- 更新日 : 2026年7月2日
人材育成計画とは?プログラムの作り方を5ステップでわかりやすく解説
従業員のスキル向上を目的に、育成方針・目標・スケジュールを中長期で設計する計画です。
- 現状分析から目標設定、評価までを5ステップで進める
- OJT・Off-JT・自己啓発を対象者に合わせて組み合わせる
- 評価結果をもとにPDCAを回し、計画を継続的に見直す
計画は作成後の運用が重要で、評価制度と連動させると社員の意欲を高めやすくなります。
人材育成計画は、従業員の成長と企業の目標達成を両立させるために、欠かせない取り組みです。しかし、「何から始めればよいかわからない」「育成施策が場当たり的になっている」と悩む担当者もいるでしょう。
効果的な人材育成を実現するには、現状分析から目標設定、評価までを計画的に進めることが重要です。
本記事では、人材育成計画の基本から作り方の5ステップ、活用できるフレームワークや課題への対応策までわかりやすく解説します。
目次
人材育成計画とは?
人材育成計画とは、従業員のスキルや知識の向上を目的として、育成方針や目標、実施スケジュールを中長期的に設計する取り組みのことです。
主に、企業の人材戦略を支える基盤です。
場当たり的な育成ではなく、「いつまでに」「誰に」「どのような人材になってほしいか」を明確にした育成ロードマップを策定します。
とくに、従業員数の多い企業では、育成を標準化・効率化するための仕組みとして重要であり、業務手順書のような役割を果たすこともあります。
人材育成計画を明確にすることで、企業が求める人材像や必要なスキルが可視化され、組織全体で育成の方向性を統一することが可能です。
人材は企業の重要な経営資源であるため、生産性向上や事業成長につなげる観点からも、自社の課題や目標に合わせた計画的な育成が求められます。
人材育成の考え方や具体的な方法について知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
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人材育成計画を作成する5ステップ
人材育成計画の作成は、決して複雑なものではありません。これから紹介する5つのステップに沿って進めることで、自社の状況に合った、実用的な計画を立てることができます。計画は作ってからが本当のスタートです。
ステップ1:現状分析と課題の明確化
最初に行うべきは、自社の「現在地」を正確に把握することです。経営目標や事業戦略に対して、現在の人材面で何が足りていないのか、どのような課題があるのかを洗い出します。社員アンケートや個人面談、スキルマップなどを活用して、組織全体および社員一人ひとりの能力や意欲を可視化しましょう。この現状分析が具体的であるほど、後の計画が的を射たものになります。
ステップ2:育成目標と人物像の設定
次に、現状分析で見えた課題をもとに「目指すべきゴール」を設定します。3年後、5年後に会社がどうなっていたいか、そのために社員にどのようなスキルやマインドを持ってほしいかを具体的に描きましょう。「〇年後までに、〇〇のスキルを持つリーダーを〇名育成する」といった定量的な目標や、各階層で求められる理想の人物像(ペルソナ)を設定すると、計画の方向性がより明確になります。
ステップ3:育成プログラムの具体化
目標が決まったら、それを達成するための具体的な育成方法を考えます。育成方法には、実務を通して学ぶ「OJT」、研修などの「Off-JT(OFF-THE-JOB TRAINING)」、社員の自発的な学習を支援する「自己啓発(SD)」の3つの柱があります。これらをバランス良く組み合わせ、新入社員向け、管理職向けなど、対象者に合わせたプログラムを設計することが重要です。
ステップ4:実施計画(スケジュール・予算)の策定
育成プログラムが決まったら、それをいつ、誰が、どのくらいの予算で実行するのかを詳細な計画に落とし込みます。年間スケジュールを作成し、四半期ごと、月ごとの具体的なアクションプランを立てましょう。とくに中小企業では予算が限られているケースも多いため、eラーニングの導入や後述する助成金の活用など、コストを抑えつつ効果を最大化する工夫が求められます。
ステップ5:評価方法の決定
計画は実行して終わりではありません。計画通りに進んでいるか、期待した効果が出ているかを測るための「評価」の仕組みが不可欠です。研修後の理解度テストやアンケート、上司や同僚からのフィードバック、目標達成度など、客観的な指標で評価できるように設計します。この評価結果をもとに計画を見直し、改善していくPDCAサイクルを回すことで、人材育成の質は着実に向上していきます。
