• 更新日 : 2026年8月4日

算定基礎届を出さなかったらどうなる?リスクと提出期限・対象者・書き方を解説

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Point算定基礎届を出さないとどうなる?

算定基礎届を未提出の場合、年金事務所からの督促・是正指導・罰則(最大50万円以下の罰金)など深刻なリスクが生じます。

  • 提出期限は毎年7月1日〜10日
  • 未提出で最大50万円以下の罰金リスク
  • 行政が高い保険料を一方的に決定する恐れ

Q. 提出期限を過ぎてしまった場合はどうすればよい?

A. 期限後でも提出は可能です。気づいた時点で速やかに管轄の年金事務所へ連絡し、指示に従って手続きを進めてください。

算定基礎届を出さなかった場合、年金事務所からの督促や是正指導、罰則の適用など複数のリスクが生じます。算定基礎届は毎年7月に行う「定時決定」の手続きで、従業員の標準報酬月額社会保険料の算定基準)を決定する役割を持ちます。本記事では、算定基礎届の未提出・提出忘れによる影響と、提出期限、対象者、書き方までを網羅的に解説します。

算定基礎届とは?

算定基礎届とは、健康保険と厚生年金保険の標準報酬月額を決定するために、企業が毎年提出する届出書です。この手続きを通じて、従業員ごとの社会保険料の基準額が見直されます。

毎年7月、企業は従業員の4月から6月の報酬額を日本年金機構に届け出る義務があります。この仕組みは「定時決定」と呼ばれ、算定基礎届によって各従業員の標準報酬月額の等級が確定します。

届出書には従業員の氏名や給与額などの情報が記載され、これにもとづいて社会保険料が計算されます。社会保険料は病気やケガ、老後の生活など、さまざまなリスクに備えるための重要な費用であるため、算定基礎届の正確な提出が欠かせません。届出内容に誤りや漏れがあると、誤った保険料額が適用されてしまうため、企業には正確な記入と期限内の提出が求められます。

算定基礎届の概要については以下の記事も参考にしてみてください。

標準報酬月額とは

標準報酬月額とは、従業員の毎月の給与をもとに区分された等級ごとの金額のことで、健康保険では1〜50等級、厚生年金保険では1〜32等級に分類されます。

この金額は年間の総支給額ではなく、算定基礎届を提出する直前3ヶ月(通常4月から6月)の報酬をもとに算出される点が特徴です。給与は昇給や手当の変動によって毎年変わる可能性があるため、定時決定によって標準報酬月額を毎年見直す仕組みになっています。

標準報酬月額は、健康保険料や厚生年金保険料を算出する基準となるため、社会保険料の正確な計算に直結します。企業が毎年算定基礎届を提出することで、翌年8月までの社会保険料が適切に決定される仕組みです。

標準報酬月額の等級表や計算方法については以下の記事で詳しく解説しています。

算定基礎届を出さなかったらどうなる?

算定基礎届を提出しないと、年金事務所からの督促や是正指導、罰則の適用、従業員との信頼関係の悪化など、複数のリスクが連鎖的に発生する可能性があります。算定基礎届の未提出や提出漏れを放置することは、企業経営にとって大きなリスクとなるため注意が必要です。

ここでは、算定基礎届を出さなかった場合に想定される代表的なリスクを紹介します。

年金事務所から督促を受ける

算定基礎届の提出期限を過ぎても届出がない場合、年金事務所から督促を受けることになります。最初は文書による通知が一般的です。

この督促を無視して放置すると、年金事務所による立ち入り調査や、事務所への来所を求められる可能性があります。こうした対応は事務作業の負担を増やすだけでなく、本来の業務の進行にも支障をきたしかねません。

