• 作成日 : 2022年2月15日

年末調整に個人番号は必要?不要?

マイナンバーカードはさまざまなシーンで便利ですが、未だ普及率は決して高くはありません。日常生活での必要性が認識されていないのが理由かもしれませんが、会社員にとって所得控除に不可欠な年末調整の申告書類には、個人番号(マイナンバー)を記載しなければならないものもあります。今回は、年末調整で個人番号の記載が必要な書類と、マイナンバーカードを取得していない人が通知カードを紛失あるいは、どこにしまったか忘れた場合の対処方法などについて解説します。

年末調整の申告書類に個人番号(マイナンバー)の記入は必要?不要?

年末調整は、会社員本人ではなく、勤務先が行ってくれますが、手続きに必要な書類のいくつかは、本人が作成して会社に提出することになります。ここでは、会社が作成し、税務署等に提出するものも含めて、個人番号の記入が必要な書類と不要な書類を挙げておきます。

個人番号の記入が必要な書類

1.源泉徴収票(勤務先が作成)

勤務先は年末調整の計算が完了したところで、従業員本人にいくら給料を支払い、いくら税金を源泉控除したかを報告する書類として「源泉徴収票」を発行することになります。

税務署に提出する書類には、個人番号の記載をしなければなりません。従業員本人だけでなく、控除対象扶養親族についても、個人番号の記載が必要です。従業員に交付するほうには、個人番号の記載は不要です。

2.給与支払報告書(勤務先が作成)

給与支払報告書」は、勤務先が給料を支払った従業員の住所地の市区町村に提出するものです。

個人別明細書と総括表の2つがありますが、個人番号は個人別明細書のほうに記載します。この書類も従業員本人だけでなく、控除対象扶養親族についても記載が必要です。

3.扶養控除等(異動)申告書(納税者が作成)

一般的には、勤務先から配布されますが、国税庁のHPからダウンロードすることもできます。

参考:各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)|国税庁
>令和3年分扶養控除等(異動)申告書

必要事項を記載し、その年の最初の給与支払日の前日までに勤務先に提出しなければなりません。この書類も従業員本人だけでなく、配偶者と控除対象扶養親族についても、個人番号を記載することが必要です。

4.給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書(納税者が作成)

1枚の用紙に3つの申告書が含まれているため、名称が長くなっています。納税者本人の個人番号の記載は不要ですが、配偶者については記載しなければなりません。

個人番号の記入が不要な書類

以下の書類は、平成28年4月1日以後の提出から個人番号の記載が不要となりました。

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年末調整において個人番号(マイナンバー)は毎年必要?

個人番号は、日常の生活ではまだ浸透していないこともあり、普及率も決して高くはありません。桁数も多いため、暗記するのもなかなか難しいものです。所得控除に必要とは言え、書くのは面倒だと思う人も少なくないと思います。

前年、年末調整の手続きがなされている場合でも、毎年、個人番号を記載しなければならないのでしょうか。

個人番号について「相違ない」旨を記載すれば省略可能

結論から言えば、「給与所得者の扶養控除等申告書」については、前年と変更がない場合であっても、原則として個人番号の記載を省略することはできません。ただし、あくまで原則であって、例外があります。

個人番号の記載については、次の条件をすべて満たしている場合に省略できます。

  1. 勤務先と納税者本との間で個人番号の記載を省略することについて合意していること
  2. 給与所得者の扶養控除等申告書」の余白に納税者が「個人番号については会社に提供済みの個人番号と相違ない」旨を記載すること
  3. 勤務先がすでに提出されている従業員の個人番号を確認すること
  4. 勤務先が「給与所得者の扶養控除等申告書」の欄外の余白に「個人番号は給与支払者に提出済みの番号と相違ありません」と記載すること

これらの条件を満たせば、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出する際、納税者に関わる個人番号の記載を省略することができます。

なお、この取扱いは、「給与所得者の扶養控除等申告書」について、勤務先の個人番号の安全管理措置への対応の負担軽減を図るために個人番号の記載方法として認めるものです。