なぜ人材育成計画は重要なのか
場当たり的な研修ではなく、なぜわざわざ時間と手間をかけてまで「計画」を作成する必要があるのでしょうか。それは、人材育成計画が企業の持続的な成長の土台となる、非常に重要な役割を担っているからです。
会社の成長と業績向上
人材育成はコストではなく、未来への「投資」です。社員一人ひとりのスキルや生産性が向上すれば、それは組織全体の力の底上げに直結し、最終的には売上や利益といった業績向上に繋がります。経営戦略と連動した人材育成計画を立てることで、事業目標の達成を強力に後押しできます。
社員のエンゲージメント向上と定着
会社が自身の成長を真剣に考え、キャリアアップの機会を提供してくれると感じることは、社員の働く意欲(エンゲージメント)を大きく高めます。明確な育成計画があることで、社員は自身の成長ステップをイメージしやすくなり、安心して働き続けられます。結果として、優秀な人材の流出を防ぎ、定着率の向上にもつながるのです。
経営ビジョンの浸透
人材育成計画は、経営層が社員に何を期待しているのかを伝える絶好の機会です。会社の理念やビジョンを育成目標に反映させることで、「会社が目指す方向」と「個人の成長の方向」が一致します。これにより、社員は日々の業務に目的意識を持ち、組織としての一体感が醸成され、ビジョンの実現が加速します。
人材育成計画を立てるメリット
人材育成計画を策定することで、企業が求める人材像や必要なスキルが明確になり、育成の方向性を組織全体で共有しやすくなります。
施策の優先順位や進捗を管理しやすくなるため、教育の属人化を防ぎながら効率的な人材育成を実現できるでしょう。
ここでは、人材育成計画を立てることで得られるメリットについて解説します。
研修内容・評価基準が統一される
人材育成計画を策定することで、部署や担当者ごとに異なっていた研修内容や評価基準を統一できます。
結果として、教育の質のばらつきを抑えられるのがメリットです。
「誰に・何を・いつまでに実施するか」を明確にすることで、関係者間の認識のズレを防ぎ、研修準備やスケジュール管理もスムーズに進めやすくなります。
育成方針や進捗状況を文書化しておけば、担当者が変わった場合でも円滑に引き継ぎが可能です。
継続的で一貫性のある教育体制を維持しやすくなります。
研修を成功させるポイントを知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
従業員のモチベーションアップにつながる
人材育成計画によって目指す人材像や習得すべきスキルが明確になると、従業員は自身の成長目標を設定しやすくなり、学習や業務への意欲向上につながります。
取り組むべき課題や業務の目的が明確になることで、仕事への納得感が高まるのがメリットです。
結果として、従業員の主体的な行動を促しやすくなります。
上司と部下が育成計画を共有することで、目標に対する認識を合わせられ、成長過程を実感しながら前向きに取り組める環境作りにも役立ちます。
進捗状況を把握しやすい
人材育成計画を整備することで、実施中の教育内容や達成状況、今後の課題などを可視化でき、育成の進捗を把握しやすくなります。
計画が明確であれば、都度状況を確認する手間を減らせるため、関係者間での情報共有や進捗管理も効率的にできるのが特徴です。
また、定期的に進捗を記録・確認する仕組みを設けることで、育成状況を継続的に追跡できます。
課題の発見や改善施策の検討にも、つなげやすくなるでしょう。
PDCAサイクルを回しやすい
人材育成計画を策定することで、計画(Plan)から実行(Do)までの流れが明確になり、育成施策を継続的かつ体系的に進めやすくなります。
進捗確認や成果評価(Check)、課題の改善(Action)についても、計画に沿って管理できます。
そのため、PDCAサイクルを一貫して運用しやすくなる点がメリットです。
さらに、目標と現状のスキルのギャップを把握しやすくなることで、改善すべきポイントを明確にし、より効果的な人材育成につなげられます。
OODAとは、観察(Observe)・状況判断(Orient)・意思決定(Decide)・実行(Act)の流れで、変化の激しい環境でも迅速に対応するためのフレームワークです。
計画を重視するPDCAに対し、OODAは状況を見ながら柔軟に判断・行動することに適しており、環境変化の多い場面で活用されています。
PDCAサイクルの目的やOODAとの使い分けについて知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