過去にさかのぼった修正手続きが発生する

算定基礎届を出さないままでいると、年金事務所から是正指導を受け、過去にさかのぼった修正対応が必要になります。

是正指導では、適用漏れがあった期間分について算定基礎届をさかのぼって作成し、修正後の保険料を納付しなければなりません。具体的には、従業員一人ひとりについて過去の報酬月額を確定し直す作業が発生し、膨大な資料の整理と再計算が必要になります。

このような遡及対応は事務的な負担が非常に大きいため、早期に正しい届出を行うことが重要です。

罰則が適用される可能性がある

算定基礎届の提出義務を怠った場合、企業には罰則が科されるリスクがあります。健康保険法第208条第1条第1項および厚生年金保険法第102条第1項第1号にもとづき、届出をしなかった場合は最大で6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科せられることがあります。

この罰則は企業にとって経済的な負担を伴うだけでなく、対外的な信用にも悪影響を及ぼす可能性がある重大なリスクです。

参考:厚生年金保険法|e-Gov法令検索

参考:健康保険法|e-Gov法令検索

従業員からの信用を損なう

算定基礎届を提出しないと、従業員ごとの標準報酬月額が適切に反映されず、保険料の過剰払いや不足払いが発生する可能性があります。

保険料の過払いが起これば従業員からの不満につながり、報酬月額が低く設定された場合は将来の年金受給額の減額につながる懸念があります。こうした誤りは従業員の生活や老後に直接影響するため、企業に対する信頼を損なう原因となります。さらに企業に罰則が科された場合、不信感はより強まり、従業員からの信用が大きく低下しかねません。

行政によって高い標準報酬月額が一方的に決定される

算定基礎届を提出せず、年金事務所からの督促や是正指導にも応じない場合、行政(年金事務所)が一方的に標準報酬月額を決定することがあります。その際、実態とかけ離れた高い水準で標準報酬月額が設定されるケースもあるため注意が必要です。

標準報酬月額が高く設定されると、従業員と企業の双方が負担する社会保険料も増加します。これにより企業は過剰な保険料負担を強いられ、財務や資金繰りに深刻な影響が及ぶ可能性があります。こうした事態を避けるためにも、算定基礎届を適切なタイミングで提出し、標準報酬月額を実態に合わせて適正化することが不可欠です。

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この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

算定基礎届の手続き完全ガイド

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本資料では社会保険・労働保険で発生する各種手続き方法を、入社・退職時や妊娠・出産時などのシーン別にまとめました。

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随時改定がよくわかるガイド

月額変更届の手続き(随時改定)は、一定の要件を満たす従業員を対象にその都度対応が必要になります。

この資料では、随時改定の基本ルールと手続き方法に加え、よくあるミスの対処方法についても解説します。

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算定基礎届 記入例

社会保険の算定基礎届を作成する際に役立つ、記入例を記載した資料です。実際の用紙への記載方法や記入の要領を、見本を通してご確認いただけます。

届出書類作成の正確性を高め、事務手続きをスムーズに進めるための参考資料としてご活用ください。

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算定基礎届の提出期限はいつ?

算定基礎届の提出期間は、毎年7月1日から7月10日までの約10日間と非常に短い期間に設定されています。この期間内に提出を完了できなければ、提出遅延として扱われます。

算定基礎届の用紙は、毎年6月中旬頃に日本年金機構から事業主宛に送付されます。届いたら速やかに記入作業に着手し、提出期限の7月10日に間に合うよう準備を進めましょう。

提出先は、日本年金機構が設置する事務センター、または管轄の年金事務所です。提出方法は主に次の4つがあります。

  1. 郵送による提出
  2. 窓口への持参
  3. 電子媒体による提出
  4. 電子申請(e-Govなど)

従業員数の多い事業所では算定基礎届の作成作業に時間がかかるため、早めに準備を進めることが求められます。提出書類一式を期限内に整えられるよう、十分な余裕を持って対応することが大切です。

算定基礎届の提出期限を過ぎた場合の対処法は?