したがって、省略が認められるのは、個人番号の記載だけです。それ以外の記載事項については、前年と変更がない場合であっても省略することはできません。

また、「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨が記載された扶養控除等申告書について、税務署長から提出を求められた場合、勤務先は扶養控除等申告書に従業員等の個人番号を付記して提出することが必要です。

その他、個人番号を記載しなくてもよい場合

年末調整は、給与支払者である勤務先が手続きするものですから、従業員本人が「給与所得者の扶養控除等申告書」に個人番号を記載しなくても、勤務先が把握していれば、年末調整の手続きの際に記載して提出することができる道理になります。

そこで、勤務先が「給与所得者の扶養控除等申告書」に記載されるべき従業員本人、控除対象となる配偶者又は控除対象扶養親族等の氏名及び個人番号等を記載した帳簿を備えている場合には、従業員本人が個人番号を記載しなくてもよいことになっています。

ただし、この帳簿は、次の申告書の提出を受けて作成されたものに限られています。

  1. 給与所得者の扶養控除等申告書
  2. 従たる給与についての扶養控除等申告書
  3. 給与所得者の配偶者控除等申告書
  4. 退職所得の受給に関する申告書
  5. 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
  6. 所得金額調整控除申告書

なお、従業員本人が個人番号(マイナンバー)を記載しなくてもよいというこの取扱いは、勤務先が備えている帳簿に記載された従業員等の氏名または個人番号(マイナンバー)と、提出する「給与所得者の扶養控除等申告書」に記載すべきものが異なる場合には認められません。

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個人番号を忘れてしまった場合は?

個人番号(マイナンバー)は、その取得から利用、提供については「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)」によって限定的に定められています。

必要がある場合に限って保管が可能であり、必要がなくなったら廃棄しなければならないとされています。

つまり、それだけ管理が厳重なわけで、個人番号を忘れても、本人であれば教えてもらえるだろうという考えは間違いです。

現状では、マイナンバーカードの取得率は4割程度にとどまっており、取得の手続きまで至らず、通知カードで個人番号を把握している方が多いのが現状です(令和4年1月1日時点)。

通知カードを紛失しても、令和2年5月25日以降再交付申請できなくなっています。役所への電話での問い合わせはもちろんのこと、身分証明書を窓口で提示しても教えてくれません。では、どうすればよいのでしょうか。

答えはふたつあります。

ひとつは、マイナンバーカードを発行してもらうことです(初回無料、再発行は1,000円)。ただし、発行には3週間から2か月ほどかかります。

もうひとつは、マイナンバー付きの住民票(写し)の発行です(300円)。本人確認書類(写真付き住民基本台帳カード・運転免許証・運転経歴証明書・パスポートのいずれか、あるいは、健康保険証、キャッシュカード、通帳等氏名が確認できる書類2点)とともに請求書を提出すれば、即日、発行してくれます。急ぎの場合はこちらの方法がよいでしょう。

なお、マイナンバー付きの住民票(写し)の請求では、請求書のマイナンバーの記載をするかどうか選択する欄にチェックを入れる必要があるので、忘れないようにしてください。

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年末調整に備えて個人番号の管理はしっかりしておこう!

今回は年末調整と個人番号について解説してきました。年末調整自体は、給料の支払者である勤務先が行うものですが、従業員自身が記載しなければならない申告書もあります。

会社がすでに帳簿を作成して管理している場合は、一定の条件で年末調整も可能ですが、入社したばかりでマイナンバーカードをつくっておらず、通知カードを紛失してしまった場合は、マイナンバーカードを発行してもらうか、マイナンバー付きの住民票(写し)を発行してもらう必要があります。

通知カードの再交付申請は、令和2年5月25日以降、できなくなっており、役所の窓口で身分証明書を提示しても教えてくれないので、個人番号の管理はしっかりしておきましょう。

よくある質問

年末調整の申告書に個人番号の記入は必要ですか?

記入が必要なものと不要なものがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整において個人番号は毎年記入する必要がありますか?

原則は毎年、記入が必要ですが、例外もあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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