人材育成計画の課題と対応策
人材育成計画は、従業員の成長を促進し組織力を高めるうえで重要です。
しかし、育成目標の設定や運用体制、効果測定の方法によっては、期待した成果につながらないケースもあります。
人材育成を効果的に進めるためには、想定される課題を把握し、適切な対応策をとることが大切です。
リソースを確保する必要がある
人材育成を進めるには、研修費や教材費といったコストに加え、学習に充てる時間の確保も必要です。
そのため、十分なリソースを確保できないことが課題となります。
日常業務との両立が難しく、育成施策が後回しになるケースもあるでしょう。
対策としては、LMSやeラーニングを活用して、効率的に学習機会を提供するのが有効です。
また、優先度の高いテーマから段階的に導入することで、限られた予算や人員の中でも計画的な育成を進めやすくなります。
育成の成果が数字で見えにくい
人材育成の成果は短期間で表れにくく、研修や教育施策の効果を客観的に評価しにくい点が課題です。
とくに、効果測定の仕組みが整備されていない場合、育成施策が業績向上や行動変容にどの程度貢献したのか把握することが難しくなります。
そのため、LMSを活用して受講状況やテスト結果などを数値化し、人事評価や育成目標と連携させながら継続的に効果を検証することが重要です。
定期的な振り返りを行うことで、育成施策の改善にもつなげやすくなります。
【具体例】階層・職種別の目標設定
人材育成の目標は、全社員一律ではなく、それぞれの立場や役割に応じて設定することが効果的です。ここでは、階層別・職種別にどのような目標が考えられるか、具体的な例を紹介します。自社の状況に合わせてカスタマイズする際の参考にしてください。
新入社員の目標例
新入社員の育成では、社会人としての基礎体力と、自社で働くうえでの土台作りが目標となります。「ビジネスマナーや報連相を徹底する」「企業理念を理解し、自身の言葉で説明できる」「担当業務の基本的な流れを一人で遂行できる」といった、基本的な行動や知識の習得を中心に目標を設定します。
中堅社員の目標例
中堅社員には、自身の専門性を高めると同時に、チームの成果に貢献する役割が期待されます。目標例としては、「担当分野の専門知識を深め、後輩への指導ができるようになる」「プロジェクトにおいて中心的な役割を担い、主体的に課題解決に取り組む」「業務改善提案を年間〇件以上行う」などが挙げられます。
管理職の目標例
管理職の目標は、個人の成果からチームや組織の成果へと視座が高まります。「部下の能力やキャリアに合わせた育成計画を作成し、1on1を通じて成長を支援する」「チームの目標達成に向けた戦略を立て、メンバーのモチベーションを管理する」「経営視点を持ち、担当部署の課題を解決する」といった、マネジメント能力に関する目標が中心となります。
職種別の目標例
営業職であれば「顧客の課題解決につながる提案力を強化し、成約率を〇%向上させる」、技術職であれば「最新の〇〇技術を習得し、開発プロジェクトに応用する」、事務職であれば「〇〇ツールを導入し、業務プロセスを改善して作業時間を〇%削減する」など、それぞれの専門性に応じた具体的なスキルや成果を目標に設定します。
計画作成への支援と助成金
ゼロから人材育成計画書を作成するのは大変だと感じるかもしれません。しかし、公的機関による作成支援や、国からの支援制度をうまく活用することで、担当者の負担を大きく軽減できます。ここでは、とくに中小企業が知っておきたいツールと制度を紹介します。
厚生労働省による作成支援
厚生労働省では、企業の人材育成を支援するために「事業内職業能力開発計画」の作成を推奨しており、そのための手引きやQ&Aをウェブサイトで公開しています。これらを参考にすることで、どのような項目を盛り込むべきかが明確になり、抜け漏れのない計画書を効率的に作成できます。まずは自社の計画の骨子として活用してみるのがおすすめです。
人材開発支援助成金
「人材開発支援助成金」は、従業員の職業訓練などを実施する事業主に対して、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を国が助成する制度です。Off-JTの費用負担を軽減できるため、とくに研修予算が限られる中小企業にとっては非常に心強い味方です。2025年9月現在、多様なコースが設定されていますので、自社で計画している訓練が対象になるか、厚生労働省のホームページで最新の情報を確認してみましょう。
人材育成計画において求められるスキル
人材育成計画を効果的に策定・運用するためには、施策を実施するだけでなく、組織の課題や将来像を踏まえて必要なスキルを見極めることが重要です。