算定基礎届の提出期限である7月10日を過ぎても、提出自体は可能です。ただし、提出が遅れるほど標準報酬月額の決定作業が後回しになり、9月以降の保険料負担に影響が及ぶ可能性があります。

提出が遅れていることに気づいた場合は、すぐに管轄の年金事務所に連絡を取り、指示にもとづいて速やかに手続きを進めることが重要です。遅延を放置すると対応がさらに長引き、事務手続きが煩雑になるおそれがあります。

提出期限を過ぎた場合でも、年金事務所の指導を受けながら誠実に対応すれば、リスクを最小限に抑えられます。

算定基礎届の提出対象者は誰?

算定基礎届は、すべての従業員に提出が義務付けられているわけではありません。提出対象となるのは、一定の条件を満たす従業員です。

ここでは、算定基礎届の提出対象者を具体的に解説します。

7月1日時点で在職中のすべての被保険者

算定基礎届の提出対象者は、原則として7月1日時点で在職中のすべての社会保険被保険者です。定時決定は4月から6月までの給与額をもとに行われるため、この時点で社会保険に加入している従業員は提出対象に該当します。

産前産後・育児・介護休業中、傷病休職中の従業員

産前産後休暇や育児・介護休業中の従業員も、社会保険の被保険者であれば算定基礎届の提出対象です。休暇中であっても雇用関係が継続している場合は、対象者として届出に含める必要があります。

傷病による休職中の従業員も同様に、社会保険の被保険者であれば算定基礎届への記載・提出が必要です。休業中の従業員を提出対象から漏らさないよう注意しましょう。

短時間労働者(パート・アルバイト)

従業員51人以上の企業において、1週間の所定労働時間または月の所定労働日数が正社員の4分の3未満であり、雇用期間が2ヶ月を超える見込みのパートやアルバイトも、算定基礎届の提出対象に含まれます。

このような短時間労働者は、主に以下の要件を満たす場合に提出対象となります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が88,000円以上
  • 学生でない
  • 特定適用事業所、または国・地方公共団体に属する事業所に勤務している

なお、上記要件に該当しないパートやアルバイトであっても、1週間の所定労働時間および月の所定労働日数が正社員の4分の3以上であれば、通常の短時間就労者として社会保険に加入し、算定基礎届の対象となります。

70歳以上の従業員

70歳以上の従業員は引き続き厚生年金保険の被保険者ですが、75歳を超えると健康保険の被保険者からは外れます。健康保険の対象から外れた後も、在職老齢年金制度にもとづく年金額の改定のために算定基礎届の提出が必要です。

算定基礎届の提出によって年金額の決定や調整が行われるため、70歳以上の従業員についても忘れずに対応しましょう。

在籍出向中の従業員

在籍出向の場合も、算定基礎届の提出対象です。出向中の従業員は自社との雇用関係を維持したまま別の企業で勤務しますが、社会保険料は基本的に出向元の企業が負担するため、出向元が算定基礎届に含めて提出する必要があります。

算定基礎届の提出対象外となるのはどんな人?

算定基礎届の提出は多くの従業員が対象ですが、一定の条件に該当する場合は提出対象外となります。

ここでは、算定基礎届の提出対象外となる代表的なケースを解説します。

6月1日以降に社会保険へ加入した人

6月1日以降に社会保険に加入した新規被保険者は、算定基礎届の提出対象外です。これらの従業員は資格取得時点で翌年8月までの標準報酬月額がすでに決定されているため、あらためて算定基礎届を提出する必要がありません。

資格取得後1年間は標準報酬月額の変更が発生しないため、翌年8月までは定時決定の対象外となる点を理解しておきましょう。

6月30日以前に退職した人

算定基礎届の提出対象は、原則として「7月1日時点で在職中の被保険者」です。6月30日以前に退職した元従業員は、7月1日時点で被保険者資格を喪失しているため、算定基礎届を提出する必要はありません。

