は、月給に含めなければいけません。
1か月の平均所定労働時間は、年間の所定労働日数が決まっている場合と、決まっていない場合とで適用する式が異なります。
【年間の所定労働日数が決まっている場合】
【年間の所定労働日数が決まっていない場合】
➁ 割増賃金率の使用
1時間あたりの賃金を算出し、適用する割増賃金率を確認します。
法定休日の勤務 | 法定休日に勤務させたとき | 休日手当:35% ※時間外手当は合算されない |
法定外休日の勤務 | 法定労働時間(1日8時間・週40時間)以内 | 0% |
法定労働時間を超える勤務 | 時間外手当:25% | |
深夜に働いたとき | 22時から5時までの間に勤務させたとき | 深夜手当:25% ※時間外手当、休日手当ともに合算される |
複数の割増賃金率が適用される労働時間分については、該当する時間分のみ、合算した割増賃金率で計算します。たとえば、「法定休日に16時から23時で休日出勤をし、深夜労働が発生した」というケースでは、「休日手当+深夜手当」の60%の割増賃金率が適用されるのは、22時から23時の1時間のみです。休日出勤分すべてが1.6倍になるわけではないので注意しましょう。
③ 出勤時間の計算
1時間あたりの賃金を算出し、割増賃金率を確認したあと、対象となる出勤時間をかけて割増賃金を計算します。
1日の労働時間は、就業規則で定められた就業時間に関わらず、実際に出勤した時間から計算します。たとえば、「9時から18時(休憩1時間)」の就業時間で8時に社員が出社した場合、17時以降を時間外労働として取り扱うことになります。とくに法定外休日では時間外労働の時間数を計算しなければいけませんから、出勤時間から起算して労働時間を計算する点に注意しましょう。
また、労働時間の集計では、「15分以上を30分とする」というように端数を切り上げることには問題ありませんが、端数を切り捨てることは原則としてできません。例外として、事務の簡便を目的に、1か月の時間外労働・休日労働・深夜労働の通算で30分未満の端数が出た場合のみ、切り捨てが認められています。
【割増賃金計算上、切り捨てが認められる処理】
- 1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
- 1時間当たりの賃金額および割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること
- 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、2と同様に処理すること
従業員は休日出勤を拒否できる?
就業規則は従業員が守るべきルールです。36協定を締結し、36協定で規定した範囲内で休日出勤を命令され、なおかつ就業規則または雇用契約で会社側に休日出勤命令の権限が認められている場合には、原則として従業員は休日出勤命令を拒否できません。
ただし、有給休暇や育児休暇などの休暇中にあたる場合には、休日出勤を命令されることはありません。万が一、休暇中に休日出勤を命令されたときは拒否できます。
休日出勤を拒否する正当な理由として認められるケース
すべての要件を満たして休日出勤を命令されたときは、原則として拒否できません。しかし、正当な理由があるときは拒否することは可能です。正当な理由として認められるケースを紹介します。
妊娠中または出産後1年以内の女性従業員
労働基準法第66条第2項では、妊娠中もしくは出産後1年以内の従業員が時間外労働や休日労働の免除を求めたときは、会社側は免除しなくてはいけないと定められています。該当する女性従業員は、妊娠中であることや出産後1年以内であることを理由に休日出勤命令を拒否できます。
使用者は、妊産婦が請求した場合においては、(中略)時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。
3歳未満の子を育てる従業員
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児介護休業法)第16条の8では、3歳未満の子を育てる従業員が、養育のために必要と請求した場合には、会社側は所定労働時間を超えて労働させられません。ただし、事業の運営に影響をおよぼすときは、休日出勤を命じられる可能性があります。
事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者(中略)が当該子を養育するために請求した場合においては、所定労働時間を超えて労働させてはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第16条の8|e-Gov 法令検索
18歳未満の従業員
労働基準法第60条第1項では、満18歳未満の従業員については、時間外労働を禁じています。そのため、会社側は18歳未満の従業員に対して、休日出勤を命令できません。
第32条の2(特定された週において同項の労働時間又は特定された日において(中略)労働時間を超えて、労働させることができる。)(中略)の規定は、満18歳に満たない者については、これを適用しない。
休日出勤したのに代休なしは違法?
休日出勤と代休はセットではありません。そのため、休日出勤後の従業員に代休を与えないとしても、会社側にペナルティが科せられることはありません。
代休規定は、労働契約や就業規則で独自に定められます。代休なしでも問題はなく、反対に代休ありとするなら、規定に従い、代休を与えなくてはいけません。就業規則で代休を義務と定めるなら、従業員に取得を強制できます。
以下の行為は違法となる可能性があるため、注意が必要です。
- 代休規定はあるが、会社側が従業員の代休取得を拒否する
- 代休規定はないが、代休取得を強制する
- 従業員が有給休暇を申請したときに有給休暇を拒否して代休扱いにする
また、以下の行為も違法です。
- 週40時間を超える労働に従事させたが、超過時間の労働に対して割増賃金を適用していない
- 法定休日に出勤させたが、労働に対して割増賃金を適用していない
- 休日出勤の賃金を代休を与えることで相殺する
なお、代休を従業員が拒否する可能性があります。その場合は、週に1日以上もしくは4週に4日以上の休日を取得しているか確認しておきましょう。もし十分な日数の休日を取得できていない場合は、労働基準法第35条に反します。従業員に説明し、代休を取得させるようにしてください。
1 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。
2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
休日出勤届のテンプレート(無料)
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
休日出勤についてのルールを策定しよう
企業が成長・発展するときには、対応すべき業務が増え、場合によっては従業員に休日出勤を命令しなくてはいけなくなるかもしれません。スムーズに休日出勤を命じるためにも、36協定を締結し、休日出勤についての規定を就業規則で定めておくことが必要です。
また、代休を取得させる場合は、代休の規定についても就業規則に定めておく必要があります。従業員にも休日出勤のルールについて周知し、トラブルなく対応できるようにしておきましょう。
36協定について詳しくはこちら
残業代の計算についてはこちら
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