• 更新日 : 2022年2月28日

確定拠出年金に年末調整は必要?手順を解説!

確定拠出年金に年末調整は必要?手順を解説!

一般的に年末調整確定申告の手続きには、「配偶者控除」「社会保険料控除」「生命保険料控除」などがあることはご存じの方も多いでしょう。しかし、控除対象となっているもののなかに「確定拠出年金」もあることは意外と知られていません。今回は、企業型確定拠出年金や個人型確定拠出年金の年末調整および確定申告の方法について解説します。

確定拠出年金とは?種類がある?

そもそも確定拠出年金とは何でしょうか。年金であることはすぐにわかるものの、年金自体が複雑な仕組みとなっているため、今ひとつわからないという方も多いのではないでしょうか。はじめに確定拠出年金の基本的なことについてご紹介します。

確定拠出年金って何?

日本の年金制度は、公的年金としては国民年金と厚生年金があります。国民年金は全国民共通の1階部分の年金とされ、厚生年金は会社員や公務員に上乗せられる2階部分の年金となっています。

確定拠出年金は、こうした公的年金とは別の私的年金であり、公的年金を補完する役割があります。建物の階数にたとえると、3階部分と位置付けることができるでしょう。

日本では、2001年、アメリカの確定拠出年金制度の1つである401(k)プランをモデルとして導入されました。確定拠出年金の名称は、「Defined Contribution Plan」を訳しているため、DCと略されることも少なくありません。また、「拠出(掛金)建て制度」とも呼ばれています。

掛金は、事業主や加入者が拠出しますが、資産運用は加入者自らが行い、その運用の成果によって将来受け取る年金の額が決まるところに大きな特徴があります。

導入当初、自分で資産運用することから、日本に定着するか、疑問視する向きもありました。しかし、導入から20年を経て確実に加入者も増加し、公的年金を補完する私的年金として定着しつつあります。確定拠出年金には、税制上の優遇措置があるほか、会社が倒産した場合でも保護されるなどのメリットが普及した要因になっているようです。

日本における確定拠出年金は、企業型DCと個人型DC(通称iDeCo:イデコ)の2つの制度があります。それぞれ詳しくみていきましょう。

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、企業が導入するもので、加入対象者は従業員です。掛金は、会社だけでなく、規約で定めれば個人が事業主の掛金に上乗せして拠出することもできます。これを「マッチング拠出」と言います。

企業側としては、退職金代わり、あるいは退職金の一部として企業型DCを導入していることが一般的です。

個人型確定拠出年金(個人型DC)とは

一方の個人型確定拠出年金(個人型DC)であるiDeCo(イデコ)は、国民年基金連合会が実施する制度です。原則として、20歳以上60歳未満のすべての人が加入できますが、掛金は加入者が拠出します。

もともとiDeCoは、自営業者などの国民年金の第1号被保険者と、企業年金のない厚生年金被保険者だけが加入ができる制度でした。しかしニーズの広がりから、平成29年1月から専業主婦などの国民年金の第3号被保険者や、企業年金に加入している方も加入することができるようになりました。

企業型DCの加入者である場合は、加入している企業型DCの規約でiDeCoに加入できる旨が定められていることが必要ですが、企業型DCとiDeCoに同時加入することも可能です。

こうした経緯から、現在では、「20歳以上60歳未満の国民年金の被保険者」であれば、ほぼすべての人がiDeCoに加入することができるようになりました。

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確定拠出年金は年末調整が必要?

前述したように、確定拠出年金は、税制上の優遇措置があるというメリットがあります。そのため年末調整や確定申告することで、支払い済みの所得税の還付を受けることができます。

年末調整が必要かどうかは、個人型のiDeCoか、企業型DCかで分けて整理することになります。

個人型のiDeCoの場合、自分で支払った掛金は、全額が所得税控除の対象となります。したがって会社員であれば年末調整、個人事業主であれば確定申告をしなければなりません。

一方、企業型DCの場合、3つのケースが想定できます。

1つは、企業型DCで企業だけが掛金を支払っているケースです。掛金は所得税控除の対象とはならないため、年末調整を行う必要はありません。企業型DCでは、このケースが一般的です。

2つ目は、企業型DCでも規約でマッチング拠出としているケースです。この場合は、本人も上乗せ分の掛金を拠出しているため、年末調整する必要があります。ただし、手続き自体は本人ではなく、掛金を給与から源泉控除し、金額を把握している会社が行います。

3つ目は、企業型DCでマッチング拠出ではなく、個人でiDeCoに加入して全額掛金を支払っているケースです。この場合、会社は掛金の金額がわからないため、加入者本人が年末調整を行うことになります。

確定拠出年金の年末調整・確定申告の手順

確定拠出年金で年末調整が必要なケースは、整理すると次の2つの場合となります。

  • 企業型DC+本人も上乗せで掛金を支払っているマッチング拠出の場合
  • 企業型DC+個人型のiDeCoの場合

後者の場合には、11月以降に初回の掛金を払い込んだときには、年末調整ではなく、確定申告が必要です。

では、年末調整や確定申告では具体的にどのような手続きをしていくのかみていきましょう。

年末調整における企業型確定拠出年金への対応

まず、「企業型DC+本人も上乗せで掛金を支払っているマッチング拠出」の場合は、掛金を源泉徴収している企業が年末調整を行います。確定拠出年金の掛金は、所得税控除のひとつである小規模企業共済等掛金控除」の対象です。控除を申告する「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記載します。
令和3年分給与所得者の保険料控除申告書
引用:令和3年分給与所得者の保険料控除申告書|国税庁