算定基礎届は4月から6月の報酬の平均額にもとづいて保険料を決定する仕組みであるため、退職日が6月30日以前であれば対象外となります。

7月から9月の間に随時改定の対象になる人

7月から9月の間に基本給など固定的賃金に大きな変動が生じた従業員は、随時改定の対象となり、月額変更届を提出して標準報酬月額を改定するため、算定基礎届の提出は不要です。

固定的な賃金や手当に大幅な変動があった場合は、定時決定よりも随時改定が優先されます。たとえば4月に昇給があり、4月から6月の給与と現行の標準報酬月額に大きな差が生じた場合、7月から9月の間に月額変更届を提出することで報酬が適切に改定され、算定基礎届による定時決定は不要となります。

ただし、随時改定の要件に該当しない場合は、通常どおり算定基礎届の提出が必要です。

算定基礎届の書き方は?

算定基礎届の用紙には、被保険者の生年月日や氏名などがあらかじめ印字されています。5月中旬以降に社会保険に加入した新規被保険者については印字がない場合があるため、企業側で空欄に必要事項を記入する必要があります。

主な記入項目は以下のとおりです。

記入項目 内容
支払基礎日数 月給制であれば、4月から6月それぞれの歴日数(欠勤控除がある場合には、所定労働日数から欠勤日数を控除した日数)
現金支給額(通貨) 基本給や手当など現金で支給された報酬額
現物支給額(現物) 自社製品など現物で支給された金額(時価換算)
合計額 通貨と現物の合計額
総計額 支払基礎日数が17日以上の月の報酬合計額
平均額 総計額を計算対象月数で割った金額(1円未満切り捨て)

支払基礎日数には、4月から6月に支払われた報酬の対象日数を記入し、月給制の場合はその対象月の日数を記入します。報酬額は現金支給分を「通貨」、現物支給分を「現物」に分けて記入し、その合計額を記載します。

総計額は、支払基礎日数が17日以上ある月の報酬合計額を記入し、平均額はその総計額を計算対象月数で割って算出します。この平均額にもとづいて、最終的な標準報酬月額が決定される仕組みです。

社会保険手続きの遅延や未提出が現場に与えるリスク

マネーフォワード クラウドでは、入退社の書類手続きに携わった経験がある方を対象に、実務におけるトラブルやその影響について調査を実施しました。

社会保険手続きは最もトラブルが発生しやすい項目

入社手続きにおいて最もトラブルや苦労が発生しやすいのは、社会保険や住民税の手続きで39.0%でした。算定基礎届をはじめとする社会保険関連の手続きは、少しの遅れや不備が大きな問題に発展しやすい業務です。

手続き遅延は担当者の残業増加や信頼低下に直結

実際に、手続き上のトラブルが現場に与える影響を客観的に分析すると、担当者の残業時間が大幅に増加したとの回答が37.5%で最も多い結果となりました。さらに、従業員との信頼関係が悪化したという回答が28.1%、従業員の給与支払いや保険適用に遅延が出たという回答が27.5%となっています。

算定基礎届を未提出のまま放置することは、行政からの罰則リスクだけでなく、従業員の保険適用遅延や社内の信頼低下、そして担当者の過度な業務負担に直結するため、期限内の正確な対応が求められます。

出典:マネーフォワード クラウド、入退社手続きにおけるトラブルや影響【入退社に関する調査データ】(回答者:881名(有効回答:入退社手続きに関与する628名)、集計期間:2026年2月実施)

算定基礎届を出さなかったらどうなるか、リスクを正しく理解して早期対応を

算定基礎届を提出しない、または提出を忘れた場合、年金事務所からの督促や是正指導、罰則の適用、従業員からの信用低下など、企業にとって甚大なリスクが生じます。提出期限である7月1日から7月10日を守り、対象者を正しく把握した上で必要な書類を確実に提出することが、トラブルを防ぎ従業員との信頼関係を維持するために不可欠です。早めの準備と確実な手続きを心がけましょう。

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