- 更新日 : 2023年4月14日
公務員の社会保険は会社員と違う!?自営業についても解説!
公務員と会社員の社会保険には、同じ点もあれば違う点もあります。公務員の年金は会社員と同じ厚生年金保険ですが、健康保険は会社員が協会けんぽや健康保険組合に加入するのに対し、公務員は共済組合に加入する点が異なります。
共済組合には国家公務員共済組合や地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度があります。
目次
社会保険の種類についておさらい
社会保険とは病気やケガ、高齢化、障害、要介護といった誰もが抱えるリスクに対して、社会全体で備える仕組みのことです。医療や年金といった給付を行う公的制度で、健康保険や年金制度などが該当します。
社会保険には広義の社会保険と狭義の社会保険があり、単に社会保険という場合は狭義の社会保険を指すのが一般的です。
- 広義の社会保険の種類
健康保険・介護保険・公的年金・労災保険・雇用保険
- 狭義の社会保険の種類
健康保険・介護保険・厚生年金保険
この記事では狭義の社会保険について、公務員・会社員・自営業の違いを説明します。
会社員・公務員・自営業が加入する社会保険は違う
社会保険の加入先は、会社員・公務員・自営業で以下のように異なります。
会社員 | 公務員 | 自営業 | |
---|---|---|---|
健康保険 | 組合健保か協会けんぽ | 共済組合 | 国民健康保険 |
年金制度 | 国民年金+厚生年金 | 国民年金+厚生年金 | 国民年金のみ |
公務員の社会保険(共済)の保険料計算方法
公務員は、加入する共済組合に対して保険料を支払います。国民年金は保険料負担義務のない第2号被保険者に該当するため、納付する必要はありません。
共済組合に対する保険料支払額は「標準報酬月額(賞与の場合は標準賞与額)×保険料率」で計算します。保険料率は共済組合によって異なります。
例)標準報酬月額30万円の公務員が支払う社会保険料
- 共済組合掛金
30万円×各共済組合の定める料率×1/2
※共済組合掛金の半分は雇用先が負担します。
会社員・自営業の保険料計算方法
では、会社員や自営業が支払う社会保険料はどうなっているのでしょうか。計算方法や金額について説明します。
会社員の保険料計算方法
会社員は加入する協会けんぽや組合健保と、厚生年金に対して保険料を支払います。国民年金は保険料負担義務のない第2号被保険者に該当するため、納付する必要はありません。
社会保険料支払額は、公務員と同じように「保険料支払額は標準報酬月額(賞与の場合は標準賞与額)×保険料率」で計算します。協会けんぽや組合健保に対して支払う健康保険料の率は協会けんぽの場合は都道府県、組合健保の場合は団体によって変わります。厚生年金保険料率は18.30%です。
例)標準報酬月額30万円の会社員が支払う社会保険料
- 健康保険料
30万円×協会けんぽや組合健保が定める料率×1/2
- 厚生年金保険料
30万円×0.183×1/2=2万7,450円
※健康保険料・厚生年金保険料ともに、半分は事業主が負担します。
自営業の保険料計算方法
自営業者は、国民健康保険料と国民年金保険料を支払います。
国民健康保険料支払額は市区町村によって異なり、国民年金保険料は月額1万6,520円(2023年度)です。
介護保険はすべての職種で共通
介護保険は市区町村を保険者とする社会保険であるため、公務員・会社員・自営業といった職種による違いはありません。介護保険料は40歳以降から支払いが必要になり、健康保険料と一緒に徴収されます。
リスクの備えとなる社会保険をよく理解し、必要な知識を身につけよう
公務員は共済組合に加入し、各共済組合が定める料率で計算される社会保険料を支払います。会社員が加入する健康保険は協会けんぽか組合健保、加入する年金は厚生年金で、協会けんぽや組合健保が定める料率で計算される健康保険料と、保険料率18.30%で計算される厚生年金保険料を支払います。
自営業者は国民健康保険に加入し、月額1万6,520円の国民年金保険料を支払います。介護保険について、公務員・会社員・自営業の違いはありません。
社会保険は、誰もが抱えるリスクに備えるための大切な制度です。必要な知識を身につけるため、公務員・会社員・自営業の加入先や保険料について正しく理解しましょう。
よくある質問
公務員が加入する社会保険について教えてください。
共済組合に加入し、各共済組合が定める料率で計算される保険料を支払います。詳しくはこちらをご覧ください。
会社員と自営業の人が加入する社会保険は、公務員のものとは別ですか?
公務員は会社員や自営業とは別の、国家公務員共済組合や地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度といった共済組合に加入します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
厚生年金は国民年金に上乗せできる?企業年金も合わせて解説!
厚生年金や国民年金は公的年金です。では、企業年金は公的年金なのでしょうか。企業年金と厚生年金や国民年金との関係性、厚生年金と国民年金との関係性はどうなっているのでしょうか? また、老齢年金の受給額を増やすにはどうすればよいのか、悩むかもしれ…
詳しくみる労働保険への加入方法
労働保険(労災保険と雇用保険)への加入方法を知っていますか?ここでは、労働保険に加入するため手続き、労働保険の加入に必要な各種届出、申告書の主な内容について解説します。 労働保険へ加入するための手続き 労働保険料の徴収に関しては、すべての事…
詳しくみる雇用保険料とは?2022年の法改正における変更点についても解説
2022年度は、雇用保険料率が引き上げられ、雇用保険料の負担が増えます。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて雇用保険の財政が悪化し、健全化を図る必要が生じたためです。4月は事業主負担分のみを対象とした引き上げ、10月は事業主負担分と労働者…
詳しくみるパート・アルバイトの社会保険
一定の要件を満たせば、パート・アルバイトであっても、社会保険に加入することはできます。しかし、会社によって対応はまちまちで、なかには正社員でなければ社会保険の手続きをしてもらえない会社もあるようです。 このような事態は、社会保険の適用事業所…
詳しくみる自己都合退職で失業保険はもらえる?いつから、いくらもらえるかを解説
自己都合退職でも失業保険を受給できます。自己都合退職は会社都合退職に比べて、最終的に受け取れる金額の総額や、必要な雇用保険加入期間(被保険者期間)などの点で差がある点が特長です。そのため、退職を検討している方は、自己都合退職のデメリットや失…
詳しくみる厚生年金保険料が急に上がったのはなぜ?原因や計算方法を解説!
厚生年金や健康保険などの社会保険料は、会社勤めや公務員の場合、給与から天引きされるのが一般的です。そのため、給与明細を見て保険料が上がったのを知り驚く方も多いでしょう。保険料が上がるのは通常、1年に1度ですが、例外もあります。本記事では、厚…
詳しくみる