申告書の「小規模共済等掛金控除」欄に本人がその年の企業型DCに支払った掛金総額を、合計(控除額)欄には、小規模企業共済等掛金控除に該当するほかの種類の掛金の金額と合わせた総額をそれぞれ記入します。
令和3年分の小規模共済等掛金控除
引用:令和3年分給与所得者の保険料控除申告書|国税庁

また、企業型DCの掛金は、源泉徴収票において社会保険料と同様の扱いとなるため、「給与所得の源泉徴収票」の「社会保険料等の金額」欄に、社会保険料と確定拠出年金の掛金合計額を合わせた金額を記入します。

年末調整における個人型確定拠出年金への対応

次に「企業型DC+個人型のiDeCo」の場合、つまり、企業型DCに加入している従業員が、個人でiDeCoにも加入して掛金を支払っているケースについて説明します。

この場合、掛金を源泉徴収している企業が年末調整しますが、その前提となる準備は加入者本人が行うことになります。手順は以下の通りです。

  1. 「小規模企業共済等掛金払込証明書」を用意する。
  2. 「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入する。

「小規模企業共済等掛金払込証明書」は、年末調整の際に添付書類として必要となるものです。毎年10月~11月頃に国民年金基金連合会からハガキで送付されてきますので大切に保管しておきましょう。

「給与所得者の保険料控除申告書」は、通常、11月頃に勤務先から配布されます。

申告書の「小規模共済等掛金控除」欄に、本人がその年の個人型DCに支払った掛金総額を、合計(控除額)欄には、小規模企業共済等掛金控除に該当するほかの種類の掛金の金額と合わせた総額をそれぞれ記入します。
令和3年分の個人型年金加入者掛金
引用:令和3年分給与所得者の保険料控除申告書|国税庁

申告書に必要事項を記入した後、「小規模企業共済等掛金払込証明書」とともに勤務先に提出しましょう。

個人型確定拠出年金の確定申告の手順

確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に行い、所得税を納付するものです。

個人型DCのiDeCoに加入している個人事業主は、確定申告が必要になります。

企業型DCとiDeCoの両方に加入している人は、前述のように会社が年末調整するのが基本です。しかし、iDeCoの掛金を11月以降に払い込んだ場合は、小規模企業共済等掛金払込証明書の到着が年末調整に間に合わないため、本人が確定申告します。

個人型のiDeCoで支払った掛金は、小規模企業共済等掛金控除になるため、還付を受けるために確定申告の際に控除額を記載します。申告書の提出とともに10月~11月頃に国民年金基金連合会から送付される「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付しなければなりません。

ここでは、会社員で企業型DCとiDeCoの両方に加入している人が確定申告をする場合について解説します。

提出する申告書は「確定申告書A」です。「第一表」と「第二表」に必要事項を記載します。

注)令和5年1月から「申告書A」は廃止され、「申告書B」に一本化されます。

1.第一表

左中部分にある「小規模企業共済等掛金控除⑩」の欄に、「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載された金額(その年のiDeCoで払った掛金の総額)を記入します。

令和3年分申告書A
引用:申告書A【令和3年分用】|国税庁

2.第二表

「⑩小規模企業共済等掛金控除」欄のうち、「保険料等の種類」欄には「個人型確定拠出年金」と記載します。「支払保険料等の計」欄には掛金の金額を、「うち年末調整等以外」欄には「支払保険料等の計」欄に記入した金額のうち、年末調整でこの控除の適用を受けていない金額を記入します。
令和3年分の第二表
引用:申告書A【令和3年分用】|国税庁

申告期限内に「確定申告書A」に「小規模企業共済等掛金払込証明書」と源泉徴収票を添付し、税務署に提出したら申告手続きは完了です。

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確定拠出年金の年末調整や確定申告の仕方を正しく理解しよう!

今回は、確定拠出年金と、年末調整や確定申告の方法について解説してきました。確定拠出年金がどのようなものなのか、また、税制上の控除によって所得税の還付を受ける場合にどのような手続きが必要なのか、ご理解いただけたのではないでしょうか。

年末調整、確定申告のいずれの場合も、「小規模企業共済等掛金払込証明書」の添付が必要になりますので、紛失しないように保管することが大切です。また企業型DCと、個人型DCの組み合わせによって申告の手順も変わってきますので、今回の記事を参考に忘れずに申告手続きを行うようにしてください。

よくある質問

確定拠出年金にはどのような種類がありますか。

企業型DCと個人型DC(通称iDeCo:イデコ)の2つの制度があります。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整や確定申告でDCの控除を受けるために必要な書類はありますか。

10月~11月頃に国民年金基金連合会から送付される「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付する必要があるので大切に保管しておきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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