• 更新日 : 2022年12月16日

社会保険の氏名は旧姓のままでも大丈夫?変更しないとどうなる?

社会保険の氏名は旧姓のままでも大丈夫?変更しないとどうなる?

働き方改革の施策の一つに、女性の活躍推進があります。最近は女性の社会進出を背景に、結婚後も職場で旧姓の使用を認める企業が増えています。

仕事で使う名刺やメールアドレスなどで旧姓を表記するというものですが、社会保険の手続きでも旧姓を使用することはできるのでしょうか。

本稿では、社会保険の手続きは旧姓のままで大丈夫なのか、何らかの手続きが必要なのかも含めて解説します。

社会保険の氏名は旧姓のままでも大丈夫?

2016年の内閣府の委託調査「旧姓使用の状況に関する調査報告書」によると、旧姓の使用を認めている企業は45.7%と約半数となっています。

※参考:内閣府委託調査「旧姓使用の状況に関する調査報告書」

職場で旧姓を認める範囲は、「呼称、座席(内線番号)表」「名刺」「名札、社員証」「個人メールアドレス」などが上位に入っています。

では、社会保険関係の公的な書類で旧姓を使用することはできるのでしょうか。

結論からいえば、社会保険に限らず、労働者名簿や源泉徴収簿など法律に根拠がある書類では旧姓は使用できず、戸籍名で表記する必要があります。

国や行政機関が公簿上、戸籍名で管理しているからです。

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保険証が旧姓のままだと使用できない?

健康保険の被保険者証(保険証)は、戸籍上の氏名で表記されるのが原則です。旧姓で表記されている保険証は、病院などの保険医療機関では使用できません。

新しい戸籍名が記載された保険証の交付を受け、旧姓の保険証は日本年金機構に返却する必要があります。

しかし、2022年9月から保険証に戸籍名と旧姓を併記することが認められるようになりました。保険証の表面に記載されている戸籍名の次に、括弧書きで旧姓が表記されます。

保険証の裏面の備考欄に「氏名欄の括弧内は旧姓」のように記載されます。

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結婚などで氏名が変わった場合の手続き

結婚で苗字が変わることがありますが、名前を変えるケースもあります。社会保険関係では、雇用保険、健康保険、厚生年金保険で被保険者としての届け出がなされ、それぞれ公簿で管理されていますが、氏名変更があった場合はどのような手続きをすることになるのでしょうか。

雇用保険の氏名変更手続き

雇用保険では、以前は氏名変更があった場合は速やかに被保険者氏名変更届をハローワークに提出する必要がありましたが、2020年1月に廃止されています。

これによって以下の申請をする際は、各申請書にある氏名変更記載欄に変更後の氏名を記載することになります。

  • 雇用保険被保険者資格喪失届
  • 雇用継続交流採用終了届
  • 雇用保険被保険者転勤届
  • 個人番号登録・変更届
  • 高年齢雇用継続基本給付金の支給申請(受給資格確認を含む)
  • 高年齢再就職給付金の支給申請
  • 育児休業給付金の支給申請(受給資格確認を含む)
  • 介護休業給付金の支給申請

健康保険の氏名変更手続き

健康保険の保険証に旧姓を併記するには、所定の手続きが必要です。事業主を経由し、以下の書類を保険証に記載されている協会けんぽ都道府県支部に郵送します。

  1. 被保険者証氏名欄の旧姓併記に関する申出書
  2. 旧姓を併記した住民票の写し、戸籍謄(抄)本等の旧姓と戸籍姓が確認できる書類のいずれか1点
  3. 健康保険被保険者証再交付申請書

それまで使用していた旧姓の保険証は、新しい保険証が交付された後で返却します。

旧姓併記ではなく、結婚後の氏名だけ記載された保険証を交付してもらうには、以前は「健康保険・厚生年金保険氏名変更届」を提出しなければなりませんでした。

2018年3月から日本年金機構にマイナンバーが登録されている被保険者は、マイナンバーと基礎年金番号と結びついているため、届け出をすることなく変更後の氏名が記載された保険証が交付されるようになりました。この場合も、それまで使用していた保険証は返却します。

マイナンバーが未登録の被保険者は従来どおり、氏名変更届を提出する必要があります。登録済みか否かは、日本年金機構の「ねんきんネット」のサイトで確認できます。

※参考:日本年金機構「ねんきんネット」

厚生年金保険の氏名変更手続き

厚生年金保険は、社会保険では健康保険とセットになっているため、同様の扱いになります。マイナンバーが登録されていれば、手続きは不要です。

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会社で旧姓を使用していたとしても、社会保険の氏名変更は必要

事業所に雇用される従業員が加入し、被保険者となる社会保険は、前述のとおり雇用保険、健康保険、厚生年金保険があります。

いずれも保険者である国や機構などの公簿上、戸籍名で管理しているため、仕事で旧姓の使用が認められていても、保険者が把握できない場合は所定の手続きが必要です。

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社会保険は旧姓でも大丈夫か知っておこう!

社会保険の手続きは旧姓のままで大丈夫なのか、何らかの手続きが必要なのかについて解説しました。

女性活躍推進を背景に、仕事で旧姓の使用を認める企業が増えており、この傾向は続くでしょう。

しかし、公簿では社会保険の戸籍名で管理されています。大幅に簡素化されているとはいえ、所定の手続きが必要になる場合もあることを知っておきましょう。

よくある質問

社会保険の氏名は旧姓のままでも大丈夫ですか?

公簿上、国や機構などの保険者は戸籍名で管理しているため、旧姓は結婚後の苗字に変更されます。詳しくはこちらをご覧ください。

旧姓のままの保険証は病院での受診で使用できますか?

旧姓のままの保険証は使用できません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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