従業員一人ひとりの成長を支援しながら、適切に進捗を管理する力も求められます。
ここでは、人材育成計画を推進するうえで、とくに重要となるスキルについて解説します。
現状分析力
人材育成計画を策定するには、従業員一人ひとりの能力や保有スキルを客観的に把握し、現状を分析する力が必要です。
職務内容とスキルレベルの適合状況を確認することで、強みや不足している能力を明確にし、適切な育成方針を立てられます。
たとえば、360度フィードバックなどの多面的な評価手法を活用することで、育成すべきスキルや、今後の成長課題をより正確に把握しやすくなります。
計画策定力
育成の目的や到達目標を明確にし、目標達成までのプロセスを具体的に設計する計画策定力も大切です。
現状の課題やスキルギャップを踏まえながら、必要な知識や能力を習得できる、教育・研修プログラムの設計が求められます。
研修の実施時期や期間を考慮した、無理のないスケジュールを組むことで、業務との両立を図りながら育成施策を円滑に進めやすくなります。
計画どおりに業務を遂行する力
人材育成計画では、計画どおりに業務を遂行する力を養うことが重要です。
営業活動や顧客対応、専門知識の活用など、実務に直結するスキルを身につけることで、業務品質の向上や課題解決力の強化につながります。
そのため、職種ごとに必要な業務遂行能力を整理し、段階的かつ継続的に習得できる育成環境を整備することが求められます。
コミュニケーション能力
人材育成計画を円滑に進めるためには、相手の考えや要望を正しく理解し、信頼関係を構築するコミュニケーション能力が欠かせません。
育成方針や目標、期待される役割をわかりやすく伝えることで、従業員の理解を深め、主体的な学習や行動を促しやすくなります。
双方向の対話を通じて、認識のズレや課題を早期に把握することが大切です。
これにより、組織全体で共通の目標に向かいながら、効果的に人材育成を進められます。
経営戦略の立案力
人材育成計画を策定する際には、企業の将来像や事業目標を理解し、それに沿った育成方針を立案する経営戦略の視点が重要です。
経営戦略を踏まえることで、組織の成長に必要な人材像や優先的に強化すべきスキルを明確にできます。
人材育成と経営目標を連動させることで、従業員の成長を促進するだけでなく、組織全体の生産性向上や競争力強化にもつなげやすくなるでしょう。
最適な人材配置力
従業員の能力や適性を把握し、それぞれが力を発揮しやすい役割や業務へ配置する力も、人材育成計画において大切です。
必要なスキルや人材像を明確にしたうえで人材配置を行うことで、個人の成長と組織成果の向上を両立しやすくなります。
育成施策と人材配置を連動させることで、習得した知識やスキルを実務で活用する機会を増やせるのが特徴です。
結果として、学習効果の定着やさらなる成長につなげられます。
人材育成計画に役立つフレームワーク8選
人材育成計画における現状分析や目標設定に役立つのが、人材育成に関する課題や目標を整理しやすくするフレームワークです。
フレームワークを活用することで、育成方針を明確にしながら、より実効性の高い人材育成計画を立てやすくなります。
SMARTの法則
SMARTの法則とは、目標設定を下記の5つの観点から整理するフレームワークです。
- 具体性(Specific)
- 測定可能性(Measurable)
- 達成可能性(Achievable)
- 関連性(Relevant)
- 期限(Time-bound)
人材育成計画に活用することで、目標を明確かつ実行しやすい内容に落とし込み、進捗状況を管理しやすくなります。
また、目標が客観的に評価できるか、現実的に達成可能かを検証できるため、育成施策の精度向上や成果の可視化にも役立ちます。
ベーシック法
ベーシック法は、人材育成における目標設定を、体系的に進めるためのフレームワークです。
主に、育成の方向性を明確にする際に役立ちます。
目標内容の設定から達成基準、期限、具体的な実行計画までを段階的に整理できるため、実践的な人材育成計画を策定しやすくなります。
SMARTの法則と組み合わせて活用することで、目標の具体性や達成可能性を高められ、より効果的な育成施策の実現が可能です。
カッツモデル
カッツモデルは、役職や階層ごとに求められる能力を整理するフレームワークで、主に人材育成や組織開発で活用されます。
下記の3つを軸に、各階層で重視すべき能力の比重を把握できます。
- コンセプチュアルスキル
- ヒューマンスキル
- テクニカルスキル
たとえば、経営層では構想力や戦略的思考、中間管理職ではバランスの取れた能力、現場管理者では専門知識や実務能力が重要です。
