• 更新日 : 2022年5月27日

給与計算における住民税とは?市町村によって計算方法が異なる?

給与計算における住民税とは?市町村によって計算方法が異なる?

「自分が住んでいる町は隣の町より住民税が高い」という話を耳にしたことはありませんか?
住民税は、全国のどの都道府県市区町村に住んでいても同じだというのが原則です。ただし、自治体が税率を変更する権限をもっていますので、場合によっては例外も出てきます。
ここでは、給与計算における住民税の計算方法と住民税の控除について説明します。

給与計算における住民税とは

住民税とは、地域社会で必要となる費用を住民により分担するために徴収される地方税です。市町村民税と都道府県民税を合わせたものをいいます。ほとんどの人に住民税は課税されますが、専業主婦、学生などで所得のない場合や、生活保護受給者、あるいは前年の所得が一定金額を下回った場合には非課税となることもあります。

住民税は、その年の1月1日に居住している場所で課税されます。原則、1月1日に住民票のあった場所ということになります。そのため、1月1日以降に転居し、住民票を移動させても、1月1日の段階で住民票があった地域に納めることになります。

住民税の特別徴収と普通徴収とは

給与所得者と事業所得者とでは徴収方法が異なります。給与所得者の場合は、給与を支払う会社(事業主)が、その年の6月から翌年の5月までの12回分を給与から天引きし、納税します。これは、特別徴収と呼ばれます。

一方、事業所得者など、給与から住民税を差し引いて徴収できない人の場合は、普通徴収されます。普通徴収とは、通常、毎年6月に市町村・特別区から納税義務者に送付される納税通知書に従って、年4期の支払月に納税する方法です。

住民税の特別徴収と普通徴収について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

住民税の特別徴収の流れ

住民税の特別徴収の流れについて簡単に解説します。
具体的な手続きについては、給与所得者が居住する市区町村に確認してください。

事業主は、毎年1月31日までに従業員が居住する市区町村に給与支払報告書を提出します。
   ↓
市区町村で各人の住民税額の計算を行います。
   ↓
市区町村は、5月31日までに、事業主あてに住民税課税決定通知書(特別徴収税額決定通知書)を送付し、事業主は従業員に通知書を配布します。
   ↓
毎年6月から翌年5月までの給与支払日に、従業員の給与から特別徴収税額を控除します。
   ↓
給与支払日の翌月10日(10日が休日の場合は翌営業日)までに、控除した住民税額を市区町村に納入します。

給与計算における住民税額の計算方法

住民税は、【所得割額】と【均等割額】の合計額で算出されます。
給与計算の際には、住民税は所得税と同じように控除項目で控除して会社で預かります。

所得割とは

所得割とは、前年の1月から12月までの所得金額に応じて課税されるものです。

課税所得金額×所得割税率(10%)− 税額控除額等=住民税の所得割額

この計算式をくわしく説明すると以下になります。

調整控除額、配当控除額、住宅借入金等特別税額控除額、寄付金税額控除額及び配当割額・株式等譲渡所得割額の控除額を計算し、算出税額から控除します。

均等割とは

均等割とは、その名のとおりすべての住民に等しい額で課せられるものです。所得金額の大小にかかわらず定額で課税されます。 また、平成26年度から令和5年度までの10年間については、東日本大震災復興基本法の定めによって、臨時的に個人住民税の均等割の標準税率が各々500円ずつ引き上げられており、標準税率は、市町村民税3,500円、道府県民税1,500円と定められています(令和4年度時点)。

住民税を計算するときは所得控除が必須!

住民税を計算するときは所得控除を考慮する必要があります。

所得控除とは、住民税を納税する人の生計費の最低額やそれぞれの能力に応じた負担をするために、一定の方法によって計算した控除額を所得金額から控除することをいいます。

所得控除には、以下のような控除があります。

基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、勤労学生控除、ひとり親控除、寡夫控除障害者控除、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、医療費控除、雑損控除

住民税を控除する際にはこれらの所得控除の金額を確認することが必須になります。

住民税は市町村によって異なる?

住民税は、どの市町村に住んでいても同じ方法により算出されます。また、標準税率という制度があるため、基本的にはどの市町村で課税されるとしても住民税額は同じ金額となります。
ただし、均等割額と所得割額の算定において、標準税率ではない税率を使用している市町村があるため、仮に同じ所得であったとしても多少の差が出てくることがあります。

詳細は、各市区町村の住民税の計算方法をご参照ください。

給与計算ソフトなら住民税計算が簡単!

給与計算においては法定控除項目の中に住民税があり、特別徴収を行う場合には給与控除する必要があります。

手計算やエクセルなどの表計算ソフトを使用すると、うっかりして控除を忘れることなどが起きるかもしれません。給与計算ソフトを使用し、住民税の特別徴収税額をあらかじめ登録しておくことにより、控除を忘れることなく確実に給与控除を行うことができます。

給与計算ソフトの詳細につきましては、以下の記事を参照してください。

住民税を正しく計算・納付しましょう!

住民税は、特別徴収という制度により、従業員の市区町村で計算された税額の通知が会社に届き、本人には会社から通知するとともに、従業員の給与から住民税を控除して預かります。

預かった住民税は、翌月10日までに従業員に代わって会社が納付します。

また、住民税には所得割額と均等割額があり、その合計額が住民税になることや住民税の計算方法についても見てきました。

給与計算ソフトを使用すると住民税の控除計算を簡単に行うことが可能ですので、ぜひ活用してください。

今回解説した内容を参考にして住民税の正しい計算を確認し、誤った給与控除や市区町村への納付をしないようにしましょう。

よくある質問

住民税にはどんなものがありますか?

住民税には、会社から支給される給与や事業による利益など所得に応じて負担する「所得割」と、その所得の大小に関わらず定額を負担する「均等割」があります。税額の計算等はお住いの市区町村に確認してください。詳しくはこちらをご覧ください。

住民税は給与控除できますか?

通常は、会社が毎年1月31日までに従業員が居住する市区町村に給与支払報告書を提出するので、自動的に特別徴収扱いで会社が給与控除を行います。もし、特別徴収扱いになっていない場合は、市区町村に変更の届け出を行ってください。詳しくはこちらをご覧ください。

所得控除にはどんなものがありますか?

基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、勤労学生控除、ひとり親控除、寡夫控除、障害者控除、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、医療費控除などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)

山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)
やまもと社会保険労務士事務所所長
大学卒業後、システム開発技術者、上場企業情報システム部&人事部を経て2016年に開業。
独立後も労働局の総合労働相談員として200件以上のあっせん事案に関与。労働相談は民間委託事業の電話相談も含めて1,000件以上の実績あり。
労務相談、就業規則、給与計算を中心に、各種手続きや労使問題対応など、外部人事部員として活動。システムのことも分かる社会保険労務士です。

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