このように、役職ごとの役割に応じた育成計画を策定する際に役立ちます。
HPI (Human Performance Improvement)
HPI(Human Performance Improvement)は、組織が目指す理想の状態と現状とのギャップを分析し、必要な改善策を検討するためのフレームワークです。
人材育成を経営目標と結び付けながら、目標達成に必要な能力やスキルを明確化し、具体的な育成施策へ反映できる点が特徴です。
業績向上やスキル不足の解消、研修効果の検証など、組織全体のパフォーマンス向上を目的とした人材育成計画を策定する際に活用されています。
カークパトリックモデル
カークパトリックモデルは、研修や教育施策の効果を多角的に評価するためのフレームワークです。
下記の4段階で、効果を検証します。
- 反応 … 受講者の満足度を測る
- 学習 … 知識やスキルの習得度を確認する
- 行動 … 業務での行動変化を評価する
- 結果 … 業績への影響を測定する
人材育成の成果を体系的に把握できるため、育成施策の改善や費用対効果の検証を行い、より効果的な研修運営につなげる際に役立ちます。
氷山モデル
氷山モデルとは、目に見える行動や成果だけでなく、背景にある価値観や信念、動機といった要因まで分析するためのフレームワークです。
人材育成においては、スキルや知識などの表面的な課題だけでなく、行動を生み出す根本的な原因を把握することで、より効果的な育成施策の立案につながります。
課題の真因を特定し、従業員の行動変容や組織風土の改善を促したい場合に、活用しやすい手法です。
70:20:10フレームワーク
70:20:10フレームワークは、人材の成長に影響を与える学習機会の割合を示した考え方です。
成長の約70%は日々の業務経験から、20%は上司や同僚からの助言やフィードバックから、10%は研修や学習プログラムから得られるとされています。
そのため、OJTやメンター制度を活用しながら、実践を通じてスキルを習得できる環境を整える際に役立つフレームワークです。
思考の6段階モデル
思考の6段階モデルは、学習者の思考力を段階的に高めるための教育フレームワークです。
主に、人材育成プログラムの設計に活用されています。
記憶や理解といった基礎的な段階から、応用、分析、評価、創造へと成長プロセスを整理することで、習熟度に応じた教育施策を計画しやすくなります。
育成対象者の知識やスキルレベルに合わせて、学習内容を設計できるため、効率的かつ体系的な能力開発を進める際に役立つ手法です。
人材育成計画を形骸化させない活用術
まず避けたいのは、立派な計画書を作成したものの、机の引き出しにしまったまま実行されない「計画倒れ」の状態です。計画は作ってからが本当のスタート。ここでは、計画を絵に描いた餅に終わらせず、組織に根付かせるための活用術を紹介します。
定期的な進捗確認とフィードバック
計画の実行状況や目標の達成度合いを定期的に確認する場を設けましょう。とくに、上司と部下が1対1で対話する「1on1ミーティング」は効果的です。部下の成長を具体的に褒め、課題に対しては一緒に解決策を考えるなど、丁寧なフィードバックを行うことで、社員のモチベーションを維持し、計画の実効性を高められます。
経営層のコミットメントと社内への周知
人材育成は、人事部だけの仕事ではありません。経営トップが「会社として人材育成に本気で取り組む」という強いメッセージを、朝礼や社内報などを通じて繰り返し発信することが重要です。経営層の強いコミットメントが伝わることで、管理職や一般社員の意識も変わり、全社的に協力的な雰囲気が醸成されます。
社員のキャリア自律の支援
変化の激しい時代においては、会社が一方的に教育プログラムを与えるだけでなく、社員が自ら学び、キャリアを切り拓いていく「キャリア自律」の視点が不可欠です。資格取得支援制度の導入や、副業の許可、社内公募制度など、社員が主体的にキャリアを考えるきっかけとなる機会を提供することで、組織全体の学習意欲と適応力を高められます。
評価制度との連動
人材育成計画で定めた目標の達成度や、学習への取り組み姿勢、身につけたスキルの発揮度などを、昇給・昇格といった人事評価制度に適切に反映させる仕組みを構築しましょう。「頑張って成長すれば、きちんと報われる」ことが明確になれば、社員はより意欲的に育成プログラムに取り組むようになります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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